はじめに
気候変動の産業化を実現するために、直近やるべき6つのことを2023年4月にまとめました。あれから約2年が経ち、社会の状況も、そして自分たちの考え方も少しずつ変化してきました。この間に、気候変動は企業経営や投資判断の中心的なテーマになり、「環境対応」ではなく「経済のルール」をつくり変える存在になりつつあります。同時に、リクロマという会社がこの時代においてどんな役割を果たすべきかがより明確に見えてきました。
そこで改めて、リクロマのミッションとビジョンについて整理したいと思います。
言葉の定義について
当社では、以下のように定義しています。
- ミッション:誰に、何を提供する会社なのか
- ビジョン:ミッションに時間軸を与え、いつ・どのような状態を目指しているかを示すもの
- バリュー:ミッション・ビジョンを実現するために必要な価値観や行動
ミッション
急激な気候変動時代に求められる社会の仕組みをつくる
急激な気候変動時代に求められる社会の仕組みをつくる
私達のミッションは、「急激な気候変動時代に求められる社会の仕組みをつくる」です。気候変動は、今や特定の分野の話ではありません。災害の増加、資源価格の変動、エネルギーの不安定化、サプライチェーンの分断。すべてが連鎖し、社会の土台そのものを揺らしています。同時に気候変動は企業の経営戦略や金融のルール、さらには私たちの生活のあり方をも変えようとしています。
私たちは、この時代に求められるのは「対応」だけではなく「設計」だと考えています。気候変動と共に生きるための社会の仕組みをどう設計するか。そこに私たちリクロマの存在意義を見出したいと思っています。
ミッションコピー
未来の社会を変えないために、社会の仕組みを変えつづける。
ビジョン
ミッションを時間軸で具体化する
ミッションは超長期で成し遂げたいことですが、ビジョンはミッションに時間軸を与えたものという整理にしています。気候変動は2050年以降にピークを迎えるとされていますが、すでに2025年時点でその影響は顕著に現れています。あまりに遠い未来を見据えるだけでは、足元で何をすべきかが見えにくくなってしまう。
そこで私たちは次の5年で到達すべき3つの方向性を設定しています。
1. 日本の大手企業とそのサプライチェーンの脱炭素領域でNo.1になる
日本政府は2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを掲げています。この政策目標を受け上場企業を中心にバリューチェーンまでを含めた脱炭素目標の策定が進んでいます。また、投資家やESG評価機関もサプライチェーンを含めた削減を企業価値の基準として評価するようになっています。
一方で、企業現場では「どのように算定すればよいのか」「どのように取引先へ働きかけるか」といった課題が多く残っています。
リクロマは、そうした企業を支援するために前半でお伝えしたコンサルティング、温室効果ガス削減サービス、Eラーニングを提供しています。
これら事業を通じて企業が外部に依存せず自走できる体制を構築する支援を行いながら、業界全体でのルール形成を支援しています。例えばデータフォーマットの統一や教育プログラムの共同設計に関して、3社で国内95%以上のシェアとなる業界大手3社と協業するなど業界の枠を超えた「仕組みづくり」を支援しています。
「日本の大手企業とそのサプライチェーンの脱炭素領域でNo.1になる」というビジョンの一つの柱に対してはまだまだできる事業があるので、足元を固めながら事業を増やしていきます。
2. 日本のレジリエントな社会づくりでプレゼンスを確立する
※レジリエント:危機や変化に対して柔軟に対応し、回復して成長していく組織や人のことを指します
気候変動の影響は残念ながら温室効果ガスの削減活動だけでは防ぎきれない現状にあります。これからの社会に必要なのは「気候変動に適応する力」です。
具体的には、不動産業や製造業を中心に、工場や拠点がどの程度水災害リスクにさらされているかを分析し対策を提案するコンサルティングを実施しています。
これは気候変動に「適応する社会」をつくるための第一歩です。将来的には、自治体や保険・インフラ事業者とも連携し社会全体で災害への備えを高める仕組みづくりを進めていきます。
3. アジアのレジリエント社会づくりに参画する
脱炭素の動きは、EUやアメリカを中心とした大きな枠組みで進行しています。その中で日本はアジア地域でのリーダーシップを発揮することが求められており、日本政府はAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)構想というブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムなど11カ国との連携を掲げる枠組みを推進しています。このような流れを推し進めるためにも私たちは今後5年以内にアジアの脱炭素事業づくりに参画することを目指しています。
具体的には、
- 日本企業が持つ脱炭素技術のアジア展開支援(スピンアウト)
- 国際的なサプライチェーンの脱炭素化支援
- 事業の環境性能評価の仕組みづくり
などを構想しています。アジアの成長とともに、地域全体の持続可能性を高める仕組みをつくることが目標です。
ビジョンが示す方向性
この三つのビジョンは独立しているように見えるのですが、私たちは一つの流れで捉えています。
企業が排出量を削減し(緩和)、
同時に災害や気候変動の影響に強い社会構造をつくり(適応)、
それをアジア全体に広げる(連携)。
緩和・適応・連携。この三つを循環させながら気候変動時代の社会基盤を形づくる中心に私たちリクロマはあり続けたいと思っています。
社会の仕組みを変えるということ
「社会の仕組みを変える」という言葉は抽象的に聞こえるかもしれません。しかし実際の現場では、非常に具体的な作業の積み重ねです。
データを整理する。
制度を読み解く。
企業や行政と議論し、ルールをつくる。
一つひとつの小さな改善が、社会を支える構造を少しずつ変えていく。
リクロマの仕事は派手ではないかもしれません。けれどその積み重ねこそが10年後、20年後の社会を変えていく礎になると考えています。
結び:変化をともにデザインする仲間へ
リクロマのミッション「急激な気候変動時代に求められる社会の仕組みをつくる」はこれから先の数十年にわたって変わることはありません。一方で気候変動が続く限り社会は変化し続けます。その変化に合わせて社会の仕組みも常にアップデートされていく。私たちは、そのプロセスを「つくる側」でありたいと思っています。
もし読んでくださっている皆さんが
- 社会課題を自分ごととして捉えたい
- 気候変動を軸に社会や企業の構造を変えていきたい
- 長期的な視点で未来をデザインする仕事がしたい
と思っていましたら、リクロマという環境はきっと刺激的な場所になるはずです。
未来の社会を変えないために社会の仕組みを変えつづける。
その挑戦を共に続けていける仲間を探しています。ぜひカジュアル面談をさせてください!