いつも穏やかで、物事に動じない。
HRソリューション事業部のプロデューサー・大江沙季は、そんな印象を周りに与える。
しかし、彼女は「全く落ち着いていませんよ」と、朗らかに笑う。
エンジニアとして入社後、1ヶ月で営業事務へ。思い描いたキャリアが白紙になったあの日から、彼女の本当の旅は始まった。
なぜ、彼女は周りから「護る人」と言われるのか。
なぜ、自称“人見知り”なのに、誰とでも対等に話せるのか。
そして、数々の回り道の末に彼女がたどり着いた、「とりあえず、やってみろ!」という、シンプルで力強い答えとは。
これは、一人の女性が、予期せぬキャリアの中で自分だけの“心のコンパス”を見つけ出していく、誠実で、勇気に満ちた物語である。
・大江さんは、営業とは異なる領域でキャリアをスタートされた後、プロデューサーへ、というユニークなキャリアを歩まれていますね。その背景と、今の仕事で強みになっていると感じる点があれば教えてください。
私のキャリアは、予期せぬ“軌道修正”から始まりました。新卒でエンジニアとして入社した会社で、1ヶ月も経たずに営業事務への異動を命じられたんです。思い描いていた将来設計が、一瞬で白紙になりました。
でも、その経験が『置かれた環境で、自分はどうするか?』を常に考える癖を、私に与えてくれたんだと思います。十分な教育を受けられなかった悔しさから、人材育成や教育の重要性を痛感しましたし、営業事務として事業戦略に関わる中で、会社を成長させることの面白さに目覚めました。
社会人になってからの留学も経て、『日本の素晴らしい企業が、もっと長く輝き続けるために、自分に何ができるか』を考えた時、人材育成の道が拓けました。
当初はバックオフィス業務でしたが、受け身の仕事に物足りなさを感じ、勇気を出して営業の世界へ。かつては自分とは真逆の“パワフルな人”の世界だと思っていましたが、実際はそうではないと知りました。多様な経験をしてきたからこそ、多様な視点で物事を伝えられる。それが、今の私の強みになっていると感じています。
・前職では、世界的な名著『7つの習慣』を扱う会社でご活躍されたと伺いました。数ある“習慣”の中で、大江さんが今、最も大切にしているものはどれですか?
『Win-Winを考える』という習慣です。 これは、仕事だけでなく、プライベートも含めた私の人生の基本原則になっています。どちらか一方だけが負担を強いられる関係は、決して長続きしません。
前職では、どんなに良い研修でも、お客様側の事情で受け入れてもらえない、というジレンマを何度も経験しました。だからこそ、今は入り口の段階で完璧なWinを求めるのではなく、まずはお客様と深く関わり、信頼関係を築く。そして、最終的に『お互いが納得できるWin-Winの着地点』を、粘り強く共に創り上げていく。そのプロセスを、何よりも大切にしています。
・周囲の方からは『良い意味で物事に動じない』と評されています。その落ち着きの秘訣は何でしょうか?
いえいえ、全く落ち着いていませんよ(笑)。そう見えるのだとしたら、それはたぶん、自分の感情を“一旦、脇に置いている”からだと思います。
仕事で問題が起きた時、私の思考は『自分としてどう思うか』ではなく、『会社やチームにとっての最善は何か』という方向に一気に切り替わります。自分の感情よりも、まず守るべきものを守るために、何をすべきか。その思考が、周りからは冷静に見えるのかもしれません。
以前、自分の半生を語り、周りの人から一文字で印象を表現してもらうワークで、私が言われたのは『護』という漢字でした。自分では自己中心的に動いているつもりでも、他者から見ると、常に誰かを“護る”ために行動している、と。その時、これが自分の本質なんだと、腑に落ちたんです。
・『誰とでもコミュニケーションが取れる』という魅力の“コツ”はありますか?
コツなんて、全くないです(笑)。でも、私が無意識に大切にしているのは、『対等』というスタンスかもしれません。相手の役職や立場に関係なく、一人の人間として、同じ目線で話したい、と常に願っています。
とは言え、実は私、自称“人見知り”なんです。だから、初対面ではいつも一度はトライしますが、ダメそうだったらすぐに退散することもあります(笑)。
・もし遊び心で、“8つ目の習慣”を追加できるとしたら、どんな『〇〇の習慣』を加えますか?
非常に難しい質問ですね…でも、あえて加えるなら『無になる習慣』でしょうか。 『7つの習慣』は、常に考えて行動することを求められます。だからこそ、意図的に“考えない”時間を作る。現代人は、みんな考えすぎて脳疲労を起こしていますから。禅、とまでは言いませんが、全てを空っぽにしてリフレッシュする時間は、きっと必要だと思います。ちなみに私は、寝るか、遠出をします!
・ご自身のキャリアを一本の『漫画』に例えるとしたら?
悲劇のヒロインにはなりたくないので、断然アクション系ですね! 憧れるのは、昔のアニメの『スレイヤーズ』。女性の主人公が、自分の欲に忠実に、欲しいものは何でも掴み取りにいく。あの姿は、今見ても『カッケーな』って思います(笑)。 実際の私は、彼女とは真逆の“大器晩成型”だと思っていますけどね。
・人材開発のプロの目から見て、コーポレートコーチはどんな組織ですか?
スピーディーに物事を決定し、変化を受け入れる『ベンチャーマインド』が、経営層も含めて根付いている点は、素晴らしいカルチャーだと思います。
一方で、これから会社がさらに大きくなっていくためには、ベンチャーの良さを残しつつも、取締役の山本(佳孝)さんがおっしゃる『一流の作法』を、もっと身につけていく必要があると感じています。立ち振る舞いや、仕事の丁寧さといった部分が磨かれれば、さらに強い組織になれるはずです。
・大江さんが、これからチャレンジしたいこと、創りたい世界を教えてください。
一言で言うと、『強い日本を目指す!』って思っています。 国内で満足するのではなく、世界で戦える日本企業をもっと増やしていきたい。そのための支援がしたいんです。そのためには、まず自分自身が英語や海外ビジネスを学び、お客様から絶対的な信頼を得られる存在にならなくてはなりません。まだまだ、道半ばです。
・最後に、未来の仲間にメッセージをお願いします。
私のスタイルは、『とりあえず、やってみろ!』です(笑)。 やらないで後悔する人生より、やって失敗した人生の方が、ずっといい。失敗したとしても、挑戦した自分を褒めてあげれば、それが次の一歩に繋がりますから。
コーポレートコーチは、自分の意見をフラットに言える、心理的安全性の高い環境です。もし、あなたの中に『やりたいこと』があるなら、それを歓迎し、応援してくれる仲間が、ここにはいます。コーチングや人材育成の可能性を信じている方と、ぜひ一緒に働きたいですね。