大規模なプラントを建設するビッグプロジェクト。
その壮大なスケールの構造物は、製品を作り出すための各種機器、機器を支える基礎や架台、機器の制御を行うための計装機器・配線、機器を動かすための電力を供給するケーブル、更に、原料となる流体や気体を流すために必要な配管など様々な構成部品により成り立っています。
その部品のひとつひとつはプラントを正しく運転するために求められる機能と強度が求められます。そのため、どんなに数えきれない数になったとしても全てのアイテムが必要な検査を通過した合格品が現地に搬入され、適切に設置されなければならないのです。
そのプラントの“安全・安心の運転”を担っているのが、構成部品を検査し、品質を管理するプロフェッショナルの検査のメンバーたちです。
今回紹介するのは、そんなプラント建設における「検査」の仕事。
協力会社での調達品の検査や、実際の工事現場での品質チェック、高圧ガス設備に関する認定手続きまで——現場に赴き、時には長期出張を伴いながらも、ものづくりの最前線で“目に見えない品質”を守り続けています。
なぜこの仕事がプラント建設の中でも重要な位置にあるのか?どんなやりがいがあるのか?
その実際についてを、現場で活躍する検査担当者2名に聞いてみました。
▼Interviewee
N.Sさん(グループリーダー)
測量会社でキャリアをスタートし、その後、製鉄会社グループの協力会社にて溶接・非破壊検査に従事。双方の知識と技術を併せ持つ稀少な存在として、2022年にTPSへキャリア入社。現在は検査チームのリーダーを務める。
K.Sさん(メンバー)
大学卒業後、非破壊検査専門の会社で約4年間、現場経験を積む。2024年にTPSへキャリア入社し、現在は検査チームの一員として活躍中。
きっかけは違えど、「ここなら、自分の経験が活かせる」「この人と働きたい」と思えた場所
――NさんはなぜTPSへ入社を決めたのでしょうか?
「もともとは、測量の専門学校を出て、測量会社で十数年間勤務しその後、製鉄関係の会社に転職。そこで十数年間、溶接と非破壊検査の仕事に従事しました」
そう自身のキャリアを振り返るNさん。溶接と非破壊検査の両方を経験している人は実は少ないといいます。
「たいていは、どちらか一方だけ。でもこの溶接と非破壊検査は密接な関係なんですよ。だからこそ、自分が持っている両方の知識と技術を活かせる場所を探していました」
そんなときに出会ったのが、TPSでした。
「ちょうどキャリアの折り返し地点、“この先もずっと現場でバリバリ”という働き方ではなく、今後は自分の経験を若い人に伝えたり、マネジメント側に進んだり、そういった方向を考えていたタイミングでしたね」
“この人みたいになりたい”と思えたから、飛び込めた
――Kさんはどうでしょうか?
「私は正直、調達品の検査の知識なんてまったくなかったです。前職は非破壊検査の仕事をしていたので、入社前は“本当に自分にできるのかな…”と不安しかありませんでした」
Nさんと少し似ていて検査に挑戦した人材です。そんなKさんが入社を決意した理由は、面接時に出会ったある社員の存在でした。
「実は私、面接でNさんにお会いして、すごく印象が変わったんです。知識がなくても“この中に入れば学べる”と、自然に思えた。漠然としていた不安が、あの瞬間、希望に変わったのを今でも覚えています」
Kさんはその時の気持ちを「憧れ」と振り返ります。
「“この人みたいになりたい”って、思ったんですよね。Nさんの話し方や、現場での向き合い方に、ただ技術があるだけじゃなくて、覚悟や誇りを感じたんです。だから、自分もここで一から学びたいと思いました」
品質を支える3つの視点――TPS検査の仕事とは
「検査とひとことで言っても、大きく分けて3つの検査があります」
Kさんは検査業務についてこう説明しました。
「まずは、外観の目視検査。傷やサビ、変形がないかを目で見て確認します。次に、寸法検査。図面通りに施工されているかを、計測機器を使用し測定を行い記録に残します。そして、書類検査。これは材料証明書と各検査の成績書などの品質を証明する書類の確認です」
TPSの検査品質グループは、単に“モノを見る”だけではありません。
製品の品質が、「客先要求、客先仕様、適用法規」に沿っているかの確認を行い、検査成績書として記録を残し、お客様から”合格”をもらう。それが彼らの役割です。
Nさんは検査の“重み”についてこう語ります。
「たとえば、配管に流れるのが“ただの水”だったら、過剰な検査はかえってコストバランスが悪くなります。でも、高温・高圧の蒸気や腐食性流体が通る配管だったら話は別。その配管に欠陥があれば、大きな事故につながりかねない。だからこそ、私たちの経験と判断が求められるんです」
現場や製品の用途に応じて、どこまで細かく検査すべきかを見極める。その判断力こそが、TPSの検査品質グループが“プロフェッショナル”たるゆえんです。
TPSの検査は、製造工程の中でも「最後の砦」とも言えるポジションです。
設計通りのモノが作られているかを冷静にチェックし、問題がなければ“次の工程へ進んでください”というサインを出す。 責任は大きいですが、そのぶん、ものづくりの現場にとって欠かせない存在でもあるのです。
「見る」だけじゃ足りない。“背景”を想像する力
ーー検査をするのに必要な考え方って何ですか?
「目の前にあるものを見るだけじゃ、検査はできません」
Nさんは、そう語ります。
「たとえば、寸法値が許容値より1mm超えていたとします。もちろん寸法検査としてはNGですが、大事なのは“なぜ許容値を超えたのか”を考えることなんです。製作ミスなのか、図面の指示が不適切だったのか、製作工程に問題あったのか、材料に問題があったのか、などを確認し、検査機器を総合的に検査をする事が必要と考えています」
ただ数値をチェックして○×をつけるのも必要ですが、“現場や設計、機器の役割”まで理解したうえで判断する。
また、難しいのは規格や仕様に規定がない事について合否の判断をすることです。
TPSの検査品質グループには、そうした広い視点と想像力が求められます。
また、検査というと、黙々と作業する“職人的”な仕事を想像するかもしれません。
しかしKさんは、「人とのやりとりが意外と多い仕事なんですよ」と言います。
「たとえば、現場の作業員の方に“ここ、もう一回確認してほしい”と伝える場面もあるし、設計担当に“図面のここの指示が曖昧なんだけど…”と相談することもあります。だから、相手を否定しない伝え方や、わかりやすく話す力もすごく大事なんです」
設計、メーカー、現場、それぞれの立場や事情を理解しながら、正しさと納得の両方を届ける。それがTPSの検査に求められる「対話力」です。
多様な力が、ひとつの強さに
ーーグループリーダーでもあるNさんに検査チームの強みをお聞きしたいです。
TPSの検査チームは、決して大人数ではありません。しかし、その少数精鋭のメンバーには、大きな強みがあります。
「検査チームって、実はみんな考え方がけっこう違うんです」とNさんは言います。
一見するとバラバラにも見えるこの多様性こそが、チームの魅力なのだそうです。
「誰かが気づかないことを、誰かが見つけてくれる。得意分野もそれぞれ違うので、全体としてすごくバランスが取れているんです」
TPSが掲げる理念は「コンパクトで、インパクトを」。Nさんは、検査チームの在り方がまさにこの言葉と重なると感じています。
「全員が同じように“完璧な人”を目指すことは理想なのかもしれません。それぞれの得意を活かして、それを周りが支えるスタイル。だから少人数でも大きな力を発揮できるんです」
自分の「色」を出しながら、互いに支え合えるチーム。
そんな空気のなかで働けるからこそ──
「私はこのチームが好きなんです」
Nさんのその一言が、TPS検査チームのすべてを物語っていました。
TPSの検査チームは機器の検査を担当しているチームとなります。 “機器検査”の枠を超えて、さらに広い領域へのチャレンジを始めようとしています。 電気設備や土木関連など、品質管理としての関わり方も広げていきたい。
そのためには、さまざまなバックグラウンドを持つ仲間が必要です。
「もっと広い視点で、品質を守る仕事に挑戦してみたい」
「これまでの経験を、新しい場所で活かしたい」
――そう感じている方に、ぜひ仲間になっていただきたいと思っています。