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全国的に人手不足が深刻化する中、鳥取県琴浦町のこども園でも令和4年度に7人が退職し、改善策が求められていました。そこで離職率の低下、組織改革を目指し複業人材を募集しました。実際に参画したのは、人事コンサルタントとして組織づくりや採用支援など、人事に関する課題を包括的に支援している田中さん。
今回は田中さんに、どのようなプロセスでプロジェクトを進めていったのか、終了後は有償で継続登用が決まった経緯についてお話を伺いました。
*プロフィール
田中 ルーシー 匡知氏/フリーランス
鳥取県琴浦町:こども園の人事戦略アドバイザー
奈良県川西町:組織人事プランナー
1981年生まれ。京都府出身。立命館大学卒業後、ベンチャーの住宅会社に営業として就職。早くから採用、教育業務に携わり並行して新規事業立ち上げや組織作りにも多く関わる。その後旅行会社の人事責任者を経てコロナの影響もあり2021年独立。社外人事部のような立ち位置で企業の手が届きにくいところに入り込んで組織づくりや採用、制度などの構築支援を行う。
今までの経験と培ってきたスキルを活かして琴浦町を支援
雄大な自然を感じられる船上山の写真
ーー田中さんが普段取り組んでいるお仕事について教えてください。
普段はフリーランスの人事コンサルタントとして活動しています。
採用や人材育成だけではなく、採用の要件定義や戦略設計も行っています。求人の作成やOJT制度の設計など、人事に関する様々な課題を解決するために、包括的な支援をすることが強みです。
人と組織に関わる全般的なサポートを行い、社外人事として経営者と二人三脚で問題解決に取り組んでいます。
ーー人事分野を幅広く支援しているのですね。今回琴浦町の案件に応募してくださった理由は何ですか?
プロジェクト内容と地域にご縁を感じ、自分のスキルが活かせる案件だと思ったからです。
私の妻が鳥取大学に通っていた縁があり、結婚を機に鳥取を訪れる機会が増えました。また、琴浦町が抱えている課題を求人票で見たとき、子どもを2人育てている私にとって、他人事とは思えませんでしたした。
また、私は今まで、看護師や設計士など専門職として働く人の支援も人事として行ってきました。確かに、それぞれの業種や業態によって、組織開発や人材育成などのアプローチ方法は異なります。しかし、抱えている課題の棚卸やゴール設定など、課題解決に必要な考え方やノウハウは変わりません。
今まで培ってきたスキル、課題解決に導いてきた経験の両方が、琴浦町の課題解決に役立つと思い、応募しました。
プロジェクト期間終了後に有償で継続登用へ
田中さんがアドバイザーとして支援したこども園の写真
ーーアドバイザーとして就任された琴浦町ではまずどのようなことから取り組みましたか?
琴浦町のこども園では、令和4年度末には全体で7名が退職し、組織改革が喫緊の課題でした。
まず私が行ったことは、47名の保育職員全員との面談です。それぞれの職員が抱えている課題や、仕事を通して実現したいことについて話を聞き、組織の現状を把握することを目指しました。
ーー47名全員と面談をしたのですね!面談を通してどのような現状を把握できましたか?
組織内でのコミュニケーション不足やモチベーションの低下が、高い離職率につながっていることが分かりました。
給料や福利厚生といったハード面よりも、人間関係や職場環境というソフト面に課題があると分かったことは大きな収穫でした。世間では保育士の働く環境に対するハード面の問題が多く取り上げられていますが、琴浦町の場合はそうではなかったのです。
外部との接触機会が少ないため、組織内ではより不安や悩みを溜め込んでしまう現状がありました。そのため、外部人材である私が積極的に面談を行ったことによって、モチベーションの向上や自発的な業務改善の行動に繋がりました。
6ヶ月間という短いプロジェクト期間では、職員からのヒアリングを通して課題を抽出することまでが限界でした。ただ、ありがたいことに半年間の支援実績を評価いただきプロジェクト期間終了後も継続して登用させていただくことになったので、引き続きこども園の課題解決の支援に尽力していきたいと思います。
ーープロジェクト期間終了後も、継続して登用されたのですね。現在はどのようなことに取り組んでいるのですか?
6ヶ月のプロジェクト期間で整理した課題を改善するために、具体的な施策について検討しています。
結果として、任期が半年間のアドバイザーとしてご支援した令和5年度の離職者はゼロになりましたが、あくまでも一過性のものに過ぎないと思っています。組織の体制や仕組みを変えない限り、長期的な成果を得ることはできません。そこで、組織を健全化していくために、現在は具体的な施策を検討しているところです。例えば、保育職員の業務改善です。
どのような業務にどれだけの時間が掛かっているかを把握することが業務改善の最初の一歩です。また、それぞれの業務をどのような目的を持って行っているかを整理することも重要です。業務の整理が終わったら、職員の行動指針となるような業務分掌を作成しようと思っています。
複業人材として行政に変革を起こすために
琴浦町のこども園に通う子供たちが遊んでいる様子
ーーこども園という組織を健全化するための最初の一歩として、業務の整理に取り組んでいるのですね。自治体複業を通して田中さんが得ることができたものはありますか?
行政と民間の業務内容に大きな違いはないと実感できたことです。
今回のプロジェクトを通して、今まで対民間企業の人事コンサルタントで培ってきたノウハウが、行政にも通用することに気づきました。今後も自治体複業を通して行政課題の解決を伴走支援し、地方自治体に貢献していきたいです。
また、複業人材として行政に関わることで、組織内部では気付けない課題にもアプローチすることができます。外部からの視点を活かし、行政に変革を起こせるのが私のような複業人材であると実感することができました。
ーー最後に今後のキャリアに関する抱負を教えてください。
自治体が抱えがちな課題は日本全国どこの自治体でも似ていると思います。逆に言えば、課題解決の方法も似ているはずです。私が地方と都市の橋渡しのような存在になり、地域間の隔たりを無くし、地方自治体の課題解決を支援していきたいです。
取材、執筆:井原 沙樹