企業の成長を左右する、最重要の経営課題──「採用」。
少子高齢化が進み、採用市場が激化する現代において、多くの企業が「若手人材の獲得」という大きな壁に直面しています。これまでと同じやり方では、事業の成長に必要な人材を確保することが日に日に難しくなっているのが実情です。
では、この構造的な課題を乗り越えるための活路はどこにあるのか。その一つが、大きな可能性を秘めた「高卒採用」です。
しかし、多くの企業はその重要性を認識しつつも、具体的な打ち手を欠き、本質的な価値を見出せずにいます。
今回は、この「高卒採用」という領域で独自のポジションを築き、採用の“当たり前”を根底から変えようとしているミライズ株式会社に迫ります。同社が展開する高卒採用支援サービス『高チャレ』は、なぜ多くの企業と学校に選ばれるのか。その独自のビジネスモデルについて、事業を牽引する畑中さんにお話を伺いました。
畑中俊人 / セールスマネージャー
大学卒業後、建設会社で施工管理技士として4年半勤務。その後、代表の北畑氏と共にミライズ株式会社を創業。営業未経験からのスタートながら、事業成長に貢献。現在はプレイングマネージャーとして第一線で活躍しつつ、セールスチームの戦略立案、組織強化、人材育成を統括。
採用市場の構造変化と「高卒採用」という必然の選択
――まず、現在の日本の採用市場の状況と、なぜ今「高卒採用」が企業にとって重要な選択肢になるのか、畑中さんのお考えをお聞かせください。
はい。まず大前提として、日本の労働市場全体が、今後深刻な人手不足に直面するという事実があります。例えば、パーソル総合研究所の未来予測によれば、2030年には644万人の人手が不足すると言われています。
[引用:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」]
特に、これまで採用の中心であった大卒市場の競争は激化の一途です。リクルートワークス研究所の調査では、2025年卒の大学生求人倍率は1.75倍と高止まりし、中でも従業員300人未満の企業では6.50倍にも達しています。
[引用:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2025年卒)」]
[引用:図表2 従業員規模別 求人倍率の推移]
こうした状況下で、大卒採用だけに依存した人材獲得戦略は、もはや経営リスクそのものなのです。今、採用が順調な企業でさえ、5年後、10年後の保証はありません。
――その結果、多くの企業が次の活路として「高卒採用」に目を向けているかと思います。こちらの市場の状況はいかがでしょうか。
はい、おっしゃる通りです。大卒採用の激化に伴って高卒採用市場にも注目が集まり、結果として、数字の上では大卒市場をさらに上回る競争が起きているように見えます。近年の求人倍率は全国平均でも数倍に達し、特に大都市圏では10倍を超えることも珍しくありません。
――注目が集まった結果、かえって厳しい市場になっている、ということですか。
ええ、一見するとそうなります。しかし、私たちはその競争の“質”を正しく見極める必要があると考えています。なぜなら、その高い倍率には、市場の構造的な“カラクリ”が隠れているからです。
理由の一つは、見かけの求人倍率の高さに惑わされている企業が多いという点です。高卒採用はハローワークを通じ無料で始められるため、求人票の多くが「とりあえず」で出稿されたものです。そのため、一校に数千枚もの求人票が届き、そのほとんどは高校生の目に触れることなく埋もれてしまっています。
[引用:高チャレサービス資料抜粋]
つまり、数字上の競争は激しく見えても、本気で戦略的にアプローチしている企業は、数字で見るよりもずっと少ないのです。
もう一つは、高校生自身の価値観の変化です。Z世代の中には、大学で4年間を過ごすよりも、18歳から社会で実践的なスキルを磨くことに価値を見出す、意欲的な層が増えています。
このように、ライバルが少なく、意欲的な人材が増えているという構造を捉えれば、高卒市場がいかにポテンシャルに満ちた有望な市場かが見えてきます。だからこそ、戦略的なアプローチは「必然の選択」だと考えています。
「採れる」だけでは意味がない。企業の“真の採用力”を鍛えるミライズの思想
――市場の変化を見据えれば、高卒採用は避けて通れない道だと。では、企業が高卒採用に取り組む上で、最も大切なことは何だとお考えですか。
はい。よく「高校新卒者は定着率が高く、素直に企業文化を吸収してくれる」といったメリットが語られますよね。もちろん、それも非常に重要な価値です。しかし、私たちが考える高卒採用の“本質的な”価値は、さらに深いレベルにあります。
それは、採用のその先、「高卒人材を一人前に育成できる体制」を社内に構築する、そのプロセスそのものです。これこそが、企業にとって最大の価値だと考えています。
なぜなら、社会人経験のない18歳を一人前に育てる丁寧な仕組みは、そのまま大卒や中途社員の育成にも応用できる、極めて汎用性の高いものだからです。このプロセスを通じて、組織全体の「人を育てる力」、すなわち企業の土台が根本から強くなる。私たちはクライアントに、そのことをお伝えしています。
もちろん、多くの企業がその重要性を理解しつつも、「目の前の採用で手一杯」「育成リソースがない」といった壁に直面します。だからこそ、私たちのような外部の専門家が、その体制構築を伴走支援することに大きな価値があるのです。
短期的な欠員補充ではなく、5年後、10年後も勝ち残るための組織基盤を築くこと。それこそが、高卒採用を通じた効果的な経営戦略の一つなのです。
なぜミライズは「教育」から始めるのか。他社が追随できない独自の提供価値
――企業が自社の「人を育てる力」を鍛える、という視点は非常に重要ですね。しかし、企業が高校生を育成するためには、まず「意欲的で、自社に合った高校生を採用する」という最初の出会いの部分にこそ、大きな壁があるように感じます。
まさにおっしゃる通りです。その「企業と高校生の最初の出会い」にこそ、根深い構造的な断絶があり、私たちはまずその課題解決から始めるべきだと考えました。
この「断絶」とは、具体的には、企業側は自社の本当の魅力や社風を伝えきれず、高校生側は世の中にどんな仕事があるのか、何を基準に選べばいいのかを知らない、という双方の“情報の非対称性”です。この状態で、ただ企業情報を並べただけの「プラットフォーム」を提供しても、生徒たちはその価値を十分に判断できません。
だからこそ私たちは、まず「教育」から入るのです。生徒たちに業界や仕事内容について学んでもらい、自己分析を通じて自分の価値観を理解してもらう。そうして、彼らが自らの意思で企業を“選ぶ力”を養って初めて、私たちの提供する企業情報が生きてくる。この順番こそが、断絶を解消する唯一の方法だと考え、課題解決の起点を、採用活動のさらに上流である「教育」の現場に置きました。
具体的には、高校の授業に講師として入り、「就職活動そのもの」をゼロから教える教育支援から始めます。情報収集に慣れていない高校生も多いため、こちらから機会を提供しに出向くのです。
社会の仕組みや仕事の多様性を伝えた上で、私たちが制作した企業情報誌『高チャレ』などを通じて、彼らが初めて「自らの意思で」企業を選ぶ体験を創出します。
――その体験を創出する上で、「高チャレ」はどのような役割を果たすのでしょうか。
『高チャレ』は、Webサイトと、学校で配布する冊子の両輪で展開する高卒採用支援サービスです。まず私たちがクライアント企業様を丁寧に取材し、仕事の魅力や社風がリアルに伝わる詳細な紹介ページをWeb上に制作します。そして、その紹介ページに繋がるQRコードを掲載した冊子を、私たちが関係を築いた高校の生徒たちに直接届けます。
これにより、高校生は従来の紙の求人票では決して伝わらない企業の“生の情報”に触れることができ、興味を持った企業へ自発的にアクセスできる。この仕組みこそが、彼らが“自らの意思”で企業を選ぶための第一歩となるのです。
さらに、クライアント企業様には合同企業説明会やガイダンスなどで実際に学校を訪問し、生徒と直接対話する機会も設けています。これは、採用のミスマッチを防ぐ上で非常に大きなメリットだと、多くのクライアント様にも喜んでいただいていますね。
[引用:高チャレサービス資料抜粋]
――非常に手厚いアプローチですね。だからこそ、他社が簡単に真似できるものではないように感じます。その強さの秘密はどこにあるのでしょうか。
おっしゃる通り、このビジネスモデルの強さは、創業以来の地道な活動によって築かれた3つの競争優位性があります。
一つは、「学校現場との信頼関係」です。教育現場に民間企業が参入することは極めて難しく、私たちは本気で生徒の未来を考えるパートナーとして認めてもらうことで、この関係性を築いてきました。それは単に訪問回数を重ねるだけでなく、各校の教育方針を深く理解し、先生方の負担を軽減する視点で寄り添い続けて初めて得られるものです。
二つ目は「ビジネスモデルの複雑性」。企業と学校、双方への価値提供を両輪で回すには、高度なノウハウが不可欠です。
そして三つ目が、圧倒的な「シェア」。すでに関東圏の多くの高校に私たちのサービスが導入いただいています。
この「信頼」「ノウハウ」「シェア」は一朝一夕には築けないため、他社が容易に追随できない独自のポジションを確立できていると自負しています。一見、遠回りに見える現場への介入こそが、私たちの活動の根幹であり、これからも大切にしていきたい姿勢ですね。
学歴フィルターのない社会へ。採用の先に見据えるミライズのビジョン
――強固なビジネスモデルですね。最後に、この事業を通して、畑中さん自身、そしてミライズ社が実現したい未来についてお聞かせください。
はい。私たちにとって『高チャレ』は、あくまでミッションを実現するための手段です。そのミッションとは、「学歴フィルターをはじめとする、世の中の固定観念をなくすこと」
高卒だから、という理由だけで個人の可能性に蓋がされ、企業は才能に出会う機会を失う。これは、個人の人生にとっても、企業の成長にとっても、そして社会全体にとっても、あまりにも大きな損失です。一人ひとりが持つ本来の価値や可能性に目を向けることなく、画一的な物差しで判断してしまうことは、未来の選択肢を狭めることに他なりません。
だからこそ私たちは、誰もが経歴や肩書ではなく“一人の人間”として正当に評価され、挑戦できる社会を本気で作りたい。この純粋な想いが、私たちの事業のすべての根幹にあるのです。
私たちの役割は、企業と高校生の双方に、これまで見えていなかった「新しい選択肢」を提示することです。実際に、これまで出会えなかった人材の採用に成功した企業や、地元で知らなかった企業への就職を叶えた高校生が、『高チャレ』というサービスから数多く生まれています。一つでも多くの新しい可能性を社会に創出していくことが、ミライズの仕事だと考えています。
――この記事を読んでいる求職者の方々へもメッセージをお願いします。
ミライズは、「社会の“当たり前”を疑い、あるべき姿を追求する」という情熱を持った人間の集まりです。もしあなたが、今の社会や採用のあり方に何らかの違和感や課題意識を感じているのであれば、私たちと深く共鳴できる部分があるはずです。
私たちのビジョンに共感し、採用という領域から社会の構造改革に本気で挑戦したいと思っていただけたなら、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう。ご応募お待ちしております。