モノづくりとデジタルを融合させた、新しいビジネスモデルの創出を目指すシャープ。そのカギを握るのは、全社システムのDX化と完全内製化を進めるＩＴソリューション推進部です。今回ご紹介するのは、シャープが次々と生み出す商品やサービスを世の中に広める“営業部門”のIT革新に挑む『システム推進グループ』。部長の金月さんにその取り組みやビジョンなどを聞きました。

営業本部出身という異色のリーダーが率いる、ITシステム推進グループとは

私が入社したのは、バブル真っ只中の平成元年です。当時のシャープはまだまだ成長期にあり、「液晶ビューカム」や「ザウルス」など画期的な商品を次々と世に出す直前。“夜明け前”のようなワクワク感がありました。就職活動で会社訪問をした際に、「この会社でならば自分の可能性が広がりそうだ」と感じたことを覚えています。

配属は、販売会社を管理する部署でした。入社から8年間、金沢～富山～青森と営業部門の地区本部に在籍し、主に債権管理業務を担当。つまり私の主戦場は「営業の現場」だったのです。IT部門のリーダーとしては異色の経歴と言えるでしょうね。

ITとの関わりは、「営業本部」へ異動になってからのことです。ここでシャープの“営業改革”に取り組むこととなり、改革のツールとして“IT”を活用したわけです。たとえば、直営ECサイトの立ち上げや電子書籍事業の発足など、新たな業務開拓を進めていきました。

その後、組織が再編成される中で、営業のIT部門が本社直轄の「ITソリューション推進部」に統合され、今の「システム推進グループ」になったという流れです。

システム推進では、国内販売のみならずアフターサービスや債権管理、プロモーションまで幅広い分野を担当。それぞれの業務でどんなシステムが必要なのかを考える、ITライフサイクルの上流工程を中心に手掛けています。今後はグループ内で開発まで完結できることが目標であり、現在内製化に取り組んでいるところです。

メインフレームからの脱却が完了。いよいよ“攻めのIT”へ！

営業改革のカギは、業務のDX化です。これは営業部門に限らずシャープ全社が取り組むべき課題。ITソリューション推進部が数年前から全力で挑んでいることです。

その実現に向けて私たちシステム推進がまず取り組んだのが、“メインフレームからの脱却”でした。古くなったメインフレームのオープン化やSAPへの移行に、7年という歳月を掛けて取り組んできたのです。この一大プロジェクトが2024年夏にようやく完了。モダナイゼーションを終え、「ようやく最新技術を自由に使えるようになった」という状況です。

改革の第二段階へ進むにあたり、次に挑むべきは「抜本的な業務改革」だと考えています。“従来のやり方の延長線上”で業務システムを入れ替えても、意味がない。そうではなく、「全く新しいやり方（プロセス）に置き換える」という取組みを、今進めているところです。

たとえばペーパーレスの仕組みを作る際は、“請求業務のオペレーション”自体を丸ごと変更。自分たちでつくった基盤をフル活用し、仕入先や販売先、業務委託先などに対するドキュメントも全てWEB上に掲載し、取引をオンラインで完結できるようにしました。

営業の現場では、他にもまだまだ古いやり方が続いているのが現状。その一つ一つをITで刷新することが私たちのミッションですから、これからはどんどん“攻め”の姿勢で取り組んでいきます。今は要件定義など上流工程がメインですが、グループ内の開発部隊を強化するなど内製化にも力を入れていきたいですね。

自分たちで考えたものを、自分たちでカタチにできる面白さ

海外拠点やグループ企業も含めた“全社システム”の完全内製化を目指すシャープ。この規模の企業で、外部に頼らず「自社で企画し、自社で設計したシステムを、自社で使う」という例は他にないように思います。言い換えれば、エンジニアがここまで主体的に動ける環境は、そうはない。事業会社のITエンジニアでなければ味わえない醍醐味でしょう。

しかも私たちは、IT部門の中でも“より現場に近いエンジニア集団”！営業現場の中でシステムをつくっているといってもいいほど、ユーザーに近いことが特徴です。

というのも、私たちが拠点を置く「シャープ八尾事業所」には販売会社の本社があり、非常にリレーションが取りやすい環境なんです。業務の課題をリアルタイムでより具体的に把握できるほか、新たなシステムを導入する際も万全の協力体制が得られます。現場がわかるから、本当に必要なシステムをつくることができる。これはエンジニアのやりがいにつながっていると思いますね。

大切なのは“目利き”！コンサルティングができるエンジニアを育成

現場が近いだけに、「こんなシステムが欲しい」という要望も多く寄せられます。ここで必要となるのが、本当に必要なものなのかを見極める“目”です。費用対効果や開発の優先順位など、目利きができるポジションで仕事をすることが、非常に大切。私たちは事業会社のIT部門なので、メンバーには「会社の利益を考えた上でコンサルティングができるエンジニアになろう」と、常々話しているんです。

そのために、現場を知ることはものすごく重要なこと。ですから、今私は若いメンバーをいろんな場所に連れ出すようにしていますね。

私自身は営業現場出身なので、そのことを強みにしていますが、エンジニアとして入社した若手には未知な部分も多々あります。いろんな場面を直接目にすることで、今現場で何が起こっているのかが理解できるはず。すると、「こう変えないといけない」という気づきが生まれ、自ら行動できるようになると思うのです。私にとって若手を育てることは、最重要課題だと思っています。

今必要なのは、改革マインドをもつ経験者。一緒に新しい景色を見たい

 シャープのITエンジニアはとても若く、全体の5割が20代です。システム推進グループも、20代30代が圧倒的に多くて、その上は50代。若手がのびのびと活躍してくれていますが、逆に言うと“チームを動かすリーダー的ポジション”がすっぽりと空いているような状態です。

だからこそ、ある程度経験ある方は面白い仕事ができると思いますよ。シャープのIT部門が、「DX化」や「内製化」という一大プロジェクトに挑んでいる中で、存在感大きく活躍することができますから。

特にキャリア採用で迎える方には、自分たちが気付いたことやキャッチした情報をもとに“どう改革すべきか”を考えてまとめ、積極的に動いていただきたい。もちろん簡単なことではないけれど、改革の先頭に立って従来のプロセスを変えていく仕事は、ものすごくやりがいがあり、面白いはずです。

求めているのは、上流工程のプロジェクトリーダーを任せられる方と、開発・内製化を主導していただける方。後者の場合は、まずは外部パートナーと組みつつ、徐々に内製化を拡大してほしいと考えています。いずれにしても、「新しい仕組みを生み出して、シャープを変えたい！」という改革マインドがある方をお迎えしたいですね。大いに期待しています！

 シャープだからこそできた経験の数々。ここは、自分の可能性が広がる場所

 20代の若い頃から営業改革に深く関わってきたことは、私にとって大きな財産だと思っています。年齢や社歴に関係なく、一人ひとりの意見や意欲が尊重される風土はシャープならではの良さ。いろんなことを企画しながら主体的に動き、営業現場を変えていく面白さを、私自身が体感してきました。

大きな組織の中では“仕事の領域”ってある程度限定されるように思うのですが、この会社にはそうした“決められた枠”がありません。チャンスの匂いがするところに自由に飛び込めるのです。つまり、やりたいことに挑みながら経験の幅を大きく広げられる。シャープは、自分の可能性が大きく広がる場所だと思いますね。もしも他社に就職していたなら、私はここまで多くの経験はきっとできなかったでしょう。

もちろん、これからも挑戦は続いていきます。“目利き”ができる若きエンジニアたちを育てて、ＩＴの力で営業部門のDX化を強力に推し進めていきたい。そこにぜひ、これまでの経験を活かしていただきたいですね。

システム推進グループの魅力は、なんといっても“営業現場に近い”こと。営業のミッションは、新しいサービスや新しい商品を世の中に創出していくことですから、一緒に挑める仕事は面白いですよ！

※記事内の部門名、役職名、内容はインタビュー当時ならびに掲載当時のものです。

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