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教室で肩を並べて授業を受ける意味とは。教育に向き合う研究者として働く。

こんにちは!今回はスクールタクトを活用した協働学習を進めていくための調査・研究を行っている教育総研メンバーについてご紹介します。

スクールタクトの根幹を担っているチームで研究員として働いている関について、現在の業務内容やこれまでの経験・今後の思いなどをインタビュー形式でお伝えします。


「スクールタクトとの出会いは何だったんですか?」

2018年に所属先の研究室に代表の後藤がやってきたことがきっかけです。当時は、今ほどICT教育が注目されていなかったので、GIGAスクール構想も出てきておらず、かつ学校現場にICT端末の普及も進んでいませんでした。私自身もそこまでICT教育に興味があるわけではありませんでした。しかし、研究室での発表会で後藤のビジョンに触れる機会があり、ICTを用いた協働学習への大きな可能性を感じました。

特にスクールタクトの機能である回答一覧画面を提示し、先生の進行に役立つ機能やワードクラウドを利用し分析を行うことで、より授業を良くできるという発想に惹かれました。また、学生時代に一方方向授業が退屈だなと感じていた時期もあり、30人くらいの人が集まっているにもかかわらず肩を並べているだけの授業の意味とはなんだろうと思っていました。このもやもやをなんとかしたいと考えていましたが、その疑問への一つの答えとしてスクールタクトがあるのではないかと感じるようになりました。

このような経緯で後藤が考える協働学習への思いに共感し、コードタクトへ入社することになりました。後藤とは同じ理系出身という共通点もあり親近感があったことも理由の一つです。

入社してから感じることは、社風がとても魅力的ということです。リモートワーク中心の働き方であるためオンラインでの交流が大半なのにもかかわらず、メンバー同士が協力的でお互いに受け入れ合う風土、Slackを使ったフランクな交流など、事務的な仕事をこなすだけでなく、よりよく協働していく後藤の思いが会社作りにも表れていると感じました。社長としての後藤は、周囲をうまく巻き込み、自分の思いを表現して関係を作っていくことがうまいなと感じます。イメージとしては、横に立って伴走してくれている感じですね。


「教育総研チームでは、どんなお仕事をしてるんですか?」

チームとして活動している業務は、大きく分けて2つあります。1つ目は、スクールタクトの機能を拡張するために新しいサービス創出に向けた分析・研究を行うことです。2つ目は、スクールタクトを実際に導入している学校でのアンケート調査やテキストの分析を行うことです。最近では、活動を通じて学習への取り組みがどのように変化したか、生徒全体と個別で気になる生徒、それぞれに焦点を当てて調査しています。協力的な学校があるおかげでリアルな現場の状況や結果をいただき、調査・分析ができているのでとても感謝しています。


「関さんはどんなお仕事をされているんですか?」

最近では、共同閲覧モードを用いた生徒の振り返り活動の調査を他のメンバーと協力しながら行っています。スクールタクトの機能の中に共同閲覧モードというものがあり、生徒同士がどのようなことを書いているのかをお互い自由に見あうことができます。これによって、お互いにコミュニケーションを取りながらコメントをし合い、学びを深めていくことが期待されます。

振り返り活動は学校教育でよく行われる一方で個人作業になりがちなので、飽きてしまう生徒や振り返り内容が単調になってしまう生徒もいるかと思います。そこで振り返りを書いた後に共同閲覧モードを使って互いの振り返りを読み合うことで、他の生徒に触発されて学び方やモチベーションが向上したり、振り返り内容が改善したりといくのではないかと予想しました。予想した内容を実証するために、スクールタクトを使ってくださっている学校に協力していただき、振り返り内容のテキスト分析やアンケート調査を実施させてもらっています。



「一人ひとりの学習ログから分析を行っているんですね」

そうですね。上記の調査でのアンケートとして具体的には、動機づけや勉強方法などを調べています。成果としては例えば、先生が見落としてしまうような勉強への動機づけが低い生徒の発見があります。小学校低学年だとやる気のない児童は机に伏せるなどと態度でわかることが多いのに比べ、中高生だと表面的にはわからないこともあります。分析からわかることを先生に知ってもらった上で、振り返り活動を行う際の気を付けたほうが良い児童生徒をお伝えしています。

また調査・分析を行うことによって、先生の経験だけに頼るのではなく、分析データという根拠をもとにして授業ができることにつながります。具体的には教員としての経験の多少を問わず、児童生徒がどのような学習スタイルや意欲の度合いで授業を受けているのか、などを客観的にみることが可能になります。

また「こういう実践をすると児童生徒はこうなりました」というエビデンスを残すことで、先生たちが「自分のクラスも似たような状態だから同じ施策を試してみよう!」といったように、授業実施や学級経営上のヒントを提示することにつながり、自分のクラスによりマッチする効果的な実践を見つける手助けになればと考えています。


「そうですよね。教育に興味を持ったきっかけは何かあったんですか?」

もともとは理工系の勉強をしていたのですが、勉強をしていく中で理工系の勉強が合っていないと感じていました。あらためて“何がやりたいか”と考えた時に、教えることが好きだったこと、また、自分の進路で迷ったこともあり、教育のミスマッチを減らしたいと思いはじめました。そこで、教育学や心理学に興味を持つようになりました。教育・心理について学んでいこうと思った当初は、学校の先生になるということも考えていましたが、ある大学の先生との出会いにより変化していきました。その先生は、「学級内の児童生徒が自分のクラスに満足しているか、あるいは意欲はどうか」という調査をしており、その先生の活動を見て1人の学校の先生として教育に関わるのではなく、分析や研究を行っていくことで教育に関わっていくこともできるんだということを知りました。学校の先生1人だけではうまく回らないことを、研究を行うことで先生たちのサポートができるのではないかということに意識が向くようになりました。

ただ、はじめは教員志望が強かったので公立小中学校でボランティアやインターンシップを行い、先生の手伝いをしていたこともありました。子どもと関わることは素直に楽しかったですが、学校の先生として自分の力を最大限発揮できるよう努力するのか、それとも分析や研究で先生をサポートしていくのか、どちらが自分に向いているのかを考えさせる機会もあり、いろいろ考えた結果自分に向いているのは後者だと思い、今に至ります。


「今行っている分析や調査は、大変ですか?」

とても楽しいですよ。表面上からはわからないことが、調査・分析を行っていく作業の中で数値からわかっていくところが面白いことですね。また研究を行うのに、どんなことを調べるかは研究者に任せられるため、自分なりに問題点や疑問点を探し出していく作業もおもしろいです。

大変な点を挙げるとすれば、いろんな先生・授業の研究をしていく必要があるということです。先生方には、実践を行わせてもらう中で授業に役立つ材料を提供し、授業作りのヒントになるような情報を提供できればと思っています。「こういう児童生徒にはこういう実践がマッチしています」といったようなことが言えると、スクールタクトの利活用につなげていけるのではないかと思っています。ただし当たり前のことではありますが、スクールタクトのログ・アンケートの回答だけではわからないこともあります。例えば、実際に授業を受けている時の表情やその人が行っているルーチンなどの情報はどうしても調査だけでは全てを把握できません。もしかすると、そのように欠落した情報の中に重要なものが隠れているかもしれないということは、常に気にしています。コロナが落ち着いたら、実際にスクールタクトを授業で使用している場面を見た上で、より具体的な情報提供ができたらいいなと思います。

「現場目線を大事にされているんですね。関さんが思う課題は何かありますか?」

私が行っていることは、中長期的には意義のあることかもしれませんが、すぐに売上に直結するわけではなく、成果が見えづらいです。また、調査を行うだけでは必ずしも生徒の成績が上がったり、クラスの雰囲気が良くなったりするわけではないため、辛抱強くこの研究をやり続けることが必要になってきます。私たちが分析した結果をもとに、先生方がより良い方向に動いてくれて初めて授業やクラスが変わります。より楽しくかつ学習に実りがあることを願って研究し続けていきたいと思っています。

実証校で研究をさせてもらうにも、調査自体のメリットがないと続けることができません。コードタクトにとってのメリット・学校にとってのメリット、これらを調査を通して還元できることが必要になります。そのため、今の教育に対して真摯に向き合ってくれ、かつコードタクトの研究に理解がある先生がいないと成り立ちません。研究をさせてもらっている環境がとても有難いですし、我々がやっていることに共感し機会をいただけるからこそ、この結果を活かせてもらっていると感じます。



「今後挑戦していきたいことはありますか?」

今後については、調査研究した結果をただ提示するだけではなく、先生たちが自分の学級にあったものを手探りではなくマッチしたものを的確に選べるような仕組みを作っていけたらいいなと思います。現場で活用してもらえるような研究をしていきたいですね。

これまでの教育心理学でどんなことがテーマになってきたのかということを調べることはおもしろいですが、研究のための研究になってしまっていることも多く、「研究を蓄積すると学校にとってどう良いことがあるのか」がわかりづらいこともあります。そうではなく、コードタクト・学校・研究・行政がうまく協働できる取り組みができたらいいなという思いがあります。

今コードタクトでできていることは、自分にとってマッチしていると思います。もちろんキャリア選択を行ってきた中で、後悔していることやあの時こうしていたら……と考えることもあります。ただ、自分が選択して良いと思える努力はしてきていると思っているので、その結果今コードタクトで働いていることは自分にとって良かったなと思います。これまでは、「なるべく横道にそれないで最適な選択を常に選び続けること」が良いと思っていましたが、それよりかは「選んだ選択に対してどう自分を納得させていくか、感情を変化させていくか」という考え方もあるなと思っています。そういう考え方を自分で選択していく力も、協働学習を通して学んでいくんだろうなと思います。


「最後にこのメッセージを読んでくれた方にメッセージをお願いします!」

スキルや専門性をもっている研究者や院生が埋もれているのではないかと思います。私自身はそこまでスキルや専門性に長けている訳ではないのですが、偶然にも後藤さんと出会い、コードタクトで研究をしながら働くことができていますが、他の会社をみると研究者と企業がうまくマッチングできていないと感じます。例えば、アメリカだと博士号を取得することでうまく雇用に着ける仕組みが整っています。日本は、このような仕組みが社会にあまり浸透しておらず、ミスマッチがあることで研究者と企業が損をしていると思われるのがとてももったいないですね。研究者と企業がwin-winになる仕組みがあれば、日本企業ももっと発展していくのかと思います。

私のように研究者として働き、研究を大切にする土壌がある環境で働ける人がもっと増えてほしいですね。



コードタクトには、熱い想いをもっているメンバー、一緒に働く仲間を大切にしているメンバー、ユニークなメンバーがたくさんいます!

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