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「全員でSaaSをやり切る」と、新事業責任者が意思決定をした想い

サブコンや空調設備、外構/エクステリア等の専門工事を業務として手がける顧客を担当する事業本部の新執行役員に就任した長屋と本部長に就任した貫。「全員でSaaSをやりきる」を事業本部のテーマに据えました。また、「戦略から組織をつくるのが定石だが、今の組織メンバーのスキルやキャリア形成の観点からも組織組成を目指したい」とのことです。その真意やどのような取り組みで目指すのか、部署の現在地やこれからの戦略についてインタビューしました。

長屋 悠史 執行役員 写真左

2013年にwebマーケ支援・webコンサルティング会社に新卒として入社。法人営業、代理店営業、webマーケ、webコンサルティングに7年間従事した後、2020年4月にANDPADに入社。営業、お客様へのサポート、組織マネジメントを経験し2022年より設備工事領域の事業責任者として営業統括、新サービスの共同開発、現場へのオンボードを担当。2023年執行役員就任。 

貫 翔太 本部長 写真右

エリアNo.1のリフォーム会社で営業職と現場管理を経験。その後、株式会社リクルートにて新規エリアの開拓から大手法人営業を経験し、2020年9月にアンドパッドに入社。ハウジング領域を経て、現在は専門工事領域の事業責任者を担当。2023年本部長就任。

まだまだ泥臭いアクションが必要なフェーズ

━まずは事業領域について、部署のこれまでの経緯や主なクライアントの業態について教えてもらえますか。
長屋:専門工事領域の事業部では、電気、空調設備、塗装、外構といった専門的な工事を主に手がけていらっしゃる業態やサブコンのお客さまを中心に事業を展開しています。わかりやすく説明すると建設業の中でも、住宅領域とゼネコン領域を除いた業種・業態の皆さまを対象に事業展開しています。

━業態だけでみると幅広いですね。
長屋:そうです。住宅領域の成長可能性を見込んで事業及び部門の立ち上げをゼネコン領域と同様に2021年頃から着手し、全方位で業界・顧客課題の解像度を上げながら、領域を整理し現在に至ります。

━立ち上げ期はどうでしたか。
長屋:お客さまへの提案・展開はしているものの、受注率も低ければ、チャーンも高かった。加えて既にご利用いただいている電気関連や管工事関連のお客さまも、なぜANDPADをご利用いただいているか説明できない状況で、どう戦っていくべきかが見えていませんでした。

━どのような背景があったのでしょうか。
長屋:大きく二つあります。一つはプロダクト。当時は圧倒的にシェアを持っている同業他社の製品と比較して、プロダクトの機能が追いついていない状況でした。もう一つはスタンスの観点で、ファンクライアントを探してしまっていたことです。新しい事業領域にマーケットをおいたのにも関わらず、ファンクライアントを見つけにいっても、当然いるわけがない。見つけるではなく、明確に意思を持ってファンクライアントを作りにいかなければならないと気付き、2022年秋ごろから戦況が変わってきました。

━なるほど。
長屋:プロダクトの機能不足については、お客さまの事業サクセスのためにも運用でカバーをする社内体制に切り替え「ご要望の機能をリリースしますので、ご利用をお願いいたします」「機能面で足りてない部分は、○○の運用でカバーいたします」と粘り強くお客さまとコミュニケーションを続けていました。

━運用を伴走しながらファンクライアントを作りにいくスタンスだったのですね。ではそのフェーズを乗り越えて、現在はグロースをかけていくぞという状況ですか。
長屋:サブコンのお客様に対しての事業展開においては、その兆しがはっきり見えてきたと思っています。もちろん必要なプロダクトの機能を開発しながら使っていただける顧客を増やし、アンドパッドのグロースの柱にもしていきたいと思っています。

━専門工事領域ではいかがでしょうか。
:専門工事の領域は、サブコン領域よりも工事のバリエーションが多く、まだお客さまのフィードバックを全身全霊で受けとめ、課題解決につながる機能開発に鋭意取り組んでいる状況です。目の前のお客さまに向き合い、成功につながる運用の型を探っています。これはカスタマーサクセス(以下CS)担当だけではなく、インサイドセールス(以下IS)もフィールドセールス(以下FS)も同じです。昨年からの取り組みでサクセスへの意識やアクションの精度は向上し、根付きつつはありますが、まだまだやりきれていないと感じますから、改善が必要ですね。

━特にどのあたりに改善の余地を感じますか。
:これもスタンスになってしまうのですが、明確な勝ち筋があってそれを模倣してやっていけばよい、と何らかの正解や方程式を求めすぎている傾向が少し部内にあります。

長屋:現在は、お客さまとコミュニケーションをとり業務フローを確認しながら、個別の対応も求められますし、熱意で運用をカバーするところも求められるフェーズです。そこはマニュアルを用意しても汎用性が少ないですし、まだ仕組化できないところです。

:まだ0→1の状況に近い事業フェーズでもあり、実態はとても泥臭い作業の連続です。

━泥臭い作業というのは。
長屋:例えば、一次情報を掴みにいくことです。現場の理解が足りてないのであれば、現場に確認しにいく、業務フローをより理解したいのであれば、お客さまにお願いして実際にその作業をやらせてもらい体験する、などです。既にできているメンバーからすると、泥臭いと思っていないかもしれませんが、泥臭いことをいとわず素直にできるマインドが必要だと感じています。その一つひとつの積み重ねから事業展開の兆しが見えてくるわけですから。

:つい営業活動におけるテクニックやフレームワークに当てはめて考えがちではありますが、アンドパッドの場合、まずは現場とプロダクトを理解する、目の前のお客さまをとことん知るなどのアクションをとり、解像度をあげるに尽きますね。その繰り返しの結果、テクニックやフレームワークを自然と会得できると思います。新規事業の部署のため事業を作っていけるというプラス面ばかりのイメージを持つかもしれませんが、テクニックを学ぶ場所ではなく、泥臭い作業を当たり前にやっている部署でありたいと思っています。

━そこまでやりきらなければならないのはなぜでしょうか。
長屋:建設業界へバーティカルSaaSを展開しているからこその使命感ですね。お客さまがもつ表層的なニーズだけではなく、私たちは業界を変えていける本質的な課題解決につながる価値を120点のサービスとして提供しなければならないと考えているからです。

様々なアクションから見えてくる解像度とは

━顧客理解の必要性は理解しつつも、どこまでニーズに応対して追求すべきなのか悩ましい点もあるのではないでしょうか。
長屋:そうですね。営業の観点から、目の前のお客さまの要望に応えたいと思うのは当然の心理でもありますので、どこまで対応するのか線引きが難しいのは理解できます。しかしながら、個社ごとのニーズを全て対応していくというわけではありません。今回、組織変更を行った背景にも関係してくるのですが、似通ったニーズを業態でとりまとめて効率化し、社内の開発リソースとビジネスとしてのバランスを考慮しながら、業界にとって何が一番底上げに繋がるのかという視点をもち、優先的に取り組んでいきたいと思っています。

━「俯瞰」と「足元」の観点で解像度をあげていくイメージですか。
長屋:そうですね。俯瞰してみていくためには、足元の解像度を上げ続けなければなりません。解像度も、業界の知見や業務フローの視点、自社プロダクトの視点、お客さまの利用シーンやユーザーの心理状況など3軸での理解が必要ですね。

━業界やプロダクトは理解できますが、ユーザーの心理状況までですか。
長屋:例えば、サブコンのお客さまは、元請のゼネコンと職人さんたちの間に立って、業務を遂行しています。もしかすると業務フローにおいて、両者間でなんらかの板挟みの状態にあるかもしれない。と事前知識として知っていたら「○○で困ってまして」とお客さまから課題や要望がでてきたときに額面通りに受け取るのではなく、「どうして○○で困っているのか」「作業が大変なのか、業務前後の調整事項が大変なのか」と一歩踏み込んだコミュニケーションができます。すると、課題の背景や意図の真意が見えてきて、実際にプロダクトの利用シーンでどんな心理状況なのか想像が働くはず。そうして事象の深さ、広さ、構造などの観点から俯瞰して本質的な課題を発掘できるようになることが、解像度をあげることに繋がると思います。またその解像度を持っていれば、プロダクトにおける機能開発が実現されやすいでしょう。そこにはやはり泥臭さが必要になるというわけです。

:見方を変えれば、営業やサクセスメンバーもプロダクトの一部と捉えることもできますね。受注率や継続率などのKPIを改善していくためには、先ほどの3軸の解像度を上げて、本質的な課題を発掘しプロダクト開発に反映していかなけばなりません。そのプロダクトをお客さまに再度提案し、運用していくという循環でもあるからです。

━確かに。
:その積み重ねでできたプロダクト群だからこそ、自信を持ってお客さまに提案できますし、今後の事業成長の余地がまだまだあるといえますね。

組織力から戦略を導く

━なるほど。顧客の解像度をあげていくためのアプローチが理解できました。ここでプロダクト開発の話がでましたので、アンドパッドのプロダクト開発について聞かせてもらえますか。

長屋:アンドパッドのプロダクト開発は、「写真管理ツール」「検査ツール」といった建設業の各業務プロセスに対して充てるのではなく、プロジェクト全体のマネジメントを思想のベースに置きながらモノづくりをしているため、1ファンクションに留まらない点が非常に心強いですね。建設業の全面に対して解決していくんだ、という姿勢があるからだと思います。

:私もその意見には同意ですね。アンドパッドに3年ほど在籍していますが、その間にも様々なプロダクトリリースや機能改善がスピーディーに行われていますし、これまでのプロダクトの歴史を振り返っても、現場から上がってきた本質的な課題が反映されていると感じています。

長屋:抜群のプロダクトがあるとはいえ、会社の規模やITツールの浸透度などお客さまによって状況は様々ありますから、その会社ごとの状況に応じたフロントのメンバーの提案や運用によって、ANDPADの活用による業務パフォーマンスが左右されるのも事実です。70点なのか、100点なのか、120点なのか、メンバーによって提供できる価値に開きがでてしまうことは防がなければならないと思います。

━そうすると、組織体制やチームのあり方なども影響しそうです。いかがでしょうか。
:事業部のテーマにおいているのが「全員でSaaSをやり切る」です。SaaSのビジネスモデルに「The model」型の分業体制を取り入れている会社も多いかと思います。アンドパッドも現に分業体制をベースにしています。

━SaaSビジネスでは一般的ですよね。
:はい。ただ、お客さまからするとプロダクトを利用していく過程において、営業やサクセスなど分業は関係ありません。導入から運用までアンドパッドとお付き合いいただいているわけですから、職域間における業務連携は非常に大事だと考えています。ただ実際のところ部署間の連携や情報共有にまだまだ改善の余地があると感じている面もありますので、少し理想論になってはしまうのですが、インサイドセールスからサクセスまでを担う「一人ANDPAD」をやりきりたいと思っています。それを全員でやるというテーマを設けています。

━職域間の連携を強化する狙いですか。
:そうですね。例えば、ISがどんな仕事をやっていて、何を実現したいのか、ISの経験がないFSやCSには気持ちを想像しづらいところもあるでしょう。逆の立場でも同じ現象がおきるため、お互いに配慮やリスペクトがしづらい状況でもあります。お互いの理解が進めば、最終的なゴールや共通意識を全員で認識できますし、そのゴールに向かうためそれぞれの立場で何をしていく必要があるのか明確になるのでは、と思っているからです。

長屋:私も貫もその職域を一通りやった経験があるからこそ強く感じます。各職域が足元の目標を持っているため、その先にある最終的なゴールを意識しにくいのも理解できます。しかし、目の前のみを見てしまうと、分断してしまう。例えばオンボーディングで得た情報をCSSがISやFSに共有していけば、将来のチャーンの阻止やシェア拡大など事業部として目指すべきゴールに向かえるはずだからです。

:この仕組み化や組織の在り方などは、常に模索中ですね。例えば、ジョブローテーションを取り入れるのか、職域関係なく幅広いアクションがとれるようにシェア拡大やチャーン阻止といった目標の持たせ方なのか、検討中です。足元では、これまで新規・UPセル/Crossセル・チャーンをFS/IS/サクセス/CSが担当する部分をそれぞれ追いかけている要素が強かったですが、それを事業全体で共有して、どう推移しているか理解をしてもらうことから始めています。少しでも最終ゴールへの意識向上につながればとの想いです。

━チームやグループの目標を可視化して全体像を掴んでもらうわけですね。
:私も恥ずかしながらこの立場になって、目標やゴールの全体感を強く意識するようになりました。これまでは足元でこれだけの数の受注ができているのに、なぜ全体の達成に届いていないのかが見えていない状況もありました。だからこそ、お互いの理解や連携強化、全体感の理解も必須だと感じています。

━連携強化のための組織体制も大切ですね。別軸でお聞きしたいのが、組織体制の変更もあり、過渡期が想定されるため個々のメンバーがチャンスを得やすい環境かどうかについて。そのあたりはいかがでしょうか。
長屋:今回の体制変更で、ポストは複数発生しています。また、今後の事業成長にそってセクターとプロダクトの掛け合わせたポジションも将来予想されます。本人次第でチャンスを取りにいく、掴みにいける環境だと思います。

:加えて留意しなければならないのは、スタートアップだからチャンスを無数に与えられると思われるかもしれませんが、チャンスの量は全員に平等だと思っています。そこに気づけるかどうかではないかと思います。

━チャンスに気づき自ら掴みに行くのは前提条件としてありながらも、機会は多々ありそうですね。
:そうですね。社内で検討している体制の一つに、本来事業戦略を実行していくために組織戦略に落とし込むのが通例だと思いますが、考え方を変えて現状の組織から戦略を考えることにもチャレンジしたいと思っています。

━それはどういった背景から。
:当然、事業戦略から組織を描くのは大事だと思いますが、すぐ不足部分に目がいきがちでした。しかしながら、今いるメンバーの組織で実現できることは何か、と検討していくとメンバーの自由な配置やこれまで実現できなかった戦略が実行できそうなどと、発想がわいてきました。その経緯から、まずは組織をしっかり育てて、組織成長に沿った事業戦略を実行していくというアプローチも一つの手段として良いのではと思っています。新体制になったからこそ、抜擢人事などのケースも実現しやすいのではないかと思っています。

長屋:その組織成長のためにもメンバーの育成には向き合っていきたいと考えています。昔は経験不足でサポートできない部分もありましたが、様々な経験を積む過程で、苦しみや悩みにどう対応してきたのか伝えられることは増えてきているので、できる限りサポートしメンバーに目を向けていきたいと思っています。


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