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「やりたいことが分からない人」のキャリア開拓論(前編)

アディッシュHR企画部の松下です。

先日、地方や海外に住む学生のためのオンライン就活サービスを提供する『オンライン就活』のキャリアイベントに、アディッシュ取締役の杉之原が登壇しました!

就活をしている大学生を対象に、『「やりたいことが分からない人」のキャリア開拓論。アツいチャンスが巡ってくる人になるための意思決定のルール』と題してオンライン対談形式で行われました。

対談の内容を、2回に分けてお送りしたいと思います。

プロフィール

杉之原明子
アディッシュ株式会社 取締役
2008年に株式会社ガイアックス入社後、学校非公式サイト対策の「スクールガーディアン」事業の立ち上げ及び責任者を経て、2014年、アディッシュ株式会社取締役に就任。管理本部の立ち上げ及び上場準備の旗振りを担う。

管大輔(ファシリテーター)
株式会社ガイアックス 『オンライン就活』事業責任者
2013年に新卒入社。SNSマーケティングのコンサルタントとして従事した後、2015年に事業部長に就任。クラウドソーシングの活用、リモートワークの推進など働き方の多様化を積極的に進めた結果、2年間で離職率を40%から0%に、売上が5倍に成長。2019年にソリューション事業本部長に就任。
2020年に『オンライン就活』サービスを立ち上げ。学生に多様な生き方や働き方を伝える「オンラインキャリアセミナー」を毎日開催し、ファシリテーターを務めている。

 それでは、まず、自己紹介をお願いできますでしょうか。

杉之原 皆さん、こんばんは。ご紹介いただきましたアディッシュの杉之原と申します。アディッシュという社名を初めて聞いた方いらっしゃる方も多いと思います。

私自身は、2008年に、株式会社ガイアックスという、このオンライン就活セミナーを主催している会社にインターンとして入社しました。大学4年のときです。私は留年したので、大学4年と、それから大学5年の2年間、営業としてインターンをしました。大学5年のときは、卒論を書きながら、お客様からの電話対応をするみたいなかんじで、そんな大学生活の最後を送っていました。

インターンを経て、そのままガイアックスに新卒入社しまして、学校非公式対策サイトのスクールガーディアンという事業の立ち上げから責任者までを担っています。その後、スクールガーディアン事業を含めて、いくつかの事業を子会社化しましょうという流れがありまして、2014年にアディッシュ株式会社という会社を設立し、そのタイミングで取締役に就任しました。

アディッシュという会社は「つながりを常によろこびに」という企業理念を掲げていまして、インターネット上で人と人がつながるからこそ起きる課題を解決したいという思いでサービスを提供している会社です。具体的には、インターネットの書き込みのモニタリング事業、それを学校向けに展開しているのがスクールガーディアン事業、そしてソーシャルアプリのカスタマーサポート事業を展開したりと、基本的には会社さんの裏方を担ってる会社です。

私自身は、営業としてキャリアをスタートしていますが、会社を設立するタイミングで、事業をつくる側からコーポレート側にキャリアチェンジしました。また、弊社は、今年の3月にマザーズに上場したのですが、その上場準備の旗振りも2016年から4年間やってきました。

趣味は、旅行と読書。隙あらば海外旅行に行っています。今日はよろしくお願いします。

 ありがとうございます。ちなみに、アディッシュは、いま何人ぐらいですか?

杉之原 いまですね。グループ会社も含めて約700名が働いている会社です。国内に5拠点、それからフィリピンに海外子会社が1社あります。700人のうち約500名は、実際にインターネット上の書き込みをモニタリングしたり、お客様の問い合わせ対応をしたりという対応をしているメンバーです。

 そこで、杉之原さんはどんな役割を担っていますか?

杉之原 そうですね。2014年に会社を設立してから、会社の風土をどうするかとかといった、会社という船がどこに向かっていくかを議論しながら、代表がミッションを語る、私が設計をしていくという、そういう連携でやってきました。

男性と同じようにキャリアを築けるのだろうか

 ありがとうございます。そこに至るまでの話を今日は聞いていきたいなと思っております。まず、学生のときのお話を少し聞いてみたいんですけど、インターンのままガイアックスに入られたわけですが、他の会社に行こう、とかはなかったんですか?

杉之原 ありましたね。ずっと大企業に就職しなさいと親に言われていたので、全業界のトップ3を受け続けるという就職活動をしていました(笑)。そこで、「何がやりたいですか」と質問されて、心の中では、何でもできますみたいなかんじだったんですけど、当然上手く表現できず、片っ端から落ちていったっていう(笑)。上手くいかなかったですね。それが1回目の就職活動。

 1回目のですね。ガイアックスに入社したのは前向きな理由じゃなかったりするんですか?

杉之原 すごく前向きですね。ガイアックスを選んだのは2回目の就職活動のときなんですけど、そのときに大手の教育系の会社さんから内定を頂いたのと、ガイアックスから内定をもらったので、その二社をテーブルに並べて、どちらに就職しようか比較検討しました。

ガイアックスを選んだ理由はふたつあって、ひとつは、やっぱりインターンから関わっていた学校向けの新規事業スクールガーディアンの立ち上げがやっぱりすごい面白かったし、それから、一緒に働いていた女性リーダーに惚れちゃってたんですよね。 この人と一緒に働きたいなという思いがひとつ。

もうひとつは、内定を並べたときに「あれ、私ってそういえば女性だし、30代になったときに、男性と同じようにキャリアを築けるのかな」という疑問が湧いてきて。いつでもキャリアをリスタートしてもいいように、事業を立ち上げるところから責任を持つところまでを、とにかく20代のうちにやりたい。事業責任者を20代のうちにできる会社はどっちだろうという軸が、内定を並べたときにいきなり出てきて、それで、ガイアックスならチャンスがあるのではないかと思い就職しました。

いまやりたいことはあるけど、生涯でやりたいことは分からない

 今日のタイトルに『やりたいことがわからない人』とありますが、当時の杉之原さんはそういう意味ではやりたいことはあったんですか?

杉之原 管さんもそうだったかもしれないですけど、その頃のガイアックスの新卒選考の最終プレゼンで、「生涯でやりたい社会貢献は何ですか」みたいなお題がありましたよね(笑)。

 ありました。プレゼンしました(笑)。

杉之原 そのプレゼンで、「私にはありません」と言いました。「いまは分からないけど、それが分かったときに実現できる自分になりたいです」ということを話していて。もちろんインターンをやる中で、私がい掲げてるミッションはこれです、みたいな話は出来ていたけど、でもそれはすごい近視眼的ですよね。短期でのやりたいことは分かるけど、時間軸ががーって伸びた瞬間に、やりたいことが分からないという、そういうかんじですね。

 なるほど。僕もそれが結構自然なのかなって思う派なんですが、学生の悩みとしては、どの会社の面接でも「やりたいこと何?」って聞かれるわけじゃないですか。それ答えられないと、他のみんなは答えられてそうなのに、自分だけ答えられてないんじゃないかって不安になったりとかしていると思うのですが、そういう学生に伝えたいことはありますか?

杉之原 そうですね。まず、自分がどのパターンかを判断するのに、去年仕入れた言葉で「ビジョン型」と「価値観型」という言葉があります。ビジョン型は、自分の人生のテーマが決まっていて、だからこういう環境で修行していこうという、ブレイクダウンができている人。アディッシュの代表である江戸は、そういうタイプかなと思います。

一方で、やりたいことは分からないけど、いま自分が大切にしていることとか、いまワクワクしていることとか、いま置かれた環境で求められていることに応え続けることで、キャリアを築いていくタイプ。それを価値観型と呼ぶらしいんですけれども、日本人の多くは価値観型ということで。自分がどちらのタイプかを考えたときに、私は価値観型の人間であると。

そうすると、自分が大切にしていることは何で、こういうときに挑戦しているなっていう行動を振り返ることで、それを社会とリンクさせて話すことが出来るのではないかなと、いまは思っています。

 先ほど、日本人の多くが価値観型っておっしゃってましたけど、ビジョンがなくても別に悪いことじゃないというか、むしろそっちの方がスタンダードだったりするわけですよね?

杉之原 そうですね。ビジョンがないと言っても、日々の生活の中にはあるんですよね、みんな。こういう生活を送りたいなとか、これは大切なんだなとか、分かっているはず。一方、ビジョンの時間軸というか、それがこの問いの難しさを生んでるのかなと思いますね。

目の前のことを大切に、自分ごとの範囲を広げていく

 たしかに時間軸の意識って難しいですよね。なるほど。価値観型の人もいるという前提で、『キャリアの開拓論』というタイトルもつけたんですけれども、価値観型の人がどのようにキャリアを開拓していくのがいいのか、みたいなところを少し解説していただけますか?

杉之原 そうですね。やっぱり、置かれた環境で貢献したいとか、あとは成長したいという思いってあると思うんですけど、それをひとつひとつ大切にしていくことかなって思っていて。

私がインターンをしていたときにやっていた行動を振り返ると、上司の仕事は全部私が巻き取ってやるみたいな気持ちでした。とにかく上司の役に立ちたいという気持ちがあって、そうやって行動していると、いつの間にか、新しいプロジェクトの壁打ちにアサインされたり、上手くいっていない課題を相談されるようになる。これは一例ですけど、そうやって自分ごとの範囲を広げていく。じゃあ次はこのプロジェクト、次はこのチーム、次は事業部全体、次は会社全体みたいなかんじで、自分ごとの範囲を広げるチャンスとしてフィードバックされてくるな、というかんじはありますね。

 なるほど、なるほど。だから価値観型でもビジョン型でもやることは一緒で、やるときのマインドとかスタンスが違うだけってかんじなんですかね?

杉之原 どうなんですかね、ちょっとビジョン型ではないので比較が出来ないですけど。

 目の前のことでしっかり成果を出すと、次の機会がめぐってくるかんじですかね。

杉之原 そうですね。次の機会がめぐってきたときに、それまでの自分だと対応できないことが多くて、自己喪失に陥ったりとか、自分をアップデートしないとやってられない瞬間っていうのがあって。それと向き合うことで価値観型の人達は少しずつステージを変えていくかんじがあるのかなと思っています。

 自己喪失になるっていうのはどんな状態ですか?

杉之原 私は果たして役割を果たせているんだろうかとか、ああ、無力だなあとか。それまでの自分を信じられなくなる、そういう感覚ですね。

 それを価値観型の人は感じやすいってことなんですか?

杉之原 どうだろう。でも、そういう自分に直面してみて初めて「本当に自分がやりたいことって何だっけ?」と問い始める。そういう感覚がありますね。 それまでは、目の前のこととか、チームの楽しさということに貢献するというマインドで走ってくるんだけれども、自己喪失したタイミングで「自分の人生の軸って何だろう?」ってことを問い直すようなイメージがあります。

価値観型であることや、ビジョンがなくても別に悪いことじゃないという視点での経験談をお話していただけるのはとても参考になりますね!

私自身も、完全に価値観型のタイプだと認識していますので、「ビジョン型にならなければいけないのでは?」と駆られることもあります。しかし、価値観型には価値観型の良さと得意なことがあってこのスタイルで歩んできているので、自分自身の経験に自信をもって進んでいくことが大事だなと感じました。

↓↓ 後編はこちらです ↓↓

アツいチャンスが巡ってくる人になるための意思決定のルール(後編)
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※本記事は、主催者の承諾を得た上で、2020年6月20日の対談内容を編集したものです。

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