GROVE株式会社
GROVE株式会社は、TwitterやInstagram、YouTubeなどのソーシャルメディア上で活躍するインフルエンサーのプロダクションです。
https://grove.tokyo/
AnyMind Group(以下、AnyMind)は2020年1月8日のプレスリリースにおいて、株式会社スペースシャワーネットワーク(以下、SSNW)傘下のインフルエンサープロダクションであるGROVE株式会社(以下、GROVE)の子会社化に関する発表をいたしました。
前回はAnyMindとGROVEの両CEOによるクロストーク形式で、M&Aのウラ側にあるストーリーをお届けしました。
そこで、今回は元お笑い芸人から異色のキャリアを辿り、今回AnyMindに参画することになった、GROVE CEOの北島 惇起氏の過去から現在、そして未来への思いについて語っていただきました。
日本大学出身。2010年4月に株式会社テクノブラッドへ入社し、PCゲームの販路拡大及びイベントプロモーション業務に従事。2012年10月に株式会社ワタナベエンターテインメントとタレントマネジメント契約を結び、お笑い芸人として活動。2014年4月に3rdkind 株式会社に入社し、サービス・アプリ事業部の責任者として従事。2015年9月にGROVE株式会社へ入社し、2016年8月に同社取締役就任、2017年9月に同社代表取締役社長就任し、現在に至る。
― まずはGROVEという会社について簡単に教えてください。
GROVEは、約150組のインフルエンサーが所属するプロダクションであり、クライアントのためにインフルエンサーを活用したプロモーションを提供するマーケティング会社でもあります。
インフルエンサーとエンターテインメントを作る。
そして、そのエンターテインメントをコンテンツ化する。それを広告に活用していく。
そんな会社ですね!
― ありがとうございます。
ー そんなGROVEでCEOを務める北島さんですが、自身のキャリアとどんな経緯でGROVEにジョインしたのか、など改めてお伺いできますか?
もともと、僕は2010年に大学を卒業して、新卒社員としてオンラインゲームのプロモーションを行う会社に入ったんです。
そこでは、今も新シリーズが出続けている、某人気RPGや幅広い層に人気のモンスターハンティングゲームなどを担当して、ゲーム領域でずっと仕事をしていました。
その一方で、もともとエンタメ好きだったんですよね。特にお笑いが好きで。
そんな時、会社の同期に、たまたまお笑い好きなやつがいて、仕事が終わってから、こそこそネタ作りや漫才をしていたんですよね。
しかも、ライブなんかにネタ見せなどに行ったら、反応なんかも良かったりしたもんだから、勢いづいてお笑いにのめり込んでいってしまって。(笑)
そんな感じで、2011年の10月から芸人の道を歩むことになるわけです。
ちなみに一緒に入ろうとしていた相方は、「やっぱり辞めた!」と言って入学せず、僕はピン芸人になりました。(笑)
ー そんな経緯があったんですね。
会社員から転身した芸人生活はどうでしたか?
まずはワタナベコメディスクールというお笑い養成所に入りました。
卒業生でいうと、イモトアヤコさん、ハライチさん、サンシャイン池崎さん、あばれる君さんなどが先輩に当たりますね。
逆にブルゾンちえみちゃんやYouTuberとしても話題のフワちゃんなんかは後輩に当たります。
まだ、そこまで売れている同期はいないんですが、たまにテレビに出ている同期は.....お嬢様芸人の「たかまつなな」や2019年のおもしろ荘に出ていた「ゼスト」などがワタナベコメディスクール15期の同期ですね!(笑)
芸人生活はほんとにずっとネタを作ってライブにかけてお客さんの反応を見て修正してまた新しいネタの作って〜の繰り返しでした。
ー 芸人のイメージ像通りのプライベートだったんですね!
お仕事ととしての芸人の方はどうだったんでしょうか・・・?
プライベート面は本当にいろんな先輩方に可愛がってもらっていたので、そこは感謝しかないです。
仕事の方というと、実は同期の中では一番仕事があった方だったんですけど、それでも、最高月収は2万円・・・。
週に3回くらいはインディーズのお笑いライブに出ていたんですが、実は出演するのにお金かかるんですよね。
だいたい1つのライブ出演にエントリー費として2,000〜3,000円は払わないといけない。
もちろん、バイトも頑張ってやってたんですけど、それでもやっぱり借金はしてました。
収支でいうと、どうやってもマイナスになっちゃうんですよね。
しかも、風習みたいなもので、後輩にはメシを奢ったりしないといけなくて。。
もちろん、その分先輩にも奢ってもらってはいたんですけど、お金面は色々と苦労しましたね。
それでもやっぱりお笑い、エンターテインメントが好きだったんです。
ー お笑いをはじめとしたエンターテインメントに対する、北島さんのリスペクトは発言やスタンスの中からも強く感じられるのですが、やはり特別な思いがあるんですね。
エンターテインメントへのリスペクト、そこは間違いなく自分の根幹にありますね。
やっぱり趣味としても”エンターテインメント”に関わるものが好きで、ずっとヒップホップやブラックミュージックが好きでした。
ちなみに最近はチャイニーズヒップホップにハマってますね。
特に HIGHER BROTHERS というラップユニットが好きです。
少し前に、彼らが所属する88rising というクルーのアジア人ラッパーがアメリカのビルボードのヒップホップR&Bチャートで1位を獲ったんですけど、アジア人がブラックミュージックのチャートでトップになるって本当にすごいなと思っていて。
しかも、その88risingの代表のショーンミヤシロ氏って日系人なんですよ。
アジアとか世界で日本人が頑張ってるのを見るとすごいなと思うし、刺激を受けますね。
ー すごいですね。私もチェックしてみます!
ちなみにやっぱり今でもお笑いへの愛は強いですか?
今でも、暇があったらプライベートで個人的にお笑いライブは見に行きますね。
新宿・渋谷・下北沢などの小劇場に行くことが多いですね。
ちなみに僕が芸人をやってた時はよく中野で出てましたね。
なんだかんだ、お笑いはやっぱり大好きです。
というのも、人を笑わせることって本当に難しい。
エンターテインメントで人に喜・怒・哀・楽の感情を与える時に怒らせたり、悲しませたりすることに比べると笑わせるということは本当に難しい。
例えば、お笑いのネタって寿命が短い。
10回見たネタはどうしてもお客さんの中で鮮度が落ちてしまう。
そうやって考えると、歌の寿命とお笑いのネタの寿命は全然違う。
歌は何回聴いても良いと感じるものは多いけど、お笑いは見れば見るほど飽きられていく。
でも作るコストってどちらも本当に大変で。。
だから、芸人さんのネタって本当に尊いですよね。
なので YouTuber や動画クリエイターに関しても、クリエイティブで笑いを作れるのはすごいなと思います。
作り手はみんなすごいんですけどね。
ー そんなエンタメ愛、お笑い愛に溢れた北島さんが、なぜ芸人をやめようと思ったんですか?
3年半の芸人生活の中で、自分ひとりであれば充実した日々だったので、所帯を持つことになったのですが、きっぱりとビジネスサイドに行こうと思ったというのがシンプルかつ大きなきっかけですね。
ー なるほど、そこから次のキャリアはどう始めていったのでしょうか?
はい。
芸人時代から、ゲームのプロモーション業界にいた経験を生かして、ゲームアプリを運営する会社でアルバイトをさせてもらっていたんですが、そこに拾ってもらって正社員として雇用して頂きました。
当時は人も少なかったこともあり、新規事業責任者に抜擢してもらいました。
ー いきなり道が開けたんですね、すごい!
でも、そこからインフルエンサービジネスにはどう繋がったんでしょうか?
実は、まさにこの会社でインフルエンサーマーケティングと出会ったんですよね。
海外で人気のあるゲームアプリを日本で展開する事業が、その会社の主な業務領域だったのですが、僕が任された新規事業部は、自社オリジナルのサービスアプリの開発を行いグロースさせることがミッションでした。
自分で作った新しいアプリをどのようにPRすればいいのか、頭を悩ませた僕は、古巣であるワタナベエンターテインメント所属のタレントとコラボしてプロモーションができないかと考えました。
そこで早速、ワタナベエンターテインメントに相談をしに行ったんです。
しかしそこで言われたのは、
という言葉でした。
このことがきっかけで、僕は初めて「インフルエンサー」という存在を知ったんです。
で、その時に紹介してもらったのが、GROVEだったんです。
ー それがGROVEとの出会いだったんですね。そこからGROVEへはどのように入社を?
最初は案件相談をする側だったんですが、やりとりをするうちにGROVEの創業者である森田と意気投合。
「お前、営業うまそうだな!」
という森田のそんな一言から、GROVEの営業代行をするようになりました。
ー 外からではなく、GROVEに入って感じたことなどはありましたか?
営業代行なので、セールスやアカウント業務からのスタートだったんですが、入って一番驚いたのが、誰も知らない会社なのに、業界最大手の広告代理店から問い合わせが来ていた。
そしてそのクライアントが、誰もが知っている大手食品や大手飲料メーカーなどのナショナルクライアントだったことですね。
所属しているインフルエンサーが人気であればあるほど、事務所規模に関わらず仕事が来る。
というのは大きな驚きでした。
今になって考えると早いタイミングから大きなビジネスに触れられたのは、本当に良い経験だったと思いますね。
ー その当時からGROVEには良いインフルエンサーが所属していたんですか?
今でもYouTuberとして所属していますが、当時はVineで活躍していた「大関れいか」なんかは非常に人気が高く、長いことGROVEと一緒に活動してくれていることには本当に感謝しています。
他にもGROVEには新しいジャンルのインフルエンサーがその頃からいました。
ー それがGROVEとの出会いだったんですね。そこからGROVEへはどのように入社を?
ちょっとづつ結果が出るようになり、僕自身も取締役になりました。そしてまずは採用を強化しました。
そこで1発目に入ってくれたのが、現在もCOOを務めている幸野です。
彼が強いビジネスマインドを持っていたので、徐々に会社っぽくなっていきましたね。
こんな僕と二人三脚で経営してきてくれて、彼には本当に感謝してます。
そこから一人また一人と、人が増えていったという流れです。
ー とはいえ、創業社長がいる中、どのような流れで北島さんがCEOになったんですか?
その当時の僕の立ち位置はCOO的な感じで、実務の執行統括を行なっていました。
後にSSNWとの資本業務提携をすることになるんですが、本格的にスピードを上げて事業を加速させるためにエクイティ・ファイナンスを行うことにしました。
当時社長の森田はテレビ制作会社を中心にその他複数の会社経営していたので、GROVEに対するコミットがなかなか出来ない状況だったため、森田や他のボードメンバーと相談し、森田には株主に回ってもらって、代表取締役社長を北島が行うという会社としての判断になり、僕がCEOになったんです。
ー 芸人の道からCEOまでのストーリーありがとうございます。やはり激動の人生ですよね(笑)
ー 次は改めて、GROVEという会社についてお伺いさせてください。
インフルエンサー関連の企業はかなり乱立していると思うんですが、GROVEの強みや独自性はどこにあるんでしょうか?
確かに今、日本にはたくさんのインフルエンサープロダクションやキャスティングの会社がありますよね。
浮かんでは消えていくこの業界の中で、自分たちが生き残っているのは理由があると思っています。
まず一つ、僕らの場合はクリエイティブチームの体制が大きく他社と違います。
セールス、バックオフィス、クリエイターマネジメントなど、いろんなメンバーが働く50名弱の中で、実はクリエイティブチームが人数の比率として最も多いんですよね。
つまり、他の会社と比べた時に、オリジナルコンテンツの制作やタイアップ・コラボなどの体制が非常に強いです。
企業さまとのタイアップ案件としてYouTube動画を作成する場合、クリエイティブチームがクリエイターと一緒に企画・制作・編集に携わるので、納期の管理や動画の修正などに迅速に対応できます。
まだまだYoutuber・インフルエンサーマーケティングに不安を感じる企業さまが多い中、このような体制を敷くことで、より安心して発注を頂けています。
また、これも特殊な点かと思うんですが、”元々クリエイター側にいた人間が多い”というのは大きな特徴ですね。
クリエイティブチームのトップは構成作家で僕と養成所の同期です。
そして、映像ディレクターに元お笑い芸人が2人と、現役お笑い芸人が1人。
それから、セールス部門のトップに関しては赤坂 BLITZを埋める程のパフォーマンス集団のメンバーです。
マネジメント部にもその他2人クリエイターがいますし、現役YouTuberも社員として在籍していますし、その他にもクリエイター出身は結構います。
そのあたりはユニークな点だと自負していますね。
集めてるわけではないんですが、必然的に集まってしまった。という感じでしょうか。
普通にWantedlyとかマイナビやリクナビでも人材募集してるんですけどね(笑)
GROVE社員 兼 YouTuberのながたさき
GROVE社員 兼 現役パフォーマーの太齊佑介
ー それはかなり独自の強みですよね!恥ずかしながら、私も知りませんでした!
でも、そんな個性の強い方が集まると文化の形成やマネジメントは大変なのでは?
当初は本当に”個の集まり”という感じ。
でも、20人を越えると、うまくいかないので、そこからはルールづくりや組織化も強化していきました。
とはいえ、まだまだ他の会社と比べると自由度はかなり高いですね。
ただ、どのメンバーも自分たちの経験を含め、インフルエンサーのことが好きで、大事にしているので、実はまとまりやすかったりするんですよね。
本当にインフルエンサーのためを思って働いている人が多いので、その点では共通の認識や共通言語が社員にも根付いているように思いますね。
ー 考え方やルーツが近いからこそ、お互いに通じるものがあるということですね!
ありがとうございます。
ー GROVEは”インフルエンサーの育成”にも重きを置いていると聞いています。
どういった経緯でそこが強くなったのでしょうか?
僕たちは競合他社のような大型の資金調達などを行っていなかったので、他社のように契約金などを積んで、契約することは行っていません。
なので、育成を今まで以上にさらに強化し、インフルエンサーと二人三脚で共に成長を目指しながら、彼ら自身にもより還元できる環境を整えていくようになりました。
そんな取り組みのおかげで、ある程度の成功パターンや勝ち筋は作れるようになり、GROVEの強みにしていくことができました。
ー 前回の対談でも触れましたが、改めてAnyMindの魅力と感じている点について聞かせてください。
やっぱりTechとグローバルへの展開は大きいなと思いました。
例えばGROVEがこれからtech面を改めて自社で強化しようと思うと、自分たちで優秀なCTOを探して、1から作り上げていくことになり、しかも今の時代エンジニアの採用も難しい。
現実問題それを自分たちでゼロからやっていくとなると厳しいんですよね。
その点、AnyMindはtech面の強みをすでに持っていて、さらにグローバルでも結果を出している。
そこは大きな強みで、魅力であると感じましたね。
もう一点、これは対談の際には気恥ずかしくて言わなかったんですが、CEOの十河さんに関して、
「彼は人間としても尊敬できる、いい男だな。」と直感的に思ったんですよね。
自分も社長をやっていますし、過去には芸人もやっていたほどなので、自己顕示欲は強い方なんです。
だから一緒にやるにあたっては、”この人の神輿を担ぐことができるかどうか”は非常に重要。
その点、十河さんに関しては、初見で非常に魅力的に感じましたね。
シンプルにこの人の神輿だったら担いでもいいなと思った。いい男だなと感じました。
それですね。
ー なるほど、本人が聞いたら赤面してしまうかもしれませんね(笑)
そんな十河さんと北島さんですが、魅力を感じるにあたっては、何か共通する要素なんかも感じられたんでしょうか?
おこがましいんですが、自分と十河さんはタイプが似ていると思います。
タイプを分けしたら、同じ属性だろうなと感じてますね。
やってきたこと、やっていくことを正解にしていくという点なんかは特にそうだと思います。
ー なるほど、確かにリーダーシップや自分を信じる力というところは近いものがあると思います。
ー まだ、本当の統合に向けてはこれからだとは思うんですが、今感じている範囲で、何か参考にしていきたいAnyMindのカルチャーはありますか?
そうですね、AnyMindの”スピード感”はすごく参考にしたいですね。
新規事業を決断してから、10歩くらいまでが本当に早い。
すぐに情報をインプットして、次に会った時にはすでにアウトプットを始めていて、数日で2歩進んでいた。翌週には10歩進んでいた。
そんな印象を持っています。最初の10歩の初速がめちゃくちゃ早い。
ここは見習うべきだなと思いましたね。
ー 確かにスピード感は大きな武器ですね!
ー 他に何か働いているメンバーやカルチャーなどを見て、似ているなと感じたことなどあれば教えてください。
AnyMindの皆さんも全員とお話ししたことはないんですが、なんせ”良い人”が多い!
”良い人”というのは、なんて言うんですかね・・・話していて気持ちの良い人が多い。
ハツラツとしているイメージですね。
実はGROVEも「良い人採用」をしていて、優秀云々よりも良い人かどうかを重要なポイントにしていました。
そこはAnyMindとGROVEは近しいと感じています。
ー最後のパートになりますが、2020年はGROVE、そして北島さんにとってもチャレンジングな1年になるかと思います。
今年は北島さんにとって、不安な年でしょうか?楽しみな年でしょうか?
はい、僕としても今年は本当に楽しみでしかないですね。
AnyMindへの参画で、さらに自分がやりたかったことの解像度が高まってきた。
そこは非常に楽しみですね。
そして、そのアクションが自分のメリットだけでなく、GROVE、既存株主であるスペースシャワーそしてAnyMindグループの利益やシナジーにも繋がるので、非常に良いと思っています。
ー ありがとうございます。本当の最後の質問です。
北島さんの2020年の抱負を教えてください。
2020年は東京オリンピックも含め盛り上がる一年になり、その後不況になるとも言われている中で、世の中的に大きな変換点になる1年だと思っています。
インフルエンサービジネスを行うGROVEとしても、本当の意味で、インフルエンサーと協力をして、良質なクリエイティブを作って行かないといけない中で、真価が問われる1年になると思っています。
そんな1年にしていきたいと考えています。
前回記事:
創業後4社目となるM&A。両代表が語る本M&Aに込めた想いと、インフルエンサービジネスの未来。:AnyMind Group CEO 十河 × GROVE CEO 北島
(聞き手・文:Motohiro Kazama / Communications, AnyMind Group)