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日本人が仕事で幸せになれない2つの原因

『仕事で幸せを感じる』

10年以上、そんなシンプルなことをひたすら追求しながら、研修やコンサルティングを事業として行ってきました。

これまで「根性や気合ではなく、科学的にどうすれば仕事で幸せを感じられるのか?」という答えを探しながら、机上の空論ではなく、リアルなビジネスの世界で民間企業をはじめ、官公庁、医療法人、学校法人も含め600以上の組織で、サービスを提供させていただきました。

今回は、仕事で幸せを感じる日本人が少ない2つの理由を解説し、その解決法の1つとして私達が提案する「Values linking®」についてご紹介します。

「仕事で幸せを感じられない」日本の現実

日本が抱える大きな問題である、仕事の定着率(離職防止)向上、生産性向上、働き方改革にも、仕事で感じる幸せがプラスに働くことは確かです。経営者が働き方改革・生産性向上に無気力では、社員が仕事で幸せを感じることができません。

しかし、仕事で幸せを感じることができない状況が多いのも、今の日本の現実ではないでしょうか。

労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査報告によれば、2000年(平成12年)と比較した場合、2015年(平成27年)の年間労働時間は、年間100時間以上減っています。


図の出典:一人当たり平均年間総実労働時間|労働政策研究・研修機構(JILPT)http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2017/06/p203-204_t6-1.pdf

しかし同時に、厚生労働省の「過労死等防止対策白書」のデータをみると、2000年から2016年 (平成28年)にかけて、民間雇用労働者の「精神障害に関わる請求件数」は増加傾向にあり、2000年には212件だった請求件数は、2015年には1,515件と1,000件以上増加しています。


図の出典:平成29年版過労死等防止対策白書(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000179618.pdf

このデータからは、「仕事に対する精神的な負荷の感じ方が変化し、働く時間が減っても、仕事を苦しいと感じる人が増え続けている」ということが言えるかと思います。人間の心は人によって様々な感じ方をするものであり、「同じ8時間働く」でも、各人の心によって感じる負荷は大きく変わります。

また、日本では、グローバルの数値と比較した際に、仕事へのモチベーションがかなり低いことが分かっています(下図「モチベーションの本質を探る」参照)。


引用:モチベーションの本質を探る|人材紹介、人材派遣なら – アデコ株式会社
https://www.adecco.co.jp/vistas/adeccos_eye/32/

さらに、労働生産性についても、グローバルで見ると低いままです。


引用:日本の労働生産性の動向2016年版|公益財団法人日本生産性本部
https://www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2016_press.pdf

要因は「時代・環境」と「ビジネスの根本的原理原則」

私は、日本の人々が仕事で幸せを感じることができない要因について、大きく2つあると考えています。1つ目は、時代・環境要因。2つ目が、ビジネスの根本的原理原則です。

【1】時代・環境要因

経済学者の世界的権威、ピーター・ドラッカーはこう記しています。

「知識労働者たる者は、自らの組織よりも長く生きる。したがって、自らをマネジメントすることができなければならない。(中略)つまるところ、これまで存在しなかった問題を考えなければならない」(ピーター・ドラッカー著『プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか』)

これはどういうことかというと、「なぜ、働くのか?」という問いに対する答えが、「生きるため」(狩猟・農耕時代)や、「より豊かに生きるため」(産業工業時代)のように自然に用意され、自分で考えずに済んでいた時代から、現代は「働くための理由が用意されず、自分で考えなくてはいけない時代」になった、ということです。

こうした状況に対応するために、我々は「なぜ、働くのか?」の答えを自分で描き、決定し、頑張る理由・成長する理由・情熱を燃やす理由をセルフマネジメントする必要が出てきているのですが、我々はまだ、それに対応しきれていません。

企業側も「なぜこの事業をやっているのか」、個人も「なぜ仕事しているのか」「なぜこの事業に携わっているのか」「なぜこの職についているのか」の答えを、「生きるため」「より豊かに生きるため」では埋められなくなっています。

仕事での幸せの根源になるwhyに対して、becauseが見当たらないのです。 「別に一生懸命仕事しなくても、豊かに幸せに生きられますけど……」と考える人が多いという現実は、今の日本に確実に存在し、かつ大きくなり続けているのです。

【2】ビジネスの根本的原理原則

仕事における根本的なルールとして『仕事の評価は相手が決める』というものがあるかと思います。

どの業界・業種でも、サービスを依頼する・しない、商品を購入する・しない、満足する・しない、リピートする・しない等は、全て相手が決めるので、自分(企業)ではコントロールしきれないものです。

自分がどんなにおいしいコーヒーだと思っていようと、どんなに素晴らしい雰囲気の店内だと思っていようと、評価は相手(お客様)が決めるものです。

自分がどんなに良い料金体系だと思っていようと、素晴らしいサービスだと思っていようと、相手(クライアント企業)が評価を決めるのです。

つまり、仕事というのは、自分の思い通りにいかないことが圧倒的に多いものなのです。

・頑張って企画書を書いてプレゼンしても他社に負ける。
・どんなに笑顔で感じ良く販売対応をしてもリピートしてもらえない。
・人事評価でどれだけ上司の期待に応えても思ったより高好評にならない。
・新卒採用活動のために超多忙な社長と食事の機会を設けても、学生が他社にいってしまう。

このようなことは日常茶飯事で、例を挙げればキリがありませんが、この、“自分の思い通りにいかない”ということに、幸せを奪われることが多々あるのが人間です。

『仕事の評価は相手が決める』という至極単純なルールを頭では分かっていながら、「もうダメだ……」と無気力になり、「どうせ頑張ったって……」と考え仕事に対していい加減になってしまうのです。

Values linking®』で仕事での幸せを生み出す

以上の要因から、仕事で幸せを感じることができないビジネスパーソンが増え続けています。そこで今回は、解決策の1つとして我々が提案するValues linking®について紹介させていただきます。

Values linking®』は、気合や根性論ではなく、科学的アプローチで仕事での幸せを追求するためのメソッド”をまとめたものです。

いわゆる天才と言われるようなトップ数パーセントの人々が自然に行っているセルフマネジメントの技術を、誰にでも使えるような形にすることを目指して作成しました。このマネジメント術について、重要なのは以下の3点です。それぞれについて、順にご説明します。


【1】行動の量をマネジメントする『6つのエモーショナルマネジメント』
【2】行動の質をマネジメントする『G-PDCAサイクル』
【3】whyをマネジメントする『purpose&mission』

【1】行動の量をマネジメントする『6つのエモーショナルマネジメント』

仕事で幸せを感じられるようになるためには、“自分の思い通りにいかない”というビジネスの原理原則に幸せを奪われず、行動の量を増やし、維持することが必要です。

そのためValues linking®では、『6つのエモーショナルマネジメント』という思考法を用いて、仕事の捉え方を変換することで行動量を増やすアプローチをおこないます。

●6つのエモーショナルマネジメント

①限界突破思考:「どうすればできるのか?」と可能性を見出す思考。
「できない」理由よりも、「どうすればできるのか」を考えた方が、行動が増える。

②主体的思考:相手の期待を満たす(超える)べく、自分から行動(報連相しながら)しようとする思考。
「言われないからやらない・言われたことだけやる」よりも、「自分から行動しよう」と考えた方が、行動が増える。

③自己責任思考:条件や環境のせいにせず、自分がやるべきことを見出す思考。
「自分のせいではない」よりも、「自分には何ができるのか」を考えた方が、行動が増える。

④ポジティブ管理思考:問題に対して、肯定的部分にフォーカスする思考。
行動して○のこともあるが×のこともある。×=問題を「最悪だ」と否定的に考えるよりも、「成長の糧だ」というように肯定的に考えた方が、行動量を維持できる(減らない)。

⑤モチベーション管理思考:目的・目標を見出し、モチベーションを維持し、高める思考。
変えられない“他人・環境・過去”よりも、変えやすい“自分・未来”にフォーカスしてモチベーションを維持した方が、行動量を維持できる(減らない)。

⑥感謝思考:当たり前の基準を下げ、有り難いと感じる思考。
「してもらって当たり前」よりも、「してもらえるのは当たり前ではない」と考えた方が、感謝の気持ちが増える。また、それによって上記の5つを強化できる。

【2】行動の質をマネジメントする『G-PDCAサイクル』

そして、『6つのエモーショナルマネジメント』により増えた行動の“量”を“質”に変換し、成果や生産性の向上につなげていくためには、『G-PDCAサイクル』という改善サイクルを用います。これは、以下のように、トライ&エラーで経験を改善につなげる手法です。

● G-PDCAサイクル
・Goal(目標)
・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(振り返り)
・Act(改善)

さまざまな要因から、仕事で幸せを感じることができない現状があります。しかし一人ひとりが仕事をしながら生きて、幸せになっていく、というのが理想であることは変わらないと思います。

仕事で幸せを感じることができている状態の方が、素敵で、魅力的であることは間違いないと、私は信じています。

【3】whyをマネジメントする『purpose&mission』

「なぜ、仕事で幸せを感じられないのか?」に対する「なぜなら」が見当たらない中で、自ら目的・意義を見出せるようになるには、まず個人と組織それぞれの“仕事で幸せを感じる目的”を考える必要があります。

●個人の目的
・家族を守り、幸せにする。
・休みに大好きな旅行に行く。
・地位や名誉を得る。
・好きなメンバーと一緒に目標を追いかける。 等

●組織の目的
・情報革命で世の中の人々を幸せにし、従業員の物心両面の幸福を追求する。
・クライアントの営業課題を広告で解決する。
・ファッションを通して、人々の自信を増やすお手伝いをする。
・心地よい住環境を提供する。 等

そしてそのそれぞれの“仕事で幸せを感じる目的”がリンクするかどうかが、仕事で幸せを感じられるかどうかの分かれ道となります。

当然、個人と組織の目的がリンクすると仕事で幸せを感じ、リンクできないと逆の結果を招くことになります。ですので、組織(企業)としては組織の目的を個人に打ち出していく必要がありますし、共感してもらう努力をしなければいけません。

そして個人は、まず自分の目的をはっきりさせた上で、会社の目的とリンクさせていく努力をするということが大切です。また、どちらか片方だけが努力できていればいいというわけではありません。あくまで組織と個人の掛け算で決まるものなので、両方が揃わないと仕事での幸せにはつながらないのです。

Values linking®では、この個人と組織の目的(purpose&mission)をCCSBの切り口から描き、リンクさせていくことで情熱を開発していきます。

●CCSB
・Company(会社):共感(ミッション・ビジョン・バリュー)、評価(自己重要感、公平性)
・Co-worker(仲間):信頼(一緒に働く全メンバー)、尊敬(特に上司)
・Service・Product(サービス・商品):好感、矜持
・Business(業務内容):成長(自己成長感)、意義

3つの視点から見た『仕事で幸せを感じる』メリット

我々が追求し続けている『仕事で幸せを感じる』ということは、本人目線でも、お客様(クライアント)目線でも、企業目線でも、単純に素晴らしいことであることだと考えています。例えば、その効果は以下の通りです。

本人目線

無気力でいい加減な状態ではなく、仕事で幸せを感じるために、トライ&エラーを繰り返し、成長しながら成果を上げると、役職が上がっていき、自他共に承認を得ることができます。

また、採用面接の時点で考えても、「仕事で幸せを感じられるように頑張ります」と「仕事に幸せなんてないですよ、、、」という応募者では、企業としては、どちらが採用したい人材か? を考えたら一目瞭然だと思います。

お客様の期待に応えることで感謝され、やりがいを感じることもできます。シンプルに「無気力に嫌々働くよりも、どうせ働くなら前向きに幸せになるために働く方が自分にとって良い」 という考えは、多くの方に共感いただけるのではないでしょうか。

お客様(クライアント)目線

無気力で感じの悪い人物よりも、幸せそうに仕事をしている人物からサービス・商品を提供してもらった方が、受け手の気分は良いと思います。メーカー、病院・飲食店・ブライダル・インターネット広告・人材派遣・ITエンジニア・不動産・経営コンサル等々、扱っている商品やサービスは違えど、そのことは変わりません。

無気力の人が作ったもの(サービス)と、仕事で幸せを感じている人が作ったもの(サービス)は、どちらがより魅力的か、ということです。

企業目線

社員一人ひとりが仕事で幸せを感じることで成果が上がり、離職が減り、企業が潤うと、社員に成長・やりがい・お金といったものを手に入れてもらうことができ、幸せの総和を高められます。また、お客様や世の中への貢献量を増やすことができることで、企業価値が高まっていきます。

『Values linking®』が、組織の定着率(離職改善)と生産性を向上させ、個人と組織と日本を元気に、幸せにすることに貢献できたらと考えています。

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