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結婚式を好きな人が、業界で長く活躍できる世界をつくる。元ウエディングプランナーが「Dクリ」で共創したい未来

デジタル化や多様化などが急速に進む社会において、ウエディング業界もまたそのスキル向上が求められている。

2021年4月、株式会社ウエディングパークは“教育”の観点からウエディング業界を盛り上げる新プロジェクトを立ち上げた。「Wedding Park D-Creative School(通称、Dクリ)」は、デジタルスキルを始め、時代ごとに必要とされるスキルを動画で学べる業界特化のオンラインスクールだ。目指すは、ウエディングを好きな人が業界で長く活躍し続けられる世界の実現。

「Dクリ」プロジェクト発足時のプレスリリースはこちら

元ウエディングプランナーである西村 慧(にしむら けい)が、Dクリの旗振り役に抜擢されたのは、ウエディングパークに転職後Webディレクターとして5年目のキャリアを迎えたとき。

Dクリの特徴やこだわりは何なのか。立ち上げの背景にはどんな思いがあるのか。指揮を取る西村の経歴を辿りつつ、これからの意気込みも合わせて話を聞いた。

時代に応じた学びを提供する、業界特化のオンラインスクール

ーー最初に、Dクリについて教えてください。具体的にどのようなプロジェクトなのでしょうか?

デジタルスキルやクリエイティブスキルを始め、これからのウエディング業界に必要なスキルを動画で学べるオンラインスクールです。発足当初はデジタルスキルやクリエイティブスキルに焦点を絞っていましたが、私自身、教育関連の学びを深めるにつれ、必要な学びは時代によって移り変わるものだと気づきました。

今は急速にデジタル化が進んでいる分、そのスキルを学ぶ必要性や優先度も高いですが、5年後、10年後は別のスキルが求められるかもしれません。Dクリは、ウエディング業界に従事する方々が、時代に応じて必要とする学びを提供できる場でありたいと考えています。

ーー時代に応じて必要とする学びを提供するために、どんな工夫をしているのですか?

「Dクリご意見箱」を設置して、ウエディング業界で働く方々や、実際に講義を視聴した方々などの声をコンテンツづくりの参考にしています。Dクリを運営するのはウエディングパークですが、業界全体で育てるプロジェクトにしたい。そんな思いも込めて取り入れました。

すでに「学びたいテーマ」に関するリクエストがいくつか届いています。ブライダルフェアのネーミングや式場の紹介文など「ライティング」に関するものや、効果的な「SNSの活用法」など、日々の業務に即したものが多いです。

リクエストを受けてから実際に「Instagram運用」に関する講義をリリースしている

ーー広く意見を求めることによって、業界ならではのニッチな課題が明るみになり、かゆいところに手が届くコンテンツづくりが可能になりそうですね。

そうですね。スマートフォンで始める動画編集や写真レタッチ、あるいはオンライン接客術など、ウエディング業界以外の方でも参考にしていただけそうなテーマの中でも、業界ならではのシチュエーションを想定しながら講義を構成しています。

さらに今後はより一層、業界ならではの悩みや課題に寄り添った内容を展開したいと考えています。テーマを絞るほど受講生の幅は狭まるかもしれませんが、その分「業界特化」になる。Dクリは、業界の方が「これが知りたかった!」と思える学びを大切にしたいんです。

母のひと言が導いた、人生の“晴れ舞台”をつくる天職との出会い

ーー西村さん自身、かつてはウエディングプランナーとして現場で働く立場を経験していますよね。そもそも、ウエディングプランナーを志望したきっかけは何だったのですか?

「つくること」が好きな性格と、母のひと言がウエディング業界まで導いてくれたんです。

つくることに関しては、幼少期から絵描きや折り紙、3歳から始めたバレエで舞台に立つ自分を演出するなど、ゼロから何かを生み出して周りに喜んでもらうことが好きでした。極めつけは、大学時代に所属していたダンスサークルの卒業公演で初めて演出を担当したこと。自分だけでなく、誰かが踊る“舞台”を仲間と共につくる体験に魅了されたんです。

ーー自分だけで表現すること以上に、自分が考えたことを誰かと一緒に形にしていく体験に心を動かされたと。

その感動が忘れられず、就活は「舞台づくり」を軸に劇団やテレビ番組の制作会社を受けましたが、どうもしっくり来なくて。そんなある日、実家でご飯を食べていたら、母が「結婚式も人生の舞台だよね」と何気なく呟いたんです。咄嗟に「それだ!」と思いました。ウエディングにまつわる知見や思い出は全くありませんでしたが、母の言葉に反応した自分の素直な心を信じて、ウエディングプランナーを志望しました。

ーー新卒から8年経った今もウエディング業界に携わり続けている事実が、その直感が当たっていた証のようにも思えます。

そうですね。実際、約2年間で50件の結婚式を担当させていただくなかで、ウエディングプランナーは天職だと感じました。担当したおふたりが結婚式当日を迎え、それまで打ち合わせで見てきた以上に幸せそうな表情をしている。そんな姿を見て、親御様やゲスト様も感動し、涙している。多幸感に満ち溢れている光景を目にするたび、結婚式という“晴れ舞台”をいろんな方と協力してつくることの幸せを感じました。ああ、これまでの人生のなかで今が一番だなと。

ーーよほど充実していたのですね。

一方で、ウエディングプランナーとしてカップルとの打ち合わせをしながら、食事や装花、その他準備物の手配や管理など、多岐に渡る業務を進めていく中で、「効率化」の必要性を感じていました。カップルとの打ち合わせなど、人がやるべき業務により集中できるように何か他の部分を改善していくべきではないかと。当時、漠然と頭では考えていましたが、何か実行に移す余裕はなかったように思います。

転職の縁はお客様のクチコミ。未経験から飛び込んだWebの世界

ーー現場で働く過酷さはありながらも、“天職”だと感じていたウエディングプランナーを辞め、ウエディングパークへ転職したきっかけは何だったのですか?

担当したお客様が「西村さんのことを結婚式場のクチコミサイトに書いたから見てほしい」と、いくつかのクチコミサイトを紹介してくださったことが始まりです。当時、集客は管轄外だったので、結婚式場のクチコミサイトが多くあること自体に驚きました。同時に「世の中にはこれだけの式場とカップルがいるのだな」と、改めてウエディングという世界の広さを実感しましたね。

「Wedding Park」は、紹介されたクチコミサイトの一つでした。見てみると、率直に「自分と相性が良いな」と感じたんです。

ーーどのような点からそう感じたのでしょう?

例えば、言葉の使い方。クチコミページ内で式場にとっては少しネガティブなものにもなり得る欄のタイトルが「この式場で素敵な結婚式を挙げるためのアドバイス」となっていて、全体的にマイナスな印象の言葉を避けているように感じました。サイト内に掲載されているインタビュー記事に登場する有名人の顔ぶれも、自分の好きな方ばかり。素直にフィーリングの良さを感じ、「自分の居場所はこの会社にある気がする」と直感的に思ったんです。

そんな折、会社の総会で「新人賞」にノミネートしていただき、ウエディングプランナーとしての自分を評価いただけてうれしかったことを覚えています。と、同時に新しい角度から大好きなウエディング業界に携わってみたいと、新卒2年目の終わりに転職しました。

ーーウエディングパークでは、これまでどのような仕事を担当してきたのですか?

ウエディングパーク社内では新規事業にあたるフォトウエディング・前撮りの検索サイト「Photorait(フォトレイト)」のディレクターとして、SNS運用や新機能開発のディレクション、さらに途中からはサービス広報も担当していました。新規事業のチームということもあり、未経験なりにさまざまな業務を任せてもらえましたね。

ーープロジェクトの“監督”という意味では、ディレクター業はウエディングプランナーに通ずる部分がありそうです。

少なからずあると思います。ただ、デジタル領域に関しては全くの素人だったので、専門用語が飛び交うディレクター陣が集まる会議では、理解が追いつかないこともしばしば。ウエディングプランナー時代と比べ、相対するものが人からWebに変わったことで、自分の頑張りがお客様の幸せに結びついている実感が得られず、不安に思うこともありました。

ーーお客様の顔が見えないことで、本当に喜んでもらえているのか、価値を届けられているのかが分かりづらい難しさはありますよね。

慣れないうちは戸惑いましたが、担当案件を積み重ねるにつれ、そこがWebの利点かもしれないと思えるようになりました。要は、お互いの顔が見えない分、お客様からお世辞や建前を抜きにした本音が得やすくなるのかなと。例えば、SNSの投稿にいいねを押したり、あるいは投稿を保存したり、「参考になりました!」というコメントをしたり……Web上のお客様の行動やそれに紐づく数字は、嘘偽りのない「正直」なものだと思います。ポジティブな反応や数字を得られると、「本当に価値を提供できたんだ」と嬉しくなりますね。

新しい角度で結婚式に携わる道を拓き、業界全体で学びを共創する

ーー共創が好きな性格。元ウエディングプランナーとして現場で働く人の気持ちが分かる。未経験からデジタルスキルを習得し、キャリアパスを広げている西村さんが、DクリのPMに抜擢された理由が分かる気がします。

私自身、PMに任命された理由は「デジタル領域が分からない人の気持ちが分かる」からなのではと感じています。正直、勉強は得意ではありませんが、その観点をも活かし、学びのハードルを下げる工夫をしたいなと。例えば、全体が40〜50分の講義は4〜5つに章分けをし、1章あたり10分程度で見終われるように構成しています。現場で働く方はとにかく忙しいので、通勤などの隙間時間を活用して学べるよう、倍速視聴できる機能のほか、2022年からは字幕を付けて音声なしでも見ていただけるようアップデートしています。

ーー「勉強するぞ」と身構えずとも、「少し時間があるから見てみよう」くらいの気持ちで視聴できそうです。

Dクリとしても、「勉強してくださいね」というより、「こんな知識があると仕事が楽しくなると思うので、少し覗いてみませんか?」という心持ちでいます。新しい知識が増えるほど、その先を知りたいと思える。学びにおけるワクワクの種を蒔いているような感覚です。

ーーウエディング業界で、デジタルスキルやクリエイティブスキルを学ぶ人が増えた先に、Dクリは何を目指しているのでしょう?

“新しい角度で結婚式をお手伝いする人材”の育成を支援し、ウエディングを好きな方が、業界で長く活躍し続けられる世界をつくることです。

ウエディング業界は勤務体系上、結婚や出産などライフスタイルの変化によって「ウエディングが好きでも離職せざるを得ないケース」が多い印象にあります。慢性的な人材不足から一人ひとりの業務負担は重くなる一方…そこが大きな課題だと感じています。

ーー負の連鎖が続いてしまう、と。

ウエディング業界でデジタルスキルやクリエイティブスキルを学ぶことが一般的になれば、デザイナーやエンジニアを始めとするクリエイティブチームが社内に生まれ、そこで広告のバナー作りやSNS運用が当たり前になるかもしれません。新しいキャリアパスが生まれることで、フロント業は難しいけどクリエイティブ業で活躍できたり、ウエディングは好きだけどフロント業は苦手だという方も仕事を続けられたりする。そんな世界を実現したいです。

ーー最後に、今後の意気込みと合わせて、業界の方に向けてのメッセージをお願いします。

私自身、ウエディングパークに出会い、デジタルスキルを習得するなかで「ウエディングの新たなおもしろさ」を感じて、一気に世界が広がりました。ウエディングをより好きになっただけでなく、業界に対する考え方も広がったような気がします。

自らのプランナー経験、そしてウエディングパークでの仕事を通じて「ウエディングは、時代を経るごとに新しい価値観や形も増え、どんどんアップデートされていく」ということを実感しています。多様化するお客様のニーズに応え、その時代の幸せをつくり続けていくためにも、業界側が学び続けていくことが求められるのではないでしょうか。

ーー新しい結婚式の形が生まれるたびに、新しい知識や経験も必要になる、ウエディングが持つ無限の可能性を感じますね。

奥深い業界だからこそ、Dクリのコンテンツは、これからも社外のあらゆる方の声を反映してつくっていきたいです。興味がある方は、まずは気軽にご意見箱から声を聞かせてください。「これが知りたい!」という思いを起点に、魅力的な学びのコンテンツを一緒につくっていただけると嬉しいです。

「Dクリ」では2022年5月より、法人向けに全講義受け放題プラン「Dクリ for Business」の提供も開始している

(取材・文 なかがわあすか)

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