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エンジニアが PdM ロールを兼務して意識するようになったこと

こんにちは、ウォンテッドリーでエンジニアをしている富岡です。この記事は Wantedly Advent Calendar 2024 の23日目の記事です。

私は Engagement Tribe というチームで、主に福利厚生サービスの Perk の開発をしています。9月から体制の変化により、エンジニアに加えて PdM ロールを兼務することになりました。

この記事では、エンジニアの立場から PdM ロールを兼務する立場になっての3ヶ月を振り返り、意識するようになったことについて紹介したいと思います。

また、同じくアドベントカレンダーから Engagement Tribe で事業責任者をしている橋屋さんの記事もありますので、よければ合わせてお読みください。事業責任者らしく、より上段の視点からの読み応えのある記事になっています。

Perkの事業責任者として挑む、事業成長とミッションの融合 | Wantedly Business Team Blog
こんにちは。ウォンテッドリー株式会社の橋屋 優理です。ウォンテッドリーの中で、Engagement Suite(Perk、Pulse、Story)の事業責任者を務めています。マーケティング・セー...
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/943401

目次

  • Perk の現在のチャレンジとチーム体制の変化

  • PdM ロールを兼務してから意識するようになったこと

  • 顧客の解像度を高める

  • 競合の理解を深める

  • 事業計画からの逆算で考える

  • おわりに

Perk の現在のチャレンジとチーム体制の変化

Perk は2021年の正式リリースから約3年の歩みを経て、一定の顧客セグメントには価値を感じて利用いただけるところまで来ることができました。現在はまさに、これから事業成長の角度を上げていくために、新しい顧客セグメントにも価値提供を広げていくための進化が必要なフェーズにあります。チーム内ではこれを「Perk V2」と称し、プロダクトを進化させていくためのチャレンジをしています。

そんな中、これまで2年間 PdM を務めてくれていたメンバーがチームを離れることになり、9月から事業責任者の橋屋さんと私の2人で力を合わせて PdM ロールをカバーしてやっていくことになりました。

PdM ロールを兼務してから意識するようになったこと

PdM ロールを兼務するようになってから特に意識するようになったことは次の3つです。

  1. 顧客の解像度を高める
  2. 競合の理解を深める
  3. 事業計画からの逆算で考える

いずれも PdM としては月並みな内容になりますが、温かくお読みいただけると嬉しいです。

顧客の解像度を高める

プロダクトの新たな提供価値を模索し、具体的な機能を構想していく中で感じたのは、ターゲットとなる顧客セグメントの解像度が低いことでした。

具体的には、顧客はそもそもどういった属性の企業なのか、福利厚生の導入・設計を担当するのはどういった人なのか、その人たちはどの程度自社に関してトップレベルの視点を持っているのか、などの解像度が低く、プロダクト体験を考えていくにあたり、本当にこのペルソナやストーリーで合っているのだろうかといったことに自信が持てない状態でした。

やったことと意識していたこと

そこで顧客の解像度を高めるために、ターゲットセグメントに近い顧客の商談案件リストをセールスメンバーから共有してもらい、会社の属性を把握したり、商談録画を見たりといったことを行いました。

その中でも特に、顧客は福利厚生サービスを入れることでどういった課題(ジョブ理論でいうジョブ)を片付けようとしているのかを理解することを意識していました。

やってみてわかったこと・感じたこと

商談録画を何十本と見るというのは初めてのことでしたが、実際に見てみると様々な気づきがありました。まず、顧客属性は思っていたものとはけっこう違ったりしていました。機能アイディアとして考えていたものが、この顧客には響かなそうだと気付いたシーンもありました。

顧客が福利厚生サービスを入れることで片付けようしているジョブについても、これまでは「社員の定着や採用に効かせる」くらいのかなりざっくりとした解像度しか持っていませんでしたが、一社一社の顧客を見ていくと、それぞれの事業内容や形態、設立時期といった背景に応じて、もっと広がりがあることもわかってきました

顧客の解像度が少しずつ上ってきたことで、チーム内での提供価値の議論も以前より腹落ち感を持ってできるようになってきました。ただ、わかってきたこともある一方で、どういったジョブを片付けようとしているのかや、なぜ最終的に自社のサービスを選んでいるのか/選んでいないのかといった深いインサイトは、会社情報や商談録画だけからだと見えてこないことも多いです。こうした部分については、商談以外の場で顧客と会って話を聞くなど、チームとしてさらに解像度を高めていくための継続的な取り組みが必要であると感じています。

競合の理解を深める

福利厚生の業界は、20年以上前から存在していて地位を築いているプレイヤーに加え、ここ数年でスタートアップを含む新興のプレイヤーも増えてきており、競争が高まっています。そういった市場環境の中で勝ち残っていくためには、競合について深く理解した上で、自分たちのターゲティングや提供価値を定めていく必要があります。事業責任者の橋屋とともにプロダクトの新たな提供価値を模索していくにあたり、自身の競合理解のレベルを上げる必要性があると感じました。

やったことと意識していたこと

主に以下のようなものを見ながら、競合についての理解を行っていきました。

  • LP
  • 営業資料
  • サービス紹介動画
  • 中の人が登壇しているセミナー
  • スタートアップであれば、採用デッキや会社のブログ

調べるにあたっては、サービスの概要はもちろんですが、どういう人たちがやっているのかを特に理解するように意識していました。具体的には、会社のミッションや設立背景、主軸事業、設立時期、所属メンバーなどを見るようにしていました。

やってみてわかったこと・感じたこと

サービスの内容だけでなく、どういう人たちが作っているかを理解することで、狙っていそうな顧客層や、考えていそうなプロダクトビジョン、この先そのプロダクトにどれだけ注力していきそうかなどをある程度感じることができます。それを基に、競合との棲み分けや戦い方について、少しずつですが自分なりの考えを持てるようになってきました。

また、競合サービスのプロダクト思想や体験を調べると、率直にいいサービスだなと感じることや、自分たちの思想に近いことを先に行かれているなと感じることがあります。一方で、自社の商談に来ている顧客を見てみると、比較検討においてそのサービスを選んでいなかったりします。それはなぜなのだろうかという疑問からセールスメンバーと会話する中で、どういった顧客にどういったプロダクトが受け入れられるのかについて洞察が得られることもありました。そこで得られた洞察は翻って自分たちのプロダクトをどうしていくかについてのヒントとなります。

事業計画からの逆算で考える

これは挙げた3つの中で正直まだうまくできていないところであるのですが、プロダクトの開発計画を事業計画からの逆算で考えるようになりました。具体的には、5年くらいのスパンで引かれた事業計画(売上目標)があり、それを達成するためにはプロダクトはいつまでにどういう状態になっている必要があるのか、そのためにはどれくらいのスピード感で何を作っていく必要があるのか、という流れを意識するようになりました。

これまでエンジニアとして開発する立場としては、機能をどう形にしていくか、どのようにリリースまで持っていくかという点に意識の比重があったので、ここは視点の変化を感じた点でした。

おわりに

総じると、PdM の立場として考えるようになって、プロダクトだけでなくその外側のいろいろな面に視野が広がった3ヶ月だったと感じています。

上で挙げた顧客、競合、事業計画といったところもそうですが、競合との戦いに勝ちながらどう顧客を獲得していくかを考えたときに、マーケティングはどういった戦略にするべきか、セールスは何を武器にどのように訴求するべきか、CXはどういったサポートをするべきか、などプロダクトと顧客との接点の領域にも考えが向くようになりました。

実は1月から力強い PdM メンバーがチームにジョインしてくれることが決まっています。Perk のチャレンジはまだまだ続きます。これからの Perk にご期待ください。


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