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今回、ウォンテッドリー株式会社 執行役員 VPoE 要徳幸(かなめ のりゆき)にインタビューを行った。要は、前職のWebサービス会社でモバイル開発部門の立ち上げ、開発部部長を務めた後、2019年にウォンテッドリーにジョイン。2022年9月に執行役員 VP of Engineeringに就任した。
新たな成長フェーズ、第二創業期を迎えたウォンテッドリー。開発組織として価値のあるプロダクトを生み出し続けるために、組織をどのように育てていくのか。2023年9月から始まったFY24は「Format」という目標を掲げ、成長の基盤を組織に浸透させる1年にしていく。今回要には、「Format」に込めた想いを語ってもらった。
第二創業期。持続的な成長を遂げるために必要な土台づくり
ーー要さん、本日はお時間をいただきありがとうございます。ウォンテッドリーのDev Branch(プロダクト開発チーム)の今期の目標「Format」には、どんな想いが込められているんでしょうか?
Formatは、ウォンテッドリーのDev Branchが持続的に成長していくための土台です。この1年は、その土台を作り、浸透させていく1年にする。そんな想いでこの目標を掲げました。
僕は、今のウォンテッドリーを、第二創業期と呼んでいいんじゃないかと思っています。創業してから13年、シゴトでココロオドルひとを増やすために、ウォンテッドリーはWantedly Visitを伸ばすことに注力してきました。僕たちのミッションが実現した世界をつくるには、Wantedly Visitだけでは足りません。新しく、強い柱をつくる必要があるんです。Engagement Suiteをグロースさせていくことはもちろんですが、さらに新しい柱の種を探していかなくてはいけません。
Wantedly Visitについては こちら
Engagement Suite についてはこちら
ウォンテッドリーの次の10年、新しく強い柱をつくるためには、場当たり的なアプローチではなく、持続的なプロダクト開発をする必要があります。そのための土台が「Format」です。
ーー持続的に成長していくための、土台づくりの1年にする、そんな覚悟が「Format」という目標に込められているんですね。この目標のために、具体的にどんなことをされていくのでしょう?
今のフェーズだから回っているものを、拡大を見越した仕組みに修正し、組織に浸透させていきます。体制や、業務フロー、意思決定のプロセスなど課題は多いです。泥臭く進めていきたいですね。
役割の分担が集中につながる。役割に100%コミットするために
ーー組織の体制の課題には、具体的にどんなものがあるんでしょうか?
プレイヤーとマネージャーの仕事の境が曖昧で、プレイングマネージャーが多いことが課題のひとつです。
例えば、緊急で対応しないといけない案件が起きたときの対応について。僕はチームのリーダーに対応を任せました。リーダーがうまく対応してくれた結果、問題なく収束しました。
「どうやって対応した?」と担当したリーダーに1on1で聞いたところ「自分で手を動かしてしまいました」とのこと。リーダーが手を動かすのは良くないという話をしました。
ーーリーダーが手を動かすのが良くないのは、どうしてなんでしょう?
リーダーが行うマネジメント、プレイヤーが向き合うコードを書くという仕事は、頭の使い方がまったく異なります。リーダーが手を動かすことによって、マネジメントをするための頭の回転が止まってしまうんです。俯瞰的に事態を把握し、判断することが難しくなってしまいます。
もちろん、チームの規模や状況によって、リーダーが100%マネジメントに振り切るのか、プレイヤー側の仕事も持つのかは異なります。ですが、基本的にリーダーには、俯瞰的に物事をとらえて、何をするのが最善かを判断し、プレイヤーに指示を出すことに頭のリソースを100%割いてほしいと思っています。
プレイングマネージャーが50%のリソースをマネジメントに割いてなんとかなるフェーズは、もう終わろうとしています。組織をスケールさせるために、ウォンテッドリーの未来を作っていくために、リーダーとプレイヤーがそれぞれの役割で100%の力を発揮してもらわなくてはなりません。そのために役割を分けることを徹底していきます。一方で、役割を分担しても、完全に分断させてはいけないんです。
相互理解のために、自身の専門性を越えて知識を身に付けてほしい
ーー役割を分けても、分断をさせてはいけないとはどういうことなのでしょう?
分断とは、自分と異なる立場のひとが何をやっているかわからない状況を指します。リーダーとプレイヤーの間もですし、エンジニアとPdM、エンジニアとデザイナーなど、異なる立場と立場の間に分断が生じる可能性があります。分断が起きていると、なにかプロセスを見直すときに、各々が部分最適をとろうとし、立場の違うメンバーとの利害が発生し、全体最適にならない。そんな恐れがあります。
分断させないために、オーバーラップを作っておいてほしいと伝えています。それは、他のチームのタスクを受け持つというものではなく、知識を持っておくというイメージです。
例えば、新しくPdMになったメンバーには、開発プロセスは知っておいてほしいと伝えています。開発プロセスを知ることで、エンジニアとスムーズに話をできるようになります。さらに、エンジニアの成果物が最適かどうか確認するために、最低限のエンジニア知識がなくてはなりません。デザイナーとのやり取りにおいても、同じことが言えます。
開発組織として最高の成果をつくるには、役割が異なるメンバーとの相互理解が不可欠です。相手が何を言っているのか理解するために必要な知識を、全員が持っている必要があります。
僕たちDev Branchの目的は最高のプロダクトをつくること。技術者としての専門性を深め、広げるのはそのための手段であることを、忘れてはいけません。メンバーには、自身のスペシャリティを持って業務を進めてほしい。これは技術を持つ者として当たり前のことです。一方で、組織としての成果物のレベルを上げるために、自分の専門領域から染み出し越境することを、チームの全員にお願いしたいと思っています。
未知への挑戦だからこその凡事徹底。わかっていることには泥臭く、丁寧に
ーー組織をスケールさせるために、他にどんなことをされていくんでしょう?
すごくありきたりなのですが、業務フローの設計をしています。このフローは、成果物の質に直結します。
いかに早く正しい判断をできるか。どのレベルの問題はどのレイヤーが判断するのか、レベルの判断はどうするのか、考えることはたくさんありますし、100%正しいフローはないと思っています。改善を繰り返しながら、そのときのウォンテッドリーの最適なフローを構築したいです。
フローは業務の基準になるものです。意思決定の過程で何かおかしいと気付いたとき、フローに沿って見直すことで、修正すべき箇所がわかります。フローがないと、なんとなくやりました、なんとなくうまくいかなかったで終わってしまいます。これだと改善ができないんです。
組織としてPDCAを回していくため、フローが必須です。プログラムの設計をするように、業務フローの設計もしていく。これって本当に泥臭い作業で、当たり前のことを決めて、当たり前にそれに従って丁寧に進めています。凡事徹底です。
ーーこのタイミングで、改めて凡事徹底を大切にするのはなぜなんでしょうか。
今、まさに第二創業期だからこそです。10年続いたWantedly Visitに加えて、Engagement Suiteをいかにグロースするか。さらに、ウォンテッドリーとしてミッションを実現させていくためには、他にも種をまいて、新しい柱を増やし、育てていかないといけない。
新しい柱を増やすためには、誰も知らない未来を予測して、仮説を立てて、たくさんトライしていく必要があります。仮説の打率を少しでも上げるために、未知の領域でも思考を繰り返さないといけない。
未知なるものに対して、どう取り組むのか。今のウォンテッドリーに求められていることです。未来の戦略を描いていく中で唯一確実なことは、目の前のことに泥臭く取り組まなければ、組織はスケールしないということ。まず、凡事徹底すること。その積み重ねがウォンテッドリーを強くすると信じています。
ーー未知なるものに挑むために、わかっていることには泥臭く、丁寧に取り組む。それがウォンテッドリーの未来につながっていくんですね。
不確定な状況の中で、持続的に成長するために。混沌を抜け出すために必要な土台
ーー要さんの思う、今のウォンテッドリーの魅力とは何なんでしょう?
今のウォンテッドリーには、既存のプロダクトもありつつ、新しいものに挑戦する機会があります。未知なるものに挑んでいかざるをえない状況だと言っても良いかもしれません。
未知への挑戦には、パワーが必要です。当たり前ですが、ひとりのパワーでなんとかなる課題ではなく、全員がパワーを出しきらないといけません。そのために、パワーを出しやすい仕組みも整えないといけないですし、分配しながら進む先を決めて、舵も切らないといけない。舵を切るにもパワーが必要です。
プロダクトを作りたい人にとっても、業務フローを作りたい人にとっても、組織づくりをしていきたい人にとっても面白い環境なんじゃないでしょうか。それらを全部思いっきりできるのが、現時点でのウォンテッドリーです。
人によっては、今のウォンテッドリーを混沌と捉える人もいるかもしれません。そんな混沌を整理して、未知なるものに対して持続的に進むための土台をつくる。そしてその土台を基に、価値のあるプロダクトを作り続け、ウォンテッドリーを成長させていく。これを面白いと思ってくださる方と、ぜひお話できたらなと思います。
さいごに
第二創業期、未知なるものに挑むためには、わかっていることには凡事徹底。泥臭く取り組む。取り組みの型を持つことが、持続的な成長につながる。
全員がそれぞれの役割の中で100%の力を発揮することが、挑戦に不可欠。そのための土台作りがFY24のDev Branch。「Format」を目標に掲げ、未知なる未来に進んでいく。
この1年のDev Branchの変革に、ぜひご期待いただきたい。