ソーシャルビジネス | LiD | 日本
認定NPO法人very50が提供する「新興国でリーダーシップを発揮する」人材を育てるための大学生向け実践型トレーニング「LiD(Leadership in Developing countries)」です。社会起業家との活動を通してビジネススキルという実行力だけでなく社会や世界を考える優しさのための想像力を身に着けることを目的にしています。
https://www.very50-lid.org/
very50インターン上田武蔵です。今年の6月にvery50のインターンとしてジョインしました。
very50との最初の接点は、2025年2月に開催された第12期LiDプログラムでした。very50に関わる前は、2年ほど、カナダとスペイン、イタリアでワーキングホリデーをしたり、世界60カ国を巡ったりしていました。帰国後、いい経験をしたという自負があった一方で、虚しさを感じていた僕は、ある尊敬する友人と再会しました。その友人が社会的な活動をしている姿を見て、僕には社会の構造を読み解き本質を突いた行動するための体系化された知識とスキルが足りていないと気付きました。いくら”華やかな経験”を積んでも、そのような知識とスキルに昇華できていないことに焦燥感を覚え、その彼が関わっていた団体がvery50であると知り、very50が主催する実践型プログラム・LiD(Leadership in Developing countries)への参加を決意しました。
LiDは認定NPO法人very50が提供する「新興国のような複雑な環境下でリーダーシップを発揮する」人材を育成するための実践型プログラムです。very50の掲げる「自立した優しい挑戦者」を育てることを目指し、提携している新興国社会起業家の現地を訪問し、経営課題の解決に挑戦するプロジェクトを中心に進行します。実践的なプロジェクトを通じて、知識やスキル的な課題を発見し、それに応じた動画コンテンツや講義、ゼミ等を提供することで、学びながら実践をするサイクルを高速で回していきます。
LiD12期の体験を一言で表すならば、それは「人生が変わるほどの衝撃体験」でした。
12期で課題解決に挑んだ企業は、カンボジアのシェムリアップにあるmy dream home(website)という住宅資材メーカーでした。貧困街出身の実業家Kongy氏の、「まずはカンボジア全土に安心した夢のマイホームを」という哲学と人間的な深さ、カンボジア社会に対する圧倒的な当事者意識は、私たち参加者全員の目線を一つにさせ、「彼の人生をかけた事業のために、本気で何かしよう」と、私たち全員を熱く燃えさせました。また、僕自身も、彼の抱えているものを自分ごととして一緒に抱えていく中で、「こういう人間になりたい」と彼の生き方に惹かれていきました。LiDは選抜型で参加者が少数であるため、参加者一人一人と現地起業家との距離が非常に近いプログラムです。その分、求められるのは、現地起業家の人生をかけた事業提案としての「プロフェッショナルな品質」です。その緊張感と使命感の中で、仲間と共に走り続け、自分たちが動くことで事業家、さらには社会を変えられているという実感を日々持てたこと。この、参加した人だけが共有できる震えるほどの体験は、これまで社会に対してインパクトを与えた手触り感がなかった自分にとって、まさに人生が変わった経験になりました。
しかし、LiD12期を終えた時、私には二つの思いがくすぶっていました。一つは、この熱狂の火を一過性のものにしたくない、ということ。もう一つは、プログラムの改善点を分析し、さらに進化したLiDを生み出せるのではないか、というものでした。
しかし、LiD終了後数ヶ月はvery50とのつながりはありませんでした。その後、友人を通じて、6月頃から長期インターンとしてvery50にジョインすることになり、自分が携わる業務内容を上長のスタッフらと話し合っていく中で、数ヶ月前に抱いていたLiDに対する強い想いが再び燃え上がっていきました。当時、very50では他プロジェクトとの兼ね合いもあり、LiD13期の開催については見送るムードが漂っていましたが、僕は「LiD13期をこの夏に開催した方がいい」と進言しました。
まだ入って間もないインターンの僕の話を、スタッフ陣は真摯に聞き入れてくれ、スタッフ会議で提案してくれました。そして、8月事前研修、9月渡航という極めてタイトなスケジュールで開催が決まりました。その決定が下されたのが、6月下旬。かなり圧縮されたスケジュールの中、妥協せずに品質を担保できるのかという重圧がのしかかる業務になりました。しかし同時に、この環境こそがvery50という組織の魅力的な側面でもあると思います。
実際、募集期間が短い中での集客はとても難しいものになりました。そもそもLiDに参加してもらいたいペルソナとなる層は、将来の「自立した優しい挑戦者」になろうとする学生で、今回声をかけた学生の多くが、すでに1ヶ月先の夏休みに挑戦することを決めてしまっている状態でした。しかし、very50メンバー全員の持つ人脈を地道にたどりながら挑戦先を探している学生と巡り会っていき、最終的には8人の熱量の高いメンバーが集まりました。
また、集客以外のコンテンツ決めや、ロジ手配、リスクマネージメントなどにおいては、多忙なスタッフの合間の時間を頂きながら、壁打ちを重ねPDCAを回していきました。その中で、very50の議論の緻密さ、そしてプロフェッショナルとしての品質基準の高さに圧倒され、自分には伸びしろしかないということを骨身に染みて感じる日々でした。
今回、LiD13期がパートナーシップを締結したのは、Suri Lifestyle。同社は、シングルマザーの経済的自立を主目的としたソーシャルビジネスを展開しており、国内有数のアップサイクル事業を牽引するリーディングカンパニーでした。
事前研修ではvery50理事の内海雄介氏を招き、プロジェクトを推進する様々なスキルセットをインプットしてもらいました。8日間の現地期間では、議論と仮説検証のサイクルを加速させ、一人一人がチームのために最適な行動を判断し、実行していていくその光景に、震える様な熱量を再び感じることができました。
「妥協なき価値提供」のプロフェッショナルとしての品質基準と、現地起業家へ「彼らのために頑張りたい」という優しくも強い想いを、メンバー全員が持つことができ、熱量の高い痺れるようなプロジェクトになったと思います。
結果として、13期は確かな成果を生み出すことができたと感じています。LiD13期の提案は、SURI Lifestyleの経営戦略に実際に組み込まれ、さらに、参加者の熱量や想いを現地起業家にしっかり伝染させることができました。また、事業家の方からいただいた「今後みんなが、世界中で大活躍する本質をついたリーダーになれることを確信した」という言葉は、何物にも代えがたい成果であったと思います。
LiDの企画運営を通じて、このプログラムが、社会にとって非常に価値の高いプログラムであるということを再認識しました。「誰かのために、やりきる」という覚悟とその熱量は、参加者の進化、成長という文脈だけでなく、現地起業家、メンバーの周りの他の大学生などにも、優しさと挑戦の熱量を波及させていくということも実感できました。また、インターンとして、プログラムの改善を図り、より高度なプログラムへアップデートすることができたと自負しています。
このLiD運営というインターン業務を通じて、「本当に価値があると確信できるもの」に、本気でコミットメントする経験を積むことができました。この経験は、これから先、私の人生の土台となっていくようなものだったと感じています。
最後に、現在、新たにインターンを募集しています。ここに書いてきたように、very50のインターンは、大学生のうちから組織を背負って活動できる、とても挑戦的な環境です。学生であろうと、組織を担うひとりのメンバーとして色々なことを任され、スタッフやインターン、その他のメンバーとともに、世界を「オモシロク」していくために働くことを求められる環境です。そんな環境で挑戦を続けることで、きっと世界が一段と「オモシロク」見えてくるのではないでしょうか。そんな環境を欲している学生のみなさん、ぜひvery50の門を叩いてみてください。