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ユニファで働く多様なタレントを紹介するインタビュー。今回の登場者は、ユニファが最近公開した「マテリアリティ(重要課題)とその実現に向けた取り組み」の事務局として尽力した経営企画室の高野さんです。淡々とした語り口の中からも強い意思を感じる高野さんのスタンスや価値観は、どのようなキャリアを歩むなかで培われたのか、ぜひじっくりご覧ください。
高野亮(たかの・りょう) 経営企画室
2008年新卒で第一生命(現第一生命ホールディングス)に入社。中小企業の法人営業等を経験した後、人材育成の一環で13年より2年間JICA青年海外協力隊としてフィリピンに派遣。帰国後は東京本社や米ニューヨークにて海外事業に携わる。2022年1月ユニファへ入社。関西大学法学部、ペンシルバニア大学ウォートン校MBA卒。趣味は食べ歩きやゴルフなど。
これまでの人生と対極にある世界の中で感じたこと
‐「ビジネスを通じた社会課題の解決」が軸になったフィリピン駐在
もともと海外でビジネスすることに興味があり、それを前提に就活もしていました。“想定外”のことが起こるカオスな状況は嫌いじゃないですし、後で振り返った時に思い出話になるような、そんな経験が積める環境に身を置きたいと思っていたんです。
今でも自分の中の大きな転機になったと思うのが、20代で経験したフィリピン駐在です。会社の人材育成の一環で、JICAの青年海外協力隊員として、フィリピンのソルソゴン州ブラン町という小さな漁村に2年間派遣されていました。首都マニラから飛行機で1時間、さらにバスで3時間かかる辺境地で、もちろん日本人は一人もいません。ついでに、シャワーなしお湯なしで、虫だけがたくさんいるという、これまで経験した中で最も野性的な環境でした(笑)。
フィリピン駐在時代。手入れのしやすさから坊主にしていた
現地では、フィリピン中央銀行の支店と組み漁民家庭向けに金融リテラシー教育プログラムを実施したり、災害で心に傷を負った子ども達にぬいぐるみを寄付したりと、目の前で困っている人達に対してできることを模索しながら取り組んでいました。
自分が生まれ育った環境とは対極にある世界で2年間過ごし、貧困をすぐ目の前で見て感じたのは、社会課題を解決する上で寄付や慈善活動だけでは限界があり、ビジネスを通じて持続可能なサイクルを創っていくことの重要性でした。
‐“チャレンジしないことがリスク”。ウォートン校で培われたスタンス
フィリピンから日本へ帰国して念願だった海外事業に携わるなかで、幸運にも海外へMBA留学の機会を得ることができました。入学試験の一つにエッセイの執筆があり、なぜMBAなのか、MBAを取って何を成し遂げたいのかというお題に対する答えを考えるなかで、改めてビジネスを通じた社会課題の解決という軸がはっきりしてきました。でも、その時点で実は転職志向はあまりなかったんです。
他も見てみようと思ったのは、ビジネススクールで出会った友人達の影響が大きかったですね。卒業後当たり前のように転職したり、自分で起業する人が本当にたくさんいました。彼らと過ごすうちに、「同じ会社に所属し続けてどこまで社会へ貢献できるだろうか」「人生は一度きりなのに、挑戦しないことが寧ろリスクではないか」そんな風に思うようになりました。ビジネススクール卒業後はニューヨークで勤務していましたが、もっとダイレクトに社会課題の解決に寄与するビジネスの現場に行こうと考えるようになりました。
MBA留学時代、Learning Teamとしてともに学んだ友人たちと
新しい挑戦の場としてユニファを選択した理由
‐転職活動で大切にした3つの軸とユニファへ決めた理由
転職にあたり、「事業が社会課題の解決につながっていること」「一緒に働く人との相性・カルチャー」「具体的な仕事内容が面白そうか」の3つを重視していました。知人のネットワークを通じてユニファを知りましたが、日本の保育者が置かれている社会的な状況や保育現場における課題とそこに対するユニファの取り組みには共感できました。
今の上司を含めて経営企画室のメンバーとも全員でオンラインで話し、スキルの高さに加えてしっかり思いをもって取り組んでいたことも好印象でした。まだ成長途中であるビジネスのフェーズも、手触り感をもって経営に関わっていけそうだとワクワクしました。他にもオファーをいただいた会社がありましたが、最終的に最も挑戦しがいのある機会と仲間がいるユニファに決めました。
“ポーズだけ”の取り組みにはしたくなかった
‐現在の仕事内容とESG・マテリアリティについて
経営企画室での仕事は、近い将来のIPOへ向けた関連業務が多いです。特に最近は、ESG・マテリアリティ特定に関するプロジェクトの事務局として注力していました。
ESGとは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉で、企業が中長期的な成長に向けてこの3つの要素を経営に組み込んでいく流れが世界的に広まっています。私がアメリカにいた時も既にESG投資の盛り上がりを目の当たりにしていました。
一方で、正直なところ真剣に取り組む人もいれば、ただ資金を集めやすいから標榜しているところもあるなど賛否両論あるなという印象でした。だからこそ、ESGという型の上辺だけをなぞるようなものにはしたくなかったし、やるからにはしっかりと事業戦略に紐づけた実のある取り組みにしたいと思っていました。
ESG経営を推進していくにあたり最初のステップになるのが「マテリアリティ」の特定です。マテリアリティとは、会社として優先的に取り組む重要課題や目標といった意味合いで、事業経営においてはリソースの限界もあることから、ステークホルダーからの要請や期待と、企業における重要性を掛け合わせて特定していきます。
‐企業経営においてmustに近いbetterがマテリアリティだと思う
マテリアリティ特定のプロセスにおいて最も意義深く学びになったのは、ステークホルダーの声を直接聞けたことです。ユニファがサポートしている保育施設の園長先生や日本を代表する幼児教育の大家の方々、自治体関係者や株主、社外取締役やユニファ従業員まで20名以上の皆さんにお時間をいただきながら、ユニファへ期待することなどをじっくりと伺うことができ、理解が深まりました。
興味深いと思ったのが、例えばESGに精通している人が大切であるという観点が、別のステークホルダーに聞くと必ずしもユニファには期待することでなかったりと、ステークホルダー間でも重要性の認識が異なる項目があることです。
簡単なことではないですが、事業経営においてはある特定のステークホルダーからの要請に偏ることなく、高い次元で両輪を回すことを目指すのが大事なのだと思います。
究極をいうと、マテリアリティがなくても事業は回っていきますし、予算を策定している部署だからこそ分かりますが、利益を上げるためにどんな戦略だって取ろうと思えばできる。だけど、そうするといつの間にか様々な意思決定がブレていくし、それが積み重なるとパーパス(存在意義)すらも絵に描いた餅になる可能性だってある。
そう考えると、マテリアリティは限りなくmustに近く、あるとよりbetterな方向を照らしてくれる羅針盤のようなものだと捉えています。
従業員一人一人の納得感や共感を紡いでいきたい
‐マテリアリティと事業戦略につながりを持たせていく
今のフェーズは、会社として進むべき方向性を特定できたという意味で、スタート地点にある状況。これからそれを事業戦略やその先のパーパスへのつながり、各個人の目標や業務につながっていくことをしっかりと示していくことが大事だと思っています。
マテリアリティとその実現に向けた取り組みやモニタリングは中長期的なスパンで行っていくもの。だからこそ、従業員一人一人に理解して共感してもらわなければ継続していかないと思うのです。
今回事務局を担当してみて、誰か一部の特定の人だけで集まって決められたものではなく、様々なステークホルダーの期待と思いが込められているということを実感しています。だからこそ、その実現のために、ユニファで働く皆で歩みを進めていきたい。そのためのサポートをしていきたいという思いを強くしています。ユニファが社会課題の解決と経済性の両立を目指すソーシャルスタートアップとして社会から認めてもらえるように、微力ながら貢献していきたいですね。