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「売れ続ける仕組み」を作る。「The Model」の限界を突破するマーケティング部の挑戦

数々のベンチャー企業で組織の立ち上げや体制づくりに携わったのち、2021年、マーケティング部の部長としてスタディストに参画した近内健晃。

当時のスタディストは、事業が順調に成長する一方で、「The Model」型の分業体制を採用した多くの企業が直面する、ある「課題」を抱えていました。

マーケティングの本質は「売れ続ける仕組みを作ること」と語る近内さんが仕掛けた「大改革」とは、どんなものだったのでしょうか。成長期の組織でマーケターとして働く醍醐味についても、話を聞きました。

<プロフィール>
執行役員 CMO / Teachme Biz事業本部 マーケティング部長 近内 健晃
広告代理店等を経て事業会社のマーケターに転身。
ベンチャーを中心に、主にマーケティングやインサイドセールス組織の垂直立ち上げに従事。初期事業の急速立ち上げ、不振事業の立て直し、成長事業のグロースを実現。企業・非営利団体で300名以上のマーケター育成に携わり、現在も企業のマーケティング支援やマーケターへのコーチングに携わる。2021年2月に株式会社スタディストに参画。Teachme Biz事業本部 マーケティング部長として売れ続ける仕組みづくりに取り組む。2022年3月に執行役員CMOに就任。

(※写真は全て感染対策を実施し、撮影時のみマスクを外しています。)

マーケターとしての新たなチャレンジを求め、スタディストへ

ーー近内さんはマーケターとして、多くのベンチャー企業で組織の立ち上げや体制づくりに携わったご経験をお持ちです。なぜ、ベンチャーを中心にキャリアを築いてきたのでしょうか。

大きな会社では分業が進んでおり、どうしても一部の業務にしか関われない場合が多いです。私は、組織全体を見ながら本質的な問題解決をするためにやるべきことを柔軟にやりたいという思いが強いので、その機会が多いベンチャー企業での仕事にやりがいを感じます。

また、スピード感を持って仕事ができる点も、ベンチャーで働くことの大きな魅力です。

ーーベンチャー企業の中でも、スタディストを選んだ理由は?

1つには、マニュアルに関する「原体験」があります。これまでのキャリアの中で、業務の引き継ぎをする際、紙やWordで作られたマニュアルがわかりにくかったり、情報が古いままで使えないという経験が多々ありました。本来であれば業務の生産性を上げるためのツールであるはずなのに、そうなっていない。「マニュアルが変われば、業務の生産性が上がるのではないか」と考えていたとき、スタディストが提供するマニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」に出会ったのです。「このサービスなら、多くの組織が抱える問題を解決できそうだ」と具体的なイメージが湧きました。

2つ目に、マーケターとしてやりがいあるチャレンジができそうと感じたことです。私が入社した時期のスタディストは、「The Model」型の分業化されたビジネスプロセスを推進した結果、分業のメリットを享受すると同時に、分業ならではの課題に直面しているフェーズでした。組織をさらに成長させるため、体制を作り変える時期に差しかかっていたのです。

私は、ただリードを獲得することだけではなく「売れ続ける仕組み」を作ることがマーケティングだと考えています。現在のスタディストでなら、マーケティングの本質的な取り組みを、社内の他の部門と連携しながら行うことができると考えました。

「The Model」型の分業体制が直面する課題とは?

ーー「The Model」型分業の課題とは、具体的にどんなことなのでしょう。

「The Model」では、営業のプロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4段階に分け、役割分担をして業務を進めていきます。それぞれやるべきことが決まっているので効率的に仕事ができる反面、自分の領域のみを見がちになってしまい、部署ごとに「タコツボ化」が進むリスクがあります。

売れ続ける仕組みを作るためには、部門を横断して目標を共有し、連携しながらゴールに向かって進んでいくことが必要です。タコツボ化が進めば、組織の成長の足かせになってしまう可能性があるのです。

スタディストにかぎらず、SaaS系のビジネスモデルを導入しているベンチャーでは、同様の課題に直面する企業が多いのではないでしょうか。

ーー近内さんが入社したとき、スタディストはどんな状況だったのですか。

事業は順調に大きくなっているけれど、さらなる成長曲線のためにまだまだやれることはたくさんある状況でした。「部門間の連携に改善の余地があるのではないか」という課題感もそのひとつでした。社員にヒアリングを行い、スタディストに合った、より良い分業と連携のモデルを創り上げる必要があると考えました。

ただ、人に「変わりましょう」と言うだけでは、組織は変わりません。「REMODEL」というコンセプトを掲げ、まずは私が部長をつとめるマーケティング部から変わっていくことを宣言しました。リードを獲得するだけの組織からの卒業です。

(社内で展開しているREMODELのロゴです)

ーー具体的には、どんなふうに変えていったのでしょう。

まずは、意識改革から始める必要がありました。マーケティング部は、事業の成長に貢献する「チャンスメーカー」。リードの獲得はもちろん、他部門と連携してコンテンツやオペレーションを創り上げ、まずは、商談機会の最大化を目指しました。分業制が抱える負の要素を取り払い、他の部門の良きパートナーとして一緒に成長していく状態をつくるという目標をメンバーに伝え、マーケティングに対するスタンスを変えていきました。

メンバーの意識が変わるにつれ他部門とのコミュニケーションが生まれ、インサイドセールスとともに商談創出のための企画を立てたり、フィールドセールスとともに営業促進を狙ったコンテンツを作ったりと、他部門と連携する施策が生まれるようになりました。ただリード獲得をして終わりではなく、その後の転換率なども他部門と連携して改善していくことで事業の成長のために本質的な取り組みができるようになってきたと言えます。

もうひとつのポイントは、データを可視化することです。お互いに漠然とした感覚だけで話しても、議論が平行線をたどり、問題解決にはつながりません。その時々で手に入る根拠と仮説を持って、フラットな議論ができる環境をつくることを意識しました。「どのチャネルからの獲得が受注につながりやすいのか?」「どのようなセグメントが最も受注単価が高くなりやすいのか?」など、様々な切り口で分析ができるようになってきたので深い議論もできるようになってきました。

スタディストに合った「売れ続ける仕組み」をつくるための大改革

ーー事業が成長フェーズにあり、一定の成果も出ている中で、メンバーの意識を変えていくのは大変だったのでは?

本当に大変でした。「結果が出ているのに、どうしてそこまでやらなければならないのか」と考えるのは、ある意味当然だと思います。将来を見据え、売れ続ける仕組みを作ることの大切さについて、何度も繰り返し伝えていきました。その中でマーケティング部のメンバーだけでなく、マーケティング部以外の部署にも共感してくれるメンバーが増え、波が広がっていきました。実際に行動すると「いい方向に変われるんだ」と実感することができるので、各部門のキーパーソンを中心に変化が加速していったという印象です。

ーー近内さんの入社時と比べて、組織は変わりましたか。

かなり変わったと言ってくださる人は社内で多いです。私自身も入社時の印象と比べるとたしかに変わったなと実感することがあります。まず、メンバーが共通の目標を意識するようになることで、発言の内容や改善の視点、他の部門に対する働きかけ方が変わりました。さらにデータが可視化されたことにより、それを根拠にフラットかつ健全な議論が行われるようになってきました。部門の垣根を越えた会話が自然と生まれ、私が問題を指摘しなくとも、自ら問題に気づいたメンバーが積極的に動いて解決に乗り出す状態ができています。「近内さん、〇〇が課題だと思うのですが、もっとこうやっていいですか?」「もっとこんなチャレンジしたいです」という自発的な提案が初めてメンバーから出てきたときは、本当に嬉しかったです。泣きそうでした(笑)

組織が良い方向に変化していることが本当に嬉しいですし、スタディストに合った新たな分業と連携のモデルが、組織を成長させるエンジンになっていることを実感しています。

「顧客志向、ホールプロダクト、多様性」 スタディストの3つの強み

ーー現在のスタディストの強みは、どんな点にあると思いますか。

まず、顧客志向です。とことんお客様に向き合い、お客様の課題をどう解決するか、しっかりと考える姿勢が根づいていると思います。そもそもTeachme Bizという製品が、お客様の課題と向き合った結果、生まれたものです。

2つ目に、「ホールプロダクト」の一翼を担うコンサルティングサービスです。たとえ良いプロダクトを導入しても、適切な運用設計ができなかったり、そもそも人手が足りなかったりすることで効果的に成果に結びつけられないということはよくあります。そのような問題を解決するためにプロダクトだけでカバーできない領域は、スタディストのメンバーがご支援することで、お客様の課題解決につなげていきます。マニュアルに関する競合製品が増えてきていますが、「プロダクト+サービス」で総合的な価値提供ができる点は、なかなか真似できない強みだと考えます。プロダクトを売ってお終いではない、お客様の問題解決に本当に向き合っているからこそですね。

3つ目として、スタディストのメンバーが多様なバックグラウンドを持っていることを挙げたいです。マーケティング部はもちろん、会社全体を見ても、本当に多種多様なメンバーがいるんですよ。出身業界や、得意とする領域が多岐にわたるからこそ、多様な業種・業態のお客様に対して、実態に沿った具体的な提案ができるのだと思います。まだまだ改善すべきところも多いですが、よりしっかり価値提供ができる組織にこれからなっていこうとしています。

顧客志向とビジネス感覚のバランスをとりながら、マーケターとして成長する

ーー社内には、SaaS系ビジネスの経験がないメンバーも多いのですか?

そうですね。現在、マーケティング部には12名のメンバーがいますが、これまでSaaSに携わったことがなかった人が大半です。知っておかなければならない知識は、入社後、しっかりと学べる仕組みを整えています。出身業界に関係なく、それぞれの強みを生かして仕事に取り組んでいる印象です。私自身、BtoB領域でのマーケティングに15年携わってきましたし、SaaS領域でのキャリアも5年以上あります。私の知見などもお伝えしながら、未経験者でもご活躍いただけるようしっかりサポートしています。今後ご入社いただく方にも安心してチャレンジしていただきたいですね。

また、私は40代ですが、ほかのメンバーは皆30代以下です。和気あいあいとしつつも、熱い想いとプロ意識を持って切磋琢磨していく、たとえるならばスポーツチームのような雰囲気ですね。

ーースタディストのマーケティング部には、どんなマインドを持った人がフィットすると思いますか。

前提として、「売れ続ける仕組み」を作ることがマーケティングであるという考え方に共感していただける方であれば、やりがいを感じられると思います。

その上で、一人ひとりのお客様にしっかり向き合うこととビジネスの成長を両立するために、組織の中で自分がどう動くか、「全体最適」の視点を持って自ら動ける方にぜひ来ていただきたいですね。

Teachme Bizをはじめとするスタディストのサービスが広がれば、組織の生産性を上げ、多くの人がクリエイティブな仕事に集中する状態をつくることができます。「いいサービスを世の中に届けていきたい」という熱い想いと同時に、全体を見わたす冷静さを持っているかどうかということは、面接でお話するときにも大切にしている点です。

ーー最後に、マーケティング部が今チャレンジしていること、これから目指していきたいことを教えてください。

さらなる成長曲線を描くためにも、マーケティング部も、そして組織も変わり続けていかなくてはなりません。組織が成長するために解決しなくてはならない課題を自ら特定し、そのために変えるべきところを組織横断で変えられるプロフェッショナル集団を目指しています。最近はそのために必要な要素を5つの行動規範にまとめ、「飛翔五経(ひしょうごきょう)」と名付けて部内浸透を進めているところです。「次の成長曲線を描き飛び立つために必要な5つの行動規範」という意味ですね。それぞれのメンバーがプロフェッショナルとして自走できるようになったとき、組織は一段と大きく成長するでしょう。それが、事業成長のドライバーになるはずです。

(行動規範「飛翔五経」について)

今もすでに着手しはじめていますが、Teachme Bizが売れ続ける仕組みを作ることにとどまらず、スタディストが提供するさまざまなサービスを組み合わせ、世の中に広めていきたいと考えています。そうすることで組織の生産性向上に貢献し、多くの人がクリエイティブな仕事に集中できる世界につなげていきたいと思います。

他の部門と連携しながら、マーケターとして本質的な仕事に挑戦したい方にとって、これからのスタディストはどんどん面白い環境になっていきます。大変なこともあるかもしれませんが、仕事を通じて社会にインパクトを与えたい、スピード感を持って変わり続けたい、という意欲を持った方をお待ちしています!

(取材・執筆/高橋三保子)

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