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「グローバル展開と拠点設立を、私の在任中に実現したい」— SRA OSS代表が描く、OSSで世界を繋ぐ未来図
こんにちは!株式会社SRA OSS採用チームです。
今回は、弊社代表取締役社長 稲葉香理のインタビューをお届けします。
「グローバル展開と拠点設立を、私の在任中に実現したい」と語る稲葉。新卒でエンジニアとしてキャリアをスタートし、技術営業、マーケティング、事業統括を経て代表に就任した、まさにマルチキャリアの体現者です。
1998年のPostgreSQLとの出会いから始まり、OSSの普及に情熱を注いできた26年間。2024年のNTTデータグループ(現在の出資はNTTデータに変更)との資本業務提携を機に、念願だったミッションクリティカル領域への挑戦と、グローバル展開に向けた本格的な歩みを始めています。現在はまさに「第2創業期」とも呼べるフェーズで、新たな仲間を求めています。 技術者出身だからこそ分かる、エンジニアが本当に輝ける環境づくりへの想い、そしてOSSエコシステムを支える「橋渡し」としての使命について、率直に語ってもらいました。
ぜひご覧ください!
偶然の出会いが人生を変えた
—— PostgreSQLとの運命的な出会い
——まず、稲葉さんのキャリアの歩みについてお聞かせください。エンジニアとしてキャリアをスタートされ、どのような経緯でOSSの世界に深く関わることになったのでしょうか?
1998年に親会社のSRAに新卒で入社し、配属されたのが研究開発系の部門でした。その部門では、当時はまだ「オープンソースソフトウェア」という言葉ではなく、「フリーソフトウェア」という言葉が使われていましたが、OSSに関する研究・調査・一部顧客の案件支援などを行っていました。
OSSやフリーソフトウェアは社会的な知名度が高かったわけではなく、一部のマニアックな人は知っているけれど、みんな知っているわけでもないという状況でした。しかし、1998年に日本で初めて「Linuxカンファレンス」というイベントが開催されました。このイベントが大成功して、一気に社会的な認知が広がり始めたのです。
このころ、様々な会社でOSSに取り組む部門が立ち上がった時期で、SRAでも1999年に専門部署が立ち上がり、PostgreSQLのチームに配属されました。いわゆる事業における創業メンバーとして参加したのです。
——その後、純粋なエンジニアリングだけでなく「OSSをもっと知ってもらいたい」という思いからマーケティングを兼務されています。その背景には、どのような課題感や原体験があったのでしょうか?
技術者として入社し、オープンソースの技術をお客様にお伝えする活動をしていたのですが、お客様側の認知と私たちから見ているオープンソースの価値にギャップがあるなと感じるようになったんです。
私たちは日頃から最新のOSS技術を調査し、その使い方、価値、適用領域を知っていただきたいと思って活動していましたが、お客様との間に結構大きなギャップがあって。「このくらいまでしか使えないでしょう」と感じられているお客様がとても多いと感じていました。
OSSの開発コミュニティは、そのソフトウェアを開発するのが主たる活動で、プロモーションなどは体制が整っていないことがあります。それゆえ、ユーザのみなさんに情報がいきわたっていない、そんな風に感じました。少しずつ、開発者が作った優れたソフトウェア、またそこにかかわる優秀な技術者の技術を、お客様に正しく認知していただきたいという思いが強くなり、マーケティングのポジションを作って欲しいと上司にお願いして、やらせていただけることになりました。
「絶対に役は回ってこない」と思っていた
—— グループ初の女性社長が語る就任の真実
——数ある技術領域の中で、なぜ「OSSの専門家集団」という道を歩むことを決意されたのでしょうか?
設立の母体となっているSRAは、独立系のSIerです。そのため、扱う技術に制約がなく、新しいもの好きな雰囲気のある会社です。日本で初めてインターネットが導入された時に関わっていたのがSRAの社員だったり、Linuxの前身であるUNIXが出てきた時に、日本で初めての導入に関わったのがSRAだったりします。
その流れでオープンソースも、新しいソフトウェアが出ているみたいな感じで研究開発の一環としてやっていたと認識しています。
——稲葉さんは、事業責任者時代にMBAを取得されています。なぜ代表に就任されることになったのでしょうか?
私自身は社長になりたいと思ってMBAを取得したわけでも、仕事をしてきたわけでもないんです(笑)。MBAは我流でやってきたマーケティングを体系的に学びたいと思ったのと、技術者とマーケティングを兼任してトータル10年ぐらいやってきた辺りで、前社長から「営業と技術の統括をやってみたらどうか」という話をもらって、それならば、MBAで経営全般を学ぶことが実務にも役立つのではと考えたためです。
社長になったのは前社長が親会社へ推薦してくださったのがきっかけです。グループの中で女性の社長は初めてですし、40代の社長就任はないだろうとも思っていたので想定外でした。正直言うと、推薦していただいていても「絶対に役は回ってこないだろう」とずっと思っていました(笑)。しかし、準備期間を十分に設けていただけたこともあり、着実に経営に対する理解を深めることができました。
準備期間中はそれほど重圧を感じていなかったんですが、いざ就任すると、意思決定において重圧を感じることはありました。しかし、前社長が顧問として残ってくださっているので、何かあれば相談できる環境があります。
むしろ外部からの出資が入ったことが、社長を引き継いだことよりも良い意味での緊張感や変化は大きいと感じています。
「やりたかった領域に手が届く大チャンス」
— NTTデータが提供してくれた20年越しの機会
その外部出資というのが、2024年のNTTデータグループ(現在の出資はNTTデータに変更)との資本業務提携でした。この提携は、SRA OSSにとって戦略的な転換点となったのです。
——2024年のNTTデータグループ様との資本業務提携は、会社にとって大きな決断だったと拝察します。この提携を決断された背景と狙いについて教えてください。
1999年から20年以上取り組んできたOSSビジネスは着実に成長はしていましたが、課題だと感じていたのが利用分野でした。OSSの発展はインターネットの普及とともに成長してきたところがあって、使われている分野がウェブサービスを中心に拡大してきました。
一方で、金融などのミッションクリティカルな領域では、比較的OSSの採用が少なかったのです。逆に言うと、この業界にも活用していただけることが、OSSがどの領域でも使われるということの証明になると考えていて、私はずっと「どうしたらミッションクリティカルな領域にオープンソースを使っていただけるだろうか」と考えていました。
ただ、我々の力だけではそもそも接点をもつことや、継続的にアプローチし続けることにも体制上の課題もあり、具体的な解決方法を見いだせずにいました。
一方でNTTデータグループには、OSS技術を専門で取り扱う部署があり、金融や公共などの大規模案件で、オープンソース活用を推進されています。今回の提携により、チャレンジしたかった領域に手が届く大チャンスだと思いました。また、OSSのコミュニティ活動等を通じて、昔から技術者同士の交流があった点も決め手になりました。
——この連携によって、SRA OSSの事業やお客様への提供価値は、これからどのように進化していくとお考えですか?
ちょうど提携から一年がたち、少しずつ変化が体感として感じられるようになってきています。一番はミッションクリティカルな案件への解像度があがったことです。シンプルに言うと「ミスの許されない世界」という感じです。
我々は高品質なサービスを提供しているつもりですが、まだまだ技術も高められる余地があるし、高品質なサービスをより安定して提供することにも向上の余地があるということが見えてきました。そういう領域のお客様に安心して利用していただけるように、サービスのレベルや品質を向上させるべく、技術力向上やオペレーションの改善に取り組んでいます。
海外からの感謝メールに感動
—— 「何かを買ってくれるより嬉しい」瞬間とは
——稲葉さんが考える、SRA OSSが社会や顧客に対して提供している「本質的な価値」とは何でしょうか?
OSSで事業を展開することで、お客様には安心してオープンソースを活用していただけていると思います。一方で私たちは、お客様にサービス提供をするだけではなく、そこから得られた知見やノウハウ、お客様の要望を開発コミュニティの方にフィードバックする活動も行っています。
開発コミュニティへのフィードバックによりソフトウェアが成長し、お客様が選択する、それを私たちのサービスによりお客様が安心して活用する —— 社会の一員として、このエコシステムを回していくところに貢献できている。ユーザーと開発コミュニティを繋ぐ橋渡しに微力ながら貢献できているのでは思っています。
——これまでで最も「SRA OSSが社会の役に立った」と実感されたプロジェクトや出来事があれば教えてください。
私たちは、自社開発のオープンソースのソフトウェアもいくつか公開しています。オープンソースなので、いつ誰がどんな風に利用しているのか分からないことが多いんですが、たまに海外のユーザーさんから「あなた方が公開してくれたこのソフトウェアによって、私たちのサービスがすごくうまく回っています」「開発してくれてありがとう」みたいなメールが来るんです。
調べてみると、日本ではあまり知られていないけど、その国の大きい会社だったりすることもあって、そういうメールをもらえた時「やっていて良かったな」って思いますね。特に開発しているエンジニアは、そういうメールを見たらすごく嬉しいと思うんです。
「エンジニアが夜中に働くのをやめたい」
—— 10年以上温めてきたグローバル展開の本気度
——「金融」「ミッションクリティカル」といった領域への挑戦が始まっていますが、その先に見据えているSRA OSSの「未来の姿」について、稲葉さんのビジョンをお聞かせください。
実は10年以上前からずっと実現したいと思っているんですが、24時間365日のサポートを海外拠点にも展開し、グローバル体制を構築することです。これを実現している企業はグローバルで見れば数多くありますが、私たちは日本企業なので、日本語での高品質な対応にこだわり、さらに英語や新拠点の言語をカバーできたらと考えています。現在でも24時間365日のサポートを提供していますが、日本拠点のみなので、限定的ではあるものの夜間や休日に仕事をするエンジニアがいるので、エンジニアのワークライフバランスを整えながら、より企業として成長していきたいです。
それから、元々取り組んでいるものがオープンソースで、グローバルで多様性のある世界が身近にあるので、社員もグローバル化したいと思っています。外国人社員は今は一割ほどですが、増やして多様性をとりいれたいと考えています。
最終的には、販売の市場をグローバルにも広げたいと考えています。そのためにも、24時間365日のグローバル体制のサポートは必須だと考えています。
——心が折れそうになることもあると思いますが、どのように回復されていますか?
行き詰ったり、悩んだりしたときは、壁打ちしてくれる相手がいると気持ちが楽になったり思考が整理できて、また前向きな気持ちを取り戻せると感じています。以前は、前社長を捕まえては話を聞いてもらっていましたが、さすがに顧問として残ってくださっているとは言え、申し訳ない気持ちがあるので、最近はもっぱらAIと会話していますが(笑)、コーチングに興味を持っています。
気晴らしとしては、美味しいものを食べたり、筋肉痛になるくらい身体を動かしまくる(笑)。あとは、新たな展開を考えたいとき、インスピレーションを求めている場合には、OSSイベントに参加するんです。国内、海外問わず参加し、グローバルの動向をみて、ちょっと日本と違うなとか、新たな刺激をもらって「やっぱりグローバルで勝負したい」というポジティブな気持ちを取り戻すようにしています。
「技術力が高い」と褒められる秘密
—— 言葉にしなくても伝わる技術者文化の力
——彭さんや赤松さんのような、技術への探究心が旺盛なエンジニアが育ち、長く活躍できるのはなぜでしょうか。稲葉さんが考える、SRA OSSならではの組織文化や環境の強みについて教えてください。
これは環境作りというよりも、我々の文化に近いかなという感じがします。元々独立系で扱う技術に制約がなくて、みんな好きなものを探してきて調べてみるという会社なんです。
OSSだとソースコードも見られるから、興味があればどんどん中を深く探求することができる。そういう人たちが多くいるし、自然とそういう人たちが集まってくる会社だと思います。
また、お客様に提供する上で、自分たちがお客様よりもそのオープンソースについてプロフェッショナルでなければいけないという意識を、いい意味でのプレッシャーとしてみんな持ってくれています。技術を磨き続けることが大切だということを、言葉で言わなくてもみんな理解してくれているのが、我々の文化としての強みだと思っています。
——稲葉さんご自身も、技術者が経営を学ぶことの重要性を体現されています。社員の学び・成長をどのように支援していきたいとお考えですか?
人にもよるかもしれませんが、私自身はマルチキャリアにトライしたことがプラスに働いていると思っています、様々な角度から物事を見られるようになる、考えられるようになるのは強みになると思います。
当社も2、3割ぐらいの人が、技術×マーケ、技術×人事、システム開発×サポート、コンサルティング×サポートなどマルチキャリアを辿っています。もちろん、1つの仕事に専門的に取り組むことが向いている人もいます。その人のタイプに合わせてキャリア形成の支援をしていますが、個人的には色々な経験を自ら進んでしてもらいたいと考えています。そのため、新しいことにトライする時や新しいポジションを作る時に、現在の職掌にこだわらず全社的に希望者を募ることもあります。
理想は「旅をしながら仕事」
—— オフィス回帰と真逆を行く働き方改革の本音
——代表として、社員が働く環境において最も大切にされていることは何ですか?
どの人でも長い人生の中でライフスタイルの変化があると思っています。今ものすごく仕事を頑張りたいという時期と、子供が生まれて小さいので家庭生活中心にしながら、少しずつスキルを磨いていきたいと思っている時期とか。ライフスタイルの変化に対応しながら、成長できたり、意欲を持ち続けられるようにしたいと思っています。
あとはグローバル展開の話にも通ずるのですが、多様性はあるに越したことはないと思っているので、フルタイムで働く、時短で働く、契約社員で働く、副業もする、外国の人もいる、違う時間帯で仕事をしている人もいる —— 多様性が増すほど、そこで起きる課題を乗り越えた先に強い組織になれると思っています。
——実際に働き方の部分で変えた部分はありますか?
コロナのタイミングで在宅がどの企業でも導入されものの、最近はオフィス回帰になっている会社もあるそうですが、私自身はオフィス回帰思考はありません。現在は、完全にフルリモートの社員もいます。たまに驚かれるのは、営業部長が地方在住なことですね。でも不便を感じたことはありません。一方で、直接のコミュニケーションが減るのは事実なので、研修、合宿、パーティーなど、直接の業務から離れたイベントの機会を増やしています。
私の理想は、会社でもなく、場合によっては家でもなく、旅しながら仕事ができる・・そんな環境を作ってみたいという気持ちがあります(笑)。
第2創業期の今だからこそ求める人材
—— 「やりたいこと」「挑戦心」「未来志向」の3条件
——会社の重要なフェーズを、どのような方と一緒に乗り越えていきたいですか?スキルセット以上に、マインドや価値観で求めることを3つ挙げるとしたら何でしょうか。
確かに代も変わって、新たな出資も入って、オーガニックな成長から、1段成長スピードを上げようという期待が大きくなっているタイミングです。私もグローバルの体制を作る以外にも、やりたいことがたくさんあるんです。
それを一緒に実現できる人と働きたくて、そういう方のマインドや価値観で言うと、自分のやりたいことをちゃんと持っている人、それから失敗を恐れずに「とりあえずやってみます」というマインドを持っている人、そして未来志向で前向きな人ですね。
未来へのビジョンがあるから今大変でも頑張れるという思考を持っている人とだと、きっと楽しい未来が作れるのではと思っています。
——候補者の方がSRA OSSに入社することで得られる「最高の経験」や「キャリアにおける価値」は何だとお考えですか?
まずはスキルが磨けることですね。専門的な経験を積める案件の機会が用意されています。お客様には、「技術力が高く、依頼して良かった」とお声をいただくことも多く、市場で通用する専門的で高度なスキルを身に着けられると確信しています。
あとは、エンジニアの知名度向上です。オープンソースのオープンな世界を体現すべくイベントへの参加、講演、TechBlogや書籍の執筆、オープンソースコミュニティへの参加支援などを通じてエンジニア自身のプロモーションをしています。SRA OSSのこの人は何が得意ということが対外的に認知され知名度が向上することは、エンジニアのやりがいにもつながると思っています。
「ちょっと気になったらお話しましょう!」
—— 代表が語るOSS愛と情熱の世界
——最後に、この記事を読んでSRA OSSに興味を持ってくれた候補者へ、稲葉さんからメッセージをお願いします。
少しでも興味をいただけたら、お話しましょう!
私は「OSSのように、オープンで情熱的であれ」というフレーズが気に入っています。OSSの世界は誰でも参加できるオープンなコミュニティで、オープンなマインドがすごく重要だと思っています。技術者でも伸びる人は、どんどん外に出ていって積極的に活動していく人です。
また、OSSの開発に取り組んでいるエンジニアは、仕事だからというより好きだからやっているという人がとても多いんです。情熱がないと継続できないし、継続しにくい。だから自分でどんどん世界を広げられるようなオープンなマインドを持っていて、情熱を持っているような人であれば、OSSの世界や当社は楽しく活動できる場所だと思っています。
そういう方々に我々の会社に入っていただくと、きっと楽しく過ごせるんじゃないかなと思います。
いかがでしたか?
インタビューを通じて強く感じたのは、代表の「技術者が輝ける環境を作りたい」という純粋な想いです。自身は技術を突き詰めるタイプではないと謙遜されながらも、優秀なエンジニアの価値を正しく社会に伝えたいという情熱は、社員時代から一貫して変わりません。
NTTデータとの提携により、いよいよミッションクリティカル領域への本格参入を果たし、念願のグローバル展開への道筋も見えてきました。第2創業期とも呼べる今のフェーズで、共に大きな夢を実現したいという方にとって、これ以上ないタイミングかもしれません。