Salesforceには、技術的観点から、Salesforce製品をお客様に提案するソリューションエンジニア(以下、SE)という職種があります。彼らが所属するソリューション・エンジニアリング統括本部には、商談に直接関与し提案資料の作成やデモンストレーションを担当するSEのほか、特定のインダストリーや製品機能に強みを持つスペシャリストSE、さらに高度な知見を持つビジネス、テクノロジーのプロが在籍。状況に応じてチームを組み、お客様の多種多様なご要望にお応えしています。
今回紹介するのは、お客様のデジタルトランスフォーメーションの本質的価値を捉え、提案内容に奥行きと深みを与える2人。ビジネスとテクノロジーの観点からお客様のSalesforce Customer 360を完成させる最後のピースを埋めるプロフェッショナルの仕事を紹介します。
ソリューション・エンジニアリング統括本部
インダストリー・バリュー・セリング事業本部
Business Value Services ディレクター
山本康史
システムインテグレーター、SAP導入コンサル会社、SAPJapanを経て、2015年10月にSalesforceに入社。入社後はデザイン思考や価値訴求の専門コンサルタントとして大型商談や戦略顧客向けの提案活動に従事。B2B、B2C両方の幅広いお客様向けにインタビューやワークショップを実施し、最終提案における提案骨子の洗練や効果算定を作成。就職活動支援ボランティアや学生主催のビジネスコンテストのメンターとしても活動。
ソリューション・エンジニアリング統括本部
Cloud Specialist & Architect本部
Certified Principal Technical Architect
針原 英克
外資系IT企業において、ミドルウェア製品のプリセールス・リーダー、エンタープライズ・アーキテクトに従事。2017年7月、Salesforceに入社。Platform Specialistとして大手顧客や戦略プロジェクトを技術面より支える傍ら、新規ソリューションであるMuleSoftの日本立ち上げをサポート。2020年よりTechnical Architectとして、ハイブリッド・クラウド、マイクロサービス・アーキテクチャ、AI/アナリティクス等のテクノロジー活用を提案し、顧客ITアーキテクチャの近代化・最適化をご支援するアドバイザリ業務に従事。
多様な製品群を再定義しビジネス価値に転換する仕事
——お2人はソリューション・エンジニアリング統括本部でどのようなお仕事を担当しているのですか?
山本 お客様のなかでも、とりわけ複雑な課題をお持ちの大手企業に対し、Salesforce製品を活用した企業変革を提案する仕事に携わっています。具体的には、お客様の経営層やマネジメント層の方々と関心毎に合わせた議論やヒアリングを重ねながら信頼関係を構築。現在抱えている課題の本質を捉え、Salesforce製品の効果的な活用を提案する仕事です。お客様の成功に貢献するため、中長期的なビジネス戦略を踏まえた上で、アカウントエグゼクティブ(外勤営業)やSEの協力を得ながらソリューション提案までつなげる役割を負っています。ビジネスコンサルタントとプリセールスを兼ね備えた仕事といえば、イメージがつきやすいかも知れません。
針原 私はお客様が抱えている既存のIT資産とSalesforce製品をいかに組み合わせれば理想的なIT戦略を実現できるのか、アーキテクトの目線で提案する仕事に携わっています。お客様はすでに多数のIT資産を利用されています。私たちアーキテクトは、CIO、システム部門の責任者やマネージャークラスの方々と議論を重ね、IT戦略や複雑なシステム環境を紐解き、Salesforceを含む企業ITアーキテクチャの最適解をお客様に提案することを最大のミッションにしています。
——なぜ、お2人のような役回りが必要なのでしょうか?
山本 Salesforceが提供するのは、CRMを中心としたクラウドアプリケーションですが、お客様が求めているのは、経営課題・ビジネス課題解決を通じたビジネス目標の達成です。とりわけ複雑な事業環境と巨大な組織構造を持っている大企業においては、たった1つのソリューションの導入で、すべての課題が片付いてしまうような単純さは皆無です。そのため、オーケストラの指揮者のように大所高所に立って、お客様のビジネスを深いレベルで理解し、かつ具体的なソリューションにつなげる役割が求められているからです。
針原 テクノロジーの面でも同じことがいえます。お客様のニーズが多様化、複雑化するなか、Salesforceも、これまで多くの新製品を開発するだけでなく、事業買収を通じてソリューションのラインナップを拡充させてきました。選択肢の多さはお客様の課題にピンポイントで対処できる可能性が高まる一方、何をどう組み合わせるべきか、判断に迷う局面も増えてきます。システム構造やデータ構造も複雑化するなか、他社製品やレガシーテクノロジー含む既存IT資産との組み合わせを考慮に入れ、現実解を導くためには、IT業界の歴史やトレンドを理解している存在が不可欠です。私たちテクニカルアーキテクトが求められる理由もそこにあります。
山本 もちろんアカウントエグゼクティブやSEも幅広い知見を得るために日々努力を重ねていますが、忙しい毎日のなかであらゆる可能性を検討し、提案につなげるのは至難の業です。私たちのような専門職の介在によって、お客様に価値を届けやすくし一緒に働くことによって知見の共有もスムーズになる。これも私たちのような存在が求められている理由です。
針原 テクノロジーもビジネス同様、複雑さを増しており、変化のスピードも増しています。弊社が長年提唱してきた、「Salesforce Customer 360」の概念も、製品やソリューションの拡充によってお客様の認知も上がるなか、俯瞰的に解決策を提示できるポジションが必要なんです。
プロフェッショナルファームに比類する使命とやりがい
——大企業の経営層やマネジメント層の方々とお話しする機会があるそうですが、どのようなテーマが話題に上ることが多いですか?
山本 業種ごとにテーマは異なりますが、製造業を例に挙げると、最近は「モノづくり」から「コトづくり」への移行をどのように進めるべきかについて、議論になる場面が増えました。優れた機能を提供すればおのずとモノが売れた時代は終わり、製造業も製品の売り切りから、体験価値の提供を重視すべき時代に変わりつつあります。データを活用したデジタルマーケティングや直販と販社の棲み分けについて、関心を示すお客様は確実に増えている印象です。
針原 私の担当領域でお話しすると、数十年にわたって使い続けてこられたレガシーテクノロジーをいかにモダンなアーキテクチャに移行させるべきか、頭を悩ませているお客様が増えています。既存のシステムを捨て、クラウド上に新たなシステムを構築し直すべきというのは、ある意味正論ですが、必ずしも最適な選択とはいえません。既存のシステムと折り合いをつけながら、お客様に最新のソリューションがもたらすメリットを享受していただくにはどうしたらいいか知恵を絞るのが私たちの役割。複数のデータベースを仮想的に一元管理する方式や、複数クラウドサービスをAPIやマイクロサービスを活用しビジネスに追随しやすいアーキテクチャに変革するといった具体的な提案が求められています。
——複雑な事情がからむ問題を整理し、具体的なソリューションへと導き出すのは容易ではありません。それだけに成果につながった時の達成感も大きそうです。お2人はどのような点にやりがいを感じますか?
山本 大企業のお客様を対象とするケースが多いこともあり、課題の大きさ、複雑さに比例して解決につながった時の喜びは大きく感じるのは確かです。ただ、解決に至る過程で、硬直化した業務や組織を何とか変えたいという熱い思いを持った方々とご一緒できることに、私自身は大きなやりがいを感じます。新規のお客様の場合、関係性がまったくないところから信頼関係を醸成していかなければならない難しさがありますが、お互い胸襟を開いて語り合える関係が築けた時はやはり嬉しいです。
針原 私はCTO、CIOとの議論を通じて、企業のトップの意思決定に触れる機会が多いのはこの仕事ならではの面白さだと感じます。アーキテクトという仕事柄、テクノロジーに関する最新知識やSalesforceのソリューションについて、誰よりも深い見識を持つことを求められますが、最適なアーキテクチャはビジネス抜きには語れません。最新テクノロジーを軸足におきつつ、ビジネスのあり方についても学ぶ機会があるのは、この仕事で得られる大きなやりがいだと思います。
山本 私たちの仕事は、プロフェッショナルファームに所属するビジネスコンサルタントやITコンサルタントに近しい面がある一方、プリセールスとしてSalesforceの提案につなげていく立場という意味で、彼らとは一線を画します。課題の発見から、自分たちが信じている確かなソリューションをお届けするところまで、責任を持って担当できるのは、ソリューションベンダーでしか得られないやりがいです。
針原 同感です。エグゼクティブの方々が何に関心をもっているのか、どんな課題があるのかを踏まえた上で、自社にそれに応えるソリューションがあるのは、とても心強いものです。情報は日本に限らずグローバルに開かれているので、アンテナを高く掲げていればいち早く最先端のソリューションをお客様に展開できるのも、Salesforceならではの環境です。
経験と知見に富んだプロにしか埋められないピースがある
—— お2人にとって、ご自身の役割の価値はどこにあると考えますか?
山本 私たちは、Salesforce製品に関心を寄せていただいているお客様に、商談を通じて相対し、厚みのあるソリューションをお届けする立場です。Salesforceは、クラウドベースのサービスを提供するだけでなく、自らもそれを利用し成長している強みを持つ希有な存在でもある。プロとして期待されているものはとても大きいものを感じます。
針原 お客様にまつわる情報をさまざまな業務で活用し、エンドユーザーに継ぎ目のないサービスをお届けするため、常に最適なデータアーキテクチャ/システムアーキテクチャの提案が期待されています。プロとしての見識の高さが求められるのはいうまでもありません。「Salesforce Customer 360」を実現する、製品やソリューションの完成度が高まるなか、商談成立に向けた最後のピースを埋めるのが私たちの役割。製品の機能だけを訴求するだけでは賄えない、お客様のビジネス戦略、IT戦略にアラインできる人材がいるからこそ可能になる提案がある。それを実現していくのが私たちの使命です。
—— 優れたSEに必要な条件を聞かせてください。
山本 基本的な能力として3つの力が求められます。1つ目がインダストリーの知識、2つ目がコンサルティングワーク、3つ目がソリューションに対する理解です。この3つの能力を束ねるのがチームワークと顧客志向であり、これらをバランスよく兼ね備えている人が求められています。Salesforceは、職種を問わず、SIerやソフトウェアベンダー、プロフェッショナルファームでの経験を活かしたいと思う方にチャンスが多い会社です。
針原 アーキテクトのポジションは、社内のSEのキャリアパスの1つであり、また外部からのチャレンジを受け入れるチャンスももちろんあります。ビジネス、テクノロジー、ソリューションについての知識や経験を高いレベルで統合し、複雑な課題と向き合いたい方、大企業の経営層にアプローチしたい方にとっては、非常にやりがいのあるキャリアパスといえるでしょう。Salesforceには、素養ある若手や経験豊富なシニアなメンバーがともに学び合う豊かな環境があります。信頼できる製品と豊富な事例、そしてスピード感のあるエキサイティングなキャリア構築を求めている方にぜひお勧めしたい職場です。
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