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写真:プラスディーでは、“人や企業の営みのすべてが、デザインの対象であり得る”という考えから、2021年9月より、社員全員が「X Designer」として自身の肩書を定義した。対象には、ディレクターやエンジニアなどのクリエイティブ職はもちろん、広報や経理などのバックオフィス職も含まれる。全員がデザイナーを名乗ることで、社内外にどんな変化が生まれるのか当事者である社員へのインタビューから明らかにしていく。
今回インタビューするのは2021年に新卒として入社した、プロデューサー / プランナーの鍋谷美月。新卒1年目の彼女にインタビューを行ってから2年が経ち、今年新卒3年目になる彼女に改めてプラスディーでの働き方と「Angel Pass Designer」を名乗る理由を聞いた。西田優太
profile鍋谷 美月:ディレクター「Angel Pass Designer」
小学4年からチアを始め、大学1年次は埼玉西武ライオンズ、大学2年次は横浜F・マリノスのチアリーダーとして活動。チアリーダーの価値や、可能性をより広げる事にやりがいを感じた経験から、多角的な視点で、本質的な価値を追求していくプラスディーに興味を持つ。2021年新卒入社。
趣味は横浜F・マリノスへの課金(1着2万円のユニフォームをワンシーズンで3枚購入)。ホームの試合はほぼ毎試合スタジアムに足を運ぶ。自身でもフットサルに参加し、女子サッカーマガジンのTwitter運用や選手インタビュー等も務める程、サッカーに染まってきている日々。
札幌出身のどさんこ。立教大学経営学部国際経営学科卒。
お客様を営業さんにつなぐエンジェルパス
――前回は新卒1年目の業務として、オープンハウスグループ(以下OHG)のマンション事業のInstagram運用に始まり、自主的な企画提案を起点に広告制作の企画・ディレクション、Webサイトの改善など担当範囲が広がったことを話されていました。2年目、3年目の業務について詳しく教えてください。
2年目から、マーケティング部の事業推進グループに配属になり、名古屋エリアのマンション事業を担当するようになりました。
事業担当の業務は、ざっくりいうと「営業部と連携し、多くのお客さまに納得してマンションを購入いただくためになんでもやる」仕事です。
具体的には、お客さまとの最初のタッチポイントとなる広告クリエイティブの考案や、サイト改善の施策提案、来場を促すリードナーチャリング施策の実施など、幅広い領域の業務を担当しています。どんな方がマンションを購入されているのか?マンションのどんなところが魅力なのか?などを理解するために、営業さんが接客している様子を見させていただいたり、実際に営業活動を体験させていただいたりもしました。
今年、3年目になったタイミングで、マーケティング部で自分の上司にあたる方が部署異動になり、名古屋マンションに加え首都圏のマンションも担当することになりました。
自分が主担当として業務を進めなければいけないことはもちろん、マーケティング部の中で誰よりもマンション事業に詳しく、マンション事業部(営業部)に対してはマーケティングに一番詳しい人間でなければならないと、大きなプレッシャーや不安がありました。ただ、新しい仕事ができる、責任の大きい仕事ができるという嬉しさのほうが大きく、チャンスをもらえたという気持ちが9割でした。
そんなポジティブ思考だからか、はたまた負けず嫌いだからか、覚えることもやることも山ほどある中で、「前担当者がしていたことはできて当たり前。鍋谷が提供できる価値は何か?」を常に考えています。
「担当になってまだ間もないからできないのは仕方ない」「前任の〇〇さんのほうがよかった」とは、絶対に思われないように日々食らいついています。前担当者が安心して次の仕事に没頭でき、今の上司にも鍋谷になら任せて大丈夫と思ってもらえるようにもっともっと成長していきたいです。
――具体的な施策内容を教えてください。
例えば広告クリエイティブとサイト改善の連携です。
サイトから得たデータを元にしてお客さまが気になっていることや、住まい探しで求めていることなどを分析し、広告クリエイティブの制作に活かしています。これらは、1、2年目で行った広告クリエイティブのディレクション経験、そして今メインで行っている事業担当の経験の両方がある自分だからこそできることだと思っています。
また、施策を検討するうえで「事業成長に寄与できるかどうか」を意識しています。マンション事業部にとっての「事業成長」に必要なことは、「マンションを売ること」ですが、営業ではない自分が直接的にマンションを売ることはできません。
ただ、お客さまに「オープンハウスでマンションを購入したい」と思っていただくこと、そしてそんなお客さまを営業さんにつなぐパスをすることはできます。どれだけお客さまの購入意欲を高められるか、どれだけゴールに近い場所で営業さんにパスを渡せるかということを考えながら、各施策の設計を行っています。
――1年目の頃と比べて仕事で変化したことはありますか?
1年目の頃は、自分が何かを判断したり決定したりすることはなかったのですが、今は自分がその立場になることが増えたというのは大きな変化かもしれません。
立場が変わってきて、自分の判断で物事が進んでいくことの怖さや責任を感じるようになりました。だからこそ、その企画でお客さまの心は本当に動くのか、費用対効果に見合うのか、営業や他関係者の手間にならないかなど、複数の視点で企画の良し悪しを判断したうえで、提案を行うことを強く意識しています。
ただ、「仕事を全力で楽しむ」という気持ちは一年目の頃から変わりません。
本気で一人一人に向き合ってくれる会社
――プラスディーへ入社した理由を教えてください。
入社の決め手は2つあります。
1つ目は、「仕事とプライベートの境目がなく、幅広い仕事ができそうだ」と思ったからです。
オンとオフをはっきり分けたいという人が多いようですが、私は逆で常にアンテナを張った状態でいるのが理想なんです。だから、色んなことに触れて、色んなことを知ることができそうなプラスディーに入社を決めました。
実際に働きはじめて、仕事と私生活がいい影響を与え合っているなと感じることがたくさんあります。例えば、私はあるサッカーチームの大ファンなんですが、そのことが1年目のときに行っていたSNS運用の仕事に活きました。OHGはプロスポーツチームをスポンサードしているので、チームに関する投稿やキャンペーンをすることがあります。そのとき、どんな内容にしたらファンの方がOHGに好感を抱いてくれるのか、自分自身がスポーツファンだからこそリアルに想像できます。
反対に、仕事を通して得たビジネス視点やマーケティング視点のおかげで、サッカーのクラブ運営をより深く考察できるようにもなりました。
オンとオフが混ざり合うことで、どちらもより楽しくなっていると感じます。といっても、全員が全員そうではなく、オンオフのメリハリを付けた働き方をしている人もいるんですけどね。
2つ目の理由は、「チーム一人一人を尊重するフラットな環境」に魅力を感じたからです。
学生時代、チアをやっていたのですが、年齢や入った順番は関係なく、お互いのために教え合い、意見を言い合えるフラットな環境が好きでした。自分が後輩でも、得意なことは先輩に教える。反対に苦手なことは、それが得意な後輩に教えてもらう。忖度なく、アウトプットのクオリティを高めることに集中できる関係性は自分に合っていました。当時のチームのように上下関係を気にせず意見を言い合える環境に身を置きたくて、会社選びの軸の1つに据えていました。
プラスディーの面接は、他の企業と違って、優しく話を聞いてくれるだけでなく、間違っているところや私の弱い部分を指摘してくれて、本気で一人一人に向き合ってくれる会社なんだと感じたのを覚えています。その場限りではなく、その後に活きる気づきを与えてくれる面接でした。
この2点から、自分の特性に合った会社だと感じ、入社を決意しました。
――鍋谷さんはインターン生として入社前からプラスディーで業務を行っていましたが、インターンはどうでしたか?
できるだけ早くプラスディーで仕事をしたくて、2ヶ月半と期間は短いですが、インターンをさせてもらいました。
業務としては、今やっているのと同じ仕事を当時からいくつか任せてもらっていました。例えば、OHGの戸建て事業のInstagramの運用や、OHGがスポンサードするプロバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」についてのリサーチなど。このリサーチで、調べる習慣やコツが身につきました。調べるだけでなく、なぜそうなのかという理由や背景まで考えるようになったのは、自分にとって大きな変化でした。日常生活でも、「なぜ」を常に考えるようになったと思います。
インターン期間中に印象深かったことは、「先輩社員の程よい距離感」です。
私にとってはこの環境がすごく仕事を進めやすかったです。どうしたら効率よく仕事を進められるかだけ教えてもらい、「後は自分で考えてやってみて」というスタイルでした。「作業は2割くらい進めた段階で、方向性がずれてないか確認してね」というリスクヘッジだけして、インターン生にも自分で考え工夫する余白を残してくれました。
そんな環境だったので、Instagramの投稿を任された際に「投稿だけでなく新たな取り組みもやってみませんか?」という提案ができました。それがきっかけで、今は別の事業のアカウントや中途採用アカウントの運用も任せてもらえています。自由だからこそ、自分で考える力や、自分から仕事を取りに行こうとする力が身についたのではないかと思っています。
「自分の企画の一番のファンになれているか?」を自問した学生時代
――大学ではどんなことをしていましたか?
国際経営学科に所属し、マーケティングや経営を学んでいました。ゼミでは、英語でスポーツマーケティングを学び、ケース分析やプレゼンを通して、アウトプットもしていました。例えば、Coca-Colaやマイナビの方をお招きし、企画提案のプレゼンテーションを行いました。
――企画提案のプレゼンの内容を教えてください。
Coca-Colaのプロジェクトでは、「東京2020オリンピックに向けて、Coke ONアプリを活用して、どうCoca-Colaのビジネスを高めるか?」というプレゼン課題に対して、「Coke Mii」という企画を提案しました。任天堂Miiとコラボし、Coke ONアプリでMii(アバター)を育てて、その育ったアバターでオリンピック種目のゲームに挑戦できるという企画でした。
Coke ONアプリはダウンロード数に対してアクティブユーザーがやや少ないことが課題の一つだったので、休眠ユーザーをアクティブにするにはどうすればいいかという視点で考えました。
マイナビも五輪に絡めたプロジェクトで、「マイナビ所属のフェンシング選手(宮脇花綸選手・才藤歩夢選手)の認知度を高めるためには?」というプレゼン課題をいただきました。私たちが提案したのは、マイナビ東京ガールズコレクションへの起用です。10〜20代の女性をターゲットとし、そのターゲットがどうしたら認知してくれるか、認知を広めてくれるかを消費者行動モデルDUAL AISASを活用してプランニングしました。
――そこからどんなことを学びましたか?
客観的な視点を持つこと・自分ごと化することの重要性を学びました。
自分で企画を考えていると、愛着が湧いてくるからか「すごくいい企画じゃん!」となりがちで。実際にこの両方の企画で、「自分の企画、めっちゃセンスある!」と思っていたのですが、プレゼン後にもらったフィードバックでは、「ありきたり。消費者行動モデル使ってたり、数値周り計算してたりで、別に悪くはないんだけど、心は動かないよね」と言われ(笑)。冷静になって考えてみると、「確かに面白くないし、別に自分はやってみたいと思わないかもしれないな」と思いました。
OHGのお仕事を例にすると、「このマンションのこんな部分を知ってもらいたい」という発信側の都合ではなく、「どんな内容であれば、心が惹かれるか」という受け取り手の視点を持つようにしています。
そして最後は自分ごと化して、「本当に自分の心が動かされるか?」「この企画にワクワクするか?」を考えることが大事だと学びました。
――学んだことの中でプラスディーで活かせていると思うところがあれば教えてください。
「客観的な視点を持つこと」は活かせていると思います。
自分の視点だけでなく、お客さまや、事業会社の視点。あるいはプラスディーのクリエイティブコミュニケーション局やOHGに常駐しているメンバー、経営層の視点などで物事を考えられるようになってきていると思います。
特にお客さまの視点については、SNSの運用をしていたからこそ、キャッチアップできる生の声があると感じています。
自身もTwitterやInstagramを駆使してOHGについてリサーチを行い、お客さまの立場に立ってアウトプットを見た時にどう感じるのかを検証してみています。常駐先の方からも「鍋谷さんは作業者にならず、お客さまの視点で考える能力が高い」と言っていただけました。
これらは、プラスディーに入社してから、上司に教えていただいたからというのも、もちろんありますが、色んな視点を持つ大切さを大学時代に学んでいたからこそ、教えていただいたことをすっと吸収できているのではないかと思います。まだまだ読みが甘い部分も多いですが、色んな目線で物事を見ることができつつあり、とても楽しいです。
――プラスディーに新卒で入るならどういう人が向いていると思いますか?
素直な人、主体的に動ける人は活躍できると思います。
私の「素直な人」の定義は、相手のいうことをすべて受け入れる人ではありません。自分の意見があればきちんと伝えるべきだと思います。相手の意見も聞きつつ自分の意見も言える人が向いていますね。同期の対談記事(https://plus-d.co.jp/feature/career016/)でも話が上がっていましたが、どんなことにも何故?という視点をもてることが重要だと感じます。自分は、何か相談を受けたとき、すぐにわかりました!と言わないようにしてるんです。言われたことをとりあえずやるのではなく、自分の中で咀嚼してからアクションするようにしています。
あとは、当たり前ですが、他責にしない人が成長できると思います。失敗は、自分の特性や欠点を見つめ直す機会だとも言えます。反省して次に活かせれば、むしろ成長のきっかけにさえなります。それなのに、人のせいにして向き合うことから逃げてしまうと、いつまでも改善できないですよね。
プラスディーは、新卒でも裁量の大きい仕事を任せてもらえるし、新しいことに挑戦させてもらえる環境なので、逆境をポジティブにとらえ、楽しむことに変換できる人、自分の失敗から目を背けずに立ち向かえる人は伸びるんじゃないかと思います。
2つのチームを繋ぐ架け橋となるため、思いやりのあるパスをする
――自身を「Angel Pass Designer」と定義した理由を教えてください。
私の推しサッカー選手である、横浜F・マリノス 水沼宏太選手のような、相手を思いやる最高のアシスト、いわゆるエンジェルパスをしたい。そんな思いから「Angel Pass Designer」と定義しました。
というのは、半分本当で半分冗談ですが……(笑)。
私は仕事をしている中で、コミュニケーションを一番大切にしています。
生活者と事業会社、事業会社とプラスディーの間を繋ぐ架け橋になりたいです。
例えば、生活者のご不満やご意見などネガティブな事から、ポジティブなことまで、事業会社側にいると当たり前になってしまっていて気づけない点があるかと思います。一歩引いた立ち位置にいる私だからこそ気付けることもあるはずなので、それを丁寧に汲みとり、共有し、課題解決に向けて進めるためには、どう動くのが最善かを常に考えるようにしています。
逆もまたしかりで、生活者が事業会社の思いを完璧に汲み取ってくれはしません。間に立つ人間として、双方の思いの本質を見抜いて、良好に繋げるためのコミュニケーション(=パス)をデザインしたい。
そのためには、色々な人の立場に立って、どうしたら双方の思いをうまくキャッチアップして伝えられるか、エンジェルパスができるかを常日頃から考えていますね。
「鍋谷だから一緒に仕事をしたい」と思われる人になりたい
――上記を定義してから、Angel Pass Designerの体現のためにどんなアプローチをしてきましたか?
やるぞと思ってしていることはないのですが、振り返ってみるとエンジェルパスだったなと思うことはいくつかあります。エンジェルパスをすることが自然と身についてきたのかもしれません(笑)。
例えば、「営業とお客さまをつなぐパス」。
営業さんがお客さまに送るメールや電話の反応率が低いという課題があった中で、お客さまが営業さんに相談しやすいようなメールに刷新しました。
具体的には、お客さまの不安事項や気になる事項を先回りしてお伺いするなど、今まで培った経験やノウハウを活かしたパスができたと思っています。
他にも、「営業と非営業をつなぐパス」など、関わる方の課題に応じたエンジェルパスを実践してきました。
ちなみにこれは余談ですが、ありがたいことにこのインタビューを読んでくれたマンション事業部の方に「エンジェルパスデザイナーの鍋谷さん!」とお声がけいただくことがあり、「Angel Pass Designerを名乗っている以上、雑なパスを出せないな……」というプレッシャーに怯えました。(笑)
まだまだ、パスの数も少ないですし、実績と呼べるほど成果も出せていない状態ですが、もっと成長して、「Angel Pass Designer」として前進していきたいと思います。
――「Angel Pass Designer」として今後挑戦したいことはありますか?
「組織のデザイン」や「仕組みのデザイン」にも携わりたいです。
そのためには、それ相応の信頼が必要だと思っているので、「今、目の前にある課題に向き合い、着実に解決していくこと」を継続し、もっと多くの知見や経験を積み重ねていきたいと思います。
また、個人の目標としては、社内・社外関係なく、「鍋谷」という名前で仕事をできるようになりたいです。「プラスディーの中のひとり」「〇〇さんの後任」「新卒三年目の子」などの代わりがいるポジションではなく、「鍋谷だから一緒に仕事がしたい」「鍋谷なら一緒に課題を解決してくれる」と思ってもらえるように。そのために成長し続けることが、自分の目標でもあり、プラスディーへの恩返しにもつながると思っています。そのためには、今の仕事を愚直にやり続けること、そして自分だから提供できる価値を生み出し続けていきたいです。
写真:西田優太