Pictoriaは「推せる未来をつくる。」というミッションのもと、AIキャラクター経済圏の構築を目指すスタートアップです。
今回はプロデューサーとして日々toC向けのAIキャラクター開発に取り組んでいる西本さんにマイクを向け、これまでのキャリアから仕事の醍醐味、さらにPictoriaのカルチャーに至るまで存分に語っていただきました!
目次
好奇心と創造性を軸に歩んできたキャリア
キャラクターを「動かす」から「つくる」へ
世界観を創造し、ユーザー体験を追求する
課題は新規のユーザーをいかに呼び込むか
好奇心と創造性を軸に歩んできたキャリア
── まずはこれまでの経歴をお聞かせ願えますか?
大学では文学部で心理学を専攻していました。当時は就職氷河期といわれる時代。文系卒の就職先がかなり限られていたこともあり、システム開発会社に入社しました。幸いコンピュータには子どもの頃から馴染みがあったのと、当時はいわゆる“文系SE”がスポットを浴びていたのでなんとかチャンスをつかむことができました。
受託開発の会社だったので大手通信グループや自動車メーカーなどさまざまな開発現場で経験を積むことができました。中でも某バイクメーカーで在庫管理システムの開発に携わったときは楽しかったですね。工場に入る際には僕のようなコンピュータ系の人間でもメーカーのつなぎを着なくちゃいけないんですが、それが嬉しくて(笑)。
── いいキャリアのスタートだったんですね
その後、大学院に戻って再び心理学を学び直し、修士号を取得しました。博士課程在籍中にWeb系のエンジニアとしてアルバイトを始め、そのままバイト先の会社に就職。Webディレクターとしてしばらくキャリアを積みました。
実はもともとゲームの開発に携わりたいと思っていたんです。学生時代からRPGが好きで、キャラクターに感情移入したり、物語に没入したりといったことに魅力を感じていました。あと高校時代は演劇部で芝居をやっていて、心理学に興味を持ったのも演じる役柄やゲームキャラクターの心の動きを深く理解したいという思いが根底にあったからなんですよね。
── いろいろと繋がりを感じますね
そんなある日、友人がスマホゲームの会社を立ち上げるというのでエンジニアとして参画し、いよいよ念願のゲーム開発を手掛けることに。途中から企画職に転向し、いくつかの職場を経験しながらスマホゲームのディレクターとして本格的にキャリアを積んでいきます。
その後、Webの世界に戻り、これまで手を出してなかったサーバーサイドエンジニアにも挑戦しました。ある程度やり切ったところで再びスマホゲームのディレクターに。前職の社長と一緒に新しい会社を立ち上げ、執行役員としてシステム開発と管理業務に携わりました。さらにもう一社、ゲーム開発に携わった後にPictoriaに入社することになります。
── 非常にバラエティ豊かなキャリアですね
一見するとバラバラに見えますがエンジニアリングをベースとしながらもディレクションやプランニング、企画といった「文系的な強み」を発揮してきた点が共通項かもしれません。明渡代表からも、その点を評価していただいていると感じています。手が動かせるので自分で思い描いたものを形にできるのは大きな強みだと感じています。プロデューサーでありながら現場をカバーすることもできますしね。
高校時代の演劇部から振り返ると自分でも紆余曲折あるなあと思いますが(笑)どんなときも自分自身の好奇心と創造性に従って道を選んできたので納得度も高いですし、すべての経験がいまに繋がっていると感じています。
キャラクターを「動かす」から「つくる」へ
── Pictoriaへはどういった経緯で入社されたんですか?
実はPictoriaの明渡代表とは古くからの知り合いなんです。明渡さんが学生時代から籍を置いていた会社が、私が在籍していたゲーム開発会社の発注先だったんですね。だから明渡さんが起業する話も人づてで聞いていました。すげーなって思ったのを覚えています(笑)。
それで前職で転職を考えていた時期に、以前一緒に働いていた友人がPictoriaにいることがわかった。彼に話をすると「だったらウチに来る?」と声をかけてくれたので、明渡さんのことも知っていたし、一度お話だけでも、という機会をつくってもらったのがきっかけになります。
── Pictoriaが何をやっている会社か知っていましたか?
いえ、その時は知らなかったです。なので余計興味を持ってしまって。そうしたら明渡さんが「AIでこんなことをやりたいんだ」とAIキャラクター経済圏の話をしてくれたんです。それが素直に面白そうだと感じました。
私自身、AIキャラクター自体には大きな可能性を感じていました。また演劇出身というバックグラウンドもあってゲーム開発でもキャラクターを動かすところが好きだったんですね。ただこれまでは「動かす」であって、今回はそれを「つくる」ところから関われる。そのことにすごく魅力を感じました。
── 聞いているほうもワクワクしてきます!
ちょっと演劇の話になってしまいますが、演技を100%コントロールするタイプの演出家っているじゃないですか。でも結局、役者は役者である程度勝手に動くものなんですよね。そこで演出側の予測を超える演技が出てくるのがおそらく一番いいものだと思っていて。
AIキャラクターって自分でつくるんだけど、自分の予測を軽く超える存在になるかも知れない。それはぜひやってみたいと思ったし、実際にいまやっていることでもあります。
── バラバラだったキャリアがPictoriaで一本にまとまった感じがします
これまでのゲーム開発ではプレイヤーが操作しないモブキャラクターにAIを導入することはあっても、メインキャラクターをAIで動かすなんて誰もやってこなかった。みんな「できない」と思っているし「それでは人を魅了できない」と考えているんですよね。そこに私たちは挑戦しようとしている。そういう意識で取り組んでいます。
── 現在担当されている具体的な業務について教えてください
現在は主にtoC向けのAIキャラクターのプロデュースと開発に携わっています。ここでいうtoCというのは一般ユーザー、つまりAIキャラを推してくれるファンの皆様のことです。そういったお客様に向けてAIキャラクターを制作して配信したり、ボイスドラマを作ったりしています。
直近ではAIキャラクターが本当にお金を稼げるのか、いわゆる投げ銭などで収益を生み出せるのかといった検証も行っています。Pictoriaにおけるビジネス領域でいうとプロダクション事業とAIキャラクター研究開発にまたがっているイメージですね。
ボイスドラマの脚本はプランナーが書きますが、その際のキャラクター設定などプロデュースの部分は私が担当しています。開発というよりはプロデュース面が強い仕事ですが、実際にコードを書くこともあります。プロデューサー兼エンジニアといった感じですね。最上流のプロデュースと最下流のコーディングを担当し、その間に存在するディレクターやプランナーの仕事を他のメンバーに任せています。
世界観を創造し、ユーザー体験を追求する
── AIキャラクター開発の仕事はこれまでの開発とどこが違うのですか?
システム開発やWeb開発との大きな違いは「世界観」を強く意識することですね。これまでの開発の仕事はお客様のご要望に応えるビジネスライクな向き合い方をしていましたが、AIキャラクター開発の仕事では自分の作家性を存分に発揮できていると感じています。
実は「キャラクターに魂を入れる」のが得意な人はいまの弊社には決して多くはないので、現時点では私がかなり細かい部分にまで積極的に関わるようにしています。キャラクターに魂を入れるというのはディティールに関わってくることなので、コードに反映される部分でもあります。自分がプログラミング作業から抜け出せないのもそれが大きな理由なんですよね。
―― ではどのようなエンジニアがPictoriaで活躍できるのでしょうか
そうですね、Pictoriaに向いているエンジニアはゲームやキャラクターが好きで「世界観」を創造することに喜びを感じる方だと思います。特にUnityなどのゲームエンジンを使ってキャラクターを動かすことに興味がある方は大歓迎です。ゲーム開発畑のエンジニアは細かい仕様書を書かなくてもある程度は自律的に動いてくれるので、非常に助かります。
――エンジニアが企画から入る、なんてこともあったりするんですか?
もちろんです。むしろ大歓迎ですね。実際にサーバサイドのエンジニアにゲームやキャラが大好きな人がいて、自分から企画段階から入れてくれと提言してくることもしばしば。こういった主体性を持ったエンジニアの参加はありがたいですね。
一方でエンジニアがつくりたいと考えるものは往々にして尖っていることが多い。そういったエッジの効いた企画を私がうまく研磨して、なるべく多くのユーザーに受け入れられるように一緒に取り組んでいけたら、と思っています。
――最もユーザーに響いている企画や体験って何だと思いますか?
これは最近たまたま、本当に偶然の産物だったんですが、キャラクターがユーザー個人を特定した時には、とてもうれしそうな反応を返してくださっていて。単に名前を呼ばれるだけでなく「あなたはこういう人ですよね」と、その人の性格や特徴を認知できたことがあったんです。本当は意図的に作り出したいんですが、なかなか難しくて…でもこれは確実にヒットします。
あとは明渡さんとも話してたんですが、キャラクター同士の関係性があったほうが好きになりやすい傾向がある。だから複数のAIキャラがお喋りしあうような配信を準備しています。軽くクロストークさせるだけでユーザーさんの方で物語を走らせてくれるんですよね。
――確かに、アイドルグループもその構造ですね
キャラクターって複数いて相対的にこういう性格だというほうが伝わりやすいんですよね。たとえば強気なキャラと弱気なキャラがいたとして、強気のほうが単独でいてもどう強いかわからない。でもまだそれはいい方で、弱気なほうはただ存在価値がなくなるだけ(笑)。やはり強気キャラと弱気キャラがセットでいることでお互いの魅力が際立ってくるんですよね。こういった構造の美しさを表現していきたいと常々思っています。
課題は新規のユーザーをいかに呼び込むか
――開発チームの構成について教えてください
エンジニアが一人、ディレクターが一人、プランナーが二人です。デザイナーはリソースをみんなで共有しているので必要に応じて社内発注する形になります。規模感としては4~5人のチームなんですが、私からするとこの人数がベスト。いちばん動かしやすいんですよ。これ以上増えると意図や想いが伝わりきらないしスピードも落ちます。それより少ないながらもその人たちが熱量を持って取り組んでくれるほうが助かります。
――toC事業における課題ってなんでしょうか
新規ユーザーをどれだけ増やせるか、という壁にぶつかっています。リピーターという意味ではありがたい話なのですが、どうしてもお客様が固定化してしまいがちなんです。いまこの壁をなんとか切り崩して、広く新規のお客様を取り込むにはどうすべきか、試行錯誤しているところです。
プランナーとしてはどうしても目の前のユーザーさんを楽しませたい、みたいなマインドになりがち。その気持ちはわかるし、大切なことなんですが、だからといっていまのままでは横の広がりに欠けてしまう。直近の課題は、いま見えていないユーザーさんをどれだけ連れてこれるかなので、そこは意識するように伝えています。
――既存顧客と新規顧客を同時に楽しませる必要がありますね
かなり高いハードルですが、ここを超えることは今後のPictoriaの成長には不可欠なので。最近よく話しているのは、実はもっとわかりやすくAI推しにしたほうがいいのかも、ということです。私たちはどうしても知りすぎているので、AIが配信しているといっても普通のこととして捉えてしまいがち。だけど一般的にはまだ目新しさのあるテーマだったりするんですよね。
で、あれば変に尖ったキャラよりも誰もがパッと見て好きになれるキャラのほうがいいんじゃないか?みたいな考えも出てきます。ファンタジックな世界観よりもごく普通の女子高生の日常みたいなのがウケるかも、とか。とにかくあらゆる切り口を試しながら間口を広げる取り組みにチャレンジしています。
――確かに、AIといっても人によって受け取り方もさまざまですしね
そうですよね。私自身もAIそのものにフォーカスしているわけではなく、あくまで「キャラクターが動いているように見せたい」「キャラクターをつくりたい」という思いが根本にあるんです。必要であればAIを使いますがそうでなければ無理に使わなくていいし、あえて最新ではない一昔前のAI技術をピックアップすることもあります。
最近のAIスタートアップは若い人が多く、最新のAIですべてを解決しようとしがちですが、それが常に最善とは限らないと考えていて。ある程度の経験を持った私たちが、最適な技術選択をしていくべきだと感じています。とはいえ、やはりAIを使うことによって予測不能な展開が生まれるので抜群に面白いんですけどね(笑)。
――そんな西本さんが仕事の上で大事にしていることを教えてください
仕事をする上で大切にしているのは、業界的な経験も踏まえて「悪評が立つようなことはしない」ということです。人を裏切らない、仁義を通すといったことは非常に重要だと考えています。ゲーム業界は非常に狭い世界なので、不誠実な行動をとるとキャリアを継続することが困難になります。
またクリエイターやパートナー企業さんに対する態度も非常に重要です。ディレクターは立場上は上に見えますが、基本的には「お願い」する側。だからこそ相手が作りやすいような仕様書を作成したり、わかりやすく伝える努力を常に怠らないようにしています。伝わらない時に「なぜわかってくれないんだ」と考えるのではなく「自分の伝え方が悪かったんだ」と思えるように心がけています。
――最後にPictoriaに興味を持ったエンジニアの方へ、ひと言お願いします!
PictoriaはAIキャラクターという最先端の分野で、まだ誰も成し遂げていない「メインキャラクターをAIで動かす」という壮大なチャレンジに取り組んでいます。この難題にひるむことなく正面からぶつかっていける人、私たちと共に挑戦していきたいという意欲的なエンジニアの方を求めています。興味があればぜひ声をかけてください。
――ありがとうございました!
Pictoriaでは、AIキャラクターという新しいエンタメを共に創り上げる仲間を募集しています。
BizDev・PdM・プロデューサー・プランナー・バックオフィスのご経験者など、「魂を宿す」挑戦にワクワクする方は、ぜひ一度お話ししましょう!