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標高600メートルから見えた景色~大家である森下さんとの出会い編~

モノサスでは自分たちのWebサイトにスタッフが交代でコラムを書いています。
今回はその中から、2017年にデザイナーの浅田が神山に移住して見えている景色について。前編に続き、後編をご紹介します。

先日ご紹介した前編では、現在の暮らしのことに関して書かせていただきました。
今回後編では、神山での生活の中で出会った人との関わりについてご紹介していきたいと思います。

その中でも、特にこっちにきてからお世話になっている、現在住んでいる家の大家さん、森下さんとの関係性についてご紹介していきたいと思います。


「家にあるものは好きに使ってええ、
家も好きなように使ったらええ、
ただ壁をぶち抜くときは声かけーよ!」


森下さんに家をお借りすることになって、早々にこんなことを言われました。
一緒に盃を交わしてからというもの、出会ったころの「お前ら田舎をなめとる!」の一点張りだった頃とは一転し、森下さんには、山で生活する上でのアドバイスをして頂いたり、実際に助けてもらったりと、多岐にわたってお世話になっています。

森下さんは今でもふらっと家に遊びに来てくれ、山の景色を前に一緒にコーヒーを飲みながら殿宮の昔の様子を話してくれます。
山菜が採れる時期になると、山に出かけ、山菜を採って皆で食べたり、山での遊びなんかも教えてくれます。
平日のサテライトオフィスにも、「今日は仕事で神山に来たついでに覗きに来たわ」と、フラッと会いに来てくれることが私たちにとってはとてもうれしい。

昨年10月。
私たち神山ものさす塾生と神山塾 8 期生で『あるでないで神山』というイベントを主催した時のこと。
塾生皆で、森下さんにもぜひ来てほしいと招待しました。
その時また、森下さんらしいなと思ったことが。

イベント当日、森下さんはいつも通り軽トラをかっ飛ばし、まだお客さんが誰も来ていない早朝に来て、いつの間にかスタッフのバッジをつけ、イベント前の円陣に加わっていました。
イベントが開始してからも、あるチームが制作した足湯場に入れるお湯をドラム缶で沸かし、スタッフ何名かで、バケツリレーして、常時継ぎ足していくといった大変な作業の中に、森下さんの姿があったりと、もうスタッフ同然の様子。
いつも「こうやったらええんちゃうか?」、「かまへん、かまへん!」といい、次見たら早速始めている。いつもそのテンポの速さとおもてなしの精神に助けられています。


塾生と共にバッジをつける森下さん


イベント終了後も、『荷物を運ぶんか?』と電話してきてくれ、片付けも一緒になって手伝ってくれました。

どうして出会ったばかりの若者にここまで親身になってくれるのか。
最近になって、その理由を話してくれました。

これまでは、今の家を誰かに貸すという発想がまずなかったと、森下さんは言います。
しかし、今回、私たちに貸してあげてもいいと考えたのは、まず、吉田拓郎という好きな音楽が同じ(ものさす塾で合宿していた宿で、たまたまカラオケをご一緒し、お互い吉田拓郎ファンということが発覚した)だったという突破口から、一緒に酒を飲みながら話をしてみて、森下さん自身、これまでなかった若者との接点に、少なからず、ワクワクしたのだとおっしゃっていました。
後は、誰かが家に住んで、風を通すことが、家にとってもいいし、ということで今回私たちに貸そうと思われたのだそうです。

今になって、出会った頃に森下さんが僕たちにいった「お前ら田舎をなめとる」という言葉を思い返してみると、殿宮での暮らしの大変さや、そこで暮らしてきたということへの思いが、若者が安易に想像する「田舎はのんびりしていていい。」みたいなことと一緒にされたくないと思われていたのかもしれません。だけど、貸していただけると決まってからは、その大変さや、良さを楽しそうに話し、教えてくれるようになりました。

森下さんと出会ってから約一年。
はじめに言ってくれたこの「言葉」からは、不器用で乱暴ながらも、僕らに対して、何かしてあげたいと思ってくれている気持ちがひしひしと伝わってくるし、現在は僕たち若者がすることに興味を持ってくれ、それに対して全力でフォローしてくれます。


電話越しでの「全員集合!!」


昨年、塾生男子5人で共同生活をしていた頃。
暮らしの中で、いい加減なことをしてると、森下さんはきちんと叱ってくれます。

例えば、家賃の振込が遅れてしまった時に、電話がかかってきて、
「皆おるんか?」
「居てます!」
「全員集合させい!!集合や!」と電話越しに招集され、
「スピーカーにせい」といって、スピーカー越しに全員叱られる。
といったことが、幾度かありました。

僕らがいい加減なことをしたときや、良くないと思ったことをしたときには、すぐに叱ってくれる。その代り、逆に、自分が僕らに悪い気させたかなと思ったときは、すぐ「ホンマにすまんかった」と電話がかかってくる。
これまでの生活の中で、そんなにストレートに向き合ってくれる人はいなかった気がします。


大家さん×人生の先輩×男友達


卒塾式時の森下さんによるスピーチの様子


森下さんが普段のやり取りの中で、よく話していることがあります。
「無理はしたらあかん、気に食わんかったら言え。お互い本心で付き合わな続かんからな」。
実際、森下さん自身、私たちに対して、必要以上に気を使って何かしてくれるということはないように感じます。
しかし、決して何もしてくれないわけじゃなくて、色々とお世話になっているし、いろんなところで気をかけてくれています。

あるでないで神山のイベント終了後の片付け時、「片付け手伝ったるから言え!」と言われ、「そんなことまで申し訳ないから、大丈夫です」と答えたのですが、「俺にやらせてくれ」といい、翌日に片付けを手伝ってくれたことを覚えています。
こういう時の森下さんの表情をみると、しょうがないからとか、人にやってあげるか言うのではなく、森下さん自身が素直にやってあげたいと感じ、行動しているように感じます。そして、その瞬間が、見ていてとても楽しそうにみえます。

基本的なスタンスとして、やりたくないときは無理にやらない代わりに、やりたいと思ったときには全力でやってくれる。
こういったことを、目の前で示してくれるからこそ、私たちも、余計な気を使って何かするというんじゃなくて、何かしてあげたいと思ったことに対して素直に行動する。という接し方がしやすくなっています。

森下さんの第一印象は、勢いがすごいので、少し圧倒されるところがあったりするけれど、徐々に知っていくうちに、その不器用さながらのやさしさを感じずにはいられません。
上っ面のやってあげるとかやってもらったとか、そういう余計なものは排除して、ストレートにぶつかり合える関係性を示してくれているから、私たちも素直に接することができるのだと感じます。

気に食わないことがあれば、気に食わない。おかしいことはおかしいだろと、すぐに話してくれる。そしてその速さはすごい。少しヒヤッとすることもあるけど、こういったとき、森下さんは自分の意見を言い、「お前はどうじゃ」と聞く。その時にあらためて自分自身で思い返してみて、確かにその行動は違ったのかなと思い直し、話しあっていく。
普段の小手先の付き合いではなく、いつでも真正面から人と向き合っていく森下さんのそういう姿勢に、私たちは、勇気をもらってます。

最後に森下さんいつもありがとうございます。
そして、これからもお世話なります。

(2017/7/4 ものさすサイトに掲載)

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