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小さなデジマ支援会社に入社した私が、創業者から聞いた話で心に残ったこと

こんにちは。私は先日デジマ支援会社THE MOLTSに入社したばかりの、ジュニアマーケターです。


弊社は一部メンバーが「独立採算制度(個々人が自分の数字を組み立て会計を管理していく仕組み)」で動いていたり、属人化を推奨していたりする、ちょっとクセのある会社です。


そんなTHE MOLTSに入社してすぐ、創業者である寺倉が語ってくれた言葉の数々がマーケターの端くれである私の心にとても響いたので記録しておいたところ、「せっかくなら記事にして公開しちゃおう!」 という話になりました。


弊社らしい内容が多く、人によってハマる・ハマらないはあると思いますが、誰かにとってなにかしらの気づきとなれば幸いです。


※以降、録音データから寺倉の言葉を極力そのままにお届けします。


目次

  • 自分がやってきたデジタルマーケティングを、一度忘れてほしい

  • 施策の大半は「コミュニケーションづくり」

  • ターゲットを自分に憑依させるために

  • 「こだわりを持たない」というこだわりがあってもいい

  • プロジェクトが、独り歩きしはじめる瞬間がある

自分がやってきたデジタルマーケティングを、一度忘れてほしい

なぜTHE MOLTSが「独立採算制度」を導入しているかというと、すべては企業理念である「美味い、酒を飲む。」ためです。


プロフェッショナルたちが自由に、相互に刺激し合いながらクライアントへ成果を提供してほしいので、あまり管理はしたくない。また最低ラインとして、自分の収支を成り立たせられない人が、クライアントの事業を成り立たせたり、真に成長させられるとは思えない。だから、マーケティング支援者としての基礎を作るためにこうした制度を取り入れています。


実際うちに入社してくる人たちはみなデジタルマーケティングの領域で一定の成果を出してきた人たちなので、たいていの人が「自分の案件くらい自分で獲得できるだろう」と考えています。


ですが結論、多くの人が最初の3ヶ月で一回挫折。収支の組み立てにめちゃくちゃ苦戦します。


例えば、いくら広告運用のプロだったとしても、社内や身の回りの人から仕事を得るために広告を配信するわけにはいきません。これはSEOなど他の領域であっても同様です。特定のデジタルマーケティング施策をハックして成果を出してきた経験はあっても、自分という商品で商売を成り立たせる力が足りていない。つまり、「マーケティングができていない人」が多いんです。


弊社は約20名のプレイヤーに対して毎月50件前後の案件相談をいただいており、常時100前後のプロジェクトが動いているような会社です。こんなに仕事があふれているのに、残念ながら新入社員には「このプロジェクト一緒にやらない?」というチャンスがなかなか降ってきません(*)。それもそのはず。先輩社員からすれば、その人がプロジェクトにマッチするのかわからない、あるいはそもそも想起されていないのだから、声なんてかかりません。


*THE MOLTSではクライアントに成果を提供するために、新入社員含め「リソースが空いているからプロジェクトにアサインする」ことはNGとしています。


そのため入社してからまず取り組むべきは、計画を立て、ターゲットである社内や身の回りの人に話を聞くこと。自分が価値を提供できそうな案件があればどんどん手を上げたり、関係者にメッセージを送ったり、ミーティングを設定したりして、コミュニケーションをとること。社内に自分のポジションを作っていくこと。それでもうまくいかなければ軌道修正して、またアプローチすること。


こうした一連のプロセスはまさにマーケティングの一丁目一番地です。だからこそ、これまでやってきたデジタルマーケティングは一度忘れて、そもそもマーケティングってなんだっけ?の問いから素直に、愚直に動いてほしいと僕は思っています。

施策の大半は「コミュニケーションづくり」

そのなかで最も覚えていてほしいのは、施策の大半は「コミュニケーション作り」である、ということ。相手に対してどう働きかければ、自分が望む成果を得られるのか?相手がそもそも望んでいるものは何か? という観点で物事を考えることが欠かせません。


どうしたらクライアントから発注をもらえるのか、どうしたら周りの社員から声をかけてもらいアサインされるのか。相手の立場になって考え、コミュニケーションをとっていくこと。これは自分の専門性が広告だろうがSEOだろうがSNSだろうが関係なく、全員に求めることです。


にもかかわらず、案外相手のことを知ろうとしていない人が多かったりします。これがめちゃくちゃ問題です。


告白を例に考えるとわかりやすいのですが、出会ってすぐの人、まだしゃべったことのない人にいきなり告白する人は少ないですよね。相手のことをちゃんと知って、相手との距離を縮めていって、「そろそろいけそう」という空気になってようやく告白して付き合う。そんなプロセスがあるわけです。相手を知ろうともせず自分がとれるアプローチをひたすら行おうものなら、それはただのひとりよがりかな、と。数うちゃ当たるが、嫌われることも多いし、悪い噂が回る。あの人、誰にでも告白してるらしいよ、など。


当たり前ですが、相手のことを知らない、また相手の今の状態がわからない中で、最適なコミュニケーションは取れません。なので、まずターゲットのことを知ることは欠かせませんし、その解像度をどこまで上げるのかが重要です。


いざターゲットの解像度を高めるうえで有効な方法は、カスタマージャーニーを作ることだと私は思っています。ターゲットの購買行動プロセスを可視化することで、どのような心の変化が生まれた結果購入にたどりつくのか、全体像を把握できます。ターゲットを漠然と眺めるのではなく、その人の状態や、一連の行動の流れを俯瞰してみること。簡単なものでもいいのでまずは一度作ってみると、どんなコミュニケーションが必要なのか大枠が見えてきます。


カスタマージャーニーの基礎を理解するには「FICC MARKETING BASICS」内のカスタマージャーニーの章がオススメなので、ぜひ読み込んでみてください。


ちなみに、いままで出会ってきた優秀なマーケターは、頭のなかで自然とカスタマージャーニーを描いて話している人が多いなと感じます。彼らと話すと、「このタッチポイントならこういう状態だろうから、もっとこんな訴求がいいのではないか」「こういう態度変容を起こしたいなら、こんな状態の人が多いと思うから、こういうアプローチがいいんじゃない?」といった会話がよく生まれます。

ターゲットを自分に憑依させるために

最適なコミュニケーションをとる最短ルートは、自分がターゲットになりきれるかどうか。「自分にターゲットを憑依させられるかどうか」がキーになります。


たとえば自分がマーケターなら、マーケターが日々どんなことに困っているのか、どんなマーケティング支援サービスだったら使いたいのか、どんな営業だったらグッとくるのか、すぐ頭に思い浮かぶはず。自分が経験してきた領域であれば、適切なコミュニケーションをイメージしやすくなります。同じように、あらゆるターゲットに対しても同様の思考があるとよく、だからこそ、自分にターゲットを憑依させることが欠かせません。


こう言うと「どうしたらターゲットに憑依できるんですか?」とよく聞かれますが、さすがに社会人1年目の若手が15年目のベテランよりあらゆるターゲットを理解するのは難しいと思います。経験なしには、なかなか上達しにくいものです。


そのため日々のトレーニングとして、自分が買ったものに対して「どういうプロセスだったっけ?」「そのときどんな気持ちだったっけ?」と、つねに言語化するクセをつけることをオススメします。「なんでオレは今日Uber eatsでカレーを頼んだんだっけ?」「なんで私はこのお店が行きつけになったんだっけ?」といったことをずっと考え続けている人は、やっぱり強い。


たとえば、僕が昔Amazonで爪切りを買ったときの話をします。


  • 安すぎるとすぐに壊れそう
  • 爪が飛び散るのはイヤなので、最低限カバー付きがいい
  • 高いものもあるが、そこまでの機能は求めていない


これらの要素を満たしている爪切りのなかで最初に目に入った商品をパッと購入したわけですが、ふと周りを見渡してみると、世の中には爪切り同様、そこまでこだわりなく購入されている商品が多くあります。


こうした類似商品に対して爪切りの経験を活かせば、「高機能を訴求しても刺さらない」「とにかく価格を下げればいいわけではない」「露出を増やすことが最優先」といった(特定のプロダクトにおける)コミュニケーションの元となる感覚が見えてきますよね。


いろんな経験をストックしておくと、「これって、あのときの購買体験と構造が一緒だな」というふうに、頭のなかで目の前の事象と過去の経験が紐づいてさまざまなアイデアが生まれやすくなります


……ただし、自分のなかで「この商品カテゴリはこのように購入される」という思い込みがあまりに強いと失敗するので、ターゲットへのヒアリングは当然しっかりやりましょう。

「こだわりを持たない」というこだわりがあってもいい

いわゆる理論やフレームワークを学んでおくと、経験の抽象化や構造化に役立ちます。だから僕もこう見えて結構勉強しています。


ただ一方で、原理原則は大切だけれども「このやり方だけは譲らない」というこだわりは持たなくていいんじゃないかと思っています。デジタルマーケティングの世界には、新たなテクノロジーやサービスが次々に登場します。だから自分が知らないやり方を取りこぼしてしまうのは非常にもったいないことです。


それに、フレームワーク一つとってもそう。たとえばカスタマージャーニーの場合、コンセプトを導き出すためなのか、全体のKPIを設計するため、タッチポイントごとのコンテンツを作るためなのか、どういう答えを導き出したいかによって縦軸横軸、並べるべき情報は異なります。「カスタマージャーニーの型はこれだ」と決めつけてしまえば、発想の幅を狭めることになるわけです。あくまで「ターゲットの購買行動プロセスを可視化したもの」であり、もっと自由に描けばいい。


結局、マーケティングはやっぱり「結果がすべて」。だから「結果のために、こだわりを持たないこと」に、僕はこだわりたいと思っています。


プロジェクトが、独り歩きしはじめる瞬間がある


最後に、これからクライアントとプロジェクトをおこなっていくうえで伝えておきたいことを。


この仕事を続けていると、「プロジェクトが独り歩きする瞬間」に出会います。


圧倒的な成果を出したり、困難なミッションを達成したりした結果、周囲からの見られ方が変わって、どんどん予算が増えて、どんどん多くの人が巻き込まれていって。僕らが動かそうとしなくても、自然と新たなステージでプロジェクトが動き出す瞬間がきます。


こうなると取り巻く環境が一気に変わり、自分たちの範疇を超えてどんどん発展します。上場企業の株価をグンと引き上げられたとか、3,000〜4,000人いる会社のアウトバウンドカルチャーをインバウンドカルチャーに変えられたとか。プロジェクト開始時には誰も想像できていなかった、思い描いていたゴールを圧倒的に凌駕するような場所に辿り着けることがあります。


これらのエピソードは自分の人生に強烈に刻み込まれるし、一緒にプロジェクトをやってきた仲間たちとは一生続く関係性が生まれる。結果、美味い酒が飲めます。だからぜひ、そんなプロジェクトを体感してほしいと僕は思います。


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