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株式会社メタップス 投資戦略本部 マネジャー
李 洋(Yang Li)通称:Lili
中国・瀋陽出身。大学に進学のため18歳で来日。東京大学理学部・生物化学専攻後、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻修了。2011年モルガン・スタンレー入社、投資銀行部に所属しM&Aや融資業務を担当。退職後メキシコへ。2017年7月にメタップス中華圏事業財務責任者として参画。M&AからPMI、組織再編等を含め事業の拡大を幅広く指揮する。
"キャリア"という言葉の魔法。
- Liliさんの幼少期はどんな子だったんですか?
小さな頃、中国では一人っ子政策真っ只中だったのと、私自身の体が弱かったせいなのか、両親の愛情たっぷり甘やかされて育ちました(笑)。父は大学の先生・母親は病院の研究者です。漠然と将来は海外に行って視野を広げてみたいと思っていたので留学の視点は小さい頃からずっとありました。18歳まで中国にいて、その後日本の大学へ進学を選びました。
留学前、事前に語学を学んでおきたかったので外国語クラスのある学校を選びました。日本でも進学校などは成績や進路などでクラスが分かれていると思うのですが、私が入った学校では英語、日本語、数学に特化したクラスがありました。数学クラスでは数学オリンピックを目指し、日本語クラスは、留学手続きを学校側が手配してくれるのでほとんどの人が日本に留学していました。日本語専攻していた同級生は海外の大学院に行った人もいれば、中国で就職、日本で就職後転職し海外へなどキャリアは様々です。
- 日本に来て大学ではどんなことを学ばれたんですか?
日本の大学に進学して専攻したのは、理学部・生物化学でした。今とは全く違う世界ですね(笑)。理学部は基礎研究が大半で実業に結びつきにくい内容ですが、研究自体はとてもハードでした。私は線虫の行動実験、遺伝子分析などをしていました。就職するならこの分野ではない、違うなと違和感を感じていたので、そのまま同じ専攻に進学するということは選択しませんでした。但し色々見ながら考える時間も欲しかったので次のステップとして大学院へ進学を決めました。そこで出会ったのが工学部にある技術経営戦略学という専攻でした。学部自体は理系なのですが、ビジネス系の仕事がしたい人が多く集まっていたんです。就職活動に寛容で、積極的でフレキシブルな思考な人が多く、学部の時に何度か訪問し話を聞いている中で自分の理系バックグランドを生かせるのではと思い、入ることに決めました。
- 専門性の高い学部からビジネス寄りの大学院に入学されたんですね。どんな環境の変化がありましたか?
大学院に入り、本当に意識の高い人が多く、様々な刺激を受けていく中で、私は企業の経営に関わる仕事、そして色々な業界の事業内容を見てみることに興味があることに気づきました。それと同時に大学院に入り環境が大切だということを実感し、就職も優秀な人がいる環境で働きたいと思うように。時代もあると思うのですが、私が就職活動をしていた時は金融業界や投資銀行、コンサルティング会社などに優秀な人材が集まっている印象だったので、その中で特に企業の経営に関わる投資銀行とコンサルティング会社を狙いに就職活動をしていました。
- 優秀な人がいる環境を求めての就職、実際に働き、感じたことはありますか?
新卒で私が入社を決めたのは外資系投資銀行でした。担当分野が金融、不動産、テクノロジー系、その他などがあり、私はいろいろな事業に触れられるその他を希望し、所属をすることになりました。通称GIG(ギグ)と呼ばれているジェネラルインダストリーグループです。
当時の仕事は本当にとても面白かったですね。コンシューマーリテール業界を担当していたので、自身の生活と近い業界を知ることができることも、自分の提案が案件につながり、そのエグゼキューションに携われたこともとても楽しかったです。部署は100人いて女性バンカーが5-10人程度、体力的にも精神的にもハードな業務が重なり、更にクライアントを持つことになると長期的なフォローが必要となるためライフステージでの変化で柔軟に動くことが難しい仕事でした。しかしカバー業界の特徴もあり女性の視点を逆に生かせる場面もたくさんありました。
- 女性であることを生かしながら働くって素敵ですね。この後はどうされたんですか?
結婚後、旦那の単身赴任もあり仕事を辞めてメキシコにいくことにしました。といっても、私自身の仕事の関係もありすぐにというわけではなく2年ほど遠距離結婚生活を続けた結果の判断でした。駐在もいつ終わるかわからなかったのもありましたし、私も5年ほどの激務を経験し、少しリフレッシュ期間を取りたかったところだったのでメキシコに行くことを決意しました。
- メキシコではどんな生活・仕事をされていたのですか?
メキシコでも働きたいと思っていましたが良い機会に恵まれませんでした。メキシコは、ほとんど英語が通用しない、スペイン語がメインの国です。これまでの経験を活かし、同じ業界で仕事をしようと思っていたのですが、現地のマーケットを熟知するためにもクライアントを持つためにも言語が必須。まさかの言語問題が課題となってしまいました。ビジネスレベルのスペイン語習得も考えましたがすぐにというのは現実的ではなく、英語を使った仕事を探したこともありましたが、働きたいと思える仕事に出会うことができませんでした。仕事を探している中で、ふと気付いたことがありました。私はなんでもいいから働きたいというわけではないと。せっかく自分の時間を投資して働くなら、専門性が身につく仕事がしたい。自分にとって”働く”とはスキルを身につけることだと思ったんです。このころから私の働く判断基準の一つとしてスキルがつくかつかないかということは大切な指針となっています。
-困難の中、メキシコでの気づきはとてもいいものでしたね。その後、メタップスに入社となると思うのですが、きっかけはなんだったのでしょうか?
メキシコを堪能し尽くした頃、日本に戻ってそろそろ働こうかなと思い始めていた矢先、メタップスで働いていた友人から声がかかりました。
「うちの中華圏ビジネスを拡大させて欲しい。」
すでに知人・友人が働いていたこともあり、メタップスグループの存在は知っていました。しかしこれまで関わってきたビジネス・事業とは全く異なる分野で馴染みがなかったため、具体的にどんな事業に携わっている会社なのか知りませんでした。特に声がかかった中華圏チームは注力事業がゲーム関連業界だったので全くわかりませんでしたね。けれど、一つの会社の中に飛び込むのもいいかもしれないと思ったんです。これまで横断的に様々な企業と対面し学んだことを活かしながら、経営に関わる仕事だということ、何より中華圏のビジネスをやってみたかったという思いがメタップス入社の大きなきっかけとなりました。
- 前職でもグローバルの案件は担当されてきているかと思うのですが、改めて中国でのビジネスをやってみたかったのですか?
実は前職ではクロスボーダー案件として中国関連のビジネスにほとんど関わったことがありませんでした。中華案件を作ろうと自ら現地チームにヒアリングして動いて案件を作ろうと思ったこともありましたが、当時あった案件はみな規模が小さく、会社の注力範囲外でした。唯一日本企業の香港上場案件がありましたが、言語も英語でのやりとりであり中国に関わる案件という感覚はなく終わったことが心残りでした。中国生まれ育ちとはいえ、社会人として日本で働いていたので、中国でどのようにビジネスが展開され、ビジネスの風習など知らないことにもどかしさを感じていましたね。
そんな思いがある中で、メタップスグループ、そしてメタップス中華圏の今後の展開を聞いていくうちに、これまで学んだことを活かしつつ、一歩挑戦して経営に関わることができると思いました。何より中国ビジネスに足を踏み入れることができると感じ、正直ワクワクしました。わからないことだらけだけれど、自分でやらなければならない環境が自分を高めるものです。信頼でき、心強いチームメンバーの存在にも後押しされ、日本帰国後、すぐにメタップスの一員となりました。
- 実際にメタップスに入社後、どんな働き方を?
入社してから激動の変化がありました。まず、入って驚いたのはスピード感。これまで関わってきた企業はとても大きな企業が多く、その分進めること決定事項にはプロセスが多く、関わる人も多いのが当たり前の世界でした。クライアントの社内調整サポートも業務の一環としてあり、検討のためではなく、社内説明のために必要な資料を作ったり、情報を揃えたりしていたのですが、今では遥か昔のことのようです。メタップス中華圏では日々物凄いスピードでも物事が進み、決まり、また進んでいく光景を目の当たりにします。ついていくのがやっとの時もありますね。
また、中国の会社はプロセスでの意思決定ではなく、キーパーソンの意思決定が展開を左右するため、中華圏の市場成長スピードの影響もあり、市場の成長に合わせて、ビジネス側も意思決定を迅速に進めていかなければなりません。そうしないと他社に取られてしまうというマインドがさらにスピードに拍車をかけているように感じます。
実際に中華圏で事業を進める時のコミュニケーションは「WeChat」が主流となり、メールよりも早い対応が求められます。リモートでの指示や外部とのコミュニケーションは的確かつ効率的に進めなければなりません。日々工夫をしながら最速で進められる道筋を探します。また、ある程度裁量もあるため自分次第で大きくも小さくも事業を左右するポジションにいることを責任感とともにやりがいも感じ、チームメンバーにサポートをしてもらいながら思いっきり挑戦させてもらっています。
メタップスは中華圏事業のみならず、本社自体もスタートアップ・ベンチャーの環境がしっかりと根付いた状態で企業が成長しているので、判断・実行スピード感があるのがまた魅力的ですね。ともに戦い、駆け抜けている感じがします。
- ここまでの環境の変化に対して、逆に不安になることはなかったのですか?
正直、無駄がなくていいと感じています。これまで無駄だとは思っていなかったことも無くなった時にいかに効率的に物事が進み、純粋な意思決定がなされるのかを自ら体感しています。役職に分かれて、チームに分かれて、一つ一つ判断し、決めていくというステップを踏んで進めていくことも大切な時があると思いますが、フレキシブルさにかけていたなと感じることがありました。メタップスグループは規模もそれなりにありますが、個々の事業部は成長途中のスタートアップ。まだまだ小さなものなので、組織はとてもフラットです。その中で、自分で仕事する自由度と共に自分で決められることも多く、フレキシビリティがあって、いろいろやりたい私にはとても仕事がしやすいですね。
- Liliさんが仕事に対して重要視していることはなんでしょうか?
まずは、学ぶことがあること。そして、自分として成長ができるかということです。私にとって成長というのは、ソフト面でもハードな面でも自分が重要だと思えるスキルを身につけることができるかどうかです。また、同じような発想を持つ優秀な人と働きたいですね。成長意識が高い人やスキルが高い人と働くことで自分一人だけでは身につけられないことに触れ、学びがあると思っています。私が所属するチームでは実際にそう感じることが多くあります。
- メタップスにはどんな人がいるんですか?
メタップスは様々な環境・業界の人が集まっている集団です。それぞれバックグランドが違う中、一緒に働いていて、本当に優秀だなと感じる面が多くあります。ロジカルでシャープ。一見柔らかいオーラがある方でも
実はすごいアグレッシブだったりするんです(笑)。
特に私が所属する経営企画部は、それぞれとても優秀ですね。個人商店のような不思議なチームなのですが、皆、専門スキルを持ち、自分のファンクションを仕切り、日常の変化にも柔軟に対応しています。少数精鋭を体現しているチームです。自分と違うタイプの優秀さ、違う仕事内容や仕事の進め方を間近にみて、毎日とても刺激されています。
- 仕事を通して、今後の楽しみにしていることはありますか?
メタップスに入ってからは、中国でのビジネスはどういうものかという学びがありました。やっていることは前のスキルを生かせるところもたくさんありましたが、やったことがないこと、例えば組織再編など、なんとなくはわかっていたこともあったのですが、実際にやってみることで失敗も成功も含めた学びが多くありました。
今、メタップスの中華圏事業は一事業から一つの独立した会社としての新体制ができつつあります。経営責任を持ちビジネスを進める中で、不安もたくさんありますがチャレンジングであり、先行きがわからないことがチームの結束力を高め、逆に楽しみになっています。わからないことばかりで不安も大きいけれど、今までやったことがないことができるのって面白くないですか?(笑)同じことをやっていても学びがないと思うんです。自分が成長して、価値が高まることに安心を感じますが、その反面、成長が見えないと不安になります。けれど、ずっと走り続けることはできないから、人生の中でうまくバランスを取りながら賢く働きたいですね。
- メタップスに合っていると思う人はどんな人ですか?どんな人と働きたいですか?
メタップスは上場企業とはいえ、大企業ではないので、階層のある組織ではなくフラットなチームです。だからどの部署、どのポジションでも自分で決めなければならないことがかなりあります。そしていいことでも悪いことでもあるのですが、大企業のようにどうすればいいかどうやるか教えてくれる人がいないのも事実。だからこそ、自分で考えたり、勉強したり、自らいろんなことをやりたい挑戦したい人には向いている環境が整っていると思います。挑戦する者にしっかりとフィールドと権限を与えてくれますよ。
一緒に働きたいなと思う人は、中華圏事業に興味ある人ですね!ぜひ挑戦しに来て欲しい。
中華圏の事業の面白みは、日本とは異なるビジネス習慣、カルチャー、マーケット規模、オポチュニティーなど沢山あります。市場競争が物凄く激しいから正直事業としては難しい面に直面することも多々あります。本当にアグレッシブ。だから気迫だけでも負けてはならないんです。
常に変化と成長を自分の糧として考えられるポジティブな方は活躍できると思います。
- 最後に、今後Liliさん自身が挑戦したいことはありますか。
まだまだいろいろやってみたいと思っています。投資銀行時代、多くの人は明確な目標があって、その目標の実現に向けて効率的なキャリア設計をしていました。しかし私は本能で興味あるものに向かい没頭し、その必要なスキルを学び習得したいと考えています。効率的なキャリアデザインとは言えないのかもしれないけれど、たどり着いた時に果たして最高のポジションであるかはわからないけれど、