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教室の外にも支援をひろげ、お子さまの未来を共につくる。LITALICOジュニアで10年間働き続ける岡野が歩んできた軌跡とは。

岡野(おかの)
LITALICOジュニア 保育所等訪問支援チーム 訪問支援員。2012年LITALICOへ中途入社し、LITALICOジュニアの地域コーディネーターやLITALICO発達ナビのコミュニティイベント企画、外部からLITALICOへの研修依頼の調整など、外部機関との連携を中心とした幅広い業務に従事。現在はLITALICOジュニアにて、児童養護施設への訪問支援が主務。
プライベートでは、社会的養護が必要な子ども向けのボランティアにも8年間従事。
「LITALICOのすてきな支援を世の中にもっと広めたい」という思いで働く。

ー前職では広告代理店に勤めていたという岡野さん。
なぜまったく異なる福祉業界への転職を決意したのでしょうか?

岡野:小さい頃から正義感が強い性格だったので、立場の弱い人の味方になり、役に立てるような大人になりたいとなんとなく思っていました。新卒では広告代理店に入社し、15年ほど勤めました。

広告代理店に勤めている頃、プライベートで骨折をしてしまい、人生で初めて長い入院生活を送る機会があったんですね。入院先の病院で様々な理由で困っている方々と寝食を共に過ごしたことが、ボランティア活動や福祉に携わるきっかけになりました。

現在も継続している、障害がある子もない子もいるインクルーシブな子どもの遊び場づくりのボランティア活動の運営に携わる中で、もっとできることがあるはずと思い「発達障害のお子さんをサポートする仕事です」という中途採用の広告に惹かれ、LITALICOを転職先に選んだことを今でも覚えています。

自ら動いて、LITALICOの事業拡大にかかわってきた10年間。

ー入社した後にはどんなお仕事をしていたのでしょうか?

岡野:教室でお子さまへの支援をメインで担当するのかと思いきや、実は最初は前職の広告代理店での経験があったので、LITALICOジュニアの認知を高めていくための「地域コーディネーター」として採用されたんです。2012年に中途入社し、そこから約10年間、LITALICOの教育事業にかかわる仕事を続けています。

私が入社した頃には、発達障害はあまり認知されておらず、弊社のようなサービスを行っている会社も少ない状態でした。病院の先生や行政からの信用がないと、保護者の方にLITALICOジュニアの利用を検討してもらえない、といった状況だったので、地域コーディネーターという肩書で様々な外部機関と連携することが私の最初のミッションでした。

そこから約12年経ちましたが、おかげさまで今では多数の保護者さまからお問い合わせをいただくようになりました。今では新規出店のスピードがお問い合わせの数に間に合わず、全国に最大で2万人以上の方に待機いただくという状況にまで至っています。

その課題をいち早く解決するため、2016年には「みんなでつくる発達障害ポータルサイト」として運営するLITALICO発達ナビもオープンしました。間接的な支援にはなりますが、待機期間中にLITALICO発達ナビを通じて発達特性のあるお子さまを育てる保護者向けに少しでも障害や発達に関する情報を届けて、家庭や学校生活でのお子さまの支援に役立ててほしいという思いから、オープンしたサイトです。LITALICO発達ナビをひとりでも多くの保護者に知っていただくために、全国津々浦々でイベントを開催していた時期もありましたね。実際に現地に足を運んで、出会った人とのつながりを広げていく。この繰り返しの毎日だったと思います。

支援の対象を、教室内から、園や学校へ。そして児童養護施設にも。

LITALICOジュニアは、もともとは教室に通所するお子さまにしか支援を届けられなかったのですが、2012年の児童福祉法改正をきっかけに、保育所等訪問支援事業※も開始しました。そのため、お子さまが通う保育所や幼稚園、学校に訪問して支援することができるようになったんですね。

保育所等訪問支援事業は2018年から本格的に始まったのですが、2022年度にLITALICOジュニアが行った保育所等訪問支援訪問件数は5.0万件。全国で実施されている保育所等訪問支援のうち、約16%に相当します。また、訪問支援の実績がほぼゼロだった関西の地域で多くの学校(大阪市内の小学校約40%)とも連携することができました。横浜市では4分の1以上の小学校に訪問しています。

また、その後、制度改正によって乳児院や児童養護施設にも訪問ができるようになりました。児童養護施設に入所しているお子さまは、退所したあとに自立していく必要があります。しかしながら、様々な背景や発達特性、環境要因によっては自立が難しいお子さまが多い現状があり、早期の段階で適切な支援を受けることが必要です。2018年に児童養護施設への訪問を始めてから、既に累計100ケース以上のお子さまの支援に関わらせていただきました。

児童養護施設に訪問する際は、子どもの環境調整の観点を大切にして支援に介入しています。例えば、職員さんと共に集団生活上の導線の工夫を考えたり、他にも発達支援に関わるポイントをお伝えさせていただいたり。職員の方が大切にされていることをリスペクトしながら、いかに工夫できるかを考えながら仕事しています。

※保育所等訪問支援事業とは
障害のある子どもが保育所や学校などで集団生活を送るための支援をおこなうサービスです。児童福祉法に基づく障害児通所支援サービスのひとつで、2012年(平成24年)の児童福祉法改正で創設されました。(引用:LITALICO発達ナビ https://litalico-c.jp/magazines/314

里子を養育する里親にも、LITALICOの支援を届けたい。

岡野:現在は特に、社会的養育の支援に対して力をいれています。この分野に興味のある方や専門的な知見のあるメンバーを誘って、2017年ごろから勉強会を有志で定期開催していました。様々な理由で親と暮らせない子どもたちのために、何かできることはないか?と模索して始めた勉強会が原動力となり、2018年度からは児童養護施設への訪問支援、2021年度からは里親子への支援、2022年度からは養育困難家庭への支援も始めています。

里親が養育する里子は、4人にひとりが発達障害等のある子ども※と言われています。里子がLITALICOジュニアのような公的な支援を受けられるということを知らない里親もいらっしゃいます。里親子支援では、研修やペアトレの実施、家庭訪問などをしながらLITALICOジュニアの支援を提供しています。

※こども家庭庁 資料集「社会的養育の推進に向けて」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/db9c4e59/20231227_policies_shakaiteki-yougo_81.pdf

ー2011年にLITALICOジュニアが立ちあがってから、累計2万名を超えるお子さまにご利用いただいたり、さまざまな学校・園・施設と連携をさせていただいたりと、大きく成長を遂げるなかで岡野さんの活躍も大きかったことと思います。どれも一筋縄ではいかなかったと思いますが、岡野さんが当時から大切にされていることはありますでしょうか?

岡野:私自身は、自分から行動を起こすこと、子どもと関わる様々な職種の人と直接会って話すこと、関係構築をするために継続していくこと、発信し続けることを大切にしながら、長年LITALICOで仕事を続けてきました。これまでの10年間を振り返ると、「LITALICOの仲間とだから、これをやりたい!」という考えが根底にあったからこそ、困難があっても挫折せずに歩み続けることができたのだと思います。今後も周囲の素敵な仲間とともに「障害のない社会」を目指して、さらなる事業発展のために、まい進していきたいと思います。

ーLITALICOジュニアでは、共に働く児発管・指導員を募集中です。
ぜひ、「まずは話を聞きたい」という方もお気軽にお問い合わせくださいませ。


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