「いま、コウダプロで一番期待している人は誰ですか?」
この日の朝礼は、コウダプロのNo.2として組織を支える原口水月さんが、メンバーへ投げかけた、そんな問いから始まりました。
あるメンバーから返ってきたのは、「自分です」という答えでした。
幸田八州雄社長が出張のため不在だったこの日は、原口さんの進行で、メンバー一人ひとりが自分の言葉で話す時間になりました。話題は、宣言すること、続けること、素直であることへと広がっていきます。その話を聞いていくうちに、通じるものが見えてきました。それは、自分で流れを止めない、ということです。
こんにちは、プレスラボ(@presslabo)の池田園子です。月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
「自分はどうしていきたいか」を伝える人に、チャンスは渡される
あるマネージャーは、まだインターンだった頃に社長選挙の話を聞き、「立候補します」と手を挙げました。他のみんなも立候補するものだと思っていたら、誰もいなかったそう。言ってしまったからには、もう引き返せない場所に来ていて、その気合いで今日までやってきたと話します。
原口さんは宣言の効果をこう説明しました。例えば「自分はマネージャーになります」と宣言をすると、「この人は将来マネージャーになる人だ」と、上からも下からも見られるようになります。上の立場からすれば、そうやって明確に意思表示している人にこそ、いろいろな機会を渡したいと思うものです。任された仕事で失敗することもありますが、その分だけ挑戦するチャンスは積み重なっていきます。「その試行回数をどれだけ増やせるかがカギだと思う」と原口さん。
一方で原口さん自身は、これまで何かを宣言したことは一度もないそうです。マネージャーになろうとか、事業部長になろうと思ったこともなく、目の前のことに向き合って成果を出した結果が評価として返ってきた。それを7年半積み上げてきて今の場所にいるのだと振り返ります。
ただ、そこにはタイミングの巡り合わせもあったと補足。原口さんは当時、ただ一人の新卒一期生として、同期のいない環境に入りました。同期がいないということは、機会が自分に来やすいということでもあります。周囲も「この子を育てよう」と考え、たくさんのチャンスをくれたそうです。
いまは若いメンバーも増え、一人ひとりに向けられる注目は自然と分散していきます。そのなかで期待をかけられ、機会をもらうには、自分がどこへ向かおうとしているのかが周囲に伝わっていることも大切です。宣言は、自分の目指す方向を周囲に伝える、いちばんわかりやすい方法なのだと思います。
この日は、まだ入社前のインターン生からも、宣言を使ってみたいという話が出ました。どの事業部に入りたいのかと聞かれても、まだイメージができない。何がやりたいのかと問われても浮かんでこない。だからこそ、目標を決めて宣言することを、これからの過ごし方を決める手段として使ってみたいのだといいます。宣言は、周囲に伝えると同時に、自分の在り方を探る足がかりにもなりそうです。
とはいえ原口さんは、全員が何かを宣言しなければならないわけでもない、とも言い添えました。宣言はひとつの手段です。自分がどうしていきたいのかを、何らかの形で周囲に見えるようにしておくことが、機会につながりやすいのでしょう。
宣言が可能性を狭めるとき、広げるとき
目標を言葉にすることが力になる人もいれば、進む先をあえてかっちり決めないことで可能性を広げていく人もいます。
あるメンバーは、前職での経験を話してくれました。最速で役職者になりたいと宣言した同僚が、そのために「〜〜はやりません」と自分で線を引いてしまうケースを見てきたそうです。目標を明確にしたことで、かえって経験できることや自分の可能性まで狭めてしまっていたのではないかと見解を示しました。
そのメンバー自身は、宣言をせずに「来たものにNOと言わない」というスタンスでやってきました。拒まずにいったん受け止めていると、自分の知らないものがどんどん入ってくる経験をしてきたといいます。
これに対し、原口さんも「NOと言うと広がらない、そこで流れが止まってしまうんですよね」と応じます。
続けて原口さんからは、こうした話になるとよく引き合いに出される考え方も紹介されました。「社長になりたいという人は社長にならないほうがよく、なりたくないという人がなったほうがいい」というものです。
役職に就けば、これをやらなくてよくなる。そんなふうに自分のエゴから発した「◯◯になりたい」は、宣言としてうまく働きにくいのだそうです。同じ宣言でも、その中身によって、機会が広がる方向にも狭まる方向にも作用するのだと思います。
そしてこの日は、何より大事なのは(会社を)辞めないことだという話も出ました。宣言をしてもしなくても、続けている限り機会は巡ってきます。順当に評価が上がっていた人でも、辞めてしまえばそこでおしまいです。では、続けるために何が要るのか。原口さんは、それを「気合い」と表現しました。「何があろうと逃げません」という覚悟ともいえます。
とはいえ、逃げずにいるためには、嫌なことを引き受け続けなければならない場面も出てきます。この日、繰り返し出てきたのが「代償の先払い」という言葉でした。気は進まないけれどやらなければならないことこそ、代償を先に払わせてもらっているのだと受け止める。同じ時間を過ごすなら、そのほうが自分も周囲も消耗せずに済むという考え方です。NOと言わないことも、辞めずに続けることも、この受け止め方があると心が少し軽くなるのかもしれません。
では、続けていくなかで、人はどのように変わり、成長していくのでしょうか。
「どうしたらいいですか」から「私はこうしたい」へ
「成長するための要素はいろいろあるけれど、自分は素直さが一番だと思っている」。原口さんはそう話します。
コウダプロ憲法の第十五条では、自分とは異なる意見を伝えられたときに、「この人には、自分には見えていない何かが見えているのかもしれない」と考えてみる心の姿勢を、素直さと定義しています。考えたうえで受け入れないと判断することもありますが、大切なのは最初から退けないことです。
この日は、あるメンバーの変化が話題にのぼりました。以前は「どうしたらいいですか」と尋ねることが多かったのが、ここ2か月ほどで「私はこうしたい」と言うようになったというのです。
本人によれば、以前は「ちゃんとしなければならない」という思いが強く、苦しかったそうです。転機になったのは、普段どおりの自分を周囲から認めてもらえた経験でした。本人はその変化を「いつからか楽になった。広くなった感じ」と表現していました。
原口さんは、このメンバーについて「素直ですよね」と話します。少し前までは違う印象があったけれど、そう思わなくなった。その理由を「心が開いてきた」と表現していました。
「どうしたらいいですか」と判断を委ねていた人が、「私はこうしたい」と言うようになるというのは、周囲に対して自分を開いていく変化でもあります。原口さんが「心が開いてきた」と表現した状態と、コウダプロ憲法が定義する素直さは、どこかでつながっているように感じました。
原口さん自身も、入社当初から自分の考えを率直に伝えてきたといいます。在庫管理の方法について、もっとこうしたほうがよいと感じたことをそのまま口にし、その場が微妙な空気になったり、発言した内容について指摘を受けたりしたこともあったそうです。
それでも、考えていることを言葉にせず行動もしないままでいるより、まずは伝えることを選んできました。1時間の会議に参加しているなら、「賛成です」でも「分かりません」でも、何かしら自分の考えを伝えます。そこで指摘を受けたなら、見えていなかったものに気づいてあらためて考えます。それが、給与を受け取って仕事をするうえでの責任だと考えてきたのだとか。
原口さんは、この日のマネージャー像をめぐる話のなかで、求められるもののレベルは確かに高いけれど、気合いさえ入れられればやれる、とも話していました。素直さも同じなのだと思います。特別な能力ではなく、自分の考えを出してみるかどうか、返ってきたものを受け取ってみるかどうかという、日々の選択の積み重ねなのでしょう。
自分の考えを持ち、それを言葉にしながら、異なる意見にも耳を傾けていく。原口さんが「素直な人が伸びる」と話す背景には、こうした姿勢があるのだと思いました。
(編集後記)
宣言すること、続けること、素直であること。それぞれ別の話のようでいて、自分の前に来たものをどう受け取るかという一点でつながった回だったと感じます。
Text/池田園子