震災から6年、木碑プロジェクトの今 (前編)~「木碑」というアイデアとの出会い | NPOカタリバからのお知らせ | 認定NPO法人カタリバ
2011年、東日本大震災で大きな被害にあった岩手県大槌町。認定NPO法人カタリバは、子どもたちの放課後の居場所「コラボ・スクール大槌臨学舎」を開きました。その生徒だった吉田優作さんは、現在、千葉県で防災について学ぶ大学3年生です。 ...
https://www.katariba.or.jp/news/2017/06/09/9109/
全国6つの拠点で教育に関する多様なテーマと向き合いながら活動をしているカタリバ。北は岩手、西は島根、またその活動場所は学校の教室や自治体の施設など、事業部によってオフィスのかたちはさまざまです。
この記事で紹介するのは、岩手県の沿岸部、三陸海岸に面する大槌町の拠点。2011年の東日本大震災の直後から現在まで、地域の方々に支えられながら、子どもたちの居場所づくりや高校の魅力化に取り組んできました。
今回は大槌拠点で働くスタッフに、「地域の食・暮らしのおすすめ」を聞いてみました。カタリバスタッフの声を通して、大槌町のゆたかな暮らしや街の雰囲気を紹介できたらと思います。
「幼いときによく祖父母とひょっこりひょうたん島に散歩しに行きました。リアス式海岸の入り組んだ湾内にある島で、まわりの波もとても穏やか。水はよく澄んでいて、のぞき込むと海底が見え、夏の時期には岸壁にくっついているウニたちが見えます。テトラポットに腰かけてゆっくり海を見ながら、音を聞きながら過ごすのが好きです。」(小國夢夏/大槌臨学舎スタッフ兼はま留学生活支援員)
<『ひょっこりひょうたん島』のモデルといわれる「蓬莱島」>
「大槌は、カタリバが事務局を担う『全国高校生マイプロジェクト』発祥の地。10年以上前に初めて行われた全国高校生マイプロジェクトアワードで賞を取った『復興木碑プロジェクト』の木碑は、今その意思を継いだ高校生たちが4年ごとの建て替え作業を担っています。毎年3月11日は、木碑のところに集まり、地域住民の方と海に向かって黙祷を行います。」(坂本千紘/大槌臨学舎)
<木は朽ちるから、建て替えが必要。その度に震災とその教訓を思い出せるようにと、建てられた木碑>
「私はコロナ禍が始まったばかりの頃に東京から大槌拠点へ異動したのですが、初めて訪れた時、空気のおいしさや、海と空の色の重なり、夜の星の綺麗さにものすごく癒されたのを覚えています。5年たった今でも、リラックスしたい時にふと訪れるおすすめスポットです。」(小野寺綾/大槌高校魅力化推進員)
「ランニングシューズやジャージを車に積んで、仕事終わりにここでランニングやビーチバレーをしています。海水浴客でにぎわう夏の海開き期間はもちろん、秋は吉里吉里駅から金木犀の香りが漂い、冬は満天の星、春はいくらくしゃみをしても迷惑にならない.......1年を通して地元民に愛されるビーチです。」(下川蓮/はま留学生活支援員)
<仕事終わりに吉里吉里海岸に集合>
「大槌高校には、県外からの進学生を受け入れる『はま留学』という制度があるのですが、数年前にはま留学を利用して入学した県外出身生徒が『すっぷくは大槌の郷土料理なのに、知らない人もいるんだ!』と驚き、地元の方に作り方を教わりながら、すっぷくを広めるプロジェクトをスタート。卒業前には、はま留学生が3年間滞在する民宿で「すっぷく定食」をみんなにふるまってくれました。いまでも、ときおり民宿のランチメニューに登場します。生徒や地域の方々の想いがつまった郷土料理です。」(下川蓮/はま留学生活支援員)
<民宿で提供された郷土料理「すっぷく」>
「地元の方が営んでいる居酒屋さんで、大槌町の特産品『岩手大槌サーモン』や『大槌鹿』を使ったメニューなどがあり、観光で来た方はもちろん、帰省した友達とご飯に行く際などに利用します。個人的には、いかの肝いりや味噌おにぎりがとっても好きです。座敷席やカウンター、個室もあるので、人数問わずさまざまなシーンで使えるのもおすすめポイントです。」(小國夢夏/大槌臨学舎スタッフ兼はま留学生活支援員)
「大槌の鹿肉ステーキも提供されていて、臭みがなく食べやすい。大槌の食文化やいとなみを紹介できるので来客があったときにもよく利用します。」(東谷いずみ/はま留学生活支援員)
<みんなのお気に入りメニュー「いかの肝いり」>
<スタッフのお祝いの場にも利用させていただきました>
震災後、町のにぎわいが戻ることを願って大槌駅前に生まれた「三陸屋台村 復興○○(まるまる)横丁」。復興にむけた想いが込められたこの横丁には、中華、焼鳥、洋食、喫茶店など8つのお店が軒を連ねています。
「横丁にある『一(はじめ)』によく行きます。メニューは基本全部おいしいですが、いつも頼むのは担々麺と餃子。担々麺はまろやかさと辛さがちょうどよく、餃子はとにかく大きいのが気に入っています。よく通っていたら店員さんが顔を覚えてくださり、『いつもので』が通じるようになりました。(笑)」(小野寺綾/大槌高校魅力化推進員)
人口は1万人弱、地域の方々とのつながりも強い大槌町では、地域活動が活発です。スタッフも休日には地域のチームで野球やテニスなどのスポーツを楽しんだり、ボランティア活動に参加したり、さまざまな活動に参加しながら過ごしています。
<地域の運動会に参加>
また、実は大槌町では音楽もさかんで、音楽イベントも多く開催されているそうです。
「大槌は音楽の町。毎日お昼の町内放送では、ジャズミュージシャン小曽根真さんの弾く『ひょっこりひょうたん島』が流れます(しかも日替わりで7種類)。岩手県最古のジャズ喫茶『クイン』もあり、音楽文化が脈々と受け継がれてきた大槌では、様々な音楽のイベントがあります。見に行くのもあり、参加するのもあり、とても楽しいです。」(坂本千紘/大槌臨学舎)
大槌町は日本各地の地方自治体と同様に、若者世代の人口流出や過疎化が課題とされる一方で、ここ数年では新しい風も吹いてきています。県外から大槌高校への進学を目指す生徒数が増えていたり、産学連携で新しい名物「岩手大槌サーモン」が開発されたり、高校生の発案で地元の郷土料理がふたたび注目されたり......地域の前向きな変化を間近で感じられるのも、大槌拠点で働くことの醍醐味です。
以上、NPOカタリバ大槌拠点で働くスタッフの目線で大槌町の「おすすめ」を紹介しました。今回紹介しきれなかったすてきなスポットもたくさんありますので、ぜひ一度大槌町を訪ねてみてくださいね。