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人を見る。それは、姿形だけには表れない、人生という壮大なストーリーが含まれる。
富山 北斗は、自分ではまだ気づけていない価値や、見落としてしまっているような観点に、寄り添いながら” 気づいてもらうこと ”に努める人間である。
「仕事に関して悩みがあったとしても、それが人生の全てではない、と知ることも大切だと私は考えています。考えるべきは、人生を最大化する方法を模索すること。仕事の悩みについても、それが人生全体にどう良い影響を及ぼすか、人生を長く見た時に、この機会や出来事がどのような意味を持つのかを考えていただきたいと思っています。あくまで、仕事は人生の一部。けれども大事な人生のうちの時間だからこそ、私と出会ったからにはしっかり寄り添った会話をさせていただきたいんです。」
富山の思考は、自分自身の体験だけでなく、ビジネス書や経営指南書、さらに哲学書などにも親しみ、それらを掛け合わせることで自らの「仕事に対する価値観」を築き、磨き上げている。何よりも、候補者の人生をより良くすることに強い当事者意識を持つ。それこそがヒューマンキャピタリストとしての自らの特色だと富山は言う。
自らも「老舗企業からスタートアップへ飛び込んだ」挑戦者の一人だった富山の言葉は、自信に溢れている。それは、自身のことを「努力型」だと認め、失敗と修正を繰り返してきた先で、形を作り続けるシニアヒューマンキャピタリストとしての想いがあるからだ。今でこそ、30代〜40代の「ミドル世代」をスタートアップ転職へ結びつけることに強みを持ち、プロジェクトオーナーとして上場後スタートアップを支援するチームを率たり、採用コンサルティングにも積極的に取り組み活躍を見せているが、入社当社は努力を重ねても納得いく成果を出せない日が続いたと話す。
【プロフィール】
富山 北斗 Hokuto Tomiyama
フォースタートアップス株式会社 タレントエージェンシー本部 シニアヒューマンキャピタリスト
神奈川県出身。幼い頃に兄の影響でサッカーを始め、大学時代まで体育会活動を継続。高校時代には、所属したサッカー部のレギュラーメンバーとして全国大会へ出場、3位を経験。大学卒業後、繊維専門商社に入社。国内大手アパレル企業への営業活動、生産管理や物流管理に従事。「もっと社会を良い方向へ動かすことに貢献したい」という想いからフォースタートアップスへ参画。上場後のスタートアップ支援に注力するプロジェクトである「Post IPO プロジェクト」のオーナーとして活動。また、シリーズAのスタートアップの採用コンサルメンバーとして採用支援を行い、企業フェーズを問わず、顧客の採用課題に向き合っている。
候補者の人生にも、常に想いを巡らせる
富山が面談するとき、必ず掘り下げるのが「人生における仕事のプライオリティ」だ。その時間は、キャリアの相談であり、ある種の人生のカウンセリングのようにも機能しているという。
起業家をはじめ、スタートアップで働く人々は、仕事におけるプライオリティでも「社会課題の解決」などを掲げる人は多い。しかし、「全員がそうあるべきだとも思っていません。実際、皆さんが社会課題を捉え、挑んでいるかというとそういうことでもないんです。」と持論を述べる。大切なのは、候補者の仕事を通じて「叶えたいもの」を知ること。その上で、起業家が大切にしている価値観とのマッチングを行うことで、スタートアップという環境が最適だという方がいる。結果的に、数ではなく強く良いご縁となり、事業・組織成長が促されることによってスタートアップのエコシステムを大きくする事に繋がっていく、と信じているからだ。
「『仕事で大切にしていること』の棚卸しをお手伝いしている気持ちでいます。不安を抱え、社外の環境に新たな機会を求めつつも、まずは立ち止まってプライオリティを見直す機会を一度挟んでいただくことは、人生の歩みを進める中では重要な判断につながると思っているからです。実は『現職で叶えられること』もあるかもしれない。視野と思考を広げさせる。その上で、現職だけでは叶わないとご本人がしっかりと腹落ちした時、スタートアップへのチャレンジがあると思っています。」
人の人生に向き合い、丁寧な「キャリアの棚卸し」と呼べる時間を重視する姿勢も相まって、「スタートアップのキャリアとしてはまだまだ数多くはありませんが、30代中盤から40代前半でライフステージの変化や、企業で経験を積んだ後に、スタートアップでのチャレンジを選択されるタイミングにご一緒することが増えています。」と話す。続けて、「その場合、レイターステージなどで成熟しつつあるスタートアップに転じて環境を知り、経験を積み、その上で、次のチャレンジとしてアーリーステージを進める、といったステップを提示することもあります。次の選択だけでなく、人生の選択を共に考えることを心がけているので、お付き合いは長くなる傾向にありますね。」
そういった候補者の「変化」を前に、丁寧に向き合えるところが富山の「介在価値」を特出させている。また、「転職においては、得られることだけでなく、失うことも意識してほしい」ということも話すようにしていると言うのだ。
「たとえば、大企業に10年勤めてからスタートアップに挑戦する。それはつまり、周囲や家族にも話してきた、大企業の看板を外した人生を選ぶ、ということです。その想像をした上で、それよりもっと大切にしたい価値観や、世の中に価値貢献したいという想いが高いのであれば、次の選択が具体的になる。私は常に、その候補者と共にあるご家族の人生にも想像を巡らせて、納得感を持ってもらった意思決定を支援したいと考えています。」
サッカーが教えてくれた、客観視の大切さ
候補者の現状や人生を客観的に見つめ、「本当に大切にすべきこと」を確認することについては、富山自身のかつての成功体験も関係している。
その一つが、高校時代のサッカー部での経験だ。兄の影響で幼少期からサッカーに親しんできた。足の速さには定評があり、小学生時代から市の選抜チームに選ばれたこともある。「負けず嫌いで、貪欲でした。勝つためにどうすればよいかをずっと考えていました」。私立高校からサッカー推薦をもらって入学し、部員数100名を超える大所帯のチームに進んだ。全国大会の出場を目指し奮闘していたが、高校3年生の夏まで、レギュラーに選ばれることさえできなかった。
「私は左サイドバックで、ライバルはとにかく足が速かった。私も彼のように足を速くしなければと焦れば焦るほど、差が開いてしまっていました。ある時、思考の転換がありました。それは、足を速くするのではなく、自分の良さである『正確な左足のキック』を売りにしようと思ったんです。そして何より、一番大きかったのが『もっとプレーを楽しむこと』を心がけようと。マインドセットを変えられたことが大きな転機となりました。もし、仮に何かミスをしたとしても、毎日練習をしていて下手になったわけではない。周囲の評価と自己評価を切り離すようにして、一喜一憂するのはやめようと、自分自身の時間や努力、そして人生を大切にできるようになったんです。」
マインドの変化は、プレーにも良い影響を及ぼした。自分の強みや楽しさを生かすことが、真に重要であることを知った富山は、結果的にレギュラーメンバーに昇格し、念願だった全国大会出場という成果をもたらした。瞬間的な感情に振り回されず、客観的に状況を見つめる姿勢が大切であることを、サッカーが教えてくれたのだ。
大学卒業後は、130年以上の歴史を誇る繊維商社へ2019年に入社。だが、新型コロナウイルス感染症の流行に直面し、富山も「自分の人生を見つめざるを得なくなった」と話す。業界の外に機会を求めると、市場の変動に企業が依存すること、その依存度がビジネスに与える影響に気づいた。特に繊維業界は打撃も大きく、アパレルブランドの減産計画に対する依存度は高かった。社内から新規事業の必要性も叫ばれたが、革新的なアイデアはすぐに生まれるものでもない。業界の先行きも考えた時、転職を検討することにした。
そのタイミングで、富山はフォースタートアップスからスカウトメールを受け取り、面談することになった。面談相手は、同年齢で人事を務めていた蕪木 俊太だった。蕪木はファッションやサッカーが好きで話が弾んだが、事業内容や仕事のことに話題が及ぶと、空気が一変したという。富山はその姿を見て「焦りを感じた」と振り返る。
「自分と趣味趣向が大きく変わらない同級生が、これほど主眼ではなく、スタートアップという視野に対し、鋭い視点を持っていること、それを語れるだけの熱意と情報量を持っていることに驚きました。彼と話し終えた頃には、自分もチャレンジしたいと思っていました。カジュアル面談のはずが、完全にアトラクトされていましたね(笑)。」
2021年10月、富山はフォースタートアップスへ入社する。それは苦闘の始まりだったのだ。「自分ならうまくやれるのではないか、という根拠のない自信があった」と苦笑いする。
目標をやり抜いた時、ヒューマンキャピタリストの道が開けた
富山が入社して半年ほど経ったが、採用支援の実績を残すことができていなかった。スタートアップ業界は、これまで耳にしたことのない用語や考え方で溢れ、前職では体験したことのない新しさに満ちていた。
現在の活躍につながる契機は、現在も上長である平田 将也との出会いだった。平田は週2回の1on1ミーティングを組み、そのたびに富山の課題を突き詰め、成果が出るまで励まし、機会を与えてくれた。「成長させてもらいました」と富山は言う。
記憶に残る機会を一つ紹介してくれた。「何を以ってしても、必達してほしい」という想いを受け取り、目標を持った富山は1ヶ月を走り切る覚悟を決めた。時に上長や周囲の手も借りながら当初目標を超える結果を出せたとき、自身にも心境の変化があったという。
「やればできるんだ、と正直思ったんです。むしろ、それまでは目標を成し遂げられる自分を想像できていなかった、と気付かされました。やると決めて、達成する。難しければ、素直に周囲を頼る。文字にすれば簡単なことかもしれませんが、そういうことを身を以て知るとができた時、自然と成果に繋がり始めたんです。」
かつての自分が課題としていた目標がクリアできるようになると、頭角を表し始めた富山は、候補者の意思決定に関わる部分に注力するようになった。数多くの候補者と対話を重ねることで、自身の価値観にも変化が起きた。
「相手には相手のやりたいことがあるのだから、私が意見を伝えて、意思を曲げてまで態度変容をさせるべきだとは思っていなかったんです。しかし、候補者と対話をすればするほど、提示された年収やポジションで意思決定している現状があり、本質的に転職にあたって『本当に大切にしたいこと』から離れてしまうケースも目にしました。例えば、外資コンサルティング会社でマネジメントされている方をご支援した際の話ですが、その方は事業会社、コンサルティング会社など多くの会社からオファーを受けていました。そんな時にお会いして、ご相談をいただいたんです。ブティック系コンサルの経営クラスのオファーを受けようか迷ってるんです、と。
これまでの意思の変遷や、これからやっていきたいことを知っていたからこそ、伝えさせていただきました。その方にとって最良な環境はスタートアップだと。対話を重ね続けた結果、スタートアップという環境を選択いただいた経験があります。スタートアップは一人が入ると大きく変わるので、これまでの経験を生かして事業成長に寄与して欲しいという私の想いをお伝えさせていただきました。私が意見を伝えることは、ヒューマンキャピタリストとしての介在価値でもあるのだ、と気づいてからは、行動も発言も変わることができました。」
仕事は世のため、人のためにするもの
仕事をすればするほど、「人の役に立っているという実感、寄せてもらえる信頼感が、やりがいになっています」と富山は笑顔を見せる。
「良い支援ができれば、候補者も企業も、双方から大きな感謝をいただけます。さらに、支援後のご活躍を拝見したり、その後も交友関係が続いたりすると、富山 北斗という一人のヒューマンキャピタリストを信頼していただいていることが伝わってくることが、心から嬉しいと感じるのです。自らの仕事を通じて世の中がより良くなり、価値貢献できるという観点は、これからも大切にしたいと思っています。」
「仕事は世のため、人のためにするものだ」。大学卒業後に進んだ繊維商社時代の課長からもらった言葉が光っている。この言葉を胸に、富山はさらに、仕事や人生の影響範囲を広げていきたいと考えて努力を重ねている。
「フォースタートアップスで働くと、あの言葉の強さを実感します。候補者や起業家を考えながら仕事をすることは、まさに『人のため』になることです。フォースタートアップスのメンバーは、スタートアップに主眼を置いた『世のため』に行動できる方が多いと感じます。だからこそ、もっと、私自身が『世のため、人のため』になれることを考え、努力し、解像度をもっと高められることによって、より大きな影響を与えられるように尽力したいと心から思います。そう気づかせてくれたのは、本当に仲間と環境に恵まれました。」
富山自身は、今はどちらかといえば「人のため」を想う仕事が多い、と述懐する。今後は、「世のため」をいかに作っていけるのかにも視野を広げ注力していきたいと話す。富山は「それが今後の私の人生にとっての伸び代だと思うんです」と声を弾ませる。候補者の人生に寄り添うだけでなく、自身の人生にも責任を持ち、皆の”人生”を輝かせようとしている。
(取材・文/長谷川 賢人)