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Life is Beautiful〜人が纏う唯一無二の物語を、スタートアップで花開かせたい〜
大切にしている信念は「生きるとは、自分の物語をつくること」だと言う。フォースタートアップスのシニアヒューマンキャピタリスト・黒田拓海が、大学時代の指導教官や、その師匠となる先生から引き継いでいる言葉の一つだ。黒田からにじみ出る空気は、ビジネスパーソンから匂い立つ野心的なものよりもアーティスティックで、どこか、やさしい。
大学や大学院では心理臨床(カウンセリング)学や精神医学、平和学や国際政治学にまたがる研究と実践を続けてきた。「人には唯一無二、かけがえのない人生のストーリーがある」という信念を胸に、その物語の可能性を誰よりも広げるビジネスパーソンであり続けることが、黒田にとってのヒューマンキャピタリストの理想像である。そして、その理想を確かな成果へと結びつけることが、言わば彼の矜持なのだろう。
単なるキャリア支援を超えたところに、黒田が目指すフォースタートアップスでの役割は置かれている。「人は人でしか救えないし、救われない」と考える彼が目指す未来を聞く。
【プロフィール】
黒田 拓海 Takumi Kuroda
フォースタートアップス株式会社 タレントエージェンシー本部 シニアヒューマンキャピタリスト
米国ニューヨーク州で幼少期を過ごす。人の心に対する興味関心から京都大学教育学部に進学し、心理臨床(カウンセリング)領域の研究と実践に従事する他、プロジェクトリーダーとして京阪神の医学生と共同での数百人規模の自殺予防プロジェクト立ち上げを推進。大学卒業後に株式会社マザーハウスでのフルタイムでのインターンを経験。その後、一橋大学大学院 社会学研究科 地球社会研究専攻に入学。精神医学や平和学にまたがる学際研究に取り組む傍ら、東南アジア拠点のベンチャーキャピタルやコワーキング施設で起業家に対するコーチングを中心としたインキュベーション業務を推進。大学院修了後、フォースタートアップスへ入社。ハイレイヤーの転職支援や、社内トップクライアントの採用コンサルティングプロジェクトで実績を残し、新卒1年目での受注ギネス記録を更新。現在はシニアヒューマンキャピタリストとして、ハイレイヤーの転職支援やアーリーフェーズのスタートアップに対する採用コンサルティングを牽引する他、社内横断の組織開発プロジェクトにも関わる。
「ライフミッションに近い仕事」を求めていた
人々の人生やストーリー、心の傷に向き合い、その経験を社会へ還元する方法を模索してきた黒田は、フォースタートアップスへ入社を決めた。
スタートアップでは、個々のタレント性を発揮させることが、企業成長の重要なドライバーになる。そこへの人材支援は、まさに「自らのライフミッション(=人の可能性の発露)に近い仕事」を求めていた黒田にとって格好のフィールドだったのだ。「起業家支援/転職支援による人々の可能性の拡張」というミクロの視点、その可能性を拡張させる土台となる「スタートアップエコシステムの構築」というマクロの視点の双方を叶えられる期待が持てたことが、入社の決め手だった。
定量では測れない「研究」や「写真」をライフワークにしてきた背景もあり、入社直後は「数字こそが成果」というビジネス界での常識に馴染むのに苦労した。成果を出さなければ人から認められない、「新入社員」というラベルでしか見られていないと思い悩んだ時期もあった。視点を変えるきっかけとなったのは、自分の得意である「写真」を通して、社内外で個性を発揮する機会を得たことだった。「自分ならではの価値を突き詰めていいのだ」と心の奥底からの力強い気づきを得て、1年目の後半には活動に集中することができ実を結び始めた。新卒1年目にして、ハイレイヤーの転職支援や採用コンサルティングプロジェクトでも実績を残し、新卒1年目での受注記録を更新。自身にとって、その後につながる大きな自信となっている。
「チームワークにも助けられました。あるプロジェクトでは社歴が長い先輩達に続く3人目のメンバーとして加わったのですが、クライアントへの向き合い方や仕事の進め方などをサポートくださり、大きく支えていただきました。仕事にも慣れるうちに、本来的に大切にしている『自らはこうありたい』という哲学や理想像にアラインさせる形で、自身をモチベートできるようになっていったんです。それが早い段階で支援実績を残すことができた要因だと考えています。」
転職支援をしたある方は、スタートアップで人事として活躍している。自分の会社への愛や熱意を語るX(旧twitter)のポストを、プロフィールに固定していた姿を見て、黒田は静かにやりがいを噛みしめる。仕事を進めるうちに、採用支援だけでなく採用コンサルティングの領域でのパートナー企業も増えていった。
「生きづらさ」が、自らの哲学を養った
黒田が信念を持つに至ったのには、幼少期から経験した「生きづらさ」がある。
0歳から5歳の人格形成期にアメリカで育ち、現地の幼稚園に入ったときに始まり、日本帰国後も言葉や文化の違いによる煩わしさを覚えることも多かった。社会からの疎外感を抱きながら学生時代を過ごしたことに加えて、神経系の疾病を患う時期もあった。ただ、その頃に数多くの自伝やエッセイを読み漁る中で「最短距離を行けずとも、不器用に回り道し続ける人生こそ美しい」「不器用でも自らの人生を諦めず、美しく生き続けようという意志を貫くことこそが大切だ」ということを学んだのだ。
「日本社会での生きづらさを自分の根底に据え、それを乗り越える過程で、今につながる重要な価値観を形成してきたと思います。大学で心理臨床学や精神医学に興味を持ったきっかけでもあります。家族を超えたセーフティネットとしてのシェアハウスを研究をしたのもそうです。私自身も生きていくなかで、肩書きやキャリアといった表面的な要素を超え、価値観のレベルでより多くの人と繋がり、相互に理解し合い、関係性を築く努力を続けてきたことが、自分の強みである関係構築力やライフミッションの原点になっています。」
黒田は「人は人でしか救えないし、救われない」という考えを持つ。この考えは、生きづらさや孤独感を和らげる手段でもあった「人との繋がり」の重要性を体感したからこその考えである。そして、大学時代の恩師との出会いも、彼の哲学に深い影響を与えた。その一つが「生きるとは、自分の物語をつくること」であるという考え方である。言い表すなら、現実の不条理や不合理にどう向き合い、乗り越えてきたかが、人生の美しさを形作るというものだ。学際的な学びもあるが、学生時代からライフワークとして続けている「写真」への情熱も、黒田の人生哲学を支えている。専門はポートレート写真で、撮影時には「人々の魅力やストーリーを映し出す表現写真を求めたい」と、撮影相手の価値観やストーリーを理解することから始まる。「コーチングと写真の掛け合わせ」で撮るのが流儀だ。
スタートアップの世界は、無限の可能性がある舞台
フォースタートアップスのヒューマンキャピタリストとして活動するようになって、チームで取り組むプロジェクトの経験と成果は、自身を成長させる大きな糧になっていると言う。それまで、自らで研究を深めることで哲学や心情を磨いてきた彼にとって、共同で目標を達成し、喜びを分かち合うことは「一人だけで出来ること」の限界を超える経験となっている。個性があふれる社会を作っていくようなインパクトを出すためには、同じ志を持ったメンバーと協同していくことが重要だ。フォースタートアップスは、まさにその実践の場なのである。
ヒューマンキャピタリストの経験を積んできた黒田は、自らの強みに「言語化能力」と「構造化能力」を挙げる。
「やはり、どこまでいっても、ヒューマンキャピタリストという仕事はコミュニケーションの仕事です。細かい言葉遣いや表現方法一つひとつが大きな影響を持ちますし、それに応じて候補者の印象も大きく左右します。言葉でのコミュニケーションを起点に、相手の課題を解像度高く理解し、構造化し、具体的な解決策へ落とし込んでいく。ビジネスの基本動作でもありますが、この順序を踏んでいくことは、自分が圧倒的に得意とするところだと自負しています。」
黒田に「ぜひ会いたい、担当したいと思う方はいるか?」と聞いてみると、彼らしい返事をくれた。
「こんな社会にしたい、人生をもっとこうしたい、自分なりの志を持つ方々と対話していきたいです。自分だけのユニークネスって存在すると思っています。人生という物語を自らの手でつくることに意志をお持ちの方のストーリーテリングのスタート役を共に担っていけたら嬉しいです。」
人々の価値観や生き様を豊かにすることに魅力を感じる黒田にとっては、スタートアップがそれを実際に叶える手段として「最適な環境」だと信じている。
「スタートアップの世界は、自らのはっきりとした意志がなければ渡っていくのは難しいですが、そのような意志があれば無限の可能性がある舞台であるとも考えます。苦しい状況の中でも、自己の原点や哲学に立ち返り、行動できる人が活躍しやすい世界ですからね。」
憧れるよりも、憧れられるような存在になりたい
ある採用コンサルティングの案件でプロジェクトオーナーを務めることになったのも、黒田をまた一段と成長させた機会だった。当時はスタートアップ業界での経験が浅いことを自覚していた。しかし、浅いからこそ「派手なこと」や「突飛なこと」をするのではなく、新しく契約を結んだばかりの採用支援で関わり始めたこのスタートアップの成長とストーリーに徹底的に向き合い、一歩一歩、着実に成果を出して「信頼貯金を積み上げた」と言う。
その取り組みは、強い信頼関係を以って企業に伴走する採用コンサルティングへの体制移行という形で身を結んだ。スタートアップの成長支援に包括的に携わる採用コンサルティングは重要なマイルストーンであり、入社1年半のタイミングで成し遂げたのは大きな成果といえる。
「もちろん、ご紹介した方々が採用され、スタートアップの成長をドライブする中核人材になっていくことが、一番といえるご支援結果ではあります。ただ、今後一緒に働くメンバーには、自分に自信を持てなくても、遥か見据える道のりが長すぎて目標を見失うことがあっても、自らの信念を持ってスタートアップの可能性やストーリーを豊かにするために全力を尽くせば、必ず良いアウトプットにつながることは伝えていきたいですね。」
黒田は自らの生き様を通じて、フォースタートアップスという組織をさらに成長させることも目指している。そういったヒューマンキャピタリストであれるように、自分の言葉、哲学、信念を磨き続ける。黒田自身に「ロールモデル」はいないと言うが、それも「憧れを持つのではなく、憧れられるような存在になる」と考えているからだ。
自分の生き方や物語を通じて、誇りを持って仕事をする人々を増やす。その一環として、スタートアップに挑戦する人が活躍する未来を、起業家が自らの生き様を世の中に体現する未来を目標に掲げる。それは、社外に対してだけではない。社内に対しても目は向けられている。
ヒューマンキャピタリストとしての成果を上げることの重要性を認めつつも、それだけが目的になってしまってはいけない、と黒田は示す。フォースタートアップスにおいて、「自らの成し遂げたいことや目指す方向性を持ち、それを発信できるメンバー」を増やすことが大切であり、そのための環境づくりを志向している。
「やや逆説的ではあるのですが、フォースタートアップスも自らの哲学を持った人であふれる企業にしていきたい、と思っています。異なる哲学や能力を持つ者たちが、お互いを刺激したり、夢を応援し合ったりしながら、時にはタッグを組んで“デカいこと”を実現していく。そういった世界観を作ることにも貢献していきたいですね。」
(取材・文/長谷川 賢人)