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営業利益率48.9%!?カカクコム社のビジネスモデルのカラクリとそこから見えてくる強みと弱みを解説する

こんにちは、安元です。

突然ですがみなさん、価格.comはご存知ですよね?個人的に美しいビジネスの1つだなと思っているサービスです。

今回は今更ながら、「価格.comのビジネスモデル」「生み出している参入障壁」「課題・弱み」について考えてみたので、それを備忘録代わりに書いておきます。

価格.comのビジネスモデル分析

まずはビジネスモデルから。

カカクコムのホームページを見ると、ビジネスモデルについて記述されていました。

主に上記3つが収益化ポイントとなっているようです。図解する以下の感じでしょうか?

価格.comのビジネスモデルが美しい理由

カカクコム及び価格.comのビジネスモデルが美しいのは、その収益性の高さです。

平成30年3月期の決算資料を見ると、すごい営業利益率であることがわかります。。。

48.9%(・□・;)

なぜこれほどまでに営業利益率が高いのか?その理由は「広告宣伝費と人件費が抑えられるビジネスだから」であると思います。

※営業利益=売上−(売上原価+販管費)です。売上原価はあまりコントローラブルな変数ではないので、営業利益率を高めるためには基本的には販管費を下げることが重要となります。

※販管費の内訳は様々ですが、基本的に大きなコストとなるのは広告宣伝費と人件費です。

広告宣伝費

決算資料を見ると、株式会社カカクコムのコスト構造は以下の通りです。

売上高広告費比率を計算してみると、約10.8%でした。

他の会社の売上高広告費比率を調べてみると以下の資料がありました。カカクコムの売上高広告費比率が低いことがわかります。

これは、SEOによる集客(=ブランディング)が成功しているからでしょう。クックパッドと同じで、広告宣伝費を必要としなくてもユーザーが集まる仕組みがSEOによって出来上がっています。

※ちなみに、弊社(ディップ株式会社)の売上高広告比率は約29.1%でした。

人件費

次に、人件費を見てみます。

カカクコムの売上高人件費比率を計算してみると、約14.0%でした。カカクコムの人件費について2008年まで遡って調べてみましたが、これは年々減少傾向にあることがわかります。

カカクコムの収益源は上記で述べた通りです。これらの収益は明らかに労働集約ではないので(売上を伸ばすために必ずしも人員を必要としない)人件費は売上の拡大に伴い必然的に下がっていきます。

例えば、弊社(ディップ)のようなビジネスモデルですと、人員の数と売上の増加はそこそこ比例関係にあるので、「売上を伸ばす=人員を増やそう!」となるわけです。毎年新卒を300人ぐらい採用してますし。しかし、これ(全国に営業拠点を持っている)は参入障壁にもなります。

※ちなみに、弊社の売上高人件費比率は約27.7%でした。

価格.comが生み出している参入障壁

次は参入障壁についてです。それは以下の3つかな?と感じました。

①:SEOによるブランディング

前に書いた記事でも触れましたが、参入障壁のなる要素の1つとして、「ブランド力」が挙げられます。「〇〇といえば××」みたいなやつです。

価格.comはSEOが非常に強いので、自然と(広告なしで)「価格.com」のブランディングができます。つまり、「家電比較なら価格.com」というような純粋想起をユーザーに抱かせることができています。

②:情報の網羅性

2つ目は、情報の網羅性です。価格.comが提供している商品情報・価格情報・口コミ量の膨大さがそのまま参入障壁となります。

③:店舗側による価格更新

価格比較は通常、ネット上にある価格情報を拾ってそれらの比較を行う横断検索が主流ですが、価格.comは家電量販店などの登録店舗が自分たちの商品価格を自分たちで更新することができます。

つまり、他店舗の価格を伺いながら値段を店舗側が更新することで、店舗側同士で競争原理が働いています。これにより、ユーザーは常に最新情報で値段比較が可能となります。

この仕組みは多くの規模・時間を要するので、個人的にはこちらの方がSEOよりも高い参入障壁を生み出している気がしています。

価格.comの課題・弱み

最後に、カカクコムの課題・弱みについて触れて終わりとします。

初期は売上が立ちにくいモデル

価格.comの初期は社長及び社員が自分たちで価格更新を繰り返しています。

先ほど述べたように、カカクコムは労働集約を得意とする会社ではないので、このようなモデルのサービスの場合は、売上(収益)が出るまでにかなり時間がかかります。(クックパッドなんかもそうです)

逆に、弊社のような労働集約が得意な会社ですと、割と早い段階から売上を出せる可能性は高まります。しかし、サービスが成長する途中で、抱えている人件費が固定費として重くしかかってくるため、一時的に収益が下がる可能性もあります。

図にするとこんな感じ?もちろん、全てがこの通りになるわけではないですが。

WEBリーチによる売上の限界

価格.comのように、労働集約モデルで店舗集客(ゴリゴリの店舗営業)をしないとなれば、やはりリーチできる層は首都圏や都会の都道府県に限られてしまいます(WEBリーチによる限界で売上の天井が見えてくる)

現に、最近のカカクコムの売上高もそこまで年々凄い成長をしているかというと疑問ですし。。。

田舎にいるEXILE好きな家電量販店の店長(マイルドヤンキーと言われる層)は、価格.comなんてそもそも知らないことが多いのですね。

そういった層を巻き込むためには、やはり最終的には労働集約にならざるを得ないのかな?とも思います。でも、それはカカクコムとしてはやりたくない(得意としない)領域です。

なので、それを避けて売上を出すため、価格.comで培った知見を横展開して「食べログ」以外にも「映画.com」とか「キナリノ」とかを作って運営するのですね。

今回は価格.comについて調べたことを書きました。

安元の一言

「弱みは強み」とかってよく言いますが、これは会社にも当てはまるなぁと今回改めて思いました。カカクコムと弊社を比べるのは変かもですが、弊社の強みはカカクコムの弱みになっている(その逆もまた然り)ことが自分の中でかなり腑に落ちました!

というわけで今回はこれで終了です。ありがとうございました!

(文=安元一耀 編集転載:小林宥太 転載元:http://startuptimes.jp/2018/06/29/89508/

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