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何をやってもいい、という特大のプレッシャー。
もともと、私は大学で微生物の研究をしていました。今の仕事とは程遠い分野です(笑)。当時、ブログをやりながら、アフィリエイトでちょっとした小遣いを稼いだりしているうちにWEBビジネスに興味を持ち、それがdip入社のきっかけとなりました。数年間は、バイトルドットコムや、はたらこねっとのインフラとなるデータベースの管理のような仕事をしていましたが、突然命じられた企画の仕事。ミッションは「今までdipが手がけたことのない、新しいビジネス領域で、新しいサービスを立ち上げる」というもの。細かな制約などはありませんでした。メンバーは上司にあたる進藤と私の2人だけ。スタート地点では何をしたら良いのかまったく分からない状況。しかし、dipという会社全体の将来を左右する、という期待を受け、「何をやってもいい」という特大のプレッシャーのなかで企画の仕事が始まりました。
冬休みの宿題、アイデア100本。ボツ99本。
事業企画は、まずアイデアがなければ始まりません。とは言うものの、「世の中になかった」「もちろん、dipも手がけていなかった」そして「社会に対してインパクトある」そんな事業企画がぽんぽん生み出されてくるはずもありません。そこで、進藤と私2人は、「冬休みの宿題」として、年末年始休暇の間に2人で100のアイデアを出してこようということになりました。進藤が50本、私も50本。そして、それを基礎にして本格的にブレーンストーミングをはじめたのは、2012年の2月。小さなアイデアをどのように発展させられるか、そして、現在の社会が求めているサービスにどう結びつけることができるのか。試行錯誤の連続。そうしてやっと、100本中のたった1本、可能性のある企画のタネがその中から生まれました。それが「まごラブ」の原型。やっと見えてきたのです。
突然の方向転換。圧倒的な可能性とは。
新サービスは当初、「お母さん支援サービス」という発想から始まりました。子育て中のお母さんが安心して家族や仲間と交流し、さまざまな口コミメッセージが得られるサービスがあれば、今までdipが接点を持っていなかった層へのパイプも広がる、という発想。このアイデアをしっかりと社長に伝えるために、プレゼンを練習。やっと迎えたプレゼン当日、我々のアイディアを聞いて、その席で社長から出てきたアドバイスは「シルバーマーケットをもっと意識したらどうだろうか」というものでした。マーケットの広がりと、今後開拓される余地ということで言うならば、たしかに高齢者向けサービスには圧倒的な可能性がある。コンセプトは練り直し。ゼロ地点まで立ち返り、再度必死に再検討。再び試行錯誤。そうして苦しみ抜いた末に生まれたサービスが、子供の写真をおじいちゃんやおばあちゃんに安心して共有することができるSNS、「まごラブ」だったというわけです。
手は抜かない。本物を生むための、追求。
画竜点睛を欠くという言葉がありますが、世の中を見ると「アイデアだけで突っ走り、完成度が低い」サービスは飽きれるほど多くあります。「まごラブ」は、それではダメだと思いました。ターゲットが「高齢者」だけに、現状のネットサービスでは簡単には使ってくれない。「ありえないほど親切」なサービスでなければ、多分使われないと考えました。私たちは与えられた時間ギリギリまで、徹底的に完成度の高いサービスを求めていきました。サービスのネーミングとロゴを決めるだけでも、高齢者に違和感を持たれないように、3週間かけて調査しこだわり抜きました。さらには、ネットにつきもののトラブルを避けるため、あえて「完全紹介制(クローズドSNS)」にしたり、ネットに触れたことのないお年寄りでも利用できるようにあえて「郵便」を絡めたシステムにするなど、高齢者の方々に使ってもらうため、「ありえないほどの工夫」を追求しました。サービスがオープンした後も、日々、細かな調整と手直しの連続。変更箇所は、50カ所以上にものぼり、少しずつですが、確実に完成度を高めてきた実感があります。
新サービスの次なるチャレンジ。
現在までの「まごラブ」はまず第1段階として、会員数を拡大すること、そして毎日利用していただくことに主眼を置いてきました。しかし、言うまでもなく「便利で楽しい」だけのサービスでは、dipにとって利益は生み出されません。「事業としてきちんと利益を上げながら、社会の進歩・進化に貢献する」ということが成されなければ、単なるボランティアで終わり、dipが手がける意味もなくなります。つまりこの新しいサービスは、第2段階として「利益を上げる」仕組みを考えていかなければなりません。たとえば、企業とおじいちゃんおばあちゃんをつなぎ、なんらかの課金を得る方法・・・など。さまざまなアイデアを出し、それを磨き上げ、世の中に送り出す私の仕事に、立ち止まる暇はありません。
昨日のdipを越え続けること。
リーマンショック後の不安定な経済情勢の中で、世の中の不確実性は増してきています。どんなに優れたサービスも、永遠のものではない以上、企業は新しい価値を生み出し続けていく努力を惜しんではいけません。「新しいdip」によって「これまでのdip」を超え続ける。まさに私の仕事の意味は、そこにあるのだと考えています。変化を続ける世の中のニーズに応えるアイデアを生み出し、世の中の人々が必要とするサービスに育てていくことは、困難で、気が遠くなるような作業かもしれません。しかし、変化を恐れず、チャレンジを続けるdipにとって、「新しい事業を開発する」という絶対に必要なポジションにいるという強い実感の中、「今はまだ世の中にない、価値あるサービス」への挑戦を続けていきます。