近年、新卒・中途問わず就活の時に重要視する項目に「ワークライフバランス」が挙げられる事が多くなっています。
特にIT業界においてもどのような働き方をするのかという点は、求職者の大きな関心の一つになるでしょう。
とはいえ、IT業界といってもとてつもなく広いため、一概に「こういう働き方」と決めつけることはできません。企業によって、人によって千差万別といえます。
今回はあくまでITエンジニアの働き方の傾向として、「ワークライフバランス」に視点をおき、自社を例に現在のIT業界の働き方の実態をお伝えします。
また「ワークライフインテグレーション」という新しい考え方についても触れたいと思います。
就活でも重要視されるワークライフバランスとは?
まず「ワークライフバランス」とは、どういう意味なのかを改めて確認してみましょう。
内閣府のWebページの中に『「仕事と生活の調和」推進サイト』というページがあり、そこでワークライフバランスについて詳しい事が書かれています。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html
上記サイトから引用すると、日本において「仕事と生活の調和」が取れた社会とは、
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
とされ、具体的には
(1)就労による経済的自立が可能な社会
(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
という定義がされているようです。
様々な解釈はあると思いますが、「やりがいや充実感を持ちながら働き、経済的自立や健康的な生活、柔軟な働き方が可能な社会」を実現できるということを目指していると読み取れます。
大事なのは内閣府がワークライフバランスの社会を推進しているということだと思います。
なぜなら、このような政策に基づいて法律が決まり、企業にもその遵守が求められることで、社会全体がその方向に進んでいく流れがあるからです。
その結果、IT業界においても働き方の変化が見られるようになってきました。
ITエンジニアのワークライフバランスの実態
冒頭で伝えた通り、人によって千差万別の働き方ではありますが、明らかにワークライフバランスが推進される前と比べると、ITエンジニアの働き方は改善していると感じます。
10年ほど前と比べると違いがわかりやすいかと思います。
10年前はそもそもIT業界においてもワークライフバランスという概念があまり浸透しておらず、私生活の時間が犠牲になることが多くありました。
仕事を理由に出産や育児などのライフイベントにも男性が参加できる事が少なかったり、女性も働き方やライフイベントを制限される事が今より多くありました。
毎日オフィスに出勤し、固定された時間で働くのが主流で、フレックスタイム制やリモートワークはほとんどなく、勤務時間や場所の柔軟性はあまりありませんでした。
必然的に長時間労働によるストレスや健康問題が多く見られる一方、メンタルヘルスケアやワークライフバランスを意識した取り組みはほとんど行われておらず、ストレスによる精神疾患や過労死などに対する対策も不十分でした。
そこから10年が経ち、現在ではITエンジニアのワークライフバランスは大きく改善されていると感じます。
固定された勤務時間と場所から、柔軟な働き方への移行が進み、仕事と私生活の両立がしやすくなりました。
また、企業がワークライフバランスを重視するようになったことで、長時間労働の是正やメンタルヘルスケアの充実など、働きやすい環境が整備されています。
デジタルツールの進化も、リモートワークの普及を支え、効率的なコミュニケーションと業務遂行を可能にしています。
結果として現代のITエンジニアは、より健康で充実した生活を送りながら、仕事においては高い生産性を維持することができるようになってきています。
シーエスコミュニケーションにおけるワークライフバランス
弊社においても、それぞれの仕事のボリュームは変わら無くても、フレックス勤務や在宅ワークなどを取り入れたことで、無駄な時間のロスが減り、より効率的に時間を使えるようになりました。
それにより残業時間は全体平均で20%ほど削減することができました。
その時間をうまく使って、資格取得やスキルの学習に励む社員もでてきたり本人にとっても、会社にとってもプラスの効果が出ています。
また、以前は少なかった男性の育児休暇取得なども積極的に推奨しており、家庭と仕事の両立という意味でも社員のワークライフバランスが向上しました。
ただし、全員が同じように自分の希望通りに働けるようになったかというと、そういう訳ではないことも事実です。
ITエンジニアにおいても、「必ず誰かがやらなければならない仕事」というものは存在します。
夜勤やシフト制の仕事もあれば、必ず出社が求められるような仕事もあります。
それを仕事(事業)としている以上やらないわけにはいかないので、チームで業務分担をしたり、会社から特別手当を出したりと、様々な方法で対応しています。
誰か一人に大きな負担がかからないよう、協力し合って円滑に進める事も時には求められます。
ワークライフインテグレーションという考え方
ワークライフバランスに似たような言葉で、「ワークライフインテグレーション」というものがあります。
ワークライフバランスが仕事と私生活を明確に分けて、両方の時間を確保しようというアプローチなのに対し、仕事と私生活を統合して、シームレスに両立させる考え方です。
要するに仕事も私生活の一つの要素と考え、境界を明確にせず曖昧にすることで、より柔軟かつ効率的にバランスを取ることができるというわけです。
具体的には仕事の合間に家事をしたり、家族と過ごす時間を確保しながら仕事を進めたり、ビデオ会議でリモートからチームとコミュニケーションを取りつつ、出先でもプロジェクトを進めるなどでしょうか。
ワーケーションなども同様な考え方で、リゾートで休暇を取りつつ仕事をすることで、よりリラックスして仕事に取り組んだり、創造性が刺激されてクリエイティブな感性が上がるというメリットを得ることができます。
特にITエンジニアの様な職種は、テクノロジーの進歩やインフラ技術の発展により、パソコン一台あればいつでもどこでも働けるという事で取り入れている企業もあるようです。
今後はこの様な事例はより増えていく事が予想されますが、当然一人ひとりが自己管理ができないと企業も働き方の自由を諦めたり、サボっている社員をクビにするという可能性もありえます。
自由な働き方の分、責任が求められるという事ですね。
特に時給単価で働いているわけではない社会人にとっては、どこからが仕事で、どこからが私生活なのかという境界は時に曖昧です。
例えば資格取得などの自己研鑽は仕事に必要なものであると同時に、あくまで個人のキャリアアップの一環とも捉えることができます。
まずは目の前のことだけでなく、長期的な目線を含めて自分がどのような人生設計をしているかを考えることが、理想的なワークライフバランスを獲得する第一歩になるでしょう。
ここまで読んで頂きありがとうございました。