会社組織を健全に運営していくためには、総務や労務、法務など、欠かせない仕事がさまざまあります。一般的に「バックオフィス業務」とカテゴライズされることが多いこれらの仕事を、コパイロツトで担っているメンバーの一人が山城理奈さんです。
ほぼ全員がフルリモートで働いている状況かつ、それぞれのメンバーが自律的に行動できる組織を目指すコパイロツトで、山城さんはどんなことを考え環境整備に努めているのか。本人のこれまでのキャリアと合わせて話を聞きました。
プロフィール
山城 理奈
イベント制作会社などを経て2010年に入社。アシスタントディレクターから転身し、現在は環境ドメインの業務とプロジェクト推進業務のサポートに従事。最近は友人の影響で、女子バスケットボール観戦を楽しんでいる。
メンバーが働きやすい環境を整える、環境ドメインの仕事
—— 山城さんは今、コパイロツトでどのような仕事をしていますか?
山城:環境ドメイン(※)としての仕事が半分、もう半分はお客さまのプロジェクトのサポート業務に携わっています。
※ドメイン制とは:
フラットな組織を目指すコパイロツトでは、「組織が人ではなく役割から成り立っている」考えのもと、ホラクラシーを参照した組織運営を行っている。チームメンバー個々人の役割を「ロール」と呼び、複数のロールを束ねるものを「ドメイン」と呼ぶ。ドメインは、複数のロールが集まって連携しながら目的を達成する場合に設定される。
—— 「環境ドメイン」が社内でどのような役割を担っているのか、改めて教えてください。
山城:環境ドメインは、会社のメンバーが働きやすい環境を整えるためのチームです。法人を運営するために必要な基幹業務を滞りなく実施するほか、会社の状態に合わせてさまざまな社内制度を運用し、現メンバーへの周知や理解促進を含めた運用・改善を重ねていくことが主な役割ですね。私を含めて4人のメンバーがおり、それぞれ役割分担をして仕事をしています。
—— 2020年以降は、ほぼ全てのメンバーがフルリモートで働くようになったため、そのための制度整備も担当されていますね。
山城:はい、メンバーと試行錯誤を重ねながら、以前の形では実施が難しくなってしまった制度・福利厚生の見直し、働く環境の整備などを行っています。
例として、2021年9月に産業医と顧問契約を行いました。メンバーから、「メンバー同士で顔を合わせる機会がなくなり、フィジカル・メンタルともに健康面の不調を察しにくくなったので、産業医の導入を検討したらどうか」と提案を受け実現したものです。全メンバーが24時間いつでも産業医に直接健康相談をできるようにしたほか、半年に一度の産業医健康面談を行っています。
そのほか、円滑なコミュニケーションや情報共有を行うための最適解をその都度考え、施策を実施しています。
参考)リモートワーク関連の取り組み
・リモートワーク環境下でもメンバー同士の交流をうながす「チームで推進する制度」が生まれるまで
・リモートワークに切り替えるため、コパイロツトがメンバーに支給することを決めた2つの「手当」
—— 一般的には「バックオフィス業務」にカテゴライズされる仕事が含まれますが、コパイロツト特有の取り組み方はありますか??
山城:そうですね。コパイロツトでは私が入社した当初から「バックオフィス」という言い方はしておらず、一時期は「チームマネージャー」と呼んでいました。会社として、事務作業を誰かに集約して任せたり、メンバーを管理したりすることを主目的にしない、という意志が強かったのだと思います。
2010年頃からメンバーが少しずつ増えていくなかで、適切に法人組織を運営していくために必要な業務が膨らんでいきました。その仕事を担うチームができたのが2016年頃で、以来、試行錯誤を重ねながら現在に至ります。
—— 山城さんは、入社当初からこの業務を担当していたのですか? 総務など、バックオフィス業務に携わったご経験があったのでしょうか。
山城:そもそも私はアシスタントディレクターとして、業務未経験の状態で入社しました。もともとは、Webディレクターになりたいと思ってコパイロツトに入ったんです。バックオフィス業務の経験は多少ありましたが、最初から担当する予定ではありませんでした。
専門スキルを身につけたいと考え、業務未経験で入社
—— コパイロツトに入社する以前は、どんな仕事をしていましたか?
山城:私は裏方の仕事というか、自分が何かしらのサポートをすることで相手に喜んでもらう……ということが好きで、新卒ではイベントの制作会社で働いていました。
ただ20代のうちにもっと専門的なスキルを身につけたいと思うようになり、興味のあったWeb制作の現場で経験を積むことにしたんです。派遣でコーディングの仕事を3年ほど経験した後、転職活動をしている中で出会ったのがコパイロツトでした。
—— 当時、Webディレクションの求人は他にも多数あったと思いますが、なぜコパイロツトに入社しようと思ったのですか?
山城:そのとき、コパイロツトが掲げていた「正義の味方ビジネスモデル」の話に共感したのが大きかったです。簡単にいうと、世の中のためになることをビジネスモデルとして確立していこう、という考え方ですね。
今でこそ、もうあまり言葉として強調することはなくなりましたが、会社としての根本的な姿勢はずっと変わっていないと思います。方針だけではなく実際にメンバーがNPOの活動に携わっていて、とても興味をもちました。
私自身がもともとボランティア活動によく参加していたりと、自分のしたことで誰かが喜んでくれたり、社会がちょっとよくなったりするなら自分の時間を使ってもいいよね、と考えるタイプなんです。
だから志ある人たちが熱量をもって行う取り組みをサポートすることで、社会に良い取り組みを生み出し、その取り組み自体を継続していこうというコパイロツトの姿勢にひかれたのだと思います。
会社の姿勢に共感していたから、挫折しても方向転換ができた
—— アシスタントディレクターとして入社した後、環境ドメインの業務に移行することになったのは何故だったのでしょうか。
山城:求められるWebディレクターのレベルが、当時の私にとってはとてもハードルが高いものだったからです。2010年前後のコパイロツトは「ディレクターズ・ユニオン」と銘打って活動している少数精鋭のディレクター集団だったので、一人が担う業務の幅や役割が非常に多岐にわたっていたんです。
私が知っていたWebディレクターの仕事内容は、その中のごく一部でしかないと早々に気がつきました。周りのメンバーの仕事ぶりや熱量を間近で見て、「ここまで深く向き合うのは私には無理だ」と感じてしまいました。
そこで改めて相談し、支援先であるNPOの事務局運営や、社内メンバーのサポートに回ることになりました。その後メンバーの入れ替わりがあって、現在の環境ドメインにつながる仕事を担当するようになったんです。
—— 担当業務を変更するにあたり、どのような話し合いをしたのでしょう?
山城:私からは、「みなさんと同じ熱量で向き合い続ける自信がありません」と正直に話しました。普通はそこで会社を離れる流れになるのかもしれませんが、「他のプロジェクトの仕事もあるけど、どうする?」と、会社側から提案をもらい、方向転換することにしました。
—— 退職し、他の会社でWebディレクターを目指す選択肢もあったかと思いますが、そうしなかったのは何故ですか?
山城:そもそも「正義の味方ビジネスモデル」に代表される会社としての姿勢や考え方に共感して入社しているので、他に自分が担える仕事があるならコミットしよう、と切り替えられたのだと思います。それがなかったら、一度挫折した時点で会社を離れていたかもしれませんね。
バックオフィスは、会社そのもののプロジェクトマネジメントである
—— 冒頭でも少し話が出ましたが、コパイロツトは管理を強化することをよしとしておらず、メンバーが自律した組織を目指しています。環境ドメインとしてはどんな選択をするか、難しい場面も多いのではないでしょうか?
山城:とても難しいです。メンバーの管理を目的としたルールや制度は必要以上につくらないようにしていますが、人数が増えるにつれ、整備しなければならないことも増えていきますから。
ただ私自身もメンバーの一員であることは変わりないので、ドメインのミッション・ビジョンに加え、自分が縛られてしまい、働きやすさが損なわれないようにすることを判断基準の一つにしています。
それから──この仕事のもう一つの課題は、家事と似ているかもしれません。
—— 家事、ですか?
山城:私たちの仕事の中には、例えば備品や設備の維持、社内資料の整理など、一見とても地味なものも含まれます。「会社ならそれがあって/できていて当たり前」だから特別に評価されるわけではないけれど、誰かがその仕事をしなければ、不具合が起きたりスムーズに他の仕事が遂行できなかったりする。
私はこうした家事的な一連の仕事を、個人的には「会社を継続的に運営するためのプロジェクトマネジメント」だと思って取り組んでいます。
—— そう捉えてみると、プロジェクト推進支援の仕事にあたっているプロジェクトマネージャーが、よく口にしている課題感とも似ているように思います。
山城:そうかもしれませんね。いずれは、この役割を評価するための数値化なのか、見える化なのか、そういった新たな仕組みをつくりたいと思っています。
周りのメンバーから刺激を受け、スキルアップにもつながった
—— 入社してから12年。コパイロツトでの経験は、山城さんのキャリアにどんな影響を及ぼしたのでしょうか。
山城:環境ドメインの仕事だけではなく社外プロジェクトのサポートもしているので、日々の仕事を通して、プロジェクト推進に関するスキルが自然と身についている感覚があります。
さらに周りのメンバーがいろいろなバックグラウンドを持っていたり、それぞれ違った社外活動をしていたり、専門分野があったりするのに加え、みんな学習意欲が高いので、たくさんの刺激をもらっています。おかげで、この12年の間に視野がすごく広がったと思います。
—— 最後に、これから取り組みたい課題、目標などがあれば教えてください。
山城:先ほど言ったように、環境ドメインが担っている仕事は「会社を継続的に運営するためのプロジェクトマネジメント」です。だから私自身も引き続き、周りのメンバーからプロジェクト推進に関するノウハウや技術を学びながら、自分自身が関わる“プロジェクト”を少しずつ前進させていきたいですね。
自分の能力を活かして楽しく働く。私たちと一緒にプロジェクト推進に取り組みませんか?
プロジェクトに関わるすべての人が、それぞれの個性や能力を発揮して活躍できる環境をつくりたい。私たちと一緒に、さまざまな会社のプロジェクト推進に取り組みませんか?