oVice、CHRO(最高人事責任者)に元IBMグローバル人事責任者のMegan Reedが就任
◆CHRO就任の背景 oViceは2020年8月にサービスをリリースし、これまでに2,200社を超える企業や団体の皆さまに、バーチャルオフィスやバーチャルイベント会場などとして活用いただいています。 ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000058507.html
oVice社は2022年8月31日にシリーズBラウンドで45億円の資金調達したことを発表し、今後ハイブリッドワークソリューションを含めたプロダクトの強化に加え、アメリカを中心とした海外展開を加速させるため、組織体制を強化しています。
そんな中2022年9月に発表されたのが、世界的なテクノロジー企業であるIBMで15年以上勤務し、これまでアメリカ・アジア・中東・欧州などの様々な国と地域で人事戦略・組織開発を担ってきたMegan Reed(以下、Megan)就任のリリース。
この記事では、そんなMeganがなぜoViceへの参画を決めたのか、oVice入社して最初に取り組んだこと、今後の展望などインタビューした内容をもとにお届けします。
Megan Reed
25年以上に渡る人事領域のキャリアにおいて、アメリカ・アジア・中東・欧州などの様々な国と地域でリーダーシップを発揮し、人事戦略・組織開発をけん引。世界的なテクノロジー企業であるIBMでは15年以上勤務し、グローバル人事責任者などを歴任。その後、豪州の金融系新興企業であるTOA GlobalにてCPO(最高人事責任者)、豪州グリフィス大学のHRエグゼクティブを経て、2022年9月にoVice株式会社CHROに就任。
——まずはMeganさんのこれまでのキャリアについて教えてください。
私は25年以上に渡り、人事戦略・組織開発を中心とした人事領域に携わってきました。
これまでのキャリアの中心を占めているのが、世界的なテクノロジー企業であるIBMです。IBMではグローバル人事責任者などを歴任しながら約18年勤務しました。
私のキャリアのテーマの1つに、「リモート環境でのマネジメント」があります。きっかけは、IBMでのキャリアの最初のアジア太平洋地域の人事経験でした。APAC地域のメンバーは当時、インドからニュージーランドまで7つのタイムゾーンと14の言語があるくらい多様で。ですから、リーダーとして文化、言語、タイムゾーンがもたらす違いを受け入れ、メンバー同士がつながる機会を探し続けることが重要でした。
——新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大よりもずっと前から、リモート環境でのマネジメントに取り組んでいたのですね。
そうですね、私がリモートワークを始めた当初は、リモートワークはほとんど前例がありませんでした。ZoomやMicrosoft TeamsもなければoViceもない時代なので、会議は電話で行うしかなかったのです。
APAC地域を担当したことで、私は多様性、包括性、そしてリーダーとして真に大切なことについて多くを学びました。リーダーシップやマネジメントにおける重要な教訓は、常に「人」であり、「人」が置かれている状況に対応すること。これは、私がAPAC地域でのキャリアから得たものです。
それから、大中華圏、そして日本を担当する中で、IBMでデザイン思考、アジャイル思考についての学習と実践の機会があり、一生懸命勉強して、その分野の資格を取りました。それらを学んだとき、私は、”オーシャンライナー”で一生に一度の旅をしたけれども、どちらかというと小さいながらも馬力が大きく、小回りがきく”タグボート”の方が向いていることに気がつき、TOAグローバルという会社にキャリアチェンジしました。
そこはオーストラリアのゴールドコーストに本社を置く金融分野の新興企業で、2年間、CEO代理とチーフピープルオフィサーを務め、グローバルな組織で学んだことを地元の企業で発揮することができました。
——そこからoViceへの入社はどのような経緯でしたか?
LinkedInで自分用の検索プロファイルを設定し日常的に見ている中で偶然、oViceを見つけたのが最初のきっかけです。興味を持ったのでもう少し掘り下げてみようと思いました。後日、oViceのCXOクラスのメンバーや採用担当者に会う機会につながり、会話をくり返す中で、oViceの経営陣が会社に抱いているビジョンに期待が膨らんでいきました。
私はいつも、目的意識の強い会社にとても惹かれます。oVice社について話を聞くと、業界をアップデートし、ハイブリッドやリモートワークのシナリオで雇用者と従業員の両方にとって有益なプロダクトを作り、提供するというビジョンを持っており、とてもユニークかつつながりやリモートエンゲージメントの感覚を生み出すこの製品こそが未来であり、働き方のフロンティアだと感じ、入社を決めました。
また、oViceの社員一人ひとりの情熱と勤勉さにも驚かされました。2年足らずで0から約100名のメンバーを抱えるまでに成長する中で、人材に関する課題解決を数多く推進してきたことに驚きを隠せませんでした。
(Meganが登壇した「グローバル組織の戦略構築」をテーマに開催されたトークイベントの様子)
——CHROとして入社されましたが、oViceにおけるCHROの役割をどのように捉えていますか?
一言でいえば、oViceがグローバル企業として成功するためのサポートを人事の側面から行うことだと考えています。
私が入社したとき、役員から最初に言われたことのひとつが「Megan、君にやってもらいたいことがいくつかあるんだ。CHROの責任の一つは、社員を幸せで素晴らしい存在にすることだ」。私はこの言葉がとても気に入りました。従業員体験のアジェンダにフォーカスすること。これが私の最初の目標の1つでした。従業員を幸せに、そして偉大にする。従業員体験の向上が起点となり、人材獲得、L&D(人材開発)、リテンション・プログラム、福利厚生といった分野への扉を開くことになります。
——入社して最初に取り組んだことについて教えてください。
oViceに入社してから最初の90日を「学ぶ」「ベースライン」「提供する」の3つの重要なフェーズに分割しプランを立て、取り組んできました。
順を追ってお話しすると、最初の30日間は、聞くことに費やしました。多くのミーティングで、学ぶために耳を傾け、質問をし、理解を深めてから、主張を持ち込むようにしました。
次の30日間はエンゲージメント調査を含む「ベースライン」。HRは科学とデータの裏付けがかなりある分野なので、進捗を測定できるようにデータポイントを作成したいと考え、oViceとしては初めて従業員エンゲージメント調査を実施しました。
なぜ実施したかというと、現状と理想の状態の境界を確認し、そのギャップを埋めるためにどのようなプログラムを作ればいいかを理解する必要があったからです。従業員向けのプログラムや取り組みを始める前に、何が従業員にとって有意義で重要なのかを理解することはとても重要なことでした。
従業員エンゲージメント調査の結果、oViceで働くことに誇りを感じている人が90%以上というのは、とても驚きでした。また、社内の役職者に対する信頼度が90%台という高さに驚きました。oViceの社員はCXOレイヤーに信頼を寄せているのです。スタートアップの組織では、CEOはもちろん、他の役職者も迅速に意思決定する必要があり、常に全員とメッセージを共有する機会があるわけではありません。だからこそ、私たちのチームがリーダーシップに強い自信を持っているという事実は、美しい啓示でした。
もちろん課題もあり、日本や韓国のメンバーが、その場所で働いていないメンバーよりもoViceへの帰属意識が高く、「世界の他の地域」(ROW)の社員は帰属意識やエンゲージメントが低いのですが、これは予想外のことではなく、今後のグローバル化の焦点になると思います。
そして3つ目の30日間は「提供する」こと。人事部のマニュアル作業を取り除くべく、新しい人事情報システムとして、人事や従業員のデータを保存するのに現代的なアプローチをしている「Bob」という人事プラットフォームの導入を推進しました。
——なぜ「Bob」の導入を推進しようと思ったのでしょうか。
導入以前は多くの人事部員がボランティアで、自分の仕事を超えて、この作業に取り組んでいました。これにより、何百時間にも及ぶ手作業がなくなり、従業員や個人のデータがスプレッドシートではなく、安全なリポジトリに保存されることで、全従業員にさらなる安心感を与えることができるのです。このデータベースがあることで、表計算ソフトが最新かどうかを推測してチェックするのではなく、データに基づいて意思決定する機会が与えられます。
また、データを調べ、相関関係を発見し、価値あるつながりを作る機会にも多くの時間を費やしています。今月は、新しいフレームワークやポリシーをたくさん書き、テストする予定です。例えば、新しい業績評価のフレームワークを設計し、組織全体で一貫性のある公平な経験を提供し、高い業績を上げた人には報酬を与え、評価し、業績を上げるためにサポートや励ましが必要な人にはその機会を与えることができるようにするためです。私は、多くの時間をミーティングに費やし、人と話しています。
——最後に、人事としてのoViceでの今後の展望について聞かせてください。
以前は、誰もがジェネラリストであり、会社のあらゆる場所で起こっていることをすべて把握しながら取り組んでいましたが、私たちは成長するにつれ、より焦点を絞る必要が出てきます。もし、全員がバラバラに仕事をしていたら、顧客や従業員にとって最善の結果を得ることはできません。
ですから、成長する組織における人事の役割は、人とのつながりや帰属意識を取り戻す手助けをすることであり、まさに「接着剤」となることなのです。特に私たちのように複数の拠点、言語、タイムゾーンで事業を展開する企業では、目的とのつながりや社内で起こっていることを知ることがより重要になると考えています。
その中でも従業員体験にフォーカスするのは、従業員の体験が顧客の体験を左右すると、私は信じているからです。商業的な成果を成功させるための最初のステップは「従業員体験の向上」だと考えています。いい従業員体験がいい顧客体験を生み、それが商業的な成果や成功をもたらすのです。
従業員体験とは、すべての人を幸せにするためのプログラムを作るということではありません。幸せであることは良いことですが、有意義な仕事をし、やりがいを感じ、この世界で違いを生み出す機会も重要です。エンゲージメント調査の結果、社員が最も共感したのは、世の中に変化をもたらし、影響を与えることができる機会であったことが分かっています。
単に幸福のためだけではなく、貢献し、変化をもたらし、素晴らしい人たちと一緒に働き、人生で最高の仕事をする機会を提供する──そんなビジョンを描きながら、よりよい従業員体験を作っていきたいですね。
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