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メンバー全員でアジャイルに開発し続ける「コーナーの人事制度」

こんにちは。コーナーの南部です。

パラレルワーカーを通じてクライアント企業の採用や人事制度構築などを支援している当社。それ故に自社の人事制度についてもこだわりを持っており、「メンバー全員」で「アジャイル」に作り上げています。ミッション実現のため、事業ステージをもとに必要なロール(役割)をメンバー全員で考え、ロールに対しての「目標と成果指標(OKR)」運用につながるようにしています。

今回はその人事制度構築ストーリーについて、代表の門馬に話してもらいました。

門馬 貴裕(もんま たかひろ)/株式会社コーナー 代表取締役
新卒で株式会社インテリジェンスに入社。人材紹介部門の法人向けコンサルタントや、ファッション業界向け新規事業責任者として企業の人事戦略、採用支援に一貫して関わりトップコンサルタントとして活躍。また、その後は人材紹介部門にてマネージャーに従事、兼務にて100名超の新入社員研修等も行う。2016年に同社を退職し、株式会社コーナーを創業。


●目次

  1. コーナーが目指す「ビジョン」
  2. MISSIONから紐解いた「作りたい組織像」
  3. 人事制度を考える上での「コンセプト」
  4. メンバー全員で「改善し続ける」
  5. 最後に

コーナーが目指す「ビジョン」

──改めて「パラレルワーカーシェアリングサービス」を始めようと思った理由を教えてください。

新卒でインテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社して人材紹介のRA(リクルーティングアドバイザー/法人営業)として働く中で、中小から大手企業に至るまで多くの人事に関わる方(経営者や管理部門の方、人事部門の方々)とお会いしてきました。

その中で強く感じたことが2つあって。それは「経営と人事は密接に結びついていること」「人事のプロフェッショナルが圧倒的に足りていないこと」です。

中小企業やスタートアップなどでは、1人の採用で事業が大きく前に進むことが良くあります。しかし、経営者が人事を兼任することも多く、人事に関する知識やノウハウがないこともしばしば。また日系大手や重厚長大系の企業などは定期的な部署移動(ジョブローテーション)があることも多く、ゼネラリストとしてのキャリア形成を否定するわけではないものの、本来中長期の時間軸で進めるべき人事施策にも関わらず、担当が変わるために途中リセットされるといったことも目にしてきました。

一方、外資系企業では人事に対するスタンスがまったく異なり、人事制度や組織開発など、あらゆる面で日系企業の一歩、二歩先を進んでいる印象を受けていました。ここに大きな危機感を持ったことを覚えています。

とはいえ、労働人口が減り続ける中で人事のプロフェッショナルをさらに増やすことは現実的ではありません。そんな時です、「人事のシェアリングサービスをしてみたい」と考えたのは。

ちょうどその頃は、クラウドソーシングサービスが定着化し、また顧問派遣/プロ派遣サービスのプレーヤーが増え始めている時期でした。働き方に関しても裾野が広がり始めた気配はありましたが、それでもまだまだコンサルティングやアドバイザリー、もしくはスポットの請負業務や作業系業務がメインのマーケットには変わりなく、本質的な課題解決にはまだ届かない気がしていました。

また、もう1つ考えていたのは、「複業がその人の成長をより促す機会になる」ということ。前職を退職していくメンバーを見ていて「もし退職前に外部の仕事を経験できていたら、違う景色が見えていたかもしれない」と感じていました。例えば、人材紹介業は採用工程だけを担当しますが、人事はそれ以外にも定着や育成・リテンションなど多様なミッションを持っています。それらが見えるようになると、人材紹介の決定Feeですごい金額を売り上げるだけが重要ではないと気づけるはず。それだけでもよっぽど早く成長できるだろうなと思っていました。

当時、人事のシェアリングにおいては少なくとも著名なサービスはまだ世の中になかったので、「まずは自分がやってみるか」と考え、私自身がパラレルワーカーとなり、企業の人事支援をすることにしたんです。結果的に支援先から「自社に持っていないナレッジがを取り込めて事業が前に進んだ」と評価してもらえました。支援先には、上場企業もあり、仕事内容はもちろん、アカウントや情報アクセス権限等について同社の社員と変わらない状態で任せてもらえるようになり、外部人事として採用から人事制度構築にまで関わったことで、「パラレルワーカーのシェアリングサービスは確実にニーズがある。本質的な課題解決になる」と確信することができました。これがコーナー設立の原体験になっています。



MISSIONから紐解いた「作りたい組織像」

──その原体験から「1人が、複数の会社で、本気で働ける社会をつくる」のMISSIONが生まれたんですね。

当時、MISSIONの言葉選びにはとてもこだわりました。「本気で」とつけたのも、世間一般ではサブとしての認知が高かった「副業」のイメージではなく、どの仕事もメインでパラレルに活躍する「複業」のイメージを世の中に広げていきたかったからです。

そのミッションを実現するためには、どんな組織が良いか。取締役COOの小林と散々議論しました。コーナーの社員みんなも複業をしていた方がいいよねなど、自分たちが「どうありたいか」も含めて話し合い、カルチャー(のちのValues)に落とし込んでいきました。

MISSIONが決まり、カルチャーを言語化し、そこから在り方も定義していき人事制度を煮詰めていきました。先に組織の理想像から決めていき、給与制度を決めたのは最後でしたね。初期メンバーの中には給与制度がない状態でMISSIONや組織の在り方だけに共感して入社してくれた方もいます。

──MISSIONから組織の在り方を紐解いていった結果、今のティール組織に近い形のホラクラシー型の運営になったと。

※上記図は、LAPRAS株式会社様の組織の考え方を参考にし、弊社の理想の組織に落とし込んだもの


パラレルワーカーのシェアリングサービスを手掛ける会社なので、自分たちのスタイルや動き方もそれに近い方が良いのではと思いと、挑んでいくマーケットはビジネス環境の変化が早いであろうと予想していたのでビジネススピードが重要と考えていたことから「上下関係がなく、意思決定権が分散されており、各メンバーが自主経営を行う」ことができる組織にしようと考えました。

また当時、LAPRAS株式会社様など各社の組織の作り方や制度を研究し、あらゆる組織の考え方を学ぶ中で、「加点評価」できる組織を作りたいという考えに至りました。労働分配率や利益がどれくらい出るモデルなのかを電卓を叩いて細かいシミュレーションを繰り返していましたね。

人事制度を考える上での「コンセプト」

── MISSION→カルチャー→組織のあり方と考えを進めた上で、どのようなコンセプトで人事制度を作っていったのか改めて教えてください。

「目指したい組織像(あり方)」を踏まえて、人事制度Ver.1.0では、上図左のように制度コンセプトを制定しました。

①多能工型のキャリア構築(マルチロール志向)
「各メンバーが自主経営を行う」ということを考えた際、一般的な役職ではなく「ロール」という形で設定した方がより事業コンセプトにも沿っていて、アジャイルな組織づくりにも効くと考え導入しました。この「サークル・ロール」について、以下図でより詳しくご紹介します。

LAPRAS株式会社様会社紹介資料を参考にし、弊社の組織像やロールに当てはめて表現した図。

弊社において以下のように定義しています。
・ロールは目的、領域、責務の3つの要素
・サークルとは分解可能なロールのことで、それ自体も普通のロール同様に目的・領域・責務を持つ。
・サークルはさらに細分化された定義ロールから成り、そのロールを埋めている人は誰でも、そのサークルメンバーとみなされる。

<例>
・目的:パラレルワーカーに素晴らしいサービス体験を作る
・領域:登録後オペレーション、パラレルワーカー面談、稼働後フォロー、未稼働時CRM、評価レビュー、スキルアップデートの支援
・責務:パラレルワーカーコミュニケーション、サポート、アドバイスのデリバリー

・主務……担当領域オーナーとして自己完結。①予算/施策の設計(探客や案件化)②実務実行・デリバリー③進捗管理・稼働後フォロー
・サブ……担当領域オーナーと連携して上記②③を遂行。
※主務とサブに分けることで、より段階的なチャレンジができるようにする。

②平等でなく、公平であること
「平等という言葉がしっくりこないね」という会話がきっかけとなり、「公平」という言葉が使われるようになりました。平等だと利益を平たく分配することになり、それぞれの価値発揮度合いが明確になりません。そうしてみんなでただ数字を分配するのではなく、誰が見ても納得できる「公平な」状態で評価軸を作りたいと考えていました。

③減点評価でなく、加点評価
組織づくりを行う上で、評価者がいて、いつまでも評価が紐づいてくることが理想の組織の在り方と違うんじゃないかと考えていました。売上ひとつとってもそう。営業だけの手柄ではなく、その背景にはコーポレートで働いてくれているメンバーの存在もいるわけで、すべてが有機的に機能しているから組織は成り立っているはずです。

それもあって、目標に対して達成した・していないで評価をしたくなくて。会社から降りてきた目標に対して達成したかどうかになってしまい、自分で決めた評価ではありません。どこまでを頑張るかを自分で決めて、そこに期待する形がいいのではという考えに至りました。

メンバー全員で「改善し続ける」

──こうして考えた人事制度も、メンバー交えてブラッシュアップし続けていますよね。

そうなんです。ボードメンバーだけで人事制度を決めることは今後もないと思います。なぜなら、コーナーはクライアント企業にも人事制度作りを支援する立場なので、自社の制度にもそれぞれのメンバーが関わって作るのは大事なことだから。今後メンバー数がさらに増えたとしても、やり方を工夫して全員で作るプロセスを継続したいですね。

2020年4月に一度整理した人事制度も、1年が経過した2021年4月には早速改訂版を出しました。そこでの大きな変更ポイントは以下2つです。

①サークル撤廃&ロールポイント導入
当初制定したVer1.0の制度だと、「サークルをまたいでロールを持つことは難易度が高い」という考えの元から、給与が大きく上がる構造にしていました。しかし実際はサークルをまたぐこと自体はそこまで難易度の高いものではなく、むしろ担当ロール数が多い方が難しいことがメンバーの意見からも分かり、サークルを撤廃してロールの数に応じたポイント制で給与を決定する形に変更しました。

②「主務・サブ」から「オーナー・リード・メンバー」に変更
主務とサブの形で1年間やってみたところ「権限の重み」が言語化されておらず、不明確になっていたことが分かり、「オーナー・リード・メンバー」の3つに分けて権限範囲をより具体的に言語化することにしました。

<それぞれの参考基準>
・オーナー……全社・事業視点での戦略・方針策定・意思決定を行う
・リード……自身で業務遂行・完結を行いロールをリードする
・メンバー……オーナー、リードのサポートも受け業務を遂行する
※他にも権限や行動についても細かく言語化しています。

このように変更できたことで、よりメンバーが違う分野のロールにも参画しやすくなり、さらに能力開発を進めやすくなったと感じます。あるロールではオーナーの権限を持って仕事を進め、またある分野ではメンバーとして新しい知見やノウハウを習得していく──こうしてマルチロール・マルチタスクの領域を広げていくことは、まさにパラレルワーカーが様々なプロジェクトを通じてスキルをアップデートしていく形にも似ています。

正直なところ、こうやって人事制度をアジャイルに変えていくことはとても大変です。報酬制度とどう紐づけしていくかも常に考えなければいけないし、給与計算方法も制度が変わるごとに変更になるから。でも、あえてこの形で組織運営や人事制度構築を続けていくことこそが、コーナーとしての独自性であり、MISSION実現にも必要なことだと考えているので、これからもこの体制を続けていきたいなと思いますね。

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました。
今回はコーナーの人事制度の成り立ちからコンセプトに至るまでをご紹介しました。「1人が、複数の会社で、本気で働く社会をつくる」このコーナーのMISSION、もしくは今回ご紹介した人事制度に少しでも興味を持ってもらえた方がいれば、まずはカジュアルにお話しませんか?ご連絡お待ちしています。

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