さて、皆さんの職場では、安心して「ちょっといいですか?」と助けを求めたり、「こうすればもっと良くなるのでは?」と提案したりできますか?
多くの人が「心理的安全性」を、単なる“仲の良い雰囲気”だと考えています。しかし、本当はもっと具体的で、設計可能な「仕組み」の集合体なのです。今日は、わたしたちがどうやってそれを築いているか、その設計図を公開します。
なにをやっているのか
わたしたちは、「心理的安全性は、5つの要素を組み合わせることで“設計”できる」と考えています。
「何でも言っていいよ」という言葉だけで、人が本当に心を開くことはありません。その言葉を支える具体的な仕組みがあって初めて、組織は心理的に安全な場所になります。
わたしたちは、スタッフ一人ひとりが安心して挑戦し、率直に意見を言い、助けを求められる環境を、日々の小さな習慣の積み重ねによって、意図的に創り出しています。
なぜやるのか
【事実】“雰囲気”だけでは、本当の安全は生まれない
多くの職場が「風通しの良さ」を目指します。しかし、具体的な仕組みがないままでは、結局は声の大きい人の意見が通ったり、失敗を恐れて誰もが口をつぐんだり、ということが起こりがちです。その結果、同じミスが繰り返され、改善の機会が失われていきます。
【解釈】最高のチームは、最高の安全から生まれるから
わたしたちは、最高の医療を提供するチームであるためには、まず何よりも心理的な安全性が土台として必要不可欠だと考えています。なぜなら、スタッフが安心して「ヒヤリとしたこと」を報告できなければ、大きな事故を防ぐことはできないからです。
安全な環境は、単に働きやすいだけでなく、医療の質そのものを高めるための、最も合理的で重要な経営戦略なのです。
どうやっているのか
心理的安全性を生む「5つの歯車」
それでは、わたしたちの設計図である「5つの歯車」を一つずつ見ていきましょう。これらが同時に噛み合うことで、組織は安全な場所へと変わっていきます。
歯車①:安全(Safety)——「ミスは起きる前提」で守りを固める
わたしたちは、人の注意深さに頼るのではなく、「ミスは必ず起きるもの」という前提で仕組みを考えます。危険な作業にはA4一枚のチェックリストを用意したり、「この数値を超えたら必ず相談する」という明確な赤信号ルールを決めたり。犯人探しではなく、再発防止に一直線で向かいます。
歯車②:学び(Learning)——すべての経験を“仕組み”という資産に変える
成功も失敗も、すべてはチームの貴重な“素材”です。毎日10分、小さな振り返りを行い、良い実践はすぐに手順書に反映します。そして、使われなくなった古いルールは定期的に“大掃除”して、常に現場で使える薄さを保ちます。学びを循環させ、個人の技を組織の資産に変えるのです。
歯車③:裁量(Autonomy)——明確な“ガードレール”の中で任せる
「任せる」とは「放置」することではありません。「ここまで決めて良い/ここからは相談/これ以上は禁止」という三段階のガードレールを設けます。これにより、スタッフは迷わずスピード感を持って動けます。失敗した時の助けの求め方も先に決めておく。これが、挑戦する勇気を生むのです。
歯車④:承認(Recognition)——良い行動を定着させる最短ルート
人の行動は、褒められた時に定着します。わたしたちは「3秒承認」を習慣にしています。「〇〇さん、さっきの保定、動物が安心していて素晴らしかったよ」。このように「行動+理由」を具体的に、その場で短く伝えます。特に、受付や清掃など、光の当たりにくい仕事ほど丁寧に行います。
歯車⑤:透明性(Transparency)——情報を“見える化”して信頼を築く
なぜこの決定をしたのか、その理由を必ず記録して共有します。売上だけでなく、待ち時間や説明の理解度といった“現場の手触り”が分かる数字を掲示します。先の見通しが立つことで、人は安心して準備ができるようになります。これが、噂や不信感をなくす一番の方法です。
こんなことやります
- 日々のヒヤリハットや成功体験を、当日10分で〈事実→原因→次の一手〉にまとめる
- チームの良い行動を見つけたら、その場で「3秒承認」を実践する
- 決められた裁量の範囲(ガードレール)の中で、主体的に判断し、行動する
- 意思決定の理由や、担当業務の進捗状況を、短いログとしてチームに共有する
- 匿名フォームなどを活用し、組織への疑問や改善提案を積極的に発信する
求める人物像
【一緒に働く上で欠かせないこと】
わたしたちの「5つの歯車」の考え方に共感し、自らも実践者として文化づくりに参加したい方。
【こんな方を歓迎しています】
率直に意見を伝え、相手の意見にも真摯に耳を傾けられる方。失敗から学ぶことを楽しめる方。
今日からできる、小さな一歩
心理的安全性は、これら5つの地道な積み重ねです。
もし、あなたが今の職場に少しでも息苦しさを感じているなら、一度わたしたちの話を聞きに来ませんか。安心して働ける場所を、他人任せではなく、自分たちの手で創っていく。そんな仲間を、わたしたちは待っています。