子育てと仕事、自分のやりたいこと、そのすべてを大切にしながら働く人がいる。彼女の名前は加藤さん。現在はクラップで人事を担当し、採用業務を中心に活躍する一方、児童発達支援での現場支援にも携わっている。
そんな彼女に、クラップとの出会いから今後のビジョン、プライベートまでじっくりと話を伺った。
書道教室から広がった新しい道
「最初のきっかけは、正直、偶然だったんです。」
加藤さんは、もともと病院で健診事務の仕事に携わっていた。結婚を機に習志野に転居し、新しい生活をスタートさせた。
大学卒業後は、幼少期から続けてきた書道を専門的に学ぶために専門学校に通い、知人から「教室を開いてみない?」と声をかけられたことが、新しい道への始まりだった。
「書道教室はやりたかったんですが、それだけで生活するのは難しいなと感じていて。ちょうどその時にクラップの求人を見つけたんです。」
面接時に、代表に「この曜日は書道教室をやりたいんです」と相談すると、「うちでも書道教室やってみない?」と声をかけてもらったという。
「やりたいことを否定されるどころか、『ぜひやってほしい』と言ってもらえて、こんな会社があるんだって驚きました。自分のやりたいことを応援してくれる会社って、すごく貴重だなって。」
パートとして入社し、半年後には社員に登用。千葉で開講した自分の書道教室とクラップでの書道教室を両立しながら、柔軟に働き続ける環境に身を置くことができた。
心理学と支援の現場が繋がった瞬間
大学時代、加藤さんは心理学を専攻。学生時代には、発達障害の子どもたちと関わるボランティア経験もあった。
「当時はまだ発達支援の世界を深く知っていたわけではなかったんですが、大学時代の学びと現場での経験がずっと心に残っていて。」
クラップでの仕事を通して、その想いが再び強くなったという。
「学んだ知識をどう活かせるか、現場で悩むことも多かったです。教科書通りにいかないことばかり。でも、子どもたちの気持ちに寄り添いながら話を聴く姿勢は、大学で学んだカウンセリングの経験が活きている気がしています。」
人事という新しい挑戦
現在、加藤さんは採用業務を中心とした人事の仕事も担っている。
「人事は、求人票の作成から応募者の面接、採用の判断までを担当しています。求人をどう作ればクラップに合う人が来てくれるのか、言葉選びや写真選び一つひとつに試行錯誤しています。」
特に力を入れているのが「ペルソナ設定」だ。
「例えば、『保育士や教員をしていたけど、もっと一人ひとりに寄り添った支援がしたい』と思っている20〜30代の方を想定して求人を作成しています。『家庭との両立がしやすい』という点もアピールしながら、その人に響くメッセージを意識しています。」
一方で、簡単にうまくいくことばかりではない。
「求人に反応がなかったり、良い方が来ても採用まで繋がらなかったり。求人内容を修正し、写真を変えて…の繰り返しです。でも、あるとき『この求人を見て応募しました』と言ってもらえた瞬間、本当に嬉しかったですね。」
現場と人事、二つの顔
加藤さんは、児童発達支援事業所の現場支援にも今もなお関わっている。
「現場で子どもたちと関わると、人事とはまた違ったやりがいを感じます。」
クラップジュニアでは、子ども一人ひとりに合わせたプログラム「NCプログラム」という支援手法を導入している。
「この子はどこが得意で、どこが苦手なのかをしっかり見極めて、細かくプログラムを組んでいく。支援員が一緒に考えながら柔軟に取り組めるところがクラップの強みだと思います。」
現場での実感を人事に活かし、人事の視点を現場に持ち込む。加藤さんは、両方の立場をバランスよく行き来しながら、クラップにとって必要な「人」と「環境」を大切にしている。
クラップをもっと良い場所にするために
今後の目標について尋ねると、加藤さんは「入社後のフォロー体制をもっと充実させたい」と話してくれた。
「辞めてしまう人の中には、誰にも相談できずに退職を決めてしまったケースもあるんです。本当は、気軽に話せるワンクッションの相談役が必要だと思っていて。」
加藤さんは、現場の小さな不満や悩みを拾い上げ、離職を防ぐ仕組みを作りたいと考えている。
「特に、女性職員が多いクラップでは、子育てや家庭の事情で悩むこともあると思います。そんな時に、気軽に相談できる存在が必要なんですよね。」
人材の採用から、その後の活躍までを支えたいという想いが、加藤さんの人事としてのビジョンにつながっている。
プライベートも“走り続ける”私らしさ
二児の母として、休日は家族と一緒に過ごすことが多い加藤さん。
「最近は、ピクニックによく行きます。レジャーシートを広げて、外でお弁当を食べるだけでも子どもたちが喜んでくれるので。」
上の子は4歳、下の子は1歳半。まだまだ子育て真っ最中だが、その合間を縫って、好きなイラストを描くことにも挑戦している。
「子どもたちが寝た後に、家族の似顔絵イラストを描いて、将来的にはオーダー制で副業にもしたいなと思って準備を進めています。」
実は加藤さん、過去にブログやメルマガを活用して副業にもチャレンジした経験もあるという。
「一度はやめてしまったんですが、やっぱり“自分で何かを生み出したい”っていう気持ちがあって。イラストも、書道も、どれも挑戦し続けていきたいんです。」
そんな加藤さんが大切にしている言葉は「何か一つでもいいから得意なものを持つことは、自分の支えになる」というもの。
「私、動物占いが全力疾走するチーターで。まわりからはそう思われてないと思うんですけど、自分ではぴったりだと思ってるんです。とにかく動き続けていないと落ち着かないんですよね。じっとするのが苦手で、常に何かに取り組んでいたい。」
そう話す彼女の姿からは、母として、支援者として、そして一人の挑戦者として、常に走り続ける軽やかな強さを感じた。