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【エンジニア座談会】「音を防ぐ」未知なる技術への挑戦

アカデミア発の技術を社会実装し、社会課題を解決する弊社、ピクシーダストテクノロジーズ(以下、PxDT)。

2021年に、音響メタマテリアルを活用し、利用シーンに応じて吸音周波数を柔軟に調整できる吸音材「iwasemi™️」を開発。2022年4月には、オフィス家具メーカーのイトーキ社と共同開発したガラスに貼れる吸音パネル「iwasemi™ HX-α」を発表。7月から販売も開始しています。

同プロジェクトの開発を担当した三浦、五味、平良のエンジニア3名に、プロジェクトに関わるやりがいや、エンジニアにとってのPxDTの魅力について聞きました。

入社の決め手は、新しい技術で挑戦できる環境


ーー「iwasemi™」チームのエンジニアの皆さんに集まっていただきました。それぞれ自己紹介と入社動機を教えてください。

三浦:「iwasemi™」開発グループリーダーとして、主に製品企画、量産設計、品質管理、新しい用途の先行開発を担当しています。

入社前までは、自動車会社で車体や内装、エアバッグ等の量産設計を担当していました。PxDTの新しい技術で社会課題を解決する業務に魅力を感じて入社しました。

五味:「iwasemi™」の設計や実験を担当しています。2019年の入社後、音響メタマテリアルによる吸音材についての研究を開始しました。その後徐々にプロジェクトとして規模が拡大していき、現在の「iwasemi™」に至ります。

入社前は、電気機器メーカーでヘッドアップディスプレイの光学設計に携わっていました。部署異動等で仕事内容がマッチしなくなったこともあり、以前から興味のあったヘッドマウントディスプレイを開発したいという思いから、実現できそうなPxDTに入社しました。

平良:弊社で研究した音響メタマテリアルを社会実装するために、「iwasemi™」のレベルアップに加え、構想設計、基本設計、詳細設計配置や応用方法の検討などを担当しています。

入社前はレンズメーカーで、部品の製造技術開発、量産設計を行っていました。研究開発に特化した環境に身を置きたいと考え、それができる会社を探していた時に、大学時代の友人であった五味さんから紹介を受け転職をしました。

ーー「iwasemi™」プロジェクトのメンバー構成を教えてください。

三浦:コアメンバーは私たちエンジニア3名とBizdevとして全体を取りまとめているメンバーが1名の計4名、あとは兼任で数名関わっています。

自然界には無い音響特性を持った、新しい吸音材

ーー「iwasemi™(イワセミ)」とは何ですか。

三浦:音響メタマテリアル技術を応用した吸音材です。

自然界にはない音響特性を持った物質を生成する技術を音響メタマテリアルと言いますが、今までよりも音源にマッチした吸音性能を持つ吸音材を作れる為、さまざまな空間の音環境改善を実現します。

「iwasemi™」の適用シーンは、工事、建材、什器、鉄道、自動車など社会の様々な分野にわたります。作る材料を問わない為、例えば見える場所に使う場合でも、既存空間のデザイン性を損なわないという特徴もあります。

五味:最近ではガラス張りの会議室を設置しているオフィスも多く、そのような場では隣の人の声や、リモート会議での音の反響を抑える効果があると、好評をいただいています。

ーーイワセミ、とはユニークな名称ですね。

三浦:松尾芭蕉の「閑さや岩にしみいる蝉の声」からインスピ―レーションを受け名称が決まりました。

芭蕉は「心の閑さ」について詠ったと言われていますが、音の感じ方はある人にとっては快適な音が、別の人には不快で合ったりと、さまざまです。音課題に対して、それぞれの人に寄り添った解決をしたいという我々の思いにぴったりでした。

ーーPxDTが吸音材を開発する理由とは何でしょうか。

三浦:PxDTは、社会の課題やニーズを技術で解決する事がモチベーションの組織で、特に音や光の研究開発が盛んです。そして各種公害の中でも「騒音」は他の「環境汚染」などに比べて対策が不十分という指標もあり、解決の余地がまだまだあると感じています。また近年の社会背景として、個人のプライバシー意識や人権意識の高まりによって、騒音問題がさらに大きくなっている点も重要です。

平良:特に最近では、WEB会議が盛んになりましたよね。「オフィスに行くとみんなが個別にオンライン会議をしているから、いろんな声が聞こえて作業に全然集中できない」といった声をお客様から聞く機会も増えました。そういった直近の課題に対しても、PxDTの技術を活かして解決したいと思っています。

「あったら良いな」を形に出来るのが、エンジニアのやりがい


ーーローンチに至るまで、どのような苦労がありましたか。

平良:個人的に新しい分野でのシミュレーションや実験装置の開発だったので、どこに正解があるのか分からず手探りな状態でした。先行研究の論文を毎日読みながら、実験のバグを探して解消する毎日でしたね。

五味:私もこの分野の研究は未経験で、そもそも実験やシミュレーションができる環境を整えるところから時間がかかりました。何度も実験器具を作り直して、ようやく実現に至りました。

ーー研究開発を進めていくなかで、どのようなやりがいがありましたか。

五味:先日出展した展示会で、商品を見たお客様から、直接お声をいただいたのが嬉しかったですね。「これ吸音材なんだ」「きちんと計算された複雑な設計ですごい技術ですね」

と感動してくださり、やってきたことが報われたと感じました。

平良:メタマテリアル全般で量産性に課題があると言われています。iwasemiも例外ではなく、はじめは社内外で、量産が難しいとの声が上がっていたんです。メーカー担当者と改良を重ねて、量産化の目途がたった際に、「(この構造が量産できるのは)もしかしたら世界初になるかもしれない。」「出来たことを口外してほしくないな。注文が来すぎて大変だから」などと冗談交じりに褒めていただいた時に、音響メタマテリアルと既存技術のシナジーを実感でき、達成感を感じました。「あったら良いな」を形に出来たということが、エンジニアとしてのやりがいですね。

各分野の有識者が相互に協力し合う文化

ーーPxDTのエンジニアとしての魅力はどんな所にありますか?

三浦:ソフト、ハード問わず各分野の実務経験豊富なスペシャリストが多くいます。みなさんお互いの技術領域を尊重しながらも、自由活発にコミニュケーションする風土はあるので、「これやりたい!」と思った時に、自分だけではできなくとも誰かに相談すれば実現できる環境にあるのは魅力ですね。

五味:たしかに、誰かは知っているだろうから、とりあえず取り掛かってみようという雰囲気はありますよね。自分の不得意な分野にもチャレンジできて、その経験を通して新たなスキルの習得にも繋がりますし。行動し続ければどんどんスキルアップできる環境かなと感じます。

平良:自分の得意分野でないことを得意としているエンジニアが近くにいる、というのがPxDTならではの魅力ですよね。

あらゆる分野の裏側にPxDTの技術を

ーー「iwasemi™」の今後の展望を教えてください。

平良:大きく二つあります。

一つは、「iwasemi™」を通してメタマテリアルという分野が注目され、各企業での開発が活発になること。二つ目は、音響メタマテリアルによる新たなアプローチ展開をしていくことです。

例えば、騒音に関しては、音を防ぐには密閉するとか、物を分厚くするというのが昔からのセオリーです。しかしメタマテリアルの技術を使えば、より薄くできたり、隙間が空いていても音漏れが防げるということが可能になると期待しています。

いろいろ課題も多いので、そのようなことに向き合っていきたいです。

五味:「iwasemi™」はプラスチック素材で作っていますが、硬質な素材であれば何でも設計可能な技術なので、金属などでも作れます。他にも硬いゴムなども今後の展開としては考えられると思っていて、さまざまな材料を使って吸音できるという特性を活かして、今後も応用先を探っていきたいと思っています。

三浦:あらゆる分野の裏側に実は「iwasemi™」が使われており、意識せずとも音環境が良くなっている世界になれば良いなと思います。

今回のストーリーをお読みいただき、少しでもピクシーダストテクノロジーズ(PxDT)の開発環境やカルチャーにワクワクしていただけていましたら嬉しいです。ご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひエントリーをお待ちしております。

◆直近のニュースリリースはこちら
https://pixiedusttech.com/news/

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