技術力は大切だが、それだけでは本当に価値あるモノづくりはできない——。
そんな考えを持つサイバーコム株式会社は、1000名以上のエンジニアを抱える技術者集団でありながら、「主体性」、「プロフェッショナル」、「多様性」を掲げた人事ポリシーを軸に、社員一人ひとりの成長を支える環境づくりに力を入れています。
「人に恵まれた企業だと感じています」と語るのは、2009年に中途入社し、長年にわたり同社の人材育成と組織づくりに携わってきた人事部 伊藤剛章部長。管理部門が技術者にいかに気持ちよく働いてもらえるかを考え、人と人とのつながりを大切にする社風が同社の特徴の一つです。
今回は伊藤部長に、サイバーコムが大切にしている企業文化や、エンジニアの活躍事例、充実した育成・キャリア支援制度について詳しく話を伺いました。
挑戦と成長の実例——キャリア採用入社エンジニアの躍進
————多くのエンジニアが「このまま今の会社でいいのだろうか」「もっと自分の技術や経験を活かせる場所があるのでは」と考えることがあると思います。そんな方々に向けて、実際にサイバーコムに転職して活躍されている方々の具体例を最初に教えていただけますか?
伊藤: はい、ここ5年ほどで入社されたキャリア採用の方々の中から、特に印象的な活躍をされている方を2名ほどご紹介させてください。
一人は20代で入社された方です。前職ではプロジェクトリーダー(PL)の経験はなかったものの、技術力はしっかりしていました。入社して1年以内にPLを任せ、2年経たないうちに役職も上がっています。
前職でのキャリアをしっかり活かして、その力量を見定めた上で、実力のある方にはどんどん仕事を任せていきたいと考えていますし、そういうステージは今後も用意していく考えです。
もう一人は、TAKUMI室という社長直下の部署に所属している方です。TAKUMI室は高い専門性と資格を持つ人材が集まる組織で、現場の案件にアサインするのではなく、新しいビジネスを模索する部署です。今はクラウド技術に注目していて、AWS、Google、Microsoft Azureなどのクラウド知識を活かし、これらの企業と協業して新しいものづくりを目指しています。
数年前にキャリア採用で入社した主任が、このTAKUMI室を中心的にリードしてくれています。最近では「ChatTAKUMI™」というAIチャットシステムをリリースしました。これはAWSのライセンスを使って開発したもので、当初は社内利用目的で作ったものでしたが、思いのほか使い勝手が良かったので製品化に至りました。このように新しいアイデアをどんどん出してビジネス拡大につなげる役割を担っています。
——興味深いですね。TAKUMI室について詳しく教えていただけますか?
伊藤: TAKUMI室はスペシャリスト制度から派生して設立されました。スペシャリストとして認定された人材を一つの部署に集約し、新事業展開を推進する組織として機能しています。
TAKUMI室は基本的にはエンジニアを中心に構成されていますが、例外的に法務担当として行政書士資格を持つ管理系のメンバーが1名在籍しています。新しいビジネスを展開する上で必要なリーガルチェックや、法的問題をクリアした上での事業戦略への反映などを担うポジションです。
TAKUMI室はまだ設立から1年ほどの新しい組織なので、これからさらに成長していく余地があります。現在はクラウド技術を使った新サービス開発が中心ですが、今後はビジネス面でのブレーンも必要だと考えています。
エンジニアの中には新規事業開発に関わりたい人もいれば、そうでない人もいますので、それぞれの方向性で活躍できるフィールドを用意していきたいですね。
スペシャリストとマネジメント、二つのキャリアパス
——キャリア採用入社されたエンジニアの方がサイバーコムでどのようにキャリアを積んでいけるのか、ご説明いただけますか?
伊藤: キャリアパスとしては、大きく分けて2つあります。一つは役職を上げていく「マネジメント」キャリアです。もう一つはエンジニアのキャリアパス拡充のために昨年から始めた「スペシャリスト制度」の活用です。
技術者の中には、「技術を極めていきたい」という方も多くいます。会社としてはマネジメントができる人材も必要ですが、それだけだとキャリアの選択肢が限られてしまいます。
そこで、スペシャリスト制度を設け、専門的な資格やノウハウを身に付けた人に対して、基本給に「スペシャリスト給」という手当を上乗せする仕組みを作りました。専門性を極めることでも大いに活躍できるというメッセージです。
——スペシャリスト制度の具体的な内容を教えていただけますか?
伊藤: スペシャリスト制度では、レベルに応じて3つの階層を設けています。「シニアエキスパート」「エキスパート」「シニアマスター」の3つの階層に分かれており、階層に応じて数万円程度の手当(スペシャリスト給)が毎月支給されます。これは役職に関わらず支給されます。
また、認定対象の資格も多岐にわたります。技術系では、SalesforceやGoogle Cloud、AWS、Microsoftの各種資格などが対象です。
マネジメント、スペシャリスト、どちらのキャリアを選ぶかは個人の意思で決められます。ただ、スペシャリストになるには難度の高い資格取得など、ハードルが高い面もあります。そのため、まだ踏み切れていない人も多いのが現状です。だからこそ、人事ポリシーで「主体性」を謳っているということもあります。
——エンジニアとして入社後、どのようなサポートが受けられますか?
伊藤: 入社後のサポート制度としては、「キャリアアドバイザー制度」を設けています。新卒の方だけでなく、キャリア採用入社の方にも同様に、入社から3年間、キャリアアドバイザーがついてサポートいたします。直接の上司とは別のラインから客観的な視点でアドバイスを受けられるため、安心して様々なことを相談できる環境を整えています。
定期的に3ヶ月や半年経った段階で「最近はいかがですか?」「何か困っていることはありませんか?」といった形で、丁寧にコミュニケーションを取らせていただいています。そこでお聞きした声は人事部にも共有され、必要に応じて適切な対応や環境改善につなげています。お一人おひとりに寄り添ったサポートを心がけ、安心して力を発揮していただけるよう、早い段階から丁寧なフォローを行っています。
——キャリアアドバイザー制度では、具体的にどのような相談が多いのでしょうか?
伊藤: 「上司が忙しそうで声をかけにくい」「気軽に相談できる人が近くにおらず孤独感を感じる」といった日常の人間関係の悩みから、「社内異動を希望したいがどうしたらよいか」「スペシャリストを目指したいのでスペシャリストに会わせてほしい」といったキャリアに関する内容まで様々です。
入社から3年間は気軽に相談できる相手としてサポートを行う趣旨の制度なので、何でも聞いていただいて構いません。ただ、相談を受けたら何でもやってあげるというわけではなく、自身で解決できるような道筋を作る手助けをすることを主としています。話しにくい相手との間を取り持ったり、近しいメンバーに呼びかけてサポートをお願いしたりと、社内の人間関係の潤滑油になることを心がけて活動しています。
また、社内制度に関わる相談なども出てきますので、必要に応じて制度変更の際の参考とし、新制度に取り入れることもあります。
研修に関しては、人事部で用意している階層別の研修と各事業部が立てる年間教育計画があり、キャリア採用の方にも参加いただくことで必要なスキルを身につけていただく形です。(当社の階層別研修やキャリア形成については別記事で改めてご紹介いたします)
事業部ごとに技術的な勉強会も行われており、特定の技術スキルをインプットしていきたい場合にそういった情報の横展開が行われる仕組みになっています。最近では様々な勉強会が開催され、参加者からはポジティブな反応があったようです。
働き方の柔軟性と充実したワークライフバランス
——エンジニアが長く活躍できる環境として、働き方の面ではどのような特徴がありますか?
伊藤: 働き方の柔軟性についても、しっかりと整備を進めています。フレックスタイム制については、基本的には9時から17時30分の定時を基準としながらも、例えば病院へ行くために始業時間を調整するなど、個々の事情に合わせた柔軟な対応が可能です。一定の枠組みの中で、社員の皆さんが無理なく働ける環境づくりを心がけています。
在宅勤務に関しては、入社年数による制限は設けておらず、基本的に誰でも利用可能です。プロジェクトごとに状況は異なりますが多くのエンジニアが活用しています。コミュニケーションの質を保つために週1回は出社して直接顔を合わせるというルールを設けていますが、それ以外はプロジェクトの状況に応じた柔軟な働き方が可能です。
また、最近特に注目しているのが「パパ育休」の活用です。以前はあまり例がなかったのですが、ここ2年で急速に広がり、現在では毎月のように取得者が出ています。技術部門のグループ長クラスの方々も1〜2ヶ月の育休を取得するケースが増えており、自然な形で文化として定着しつつあることを嬉しく思います。
職場では皆さんが助け合いながら、互いのライフイベントをサポートし合う温かい雰囲気があり、このような風土があってこそ、一人ひとりが安心して自分のキャリアとプライベートを両立できるのだと感じています。
「技術力だけでは良いモノづくりはできない」人事ポリシーが支える企業文化
——サイバーコムの企業文化について教えていただけますか?
伊藤: サイバーコムは「人に恵まれた」企業だと感じています。技術者集団である当社において、管理部門は技術者の方々にいかに気持ちよく働いていただけるかを常に考えています。人と人とのつながりや関係性を大切にし、社員同士の丁寧なコミュニケーションを心がけています。技術者がいきいきと能力を発揮できる環境づくりを通じて、お客様にも価値あるサービスを提供できるよう努めています。
——御社の人事ポリシーにも「技術力だけでは良いモノづくりはできない」とありますが、そこについて詳しく教えていただけますか?
伊藤: 実はこの人事ポリシーは、昨年完成したばかりのものなんです。8ヶ月ほどかけて作り上げました。2年前に新井社長が着任して、「会社として大切にしている人事の理念や方針を明文化したものはあるか」という問いかけから始まりました。
最初は人事部内で原案を作って、経営陣と議論し、さらに現場の事業部長たちとも話しながら、何度もブラッシュアップを重ねました。
キーワードとして最終的に「主体性」、「プロフェッショナル」、「多様性」この3つに絞られました。中でも「主体性」が一番重要だと考えています。新卒採用でも、キャリア採用でも、この3つのポリシーの話を面接でさせてもらっています。
優れた技術力だけでは、お客様の真のニーズを理解し、実用的な価値を持つソリューションを提供することはできません。技術とコミュニケーション、両方の力があってこそ、本当の意味でのモノづくりが実現できます。
自ら気づいてお客様に問いかけをする「主体性」、相手の意図をしっかり感じ取るための「多様性」——これは人種などの大げさな話ではなく、個々の違いを理解するという意味です。そして請け負った以上はプロフェッショナルとして要望以上のものを提供する「プロフェッショナル」意識。この3つが連動してこそ、より良いお客様への提案、良いものづくりができるという思想です。
——多様性を尊重し、主体性を持って行動・挑戦する人を大切にする、という価値観が具体的にどのように実践されているのでしょうか?
伊藤: 人事ポリシーができてまだ1年しか経っていないので、完全に社内に浸透しているとは言えません。発展途上という前提でお話しさせていただきますと、例えば「多様性」という部分については、「個々の違いをしっかりと理解し合いましょう」という考え方を社内に浸透させていくために、全員で取り組んでいます。
今年の2月から2ヶ月間かけて、全社員1300人に向けて「ポジティブフィードバック」の研修を実施しました。お互いの良いところを認め合い、その上で「ここを改善するともっと良くなりますね」という建設的なフィードバックも同時に行っていく。このようにして、お互いを高め合う文化を根付かせたいという思いがあります。
一人ひとりが意見を言いやすく、お互いに尊重し合いながらも率直に意見交換ができる温かい風土を作りたい。「多様性」という価値観から生まれた大切な取り組みだと思います。 もちろん、1回研修しただけで定着はしませんので、これは定期的に繰り返していく必要があると思っていますし、特に我々管理職が率先してやっていくべきことだと考えています。
また、VOE(Voice of Employee)というフィードバックシステムの実施を予定しています。社員の声を拾い集めて、不満や改善提案を聞き取り、取り組めるものから順に新しい制度作りや環境の見直しを図っていくための施策です。
待遇面でも社員の頑張りに応える
——サイバーコムで働く、キャリアを築く魅力を教えてください。
伊藤: 今回お話させていただいた内容のほとんどが実はここ最近の取り組みで、人事ポリシーの制定もスペシャリスト制度も昨年からの新たな施策です。新井社長が就任されてから、会社全体に新しい風が吹き始め、様々な前向きな変化が生まれています。「新しい挑戦をしよう」という気運が高まっており、これからも社員一人ひとりの成長を支える取り組みが広がっていくと確信しています。そういった意味で、未来への期待感を持っていただければ嬉しいです。
また、社員の皆さんの頑張りをしっかりと処遇に反映させたいという思いが強くあります。もちろん、その前提として公正な評価があり、評価と処遇が明確に結びついた透明性のある制度になっていると思います。これからも社員の皆さんの声を聞きながら、さらに評価制度を磨き上げていく予定です。
——評価制度について詳しく教えていただけますか?
伊藤: 評価については人事評価、賞与評価の2種類があります。それぞれ役職ごとに力量設定がされており、そのレベルを満たしているのかどうか上司が判定します。その結果を持ち寄り、多面評価として評価会を実施し、複数人の目で確認して決定します。
査定結果のフィードバックのため年2回の上長面談があり、その中で振り返りと次の目標設定がなされ、次へとつながっていきます。評価基準や面談基礎の設定はされているものの、正直なところ個人によるバラつきがあるのは事実です。フィードバックの仕方ひとつでモチベーションが上がることもあれば下がることもあり、当社も今後の大きな課題と捉えています。
これらを改善するために、先ほどでお話ししたポジティブフィードバック(コンストラクティブフィードバックシステム)の導入を進めており、ポジティブな思考や関係性を社内に浸透させていきたいと考えています。
——最後に転職を検討しているエンジニアに向けて、メッセージをお願いします。
サイバーコムの特徴として、幅広い分野の案件に携われることが挙げられます。様々な技術領域を経験したい方には、非常に魅力的な環境です。一方で、特定の専門分野を深く極めたい方には、先ほどお話したスペシャリスト制度などを活用いただければと思います。
サイバーコムの「人を大切にする」文化や成長への取り組みに共感いただける方は、ぜひ一緒に新しい未来を創っていきましょう。温かな雰囲気の中で、技術力と人間力を存分に発揮していただける場所をご用意しています。
伊藤部長のインタビューから見えてきたサイバーコムの魅力は、技術だけでなく「人」を大切にする企業文化と、エンジニアとしての多様なキャリアパスを用意している点ではないでしょうか。
特に、「スペシャリスト制度」と「TAKUMI室」の取り組みは、技術を極めたいエンジニアにとって魅力的な環境です。また、キャリアアドバイザー制度や柔軟な働き方の整備など、長く活躍できる仕組みも充実しています。
以下のような方は、ぜひサイバーコムへの応募をご検討ください:
- 技術力を磨きながら、人間関係も大切にしたいエンジニア
- スペシャリストとして専門性を極めたい方
- 幅広い案件経験を通して成長したい方
- 主体性を持って新しいことに挑戦したい方
- 温かい社風の中で長く活躍したい方
サイバーコムで、あなたの技術力と人間力を存分に発揮してみませんか?