上江田雅海(うえた みやび)
アカウントプランナー事業部 / VP of Sales
株式会社リクルートに新卒入社。ICT教育の推進事業として「スタディサプリ」の営業・カスタマーサクセスに従事。2年間で北海道全域のおよそ100校を担当する中、コロナ禍をきっかけにオンライン商談の取り組みを営業部内で先駆けて実践。未開拓分野であった地方自治体への営業戦術をグループ内で立案実行した後に、ホットペッパービューティー事業部へ異動。岡山で8ヶ月間営業として従事した後に転職し、2023年1月1日より現職。AIの力で社会を変える理念に共感し入社した後、現在はセールス組織のAI/DX化を推進中。
転職先として、アンビエントナビに入社した理由
橘:改めて、上江田さんの経歴を教えてください。
上江田:新卒ではリクルートに入社し、スタディサプリの営業とカスタマーサクセス(以下CS)に従事していました。約2年ほど働いた後、当時のマネージャーに「もっと経営者と一緒に仕事ができる部署にいけ」と言われて、絶対に異動はないだろうと思っていたタイミングでホットペッパービューティー事業部へ異動になりました。そこで3ヶ月ほど営業として働いたのですが、自分が今いるべき場所はここではないと思い立ち、2ヶ月ほど転職活動を続けて最終的にアンナビに入社することに決めました。
橘:そうなんですね。リクルートへ入社されたのは、どうしてだったのですか?
上江田:リクルートに入社した理由は、一言でいうと「一緒に働く人」ですね。学生時代にいろんな社会人の方と関わる機会はありましたが、自分の人生にビジョンを持ち、ビジネススキルも高く、何より人柄が素敵な方が多かったので入社を決めました。
橘:環境にこだわったってことですね。
上江田:はい。新卒で大切にしたかったのは、ビジネスマンとして必要な体幹を鍛えることと、自らの意思を殺さず、むしろ大きく育てられる環境に身を置くことにこだわりました。元々、学生時代に起業したいと思ったのがきっかけで、設立半年のHR系スタートアップのインターンをしにインドで半年間働いたり、帰国後はいくつかの長期インターンを経験した後、ラオスでヨーグルトを販売している社会的企業で店舗運営を任せてもらったりしていました。
それらの経験を通じて痛感したのが、「社会をより良くする事業を立ち上げることって難しい」ということです。当たり前すぎますよね(笑)でも、それすら当時はわからなくて、とにかく社会をより良いものにするために自分の人生の時間を使いたいと思ってたんですよ。そのためには、とにかく成長するしかないですし、この想いを忘れず生涯大切にしたいなと思っていたところ、リクルートの中でも一番尊敬していた方に「3年本気でやって、ビジネスの現実と向き合え」と言われて、結果リクルートに導かれた感じです(笑)
橘:なるほど(笑)でも、入社して3年も経たずに退職されてますよね。何かきっかけがあったんですか?
上江田:前職では、スタディサプリの営業とCSをしていたので最低限の法人渉外スキルや、The Modelの概念は身につけられたかなと思っていました。ただ、学校や地方自治体を相手にしていたので、クライアントの最終決裁が遠いため案件の動きがとにかく遅かったこと、そして何よりROIの視点で会話をすることがほとんどなかったため、このままずっと公教育ドメインに身を置くのは、自分が入社当初描いていたキャリアからは離れていくなと感じていました。そのタイミングで、異動の話が舞い込んできたんです。
今でも当時のマネージャーには感謝しているのですが、僕がいずれは社会を良くする事業を立ち上げたいと常々語っていたことを本当に応援してくれていて、反対を押し切って他事業部に異動をさせてくれました。ただ、異動した先の部署はすでに2000名を超えるようなリクルートの祖業の一つだったので、僕が担当していた岡山県の営業グループだけでも営業マンが50名近くいました。ここでは当時の業務内容を詳しくは語れないですが、自分が望んでいる成長機会はここにはないなと判断したので、3年を待たずに転職することにしました。
橘:つまり、事業フェーズが変わったことによる機会損失が理由ということですかね。退職後はどうやってうちに転職を決めたのか、入社までの経緯を教えてもらえますか?
上江田:初めは、ベンチャー勤めの友人の会社を紹介してもらったり、自分でyoutrustやMeetyなどのキャリアマッチングサービスを活用して、20〜30社ほどのスタートアップの方々とカジュアル面談をさせていただきました。その中から、当時社員11名のシリーズAのスタートアップに内定をいただき、入社する予定でした。
橘:別の会社に入社予定だったんですね!
上江田:そうなんです(笑)当時の転職軸が、「事業と組織づくりの両方に携われること」だったんです。27歳のタイミングで転職したのですが、やはり30代前半までには「社会をより良くする事業をつくる」というビジョンを実現したかったので、20代の残り時間を使って事業と組織の立ち上げに関われる環境でないといけないとは思っていました。なので、従業員規模で言うと理想は10〜20名、多くても30名くらいが対象かなと考えていました。ただ僕が入社した当時のアンナビが、インターン生も含めて従業員数が30名弱だったと記憶しているので、今振り返ってみると事業・組織作りに携われるかは従業員規模では決まらないなと思います。
橘:人数が多くても、事業や組織を立ち上げるチャンスがあるということですか?スタートアップというと、どうしても創業時のメンバーが中心となって、事業拡大していくイメージが強いですが・・・
上江田:僕もはじめはそう思ってました。ただ、代表の夏目が提唱しているように、うちはRipplingさんやレイヤーXさんのような「コンパウンドスタートアップ戦略」を採っています。つまり簡単にいうと、創業時から複数プロダクトを立ち上げ、ポートフォリオを組んで収益を最大化することを前提に会社を経営しているということです。日本のほとんどのスタートアップが、いけるところまでワンプロダクトで突き進んでいきますが、ARR100億円を超えている国内SaaS企業は全て複数プロダクトです。
うちは「AIの力で次の100年を代表する企業をつくる」という企業理念のもと、10年後の2034年にはARR200億円を達成するための計画を立てています。そのためにも、3ヶ月〜半年に一つのプロダクトをリリースし、ITの力を駆使してクライアントさんの経営課題を複層的に解決する事業戦略をとっています。まだまだ理想からすると道半ばではありますが、今年は「パパモAI」シリーズのリリースが遂に行われるなど、着実に歩みを進められている実感はあります。ここから10年で、今の何十倍も企業成長させることに本気で向き合っているので、とにかくバッターボックスに立たせてもらえるチャンスは多いと思いますね。
メンバーから、20名の部下を持つマネージャーになってからの変化
橘:それこそ、上江田さんは最近まで、コンサルティング事業部でマネジメントをしていますよね。入社から1年未満でメンバーから、20名の部下を持つマネージャーになりましたが、それで何か変わったことはありますか?(※2024年3月時点)
上江田:ありがたいことに、本当に楽しく学びの多い日々を過ごさせていただいています。前職に在籍していた時には、正直考えられない1年での変化量だと思います(笑)
元々入社した当初は、顧客折衝をメインとするAP(アカウントプランナー)としてアンナビでのキャリアをスタートさせたのですが、そこから半年後にはリーダー、そしてアカウントプランナー事業部のマネジメントを任せてもらったと思った矢先に、「明日からコンサルティング事業部のマネージャーね」と言われたのを今でも覚えています(笑)
僕が言いたいのは、成長ベンチャーあるあるの昇格や部署異動が激しいという表面上の変化のことではなくて、ビジネスマンとしてこの年齢では普通得られないマネジメント経験や、事業部の仕組み作り、弊社では「ビマチェリタ」と呼ぶのですが、そういった上流工程の仕事を任せてもらえることでビジネスに対しての解像度や、組織運営をする上での視座が圧倒的に変わってきたとは思います。おそらく、それが一番の変化なんじゃないかと。
橘:すごいですね(笑)具体的に、マネジメントをするようになってからは、どんな仕事をしているのですか?
上江田:全部です(笑)もうほんとに全部(笑)上流で言うと、経営陣の中長期ビジョンをキャッチアップしながら事業部として進む方向性を決めたり、マイルストーンに当たるKPIを設計して、メンバーに目的ツリーを使って実行するところまでを日々落としています。もちろん、うちはサブスク事業になるので、事業のMRR成長率を追ったり、チャーンレートを下げるための取り組みを部署主導で進めている他、売上が足りない時は自分で契約を取りにいきますし、ベンチャーなので欲しい人材を自らリファラルしにいくこともあります。
橘:本当になんでもやってるんですね。
上江田:そうですね(笑)求めていた環境なので、やりがいしか感じないです。
橘:素敵ですね。それこそ、弊社の魅力を1つ挙げるとしたら何にしますか?
上江田:いろいろありますが、やはり一番は「組織力」じゃないでしょうか。世の中に魅力的なプロダクトやサービスはたくさん存在しますが、それを社会インフラレベルにまで届け切る事業戦略とそれを推進する組織マネジメントを、うちのような規模のスタートアップで実現している会社はまずないと思います。
最近、夏目が新たにnoteを書いたのでぜひ読んでいただきたいのですが(笑)、弊社の事業理念である「AIの力で、あなたの大事なお店がつぶれない社会をつくる」を実現するためには、世の中に革新的なプロダクトを生み出すことは必要条件ではなく、それよりもいかに社会に浸透をさせられるかということが重要です。TAM / SAM / SOMの話で言うと、うちは今のパパモAI事業だけでも飲食マーケットの約6%を獲得することができると考えています。世の中にはすでにクラウドPOSレジや、モバイルオーダー、CRMなどを提供する先行企業がいますが、そのどれもが普及率でいくと30%未満です。特に、弊社の競合優位性の一つである、潜在マーケットを開拓するための再現性のある営業戦略/戦術を用いれば、理論上はマーケットシェアを奪うことが可能だと考えています。とにかく仕組み化と、徹底的に鍛え上げた組織、そしてマーケットと時流の波を予測した身の投じ方をしていければ、必ずティッピングポイントを迎えることができると信じています。
橘:ありがとうございます。大きな成長を狙っているからこそ、スタートアップであったとしても組織力が大切ということですね。
上江田:個人的な意見にはなりますが、僕はそう思ってます(笑)
前職経験の活きる点 / 異なる点
橘:アンナビに入社して、リクルートさんでの経験が活きている点はありますか?
上江田:たくさんありますよ。法人営業スキルはうちでも必須ですし、スタディサプリ時代にやっていたCSのスキルも活きてますね。前職でSaaSビジネスの一通りの流れを見ることができたので、これから本格的に立ち上げていくパパモAIシリーズの立ち上げからグロースまでのイメージは掴みやすくなってるのかなとは思います。
橘:逆に転職して、大きな違いはありましたか?
上江田:いい意味で、非常に仕組み化がされています。体系化とも言えるのですが、とにかく再現性を持って、効率的に成果を上げるためのビマチェリタがどの部署にも浸透しています。
橘:大企業からスタートアップに転職して、逆に仕組み化されていることに驚いたと。
上江田:おっしゃる通りです。
橘:窮屈さとかは感じなかったんですか?スタートアップに転職する方は、大体裁量権を求めがちじゃないですか?(笑)
上江田:入社当初は、正直感じていたところもありますが(笑)今では全くないですね。むしろマネジメントという今の立場になってからは、この仕組みが徹底されていることの恩恵を享受しています。
橘:どういうことでしょうか?
上江田:例えば、評価シートがわかりやすい例だと思います。メンバー1人ひとりに求める結果とプロセスを毎日リアルタイムで評価し、全社員に向けてオープンな状態なので、自ずと主体的に取り組むんですよね。僕は各人の評価だけを見ていればいい。毎日メンバーと1on1して、マイクロマネジメントする必要がなくなるわけです。評価シートのKPIで異常値があればフォローに入るだけ。ものすごく革命的だと思います。実際、評価シートを導入してからは、圧倒的に自由な時間が増えました。そういった背景もあり、ただ仕組みを作るだけでなく、常にDX化を前提とした業務改革も進めています。
その捻出した時間で、部署や会社の未来について思案したり、次のリーダー / マネジメントとして引き上げたいメンバーの教育に時間を割くことができるようになりました。限られたリソースの最大化と、自分がやるべき仕事に集中できるようにするための徹底した仕組み化がうちの強みかもしれないですね。
橘:確かに、仕組み化の先に本当の自由と愛があるということに今納得しました!
上江田:あと、仕組み化と合わせてもう一つうちの特徴的な点を挙げるとしたら、社内のあらゆる業務が生成AIを用いてDX化されているところでしょうか。
橘:最近は特にDX化が顕著に進んでますよね。
上江田:そうですね。例えばクライアントさんとの打ち合わせ内容も、ChatGPTを用いれば瞬時に議事録に落とし込んでくれますし、他にも打ち合わせ前に今まで手動で集めていた情報を網羅的に収集して示唆に富んだアウトプットをしてくれるなど、社内での活用例を挙げればキリがないですが、とにかく徹底的に生産性の向上にこだわって自分がやるべき仕事に集中して取り組む環境は整っていると思います。
橘:生成AIを活用したリーディングカンパニーを目指してますからね。
上江田:平均年齢が若い会社だからこそ、AI/DX化への抵抗が低いのが強みかもしれません。
今後は、どんなキャリアを歩んでいきたいですか?
橘:最後に、アンナビではどんなキャリアを歩みたいと思っていますか?
上江田:AI業界のCxOを目指したいと思っています。うちに入社して間もない頃、夏目に「人生は描いた目標の前後20%に落ち着く」と言われたのが心に残っていて。転職時に伝えていたのは、30才までに事業責任者を目指す、という内容だったのですが一気に目標を引き上げました(笑)
橘:CxOを目指すということは、経営に携わりたいということですか?
上江田:そうです。転職時には「事業と組織をつくる」ことが、僕の中で一番のゴールになっていました。ただアンナビでの1年間を通じて、弊社が目指している「AIの力次の100年を代表する企業をつくる」というゴールを自分ごと化した時に、とてもちっぽけなものに思えたんですよね。一つの事業を立ち上げて、20名のチーム組成をゴールにしていたら、とてもじゃないですが夏目の求めるスピードに追いついていけない(笑)それに、うちで本気で頑張っていたらそんな機会なんてこれからいくらでも訪れそうな気がしていて。だからこそ、自分が会社を成長させると決めて、その過程をとにかく楽しもうと今は思っています。
橘:この1年で考え方が大きく変化されたんですね。
上江田:人生は、まずマインドから始まると思っているので(笑)ただ、ゆくゆくは地元の沖縄や学生時代にアジア諸国で見てきた「自助努力でどうにも解決できない不条理」を解決するための事業やムーブメントを起こしたいなと思っています。会社なのか、NPOなのか在り方はまだ模索中ですが。そのためにも、今は会社の成長に誰よりも貢献する気持ちで働き、日々関わるメンバーと楽しく一緒に成長していけたらなと思っています。
橘:社会に貢献をしていきたいという原点に戻るわけですね。ありがとうございました!