Musubi Labは、今年で5周年を迎えます。
産地を訪ね、作り手の声に耳を傾け、背景にある物語に触れながら、一つひとつ丁寧にものづくりを重ねてきました。
そして、それらを世界へ届けることを繰り返してきた結果、特に英語圏における和食器の分野では、一定の存在感を持つブランドへと育てていただきました。
これは、私たちの考え方や活動に共感し、ともに歩んでくださっている産地の皆さま、そして支えてくださるお客さまのおかげに他なりません。心より感謝申し上げます。
「持続可能な未来」をつくる、という軸
私たちは、目先の数字だけを追うのではなく、「今していることが、未来につながっているかどうか」という問いを大切にしてきました。
ものづくりに関わるすべての人が、健やかに、誇りを持って働ける未来。
そして、使い手が日々の暮らしの中で心の豊かさを感じられる未来。
そのどちらにも繋がる選択を積み重ねていくことこそが、工芸という文化を次の世代へ受け渡すために、必要な営みだと信じています。
「伝統×ダイニング」から始まった5年間
私たちはこれまで、あえて「ダイニング」に事業の軸を絞って歩んできました。
それは、限られた資源と体制の中で、私たちが何を大切にし、どんな価値を届けられる存在なのかを明確にするためでもありました。
そして、表層的な「らしさ」ではなく、本質的な魅力に光をあてるためには、深く関わる領域を持つことが必要だと考えたからです。
その結果、これまでに世界中のお客さまから数多くの温かなレビューをいただき、海外のホテルやレストラングループからもお声がけをいただけるようになりました。
この積み重ねが、少しずつ信頼というかたちをとり始めているのを感じています。
そして今、「暮らし」への広がりを見つめて
近年、オンラインメディアでの発信においても、「食」にとどまらず「文化」や「暮らし」にまつわる内容が増えてきました。
また、産地を訪れるたびに出会う、美しいインテリアや身の回りの道具——そういった日用品の中にある工芸の魅力に、自然と心が惹かれてきました。
そうした背景を受けて、これからは「ダイニング」だけでなく、もう少し広い視野で「暮らし」にまつわる提案をしていきたいと考えています。
日常に根ざした工芸のかたち
工芸というと、どこか特別なもののように感じられるかもしれません。
けれど、そもそも工芸は暮らしの中で育まれ、磨かれてきたもの。
部屋に置くだけで空気が整うような花器や、毎日の装いにさりげなく彩りを添えるアクセサリーなど——
私たちが目指すのは、「使う」ことで意味が生まれる工芸との関係性です。
伝統を守るということは、過去の姿のまま保存することではなく、今の暮らしに馴染むかたちで、次の世代に自然と引き継がれていくこと。
そのために、私たちはこれからも「工芸とともにある日常」の提案を続けていきます。
小さなチームだからこそ、できること
Musubi Labはまだ小さな組織ですが、5年間で積み上げてきた関係性や経験は、かけがえのない財産です。
職人や産地との信頼をベースに、丁寧に紡いできた物語を、暮らしという舞台へ広げていく。
そのなかで、多様な価値観を持つお客さま一人ひとりの暮らしに寄り添えるブランドでありたいと願っています。
これからも、工芸の本質的な美しさや、作り手の想いが伝わるような商品・メディアづくりに取り組んでまいります。
そして、暮らしの中にある「小さな豊かさ」に、ふと気づくきっかけになれるような存在であり続けたいと考えています。
Musubi Labのこれからの挑戦にも、どうぞご期待ください。
そして、これからもあたたかく見守っていただけたら幸いです。