爽やかで、物腰が柔らかく、どこか愛くるしい。
HRソリューションズ事業部のプロデューサー・大野晃輔を一言で表すなら、誰もが「好青年」という言葉を思い浮かべるだろう。
しかし、そのスマートな第一印象の奥には、驚くほど「不器用」で、「おせっかい」で、どこまでも「熱い」、人間味あふれる魅力が隠されている。
人生を捧げた野球では、決してエリートではなかった。
「一番下手」と言われた悔しさをバネに、頭を使い、泥臭く這い上がってきた“下手くそなりの勝ち方”が、彼の仕事観のすべてを形作っている。
この記事は、爽やかなエースの仮面の下に隠された、愛すべきポンコツな一面と、誰にも負けない情熱の物語である。
ー今も現役でプレーを続けられるほど野球に打ち込んできた大野さんが、全く違うフィールドである『組織変革のプロデューサー』という仕事を選んだのはなぜでしょうか?
実は、野球から直接この仕事に繋がったわけではないんです。 もともと学生時代に塾講師のアルバイトをしていて、人の成長を間近で見られることに大きな喜びを感じ、『人の人生の岐路を支援したい』という想いから人材業界を目指したんですが…なんと、全落ちしまして(苦笑)。
ご縁があった不動産業界に進んだものの、『家を売れ』というスタイルに、人生の岐路を支援できている実感が湧かず、IT派遣の営業に転職しました。未経験からエンジニアを目指す方々が、新しいキャリアを歩み始める瞬間に立ち会い、『あなたのおかげで、IT業界に来てよかった』と言っていただけた時は、本当に嬉しかったですね。
転機になったのは、その会社で組織開発のプロジェクトに手を挙げたこと。それまでは『1対1』の支援でしたが、初めて『1対多』で会社や文化を変えていく面白さと手応えを知りました。『これだ!』と。
自分の軸はブレていないけれど、支援の方法や規模を変えて、もっと大きなインパクトを与えたい。そう考えた時に、ビジネスコーチ(コーポレートコーチの親会社)と出会い、自分のやりたいことがここでなら実現できる、と確信してジョインを決めました。
ー周りからは『爽やかでスマート』に見える一方、ご自身の中には『不器用で熱い』部分もあると伺いました。仕事で難しい壁にぶつかった時、その“熱い部分”はどのように燃え上がりますか?
根底にあるのは、『頼ってもらえたなら、期待以上のものを返したい』という、おせっかいなまでの想いです。 昔から不器用なところがあって、あまり人から頼られるタイプではなかった。だからこそ、誰かに頼られることのありがたさを、人一倍感じているんです。せっかく頼ってもらえたなら、その人が思っている以上のものを返したい、って。
その想いが、泥臭い行動に繋がります。最近、あるお客様からご契約をいただけたのですが、そこに至るまで、何度も断られながらも、諦めずに接点を持ち続け、しつこいと思われるくらい提案を繰り返しました。
その結果が実を結び、さらに今度は先方から『次の提案もお願いしたい』とご依頼いただけた。不器用でも、がむしゃらに、熱意を持って向き合い続ければ、人の心は動かせる。そう信じています。
ーご自身のことを『不器用』と表現されましたが、プロデューサーの仕事は非常に緻密さも求められます。そのギャップをどう埋めていますか?
本当に不器用なので、緻密な作業はチェックリストを作って、お客様に突っつかれる前に自分からボールを動かせるように工夫しています。ただ、いろんなことができるようになるには、まだまだ遠い気がしていて…。
だから、苦手なことを完璧にするより、自分の“長所”でカバーしていこう、という考え方の方が強いですね。例えば、こまめなコミュニケーションを誰よりも大切にするとか。
あとは、自分にしかない武器を身につけたくて、今、キャリアコンサルタントの資格の勉強もしています。不器用なりに、自分の勝ち方を探し続けている、という感じです。
ー今も野球を続けているのはなぜですか?『野球』と『仕事』はどのような関係ですか?
もちろん、野球が純粋に楽しいから、というのが一番です。でも最近、仕事と野球が繋がりつつあると感じています。
一つは、今のチームで代表を務めるようになったこと。自分がプレーするだけでなく、メンバー一人ひとりと向き合い、チームビルディングを行う経験は、まさに今、この会社でやっていることと直結しています。
もう一つは、『フィードバックの重要性』です。野球では、自分が『レベルスイングをしている』と思っていても、客観的に見ると『ヘッドが下がっている』なんてことが日常茶飯事。その“意識と事実のギャップ”を知り、受け入れる謙虚さがないと、人は成長できない。この実体験があるからこそ、お客様にコーチングの価値を、リアルな言葉で伝えられるんです。
ー『爽やかイケメンなのに、どこか愛くるしい』理由は何だと思いますか?
社外ではまだ分からないですけど、社内では…気を使ってもらえるというか、声をかけてもらえるというか、心配してもらえる、みたいなところはあるんじゃなかろうかと…。
(と、少し照れながら話す大野さん。そのはにかんだ笑顔に、“愛くるしさ”の理由が見えた気がした。)
ー野球人生を一本の映画にするとしたら、どんなタイトルをつけますか?
(少し考えて)…『下手くそなりの勝利!』ですね。
中学時代は背番号ももらえず、高校では『一番下手』と言われた。大学でも、結局レギュラーは掴めなかった。でも、社会人になってもレベルの高い場所で野球を続けたくて、頭を使って、泥臭く努力して、今、自分のチームでは“外せないメンバー”になることができた。
僕、投げ方もバッティングフォームも、超キモイんですよ(笑)。でも、人並みには守れるし、打球は飛ばないけどミートはできる。それは頭を使ったから。だから、センスがあるのに頭を使っていない人を見ると「もったいない!なんでだーーー!!!」ってヤキモキする僕もいます(笑)。僕は、センスがないなりに、頭を使って勝つ。それが、僕の野球人生そのものですね。
ー仕事で三振に倒れた時、どう気持ちを切り替えますか?
野球と一緒で、打てなかった事実はもう戻ってこないので、いい意味で切り捨てます。でも、いい意味で“引きずる”部分もある。それは、『相手にどんな印象を残せたか』ということです。次の打席のために、相手バッテリーにどんなことを意識させたか、とか。真っすぐ狙いとか引っ張りバッターなのかとか、初球からいくのか待ちなのかとか。
(…と、熱く語ったところで、大野さんはふと我に返る。)
『あれ?野球の話しの質問でしたっけ?いや、違った!仕事ではどうかって話しでしたね、、、』
でも、仕事も本当に同じなんです。商談がダメでも、コーポレートコーチという会社や、大野という営業が、どんな存在だと印象付けられたか。ダメだったという事実だけを引きずるのではなく、次の成功に繋がる“布石”として次に活かす。常に全体の勝利から逆算して、今すべきことを考えています。
ーこの仕事における、大野さんだけの『エース』の姿とは、どんな姿でしょうか?
『この場面で任されるのは、この人しかいない』
『この人でダメなら、しょうがない』
と、仲間からもお客様からも、絶対的な信頼を置かれる存在。それが、僕の思う『エース』です。
将来的には、HRBP(HRビジネスパートナー)のような立場で、課題設定から解決までを一気通貫で担い、『この人がいれば、会社は変われる』と確信してもらえるような存在になりたい。そのために、努力し続けます。
ー最後に、未来の仲間へ。新しい挑戦に不安を感じているかもしれない候補者に向けて、背中を押す一言をいただけますか?
二つあります。一つは、『迷っているなら、まず自分を知ろう』ということ。その不安がどこから来るのか、自分の思考の癖を知るだけで、乗り越えられることもあります。
でも、僕がもっと強く伝えたいのは、もう一つの方。 『一回、一歩踏み出してみましょう!』ってことです。
人生に、ダメな経験値なんて一つもない。うまくいけば最高だし、ダメだったとしても、そこから学べば次の成功に繋がる。挑戦がゴールじゃないなら、不安を押し切って、新しい環境に飛び込んでみる。その一歩を、僕は心から応援したいです。お待ちしています!