TPSには他社にはない「新入社員企画研修」なるものが存在します。
それは、入社1年目の新入社員が企画・立案・実行のすべてを担った“完全オリジナル”研修プログラムです。
きっかけは2019年。
当時の社長が「座学だけじゃなく、心も体も鍛えられる研修ができないか?」と語った一言。その年の新入社員たちは、千葉県・昭和の森で行われるクロスカントリー大会に参加し、体力づくりと同時に交流イベントや広報活動まで自ら手がけました。
当初はゼロから何をすればいいか分からず、不安とプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、「どうすればチームが一つになれるのか?」「社員全員を巻き込むには?」と模索する日々。意見がぶつかり合いながら試行錯誤を繰り返しました。
こうして始まった新入社員企画研修は、年々進化しながら受け継がれ、筑波山登山、寺での修行、トライアスロン、バンド演奏など、その年の新入社員が“自分たちらしさ”を全力で表現する独自のプログラムとしてTPSの伝統研修となっています。
研修担当者は語ります。
「“与えられる”研修ではなく、“自ら創る”研修。新入社員の皆さんが自分の頭で考え、仲間とぶつかり合いながら形にしていく。その過程で味わう葛藤、達成感こそがTPSの人づくりの原点です。研修を通じて、自分たちの力で道を切り開いていく逞しさや、チームで成し遂げる喜びを体感してほしいと思っています。」
「新入社員企画研修!」はじまりは、僕らのアイデアだけだった
2024年に企画研修を行った、入社2年目の3名に当時を振り返ってもらいました。
・業務本部 経理部 :Fさん(甲南大学 出身)
・設計本部 設備設計部 :Mさん(兵庫県立大学院 出身)
・設計本部 設備設計部 :Sさん(秋田大学 出身)
「自分たちで“働く意味”や“チームとは何か”を見つけ出したい」
「今年の新入社員の結束力を見せたい」
「未知のプロジェクトを成功させたい」
この想いに突き動かされ、新入社員9名の仲間がゼロからプロジェクトをスタート。数ヶ月にわたる議論と試行錯誤の末に誕生したのが、今回ご紹介する研修――
2024年度『呼び覚ませ!帰巣本能!!』 です。
今回の記事では、企画誕生の舞台裏から本番当日のドラマ、そして得られた学びまで、彼らの“本気”と“熱”を余すことなくお届けします。
企画はこうして生まれた――ゼロからの挑戦
新入社員たちは、3つのアイデアから研修案を選出しました。
- 案A:10階建てビル階段ドミノに挑戦、エンジニアっぽく
- 案B:ダブルダッチ&交流食事会!ハツラツと!
- 案C:知らない場所からオフィスへ戻れ!呼び覚ませ!帰巣本能!!
議論は真っ白なキャンバスから。メンバーの価値観の違いや、安全面への配慮など、ぶつかる壁は数多くありました。
最終的にはメンバー投票と社内プレゼンを経て、案C:呼び覚ませ!帰巣本能!!が選ばれました。
実はなんと!新入社員になって初めて千葉県に降り立った新入社員9名中8名!?
携帯電話無というミッションの中で知らない道を歩いてオフィスに戻る・・・彼らにとっては未知の挑戦とも言えるでしょう。
最初はただのざっくりしたアイデア。しかし、そこから「体力だけでなく、心も試される仕掛けを」「応援や競争要素も取り入れよう」「競争して優勝チームを決めよう」と、研修内容がどんどん進化。
その裏には、5つのC――
Challenge / Chance / Change / Communication / Curiosity
を胸に秘めた、9人の本気の情熱がありました。
リーダーたちが語る、研修の裏側
Sさん(役割:リーダー)
「ゼロからの出発。でも、皆で“これだ!”と決まった瞬間の高揚感は忘れられません」
- 週に1度35,000歩を踏破する“挑戦日”を設定、週80,000歩の高みを目指し、確実に体力を底上げ
- ルートの調整やチェックポイントの最適化に奔走
- 複雑なルール説明にはホワイトボードを駆使して“伝える力”を養成
Sさんからのメッセージ:
「意見はぶつかっていい。でも、“思いやり”を持って語り合うこと。それがチームを強くする」
Fさん(役割:経理/調達)
「同期だけでなく、先輩・後輩を巻き込みながら進めたことが、強いチームを作るきっかけになりました」
- Power Automateなどデジタルツールを使い、準備を効率化
- 決算期と並行しながら、仲間と共に地図作成に奮闘
- 限られた時間の中でのタスク管理が、スケジュール意識を高める経験に
Fさんからのメッセージ:
「これは最初で最後の“同期全員企画”。だからこそ、どんなに大変でも、最後までやり切ってほしい」
Mさん(役割:書記/工数管理)
「“あえて厳しさ”を取り入れたことで、やり切る空気が生まれたと思います」
- チームごとの役割分担を明確にして、責任感を持って取り組む
- 異なる価値観とのぶつかり合いの中で、互いを受け入れる学び
- 本番では35kmの道のりを踏破し、体力と精神力の限界に挑戦
Mさんからのメッセージ:
「極限を共に越えたとき、仲間との絆が本物になる。次の世代にもこの挑戦をつなげてほしい」
新入社員が達成した「5C」
研修を通じて、彼らが実際に体現したTPSの5Cスピリット。
- Change:状況に応じてルールや進行を柔軟に変更
- Chance:日常から離れ、自らを試す貴重な経験
- Challenge:ゼロからの企画・実行という高い壁に挑戦
- Communication:会議の工夫や広報活動で“伝える力”を鍛える
- Curiosity:未知の土地を探索するワクワクと発見
社内の応援投票、記録の共有など、周囲を巻き込んだ仕掛けも成功。
「やり切った」「仲間と成長を共有できた」――そんな想いが、参加者の胸に深く刻まれました。
未来へ託すバトン
新入社員たちは、来年以降の後輩たちへ熱いエールを残しています。
「意見をぶつけることを恐れず、思いやりを持って話し合って!」
「“やりきる”経験が、最高の思い出になる」
「難しい条件こそ、チームを強くする」
この研修が単なる一度限りのイベントではなく、次世代へと受け継がれていく「挑戦の場」になっていくことを、私たちは願っています。
想い出創った、“一生心に残る時間”
この研修は、誰かから与えられたものではありません。
自分たちの想いから生まれた、世界に一つだけの研修です。
決断し、行動し、支え合い、走り抜けた時間――
それは「チームとは何か」「働く意味とは何か」を、自らの体験を通して学び取る機会となりました。
壁にぶつかったとき、迷ったとき、きっと彼らを支えてくれる「心の帰る場所」になる。
そんな“原点”となる経験が、ここにはあります。
「あのとき、自分たちで創ったよな」
その誇りと絆が、これからのTPSを照らしていきます。