飛騨市では、「未来のコミュニティ研究室」の取り組みを分かりやすく発信するために、複業人材が募集されました。未来のコミュニティ研究室では、産官学民が一体となって地域活性化のための研究を行っています。
今回インタビューしたシュウジさんは、プロジェクト期間中に7本の動画を制作し、住民への情報発信のサポートに貢献しました。今まで培ってきたスキルを行政で活かすやりがいや自治体複業において意識されたポイントについてお話を伺いました。
*プロフィール
シュウジ 氏/フリーランス,
岐阜県飛騨市:関係人口創出アドバイザー
大学卒業後、小売、コンサルティング、観光業に従事。コロナ禍を機に映像制作スキルを磨き、アニメーションで企業の商品・サービスPR動画、WEB広告動画を手掛ける。最近ではデジタルサイネージ動画やマニュアル動画、SNS動画など、幅広く制作し、フリーランスの映像クリエイターとして活動中。結婚を機に、妻の地元である高山市に移住。映像を使って地域の魅力を届けることに取り組んでいます。
目次
- 家族のふるさとで自治体複業に初挑戦
- プロジェクトで感じたやりがいとは
- 誰に何を伝えるかを意識し“伝わる”広報に
家族のふるさとで自治体複業に初挑戦
宮川町種蔵で撮影した未来のコミュニティ研究室メンバーの集合写真
ーーシュウジさんにとって、自治体とのお仕事は飛騨市でのプロジェクトが初めてだったと伺いました。今回エントリーされたきっかけや背景について教えてください。
私は結婚を機に、妻の地元である岐阜県高山市に移住しました。飛騨高山と呼ばれる地域で生活をする中で感じた、地域の魅力を発信したいという思いを漠然と持っていました。
私は普段、動画クリエイターとしてフリーランスで働いています。案件を獲得するために複業クラウドに登録したところ、偶然飛騨市の案件を見つけました。貢献したいと思っていた地域の案件で、今まで培ってきたスキルが活かせそうな案件だったので、応募することを決めました。
ーー今まで培ってきたスキルのどのような部分が活かせそうだと思って応募してくださったのですか?
情報を整理して動画に落とし込み、分かりやすく発信するスキルです。
普段は企業のWeb広告動画やサービス紹介動画などを作成する動画クリエイターとして働いています。特にイラストやグラフィックを使ってアニメーションのような形で紹介する動画制作を得意としています。
今回は、飛騨市が中心となって取り組んでいる「未来のコミュニティ研究室」という関係人口に関する研究内容を発信することが目的でした。アカデミックな内容を分かりやすく発信するには、動画という発信方法が有効だと思います。そこで、イラストやグラフィックを用いて動画を作成する技術が役立つと思い、応募しました。
プロジェクトで感じたやりがいとは
飛騨市内にある廃線のレールを自転車で走るアクティビティの様子
ーー飛騨市のプロジェクトには、シュウジさんともう1人別の方が「関係人口創出パートナー」に就任されました。どのような役割分担でプロジェクトに参画されたのですか?
もう1人のアドバイザーである山田さんが飛騨市外へ、私が市内への情報発信の強化を担当しました。
外部への情報発信は、メディアで働いていた経験を持っている山田さんが、プレスリリースの発信を通してサポートしてくださいました。私は市民の方が市の取組に親しみを持てるように動画での情報発信をサポートしました。お互いの強みを活かした役割分担ができたので、スムーズに取り組めたと思います。
ーーシュウジさんは動画制作を通じて市民の方に向けた情報発信のサポートをしてくださったのですね。プロジェクトの期間中にどれくらいの動画を制作されたのですか?
全部で7本の動画を制作しました。
今回のプロジェクトでは、未来のコミュニティ研究室が主催するシンポジウムの集客を伸ばすことが大きな目標でした。そのため、研究内容や普段の活動についてYouTubeで発信し、シンポジウムに興味を持ってもらえるようなコンテンツを作成しました。最終的にシンポジウムの参加者は前年比200%を達成することができました。
ーーシンポジウムの参加者数が前年比200%を達成したのですね!プロジェクトを通して一番嬉しかったことは何ですか?
役所の職員の方だけではなくシンポジウムの参加者や未来のコミュニティ研究室の職員など、多くの人に感謝の言葉をいただくことができたことです。
実は、シンポジウムでも私が作成した動画を使って未来のコミュニティ研究室の研究内容を発表をする機会がありました。その後開催された参加者同士が交流できる懇親会のときに、他の参加者の方に、「とても分かりやすい動画だった」と嬉しい感想を聞くことができました。自分が制作した動画が実際に地域の人々に影響を与えたことを実感することができ、プロジェクトに参画して良かったなと心から思いました。
また、妻に作成した動画を見せたときに、「すごいじゃん」と言ってもらえました。様々な人に感謝の言葉をいただき、家族も喜んでくれたことが一番嬉しかったです。
誰に何を伝えるかを意識し“伝わる”広報に
飛騨市役所の写真
ーーシュウジさんは飛騨市で動画制作のスキルを活かしてご活躍されました。自治体が動画を使って情報発信をする際に意識するべきポイントは何ですか?
動画という手段に限らず、全ての情報発信に言えることですが、誰に何を届けたいかを意識することが大切です。
今回の飛騨市を例に挙げると、飛騨市に住む人に未来のコミュニティ研究室の取り組みを知ってもらうために動画発信をしたいという思いがありました。アカデミックで難しい内容を分かりやすい動画にするためには、情報を取捨選択して整理することが大切です。情報を詰め込み過ぎると、結局何が伝えたいのか分からなくなってしまいます。どんな情報を誰に届けたいのかを意識することで、“伝わる”情報発信をすることができます。
ーー最後に今後のキャリアに関する抱負を教えて下さい!
民間企業や行政の情報発信を自分の強みであるイラストやグラフィックを用いた動画制作という手段を使って支援していきたいです。
特に、今回の自治体複業を通して行政の取組を支援することで、家族の喜びという感情面での報酬を得ることできました。今後は、飛騨市と同じような悩みを抱えている自治体の支援にも力を入れていきたいです。
”取材、執筆:井原 沙樹”