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レオのリファラル入社エピソード ~シニアエンジニアの転職の進め方

Ruby コミュニティから「レオ (Leo)」の愛称で親しまれる Leonard Chin が 2023 年 10 月にアンドパッドに hsbt のリファラルで入社しました。今回はそのリファラルの模様と、レオのようなシニアエンジニアがどのように企業研究を行い、転職先企業を決定したのか、 10 数年来の友人である hsbt がその過程をインタビューしました!

Leonard Chin @lchin

オーストラリア出身、日本在住歴 20 年の Rubyist。旧時代の RubyKaigi でテキストでの擬似同時通訳を担当。 Asakusa.rb 休眠会員。クックパッド株式会社に 10 年在籍し、 2023 年にアンドパッドに転職ならぬ “転パッド” を決める。

hsbt 柴田 博志 hsbt

フルタイム Ruby コミッタとしてアンドパッドに入社。 Ruby, RubyGems, Bundler, Rake, ruby-build, psych など多くの OSS のメンテナ、 ruby-lang.org の管理人として、 Ruby の開発を支えるインフラを整備している。株式会社アンドパッドで採用広報を担当しながら、プログラミング言語 Ruby のフルタイム OSS 開発者としても活動中。「全ての人がプログラミングを通して楽しく成長できる社会を作る」ために自分ができることに毎日少しずつ取り組んでいる。

#ex_cookpad で 100 社からコンタクト

レオの来日 20 年をふりかえる

hsbt : 改めて、レオのプロフィールを聞くところから始めましょうか。 日本に来られて、もう何年になるんでしたっけ?

Leo : 2003 年にきたので、もう 20 年ですね。

hsbt : 2023 年が 20 周年記念の年だったとは。 もともと日本に来られたのは留学か何かですか?

Leo : オーストラリアで生まれ育って、大学でソフトウェア工学を学んで卒業後にきました。 なのでワーキングホリデーですね。 日本にきてからは、小学校の ALT (外国語の指導補助員) をやりながら日本語を勉強して、日本語能力試験や漢字検定にも取り組みました。

あとは基本情報技術者試験も勉強しましたね。 内容は全部知っていたのですが、日本語の専門用語がわからなくて。

hsbt : 専門用語か。 たしかに外国からきたエンジニアには基本情報や IT パスポートは日本語勉強のいい教材になりますね。

Leo : あとは、その専門用語に加えて、数学用語もあるんですよね。 分数とか行列計算とか。

hsbt : なるほどね。 ぼくも英語で桁数の多い数字とかスッと言えないな。 その ALT ・日本語学習を経て、エンジニアとして就職したという感じですかね?

Leo : 最初は SES の会社でエンジニアを始めて、それと同じぐらいに Rails 勉強会@東京 に飛び込みました。

hsbt : 懐かしい! ぼくとレオが会ったのもそれぐらいでしたね。

Leo : Asakusa.rb や RubyKaigi で話すようになってからですから、 hsbt さんとも 10 数年の付き合いですね。

hsbt : レオは RubyKaigi で通訳とか海外スピーカーのアテンドとかやってましたね。

Leo : その Ruby コミュニティで色々な Rubyist と縁ができて、ドワンゴで 5 年間、クックパッドで 10 年間、エンジニアやエンジニアリングマネージャとして仕事ができました。

hsbt がレオに一番乗りのリファラル

hsbt : その 10 年間を過ごしたクックパッドを諸事情により離れることになったんですよね。 当時は Twitter (現:X) で #ex_cookpad のタグができるほど話題になりました。

Leo : 突然、あと 1 ヶ月でレイオフという状態になったので、自分の Twitter で公表すると、たくさんのリプライや DM をもらいました。

hsbt : ぼくも「まさか、レオまで対象 !?」と思って、とてもびっくりしつつ、すぐに建設業界に興味があるか声をかけましたね。

hsbt : どれぐらいの数の DM がきたのかな? 50 通ぐらい?

Leo : 100 通以上かな。

hsbt : すごい。 もう見きれないぐらいの量だ。 そんな中でアンドパッドはどうでしたか?

Leo : RubyKaigi でアンドパッドのブースは目立っていたので覚えてましたよ。 hsbt さんから声を掛けられたときは「前職と "パッド" で被るなあ」という印象だった(笑)。

シニアエンジニアの企業研究と選び方

100 社のコンタクトから、応募する 10 社を決めるまで

hsbt : その 100 社ぐらいのコンタクトがあった転職活動を聞いていきましょう。 どのように進められたのですか?

Leo : Twitter などでコンタクトをもらった企業と RubyKaigi のスポンサー企業を中心に 100 社をスプレッドシートにまとめて、まずは自分で企業研究をしました。

hsbt : レオのようなシニアエンジニアの企業研究はとても興味があります。 具体的に聞きたいですね。

Leo : 企業情報をもとに 4 つの材料で調査しました。

  1. バフェット・コード などで資金調達や時価総額などの企業情報を調査
  2. PR TIMES で最近の動向や取り組みを調査
  3. 採用サイトでカルチャーデックと Job Description を調査
  4. テックブログを確認

この 4 つの材料をもとに S / A / B / C で評価をつけて、カジュアル面談をする 50 社を絞り込みました。 社数が多いのは、急な転職でどんな会社に行きたいか想像がついていなかったので、なるべく広く話を聞こうと考えていたからです。

ですが、カジュアル面談の日時調整は人間がやるものではないと悟り(笑)、 Spir という調整ツールを使って相手に予定を入れてもらいました。

hsbt : (笑)

Leo : hsbt さんは企業を調べるときは何を使ってました?

hsbt : ぼくは スタートアップテーブル を見て調達額や会社のステージを調べてましたね。

Leo : それは初見だ。

hsbt : では、次にカジュアル面談ですね。 ここでもどういうことを聞いたのか興味があるので、詳しく教えてもらっていいですか?

Leo : これも 5 つかな。 定量的な評価はこれまでの調査でわかっているので、定性的な評価が中心です。

  1. 事業の成長性
  2. 自分がその事業に関心を持てるかどうか
  3. プロダクト開発の考え方
  4. 自分のスキルと経験がマッチし、貢献できそうか
  5. 知り合いがいるかどうか

hsbt : 最後の「知り合い」というのは面白い。 どういうことでしょう?

Leo : 知り合いが中にいると、より詳しくわかる = その企業の解像度が上がるということですね。

hsbt : それは間違いないですね。 でも、技術に関することを聞いていないのは意外です。

Leo : 技術は Job Description やテックブログなどで書いている通りだろうから、あまり聞いてないですね。

hsbt : そりゃそうか。 このカジュアル面談を経て、応募する企業をどの程度まで絞ったのですか?

Leo : 10 社ですね。 それから応募して、面接などの選考を受けました。

最後はユーザー向けカンファレンスの内容で決めた

hsbt : 面接や選考の話は表に出しにくいと思うので、内定してもらったオファーをどのように評価したかを聞きたいですね。 応募する企業のスクリーニングと、もらったオファーのスクリーニングは違いそう。

Leo : これもスプレッドシートを作って、さらに詳細を比較しました。

hsbt : またしてもスプシ(笑)。 その詳細を教えてもらいましょう。

Leo : 先ほど挙げた軸をさらに詳細にして、そこにオファー内容を追加して評価軸にしました。

  • オファー内容(報酬、勤務体系、勤務地、福利厚生)
  • 会社・組織(経営、育成)
  • 事業・プロダクト(ビジネスへの自信)
  • 自分のフィット(技術、スキルと会社の課題)
  • キャリアと成長
  • 報酬・ライフスタイル

この軸ごとに、さっきと同じように S / A / B / C で評価しました。

hsbt : アンドパッドの面接でもレオが会社の課題をよく聞いてきた、と話題になってましたが、意図があったのですね。

Leo : 課題がなかったり、自分にマッチしない課題だと、スキルが活かせないからですね。

hsbt : 次の軸に挙げた「キャリアと成長」に繋がるものですね。 この 5 つの評価軸でアンドパッドにはどんな評価をつけました?

Leo : まずは「事業・プロダクト」の観点。 日本の建築・建設業界は、その竣工までの速さと建造物の品質を両立できているところが素晴らしいところです。 一方で、その両立を電話や FAX 、メールでの資料共有、物理的な移動などのアナログな方法で実現しています。 そのギャップが非常に面白い機会だと捉えました。 toB のプロダクトなんだけど、使っているのは現場の職人さんなので、 toC の開発にも近いな、という感覚です。

hsbt : いい視点ですね。 続いては ... 「会社・組織」ですね。

Leo : 現在でも業界シェア No.1 (*) なのに、カジュアル面談や選考で聞いた代表取締役の稲田さんをはじめとする経営陣が描くビジョンが壮大でしたね。

hsbt : いい話だ。 記事では詳しく書けないので、カジュアル面談などで読者は聞いて欲しい案件。 どんどんいい話を聞いていこう(笑)!

Leo : 「自分のフィット」と「キャリアと成長」は繋がるのでまとめると、アンドパッドは成長企業なので、その成長に伴って開発課題・組織課題などの痛みがあることを聞きました。 そして、それらの課題にはこれまで培った私の技術・マネジメントスキルが活かせそうでした。 またアンドパッドの技術スタックは、自分が持つ Ruby/Rails だけではなく、 golang も要求されるので、自分にとっての成長機会もありました。

hsbt : 「自分の知らない技術があれば、それは成長機会になる」という考えは完全に同意です。 いいお話が連発されているので、これらの理由でアンドパッドに確定したのですかね?

Leo : いえ、この 5 つの軸の評価では、アンドパッドは最終的な候補となった 2 社のうちの一つでした。

hsbt : 惜しい! であれば、最終的に何が決め手になったのでしょうか?

Leo : ユーザー向けカンファレンスの内容です。 最終候補となった 2 社とも SaaS を提供している企業だったので、それぞれユーザー向けにカンファレンスをやっていました。 その内容を調べて、アンドパッドの方が聞きたいと思ったことが最終的な決定打になりました。

ANDPAD ONE CONFERENCE 2023
ハロー、ニューワールド。次世代の働き方を本気で考える。2024年には「働き方改革関連法」の施行、さらには「担い手不足の加速」など、今後の建設業界には、大きな壁が立ちはだかっています。AOC ...
https://page.andpad.jp/conference2023/

hsbt : レオのようなシニアエンジニアが転職先を決める企業には、総合力が求められる、ということがよくわかります。

* 『建設業マネジメントクラウドサービス市場の動向とベンダシェア(ミック IT リポート 2023 年 10 月号)』(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ) による。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000018154.html

プロダクトの成果がわかりやすいのがアンドパッド

プロダクトの多さと多様なチーム

hsbt : これまで聞いた入社までの経緯を経て、レオがクックパッドからアンドパッドに転職ならぬ "転パッド" した訳ですが、入社して 3 ヶ月がたち、いま何を開発されているのですか?

Leo : ANDPAD の多数のプロダクトで使われる認証基盤の開発をしています。 この認証基盤はメインで使われているプロダクトには導入済みで、これから他のプロダクトへのロールアウトを進めるという状況です。 それにあたって各プロダクトごとの要件を洗い出しながら、継続的に開発しています。 新規プロダクトもまだまだ増えるので、認証基盤は重要になりますね。

hsbt : 影響範囲が大きくて、たくさん要望もくるし、最重要なところなので、プロダクト開発とはまた違った醍醐味がありそうですね。 実際、アンドパッドで開発してみてどうですか?

Leo : 多様なチームがあって、それぞれが工夫や挑戦をしていて、自律して開発しているという印象ですね。 あとは、チームが多いだけに、組織開発にも投資している、と感じています。

hsbt : 組織開発の視点は興味深いですね。 具体的にはどんなところにそれを感じますか?

Leo : オールハンズで行うイベントが多くて、 devpro 総会やチームの自慢大会、ポストモーテムから学ぶ会などがあり、それぞれがとても有意義ですね。

hsbt : レオはオールハンズのイベントの Slack で積極的に同意や感謝や質問を出しているよね。 あれはいいね。 あとは Slack の色々なチャンネルに入っていて、どんどん反応したり、話題をふったり、情報を取りに行って解決しているところは、レオらしいところです。

Leo : その Slack で言うと、アンドパッドの Slack はちょっと静かな印象です。 bot などの連絡が多くて、メールをチャットにリプレイスしたという感じですね。 Slack を物理オフィスのようにするには、まだ改善できそうです。

hsbt : どうするとよさそうですか?

Leo : もう少し "雑さ" があるといい気がします。 前職での記事ですが、これがその内容を表しています。

雑な発想を活かすチーム作り - クックパッド開発者ブログ

hsbt : いい提案ですね、やっていこう! あとは、どんなところがアンドパッドの開発で印象的ですか?

Leo : モノリスにがんばって投資していますね。 リアーキテクティングやコードマネジメント、 Ruby/Rails の継続的なアップデートなど内部品質向上の取り組みは、外部品質にすぐには直結しないのですが、確実に将来に影響を与えるので、まさしく "投資" です。

hsbt : そう、モノリスには正負があるので、がんばってますよね。 その "負" という意味では、レオから見たアンドパッドの課題も聞きたいですね。

Leo : モノリスなだけに密結合していて、システムトラブルを避けるためのルールや手続きが多い、と感じます。 これが原因の一つとなって、チーム間の生産性や成熟度に差があることに繋がっていそうです。

現場が変わることを体感できる

hsbt : まさしく課題なことを挙げてもらったので、アンドパッドで活躍できそうな方を伺えますか?

Leo : 話題に挙がったルールを守る、変える決断も含め、リーダーシップを発揮する場面が多くあります。 というのも、建築・建設業界が広いだけに、プロダクトが展開する面積もとても広いので、チームがこれからもどんどん増えます。 チームをリードして挑戦したいという方にはとてもいい環境です。

また、私が魅力を感じたように、アナログな仕事の進め方をデジタルに変えられる領域が建築・建設業界にはまだまだあり、リアルに建築・建設業界の現場が変わるさまを体感できます。 このため、数字上の KPI 達成だけでは飽き足らない、社会変革を体感したい、という方はやりがいを感じられそうです。 本当に、技術による変化の差分がとても大きい業界ですね。

hsbt : いいメッセージになりましたね! レオ、今日はありがとうございました! これからも頑張りましょう!

Leo : ありがとうございました!

取材: 2023 年 12 月

シニアエンジニアのレオが評価したアンドパッドに興味を持たれた方は、ぜひエンジニア採用サイトのポジションから応募いただくか、カジュアル面談を申し込みいただき、壮大なビジョンをぜひお聞きください!

またアンドパッドにはリファラル採用制度があります! お近くのアンドパッド社員に「ちょっと話を聞きたいかもと」と一声いただくと、とても喜びますので、こちらもぜひお気軽に!

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