こんにちは!Wantedly Visit Client Growth / Mobile Chapterの朴(パク)です。
現在はWantedlyアプリのAndroidをメインに担当しているモバイルエンジニアです。2020年4月に新卒エンジニアとしてキャリアをスタートし、2025年5月にウォンテッドリーに入社しました。
今回は、9月1日〜9月3日に開催されたDroidKaigi 2026の参加レポートをお届けします。
目次
はじめに

DroidKaigi 2026
DroidKaigiは、Android開発者のためのカンファレンスです。ウォンテッドリーは昨年に続き、今年はSUPPORTERSとして協賛しています。私はその枠のチケットで3日間フルに参加してきました。
この記事では、おすすめのセッションと楽しみ方、そして学び・感想について書きます。
序論:3日間の現場参加で何を持ち帰れるか
今年も、期待と同じくらい迷いを抱えて会場に向かいました。AIと一緒に開発するのが当たり前になって、エンジニアとしての自分の役割は何か、少し掴みにくくなっていたからです。
その問いを持ったまま、3日間を過ごしました。以下はその記録です。
本論:3日間+αの記録
conference-app-2026へのコントリビュート
DroidKaigiでは毎年、カンファレンス公式アプリがOSSとして開発されています。今年公開されたDroidKaigi/conference-app-2026はCompose Multiplatformで作られていて、Android / iOS / Desktop(JVM)/ Web(wasmJs)で動きます。私も今年、開催前からこのアプリにコントリビュートしていました。人生初のOSSコントリビュートです!
取り掛かる前は、世の中のエンジニアとの圧倒的な技術力の差を感じて、Issueに手を挙げることすら恐れていました。結果として、3本のPull Requestをマージしていただきました。
- Implement EventMapScreen matching the Figma design
- Wire ProjectsApi into EventMapScreen so it shows real event data
- Implement lantern loading fallback screen
いざやってみると、アーキテクチャ、デザインとUIコンポーネントの組み方、通信とLoading / Error表示、スクリーンショットテスト、GitHubの管理、Adaptiveデザインなど、学びが多くありました。
分からないところはスタッフに質問しながら、最後まで完了できました。
Day 1:6時間、ひたすら手を動かす
初日はWorkshopの日です。KMP / CMPとKoogを3時間ずつ、合計6時間受けました。
KMP / CMP Workshop
KMP(Kotlin Multiplatform)はビジネスロジックをKotlinで共通化する仕組み、CMP(Compose Multiplatform)はUIまでComposeで共通化する仕組みです。
2025年はWorkshopに参加していませんでしたが資料はいただいていて、2026年の内容としては2024年・2025年のものからそこまで変わっていませんでした。
それでも参加してよかったと思ったのは、資料を読むだけではなく、実際にサンプルアプリを使って実装し、動作を確認できたからです。普段の開発はAIに任せる比重が高いため、ローカルへのデータ保存など、どのように書くかを思い出すのに時間がかかりました。たまに手を動かしたり、ライブラリや関数について調べて、設計や仕組みを考慮しながら作ると、勉強になるし楽しいと感じました。
Koog Workshop
KoogはJetBrainsが開発しているKotlin製のAIエージェント構築フレームワークです(OSS / Apache 2.0)。LangChainのKotlin版のような立ち位置で、LLMを使ったエージェントをKotlinの型安全なDSLで書けるようにするものです。
今回はアプリが使うデータを返すbackendとして練習問題に取り組みましたが、正直あまり理解できませんでした……。Kotlinだけでエージェントを書けるのは大きい話なので、公式ドキュメントを読み直して、小さなものから自分で書いてみるところからやり直してみます。
Day 2・Day 3:印象に残った6つのセッション
2日目と3日目はセッションを聞いて回りました。事前にアプリでお気に入りを登録しておけるので、当日は迷わず動けます。ここからは、特に印象に残った6つを紹介します。
なんとかする力 〜Androidエンジニアからマネージャー、さらにその先へ?〜
Androidの技術セッションではなく、ソフトスキル(マネジメント)に関するセッションです。Manageを「なんとかする」と訳したところから話が始まります。
なんとかする、とは不確実性に向き合うこと。刺さったのは「なんとかしない方がストレスフル」という指摘でした。不確実性の解消を他人に委ねると状況がアンコントローラブルになり、かえってストレスが溜まる、と。
AIについても、行動する部分は得意で壁打ち相手にもなるけれど、課題を見つけてはくれないし、それが正しいかを判断してもくれない。AIは増幅装置である、という整理が印象に残りました。Androidエンジニアだけでなく、すべての組織に当てはまる良いセッションでした。
楽しみながら作るマルチプラットフォームウィンドウマネージャー
Compose Multiplatformで、Android / iOS / Desktop / Webの上で動くウィンドウマネージャーを作り、Windows XP時代のUI(テーマ名はLuna)を再現した、という話です。
まず、Windows XPのUIを再現するということからネタ枠だと思っていました。ところが実際に聞いてみると、デザインだけではなく、アーキテクチャ、ウィンドウを最小化したときのLifecycleとState、ウィンドウサイズ、Navigation、Inset(セーフエリアやダイナミックアイランド)。マルチプラットフォームのアプリを展開するときの考慮事項がすべて詰まっていました。
「アクセシビリティを利用するとき、アクセシビリティもまたこちらを利用している」〜マルウェアによる攻撃と防衛について〜
アクセシビリティサービス(AccessibilityService)は、画面の情報を読み取って操作を代行できる強い権限を持っています。障害の有無を問わず使われる仕組みで、TalkBackやVoice Accessもこの上で動いています。ところが同じ権限を悪用して、ID / パスワードを抜き取ったり、ユーザーを騙して権限を付与させ端末を操作するバンキングトロジャンが実在する。その仕組みを理解して守りましょう、という内容で、とても勉強になりました。
セキュリティ対策コストが高く、何も問題が発生しないと費用が無駄だと思われがちですが、それはセキュリティが正しく機能している証です。
Kotlin 93%へ:Sonyで4言語をCompose Multiplatformに置き換えた話
KMP + React Nativeで構成され、Kotlin / Swift / TypeScript / Objective-Cが混ざっていたアプリを、KMP + CMPを利用してKotlin 93.9%のアプリにした、という話です。
Small Bets. Big moves.(小さく賭けて、大きく動かす)
かなり熱いセッションでした。Androidエンジニアとしてまだまだ夢があり、Kotlinはこれからだと感じました。
低レイヤもKotlinにお任せ! 〜ハードウェア制御でも言語機能を使いこなす〜
プリンター(領収書)の出力をKotlin DSLで表現し、そのUIプレビューをCompose Previewで確認できるようにした、という話です。
レガシーな技術も、構造を理解してフォーマットを工夫すれば、いくらでもモダンなものに変えられる。そう思わせてくれるセッションでした。
Jetpack Compose新API詳解:FlexBox, Grid, Styles, mediaQueryで作るアダプティブUI
Jetpack Composeに新しく追加された4つのAPIの解説です。
モバイルだけでなく、Foldable、タブレット、DeXモードと、Adaptive対応の必要性が益々大きくなっています。そのためにmediaQuery、Grid、FlexBox、Stylesといった便利なAPIが用意されている、と。Adaptive対応のためのskillも、Android公式のskillsリポジトリに用意されています。
セッションの外側にあるもの
DroidKaigiはセッションの外も楽しいカンファレンスです。
今年も全ブースを訪問して、スタンプをコンプリートしました。セッションに登壇しているブースも多く、詳しい話を聞いたり、クイズやアンケート結果をみたり。ブースごとのアップデート事項や、同じエンジニアとしての苦労話、アプリ開発時のこだわりポイントを聞くのがとても楽しかったです。
モバイルアプリの機能を見せてもらうだけでなく、決済端末やAndroid Automotiveの実機に触れられるブースもありました。
今年もネイルをDroidKaigi仕様に変えましたし、Alpha Betti Cafeさんによるコーヒーも美味しかったです。そして今年もAfter Partyでは、マグロ解体ショーをしていました。
もうひとつ。セッション自体が英語のものもあり、会場にはいろんな国の方が参加しています。英語が話せるようになって、コミュニケーションの幅を広げたいと思いました。
結論:Kotlinの可能性を、まだ信じたい
序論に書いた迷いの正体は、AIへの依存でした。コードを書く力や仕組みを理解する力、人に伝える力が落ちていくのを感じていました。
3日間を終えて、その迷いはだいぶ軽くなりました。領収書プリンターをKotlin DSLで制御する話、Compose MultiplatformでWindows XP時代のUIを再現する話、Kotlin製のAIエージェントフレームワーク。ブースでは決済端末やAndroid Automotiveの実機にも触れました。Androidが動いている場所は思っていたよりずっと広く、まだ知らないこともこんなにある。成長の余地も、活躍できる場面も、それだけ残っているということです。
もうひとつ持ち帰ったのは、エンジニアたちのAndroidへの愛と熱です。自分の作っているものを面白がって話す人がこれだけ集まる場にいると、こちらまで力をもらえます。まだまだ頑張れそうです。
AIについても、悪いわけではないと整理がつきました。考えるべきなのは使い方です。丸投げせず、自分の成長を助けながら考えを構造化し、行動を速くしてくれる使い方を工夫していきたいです。たまには自分で書いて調べ、人に伝えることの大事さも思い出しました。
セッションは開催後にYouTubeへアップロードされますが、現場の楽しさや熱量は、その場にいないと受け取れません。同じ悩みを持っている人、失敗談や成功談を共有したい人、技術に興味がある人に、ぜひ参加してほしいと思います。このような場を用意してくださったスタッフの皆さん、ありがとうございました。
終わりに
また、来年お会いしましょう!
その前に、9月11日から13日に開催されるiOSDC Japan 2026では、ウォンテッドリーがブースを出します。その時またお会いしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。