性格傾向からひもとく、活躍の可能性。Wantedlyに「性格診断」が登場 | Wantedly Blog
2023年12月に、自己理解を深め、強みを伸ばす診断ツール「Wantedly Assessment」をリリースし、第一弾として「スキル診断」を公開しました。今回は、同診断ツールの第二弾として「...
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/892287
AIがレジュメを書き、AIが求人をつくり、AIが候補者を選ぶ──。採用の現場は今、「AI対AI」の時代に入りつつあります。
情報処理の効率化が進む一方で、最終的に何をもとに見極めるのか。企業と候補者の向き合い方はどう変わっていくのでしょうか。
そのカギは「情報の原液」にあると、ウォンテッドリー代表の仲暁子は語ります。
「カジュアル面談」をはじめ、ユーザーに向き合う姿勢から採用市場に変化をもたらしてきたウォンテッドリー。AI時代における採用のこれからと、ウォンテッドリーが実現しようとしている価値について仲に話を聞きました。
プロフィール
仲暁子(なか・あきこ)
ウォンテッドリー株式会社 代表取締役CEO 京都大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。退職後、Facebook Japanに初期メンバーとして参画。その後、現ウォンテッドリーを設立し、ビジネスSNS『Wantedly』を開発。2012年2月にサービスを公式リリース。人と人が繋がることにより、個人の可能性を最大限広げるサービスづくりに取り組む。
──Wantedlyのサービス開始から14年経ち、採用市場を取り巻く環境も大きく変わりました。仲さんは今の動向をどう捉えていますか?
現在は採用市場に限らず、あらゆるサービスを再構築するタイミングだと思っています。世の中って、一気にルールや仕組みが変わる「ガラガラポン」のタイミングが5年や10年に一度のサイクルでやってくるんですよね。
例えば、スマホが登場したとき。それまでPC Webの領域が主戦場だったプレイヤーが、スマホ対応を余儀なくされる大きな流れが来ました。そこで、特に大手のような意思決定のステップが多い企業はスタートが遅れ、逆に俊敏に動けるスタートアップがその流れに素早く乗って、スマホやアプリの領域で一気にシェアを取っていった。今後はAIが起こした新たな地殻変動の中で、その動きにどれだけ早く乗れるかが重要だと感じています。
採用市場で言うと、今は転職が当たり前になっています。企業に対してもユーザーに対しても、単に人材の流動をサポートするだけでなく、「採用へのコミット」のその先。実際に入社された方の、活躍や定着までもセットで考えなければいけない。そうした状況の中でウォンテッドリーでは現在、採用領域のWantedly、福利厚生のPerk(パーク)、それから採用管理システムのWantedly Hire(ハイアー)の3本柱で事業を進めています。
──採用領域を担うWantedlyでは、実際にどのような取り組みをしていますか?
ユーザーがより良いキャリア形成をできるように、「ソーシャル化」と「マッチング」の2つに注力しています。
「ソーシャル化」の部分では、キャリアの棚卸しや自分が培ってきたナレッジの共有、セルフブランディングができるプラットフォームとして、転職のときだけではなく長期でのキャリア構築をWantedlyがサポートしていきたいと考えています。
また、転職が当たり前になってきた一方で、終身雇用の習慣が根付いている企業で働いていると、オープンに転職活動することに抵抗がある方も多いと思います。そこは、自分の情報をどこまで見せるかの制限をできる機能だったり、DM機能だったり、どうすればより安心して使ってもらえるかを考えながら設計しています。
次に「マッチング」の部分。これまでの採用・就職活動って、スキルと給与の等価交換が普通の考えでしたよね。でも、Wantedlyは当初からずっと、条件面のようなハードの部分ではなく、「企業のミッションへの共感」や「どんな成長機会があるか」といった思いの部分、ソフトの面を重視してきました。
現場で働いている人の顔を見せることで、企業の本質が見える。そんなユーザー体験をどれだけ高められるかを考えてきたので、今後もその軸をぶらさずに強化していきたいです。
──これからAIの活用が進むと、人が介在せずともマッチングが成立する流れが来ると思いますが、その点については?
今後、採用の現場が「AI対AI」の時代になっていくのは避けられないと思っています。
候補者はレジュメをAIでつくってエントリーし、企業側も求人をAIで書き、スクリーニングもAIがやる。実体のないフィルター越しの対話が繰り広げられ、何が真実なのかわからない、という状態になってしまいます。
そんな時代だからこそ、最後は「物理的に会う」というアナログな体験の価値が高まると考えています。もともとあった面接という習慣は、単なる確認作業ではなく、もっと本質的なお互いの「見極め」や「共感」のための貴重な時間として再定義される。私たちがずっと大切にしてきた「カジュアル面談」という場が、これまで以上に大きな意味を持つと考えています。
対面の場での価値を最大化するための取り組みとして、2026年3月より、ユーザーがカジュアル面談の相手を指名できる「指名カジュアル面談」も開始しました。「とりあえず誰かと会う」のではなく、「この人の話を聞いてみたい」というピンポイントな興味から始まる、純粋な意欲に応えられる場を提供できればと思っています。
効率化を極めたAIにすべてを委ねるのではなく、あえて「この人と生身でぶつかる」というプロセスを自分たちで選択する。 そこで交わされる人間対人間の「エモみ」や、AIには絶対にシミュレーションできない空気感の見極めにこそ、これからのマッチングの本質がある。その価値を最大化するために、私たちは「原液を留める」という設計思想を、プロダクトに落とし込んでいます。
──「原液を留める」とはどういうことでしょうか?
ユーザーや企業の「生身の情報」の部分を原液と定義しています。例えば、Wantedly上で利用できるスキル診断や性格診断のデータもそうですし、会社ページの内容やカルチャーを発信するストーリーもすべて原液にあたります。
自己理解を深め、強みを伸ばす診断ツール「Wantedly Assessment」の「性格診断」
──最近の転職活動では、ユーザーが求人サイトやエージェントに頼らず、AIを活用し自分に合う企業を見つけて直接応募するケースも増えていると思いますが、こうした変化についてどう感じていますか?
AIの普及によって、採用媒体を経由せず、企業のホームページから「指名検索」で直接エントリーする形が、今後はもっと一般的になっていくと思います。その結果、これまで当たり前だった「求人サイト」という場所自体の価値は相対的に下がっていくと考えています。
こうした「直応募」が増えると、発信力のある人気企業ほど、媒体に依存しなくても直接応募がどんどん集まる状態になります。ただ、そうなると今度は、 その膨大な候補者の情報をどう適切に扱い、管理していくかというまた別の課題が出てくる。
そこで、企業が自社の採用サイトとして機能し、応募から面接、採用内定までの情報を一元管理できる「自社専用の受け皿」が必要になると考え、ウォンテッドリーでは次世代型の採用管理システム(ATS)として「Wantedly Hire(ウォンテッドリーハイアー)」をリリースしました。
「Wantedly Hire」では、候補者の情報や選考ステータスを一元管理すると同時に、「何を見極めるべきか」という評価軸そのものを揃え、判断のばらつきを抑える仕組みを整えています。
たとえば、人物要件や評価基準、面接で確認すべき質問の意図を具体的に定義することで、誰が面接を担当しても一定の基準で判断できる「構造化面接」をサポートしています。
こうした考え方を具体化する取り組みの一つが、2026年2月にリリースした「書類選考AIアシスタント」です。
これまで属人的になりがちだった書類選考に対して、企業ごとの基準とレジュメの一致度を可視化し、「どこを見るべきか」「なぜそう言えるのか」という観点を補助します。
こうして共通の物差しを持てることで、採用担当者は候補者の内面や可能性の見極めにより集中できるようになります。現場の負担も大きく軽減され、実際に導入いただいた企業の方々からは、「もうこれがない状態には戻れない」といった声もいただいています。
──AIが判断材料を整えることで、人間はより本質的な見極めに専念できる。そうして採用の質を上げていくわけですね。
加えて、「Wantedly Hire」でこれから実現していきたいのが、採用した“その後”までを含めた設計です。
採用した人が実際に活躍したかどうかは、本来とても重要なはずなのに、現状は採用とその後の人事が分断されているケースが多い。ここが繋がっていない限り、「いい採用だったのか」を正しく振り返ることができません。
だからこそ、入社後の活躍や評価といった情報まで含めてデータとして蓄積し、それを採用の意思決定にフィードバックしていく。
たとえば、「どんな人に内定を出し、その人が入社後にどう評価されたのか」といった流れが一つの線として繋がっていくイメージです。
そうしたデータが積み上がることで、「どういう人が自社で活躍しやすいのか」という傾向が見えてくる。それをもとに、選考の基準や判断にも自然と反映されていく状態をつくりたいと考えています。
AIを表層的に使うというよりも、AIが学習できるデータをどう設計し、どう蓄積していくか。
採用した人が活躍し、事業にインパクトを与えるところまでを含めて、そのデータがまた次の採用に活きていく。そんな循環を実現していきたいと思っています。
──採用後の定着や満足度についてはどうアプローチしていきますか?
そこは、福利厚生サービスの「Perk」でサポートしていきます。
採用した人が定着し、活躍するところまでをゴールと捉えているので、「Perk」はその状態を支えるためのサービスとして位置づけています。
福利厚生の領域は、実は長らく寡占状態が続いていて、新しいプレイヤーがほとんど入っていませんでした。その結果、企業の担当者にとっての使いやすさは重視されていても、実際に使う従業員の体験はあまりアップデートされてこなかったんです。
「Perk」では、そこを見直して、従業員にとって本当に使いやすく、価値を感じられる体験をつくることに向き合っています。また、より使いやすいサービスにするために、AIを活用した機能の開発も進めています。
──競合他社も増えていく中で、ウォンテッドリーならではの強みはどこにありますか?
一つは、ユーザー体験へのこだわりです。ただ機能をつくるのではなく、「ユーザーが迷わず使えるか、ストレスなく操作できるか」という細部まで含めて磨き上げる。そうしたクラフトマンシップを大切にしてきました。
もう一つは、「to C」起点のサービス設計です。人材業界は構造的に「to B」に寄りやすく、企業側の要望に応える形でサービスが最適化されてきました。短期的にはその方が収益につながりやすいからです。しかし、求職者にとって仕事探しというのは、人生に関わる重要な選択であり、その後の働き方やキャリアを左右するものです。本来はもっと透明性があって、どんな人がいて、どんな環境なのかをきちんと知れる状態であるべきだと思っています。
ウォンテッドリーはこれまでずっと、「to C」を向いてサービスをつくってきました。個人ユーザーにとって価値のある体験をつくることが、結果的に企業にとってもいい採用につながる。その前提は、これからも変えずにやっていきたいと考えています。
たとえば「カジュアル面談」は、いまでは当たり前になっていますが、2010年頃にはまだなかった文化です。そうした新しい形をつくってこられたのも、ユーザーに向き合い続けてきたからだと思っています。
──これまでになかった「文化」をつくってきた自負があると。
「採用とはこういうものだ」という慣習にとらわれていると、新しいものは生まれません。世の中にどんな課題があり、ユーザーがどんなペインを感じているのか。それをどう解決するのかに向き合い続けることが重要だと考えています。
弊社には「User Obsession(すべてはユーザーのために)」というバリューがありますが、その姿勢こそが、私たちが社会に提供できる価値だと思っています。
成長産業に人が移動していく流れにも、この10年以上で一定の役割を果たしてきた実感がありますし、これからもそこは変えずにやっていきたいと考えています。
──ウォンテッドリーがそこまでバリューやカルチャーを重視するのはなぜですか?
同じ方向を向いている人たちが集まることで、仕事のパフォーマンスが大きく変わると考えているからです。
カルチャーは良し悪しの基準ではなく、単なる「好み」の違いです。和食と洋食のどちらが好きか、というのと本質的には変わりません。
ただ、社会をどう良くしていきたいかや、仕事に向き合うスタンスが近い人同士だと、事業を進める上でのコミュニケーションコストが大きく下がりますし、意思決定にも迷いが少なくなります。
何か疑問が生まれたときにも、「なぜこれをやるのか」という原点に立ち戻れる。その積み重ねが、組織のパフォーマンスを高めていくのだと思います。
──その考え方の先にあるのが、ウォンテッドリーが掲げる「究極の適材適所」という言葉なのでしょうか。
そうですね。その人が一番成果を出しやすい場所に出会えて、企業側もそれを提供できている状態をゴールにしたいと考えています。
人生の中で、仕事に費やす時間ってすごく大きいですよね。だからこそ、やるからには成果を出したいじゃないですか。私自身も、「最期まで活躍し続けたい」と常日頃から思っています。
ただ、活躍できるかどうかは、努力だけではどうにもならない部分もある。上司との相性や仕事への適性など、環境によって大きく左右されます。スキルだけでなく、適性や共感、相性、性格といった要素も含めて、その人が一番成果を出せる場所に出会える社会をつくりたい。
それは決して環境のせいにするということではなくて、自分自身も内省しながら改善を重ねていく。その積み重ねの中で、理想の場所に巡り会えるものだと思っています。
──その理想を自ら体現しようとしているウォンテッドリーというチーム自体は、今どんな温度感で動いているのでしょうか?
どのチームも、ミッションに対して驚くほど愚直ですね。そこは、私自身も日々見ていて感じるところです。
プロダクトをつくる開発やデザインの現場には、強いクラフトマンシップを持ったメンバーが集まっています。単に動くものをつくるのではなく、細部の触り心地や、それがユーザーにどう届くかにまで、とことんこだわり抜く。そうしたプロ同士が、互いの技術を高め合いながらプロダクトを磨き続けています。
そして、そのこだわりを世の中に届ける営業もまた、ウォンテッドリーにおいて欠かせない存在です。AIが普及していくこれからの時代だからこそ、最後は生身の人間同士のやり取りでしか伝わらない価値があると考えています。言葉だけでは伝えきれない空気感や、五感で感じる「心が揺さぶられる瞬間」。これは営業にしか担えない役割です。単にツールのスペックを売るのではなく、そのプロダクトを通じて誰かの人生がどう変わるのかという「生き方」まで提案する。それを自らの言葉で伝えていく、いわば“伝道師”としての役割に、みんな誇りを持って向き合っています。
売上のためだけに不本意な事業をやることはしない。自分たちが信じているミッションに、まっすぐ取り組んでいく。そのスタンスを、何よりも大切にしています。