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Webサービスに限らずビジネスをつくり、育てていくうえで欠かせないのが、弊社のValueに設定したうちの1つである『ユーザー起点』の考え方。
『ユーザー起点』とは、自社側からユーザーさんを見る視点ではなく、ユーザーさん側から見える物事を起点(顧客起点)で考えること、です。
お花のサブスク「ブルーミー(bloomee)」を手がけるユーザーライクでは、『ユーザー起点』を浸透させるために、全ての従業員がユーザーさんの声を聞き考える機会があり、全社的にユーザー起点で物事を考える習慣づくりとして、毎月「ユーザーさんヒアリング報告会」を実施しています。
「ユーザーさんヒアリング報告会」とは、全従業員がローテーションで、自宅訪問やオンラインなどでユーザーさんにインタビューをし、その結果を全社へ報告する会です。
さらに、そのユーザーさんに一人一人が憑依し、”ユーザーさんからみたときの「ブルーミー(bloomee)」”についてグループワークを行う、Valueを体現するイベントです。
報告会を取り仕切るHRチームの大竹空は、会の目的は「ユーザーさんに憑依すること」と話します。
一体どういうことなのでしょうか。代表取締役CEOの武井亮太、取締役CMOの戸口興とともに、当社における『ユーザー起点』の大切さについて話を聞きました。
お花のサブスク誕生のきっかけは、ユーザーさんの声だった
ーまず、この会社における『ユーザー起点』で考えることの大切さを教えてください。
武井:実は私たちが手がけるお花の定期便「ブルーミー(bloomee)」誕生のきっかけも、ユーザーさんの声でした。
それまではギフト向けのサービスを手がけていたのですが、なかなか盛り上がらなくて……当時のユーザーさんに「どうすればもっと花を買いたくなるのか」とヒアリングをしました。
そこで「価格が高いのであまり買わない」「プレゼントとして花という選択肢が出にくい」という話をしてくれて、「だったら、花のある生活をお手頃な価格で手に入れられるように」とピボット。
「ブルーミー」が誕生しました。
つまり、ユーザーさんの声がなければ、いまの私たちは存在しないといっても過言ではないわけです。
代表取締役CEO 武井 亮太
ー社名にも「ユーザー」という言葉が使われています。
武井:2022年1月に社名変更したタイミングで「ユーザー」という言葉を社名とミッションにも採用しました。もともとバリューに『ユーザー起点』を掲げていたので、より連動するように。
社名は創業以来変えていなかったのですが、「せっかくなら社名も連動させよう」と。自分たちの進むべき方角がより明確になったような気がします。
ーミッションをはじめ、随所で「ユーザーさん」という言葉をみます。どういう狙いがあるのでしょうか?
戸口:「お客様」という遠い距離感ではなく、親身になって次のスタンダードとなるようなサービスを一緒につくっていく立場として、「ユーザーさん」と呼ぶことでちょうど良い距離感を表現しています。
月に1回、ユーザーさんに憑依しよう
ーユーザー起点で物事を考えていくうえで欠かせないのが毎月の「ユーザーさんヒアリング報告会」だと思います。なぜこのような取り組みをすることになったのでしょうか。
取締役CMO 戸口 興
戸口:私が入社して最初に企画したのが、ユーザーさんにインタビューする「N1」でした。
ユーザーさんの顔を知っているメンバーが少なすぎて「まずはちゃんと会って、誰にどんな価値を提供しているのかを知りましょう」と。当時はコロナ前だったので、ご自宅にも行っていました。
毎月実施しているうちに「仕組み化しよう」「せっかくならみんなに共有しよう」という話になり「ユーザーさんヒアリング報告会」という形に行き着きました。
最初は「とりあえず一回会って話をしてみよう」というレベルでしたが、最近は「こういう方に会って、こういうテーマで話を聞くのがいいんじゃないか」という議論もできるようになり、着実に積み上がってきていることを感じます。
大竹:報告会も最初は聞いたことを報告するだけだったのですが、「レポートを聞いてユーザーさんに憑依する場」になり、かなり好評です。
ユーザーさんヒアリング報告会の様子
ー「憑依する」とは?
大竹:インタビューの回答内容を聞き、私たちがユーザーさんになりきり、ユーザーさん側から物事を見て感じることです。
どのような生活を送っていて、どのようなことに喜びを感じ、花に対してどういう気持ちを持っているのか、「ブルーミー」をどう活用しているか……などなど、ユーザーさんになりきることを目的にしています。
自分主語、ブルーミー主語で考えるのではなく、そのユーザーさんを主語にすべてのものごとについて考えます。
HRチーム 大竹 空
戸口:繰り返しになりますが、目的はあくまでもひとりのユーザーさんに憑依することです。普通に生活していたら、自分とは異なる生活スタイルの方の視点で物事を考える機会は少ないと思います。
だから、感覚を養うためにあえて機会を設けています。「とにかくユーザーさんの視点だけを持ち帰ってほしい」ということを伝え続けました。
大竹:報告会の中でも「目的は施策ではありませんよ」と口酸っぱく言いましたね。
職種の垣根を超えて、ミッションを共有していくために
ー取り組みの成果はどのような場面で感じられるのでしょうか。
戸口:たとえば日々の施策やリリース、現場レベルでの仕事にも表れます。“ユーザーさん”を主語にコミュニケーションが取れるので、説明コストがかからず、建設的な議論ができます。
武井:特に当社には7〜8の職種があり、お花の加工工場もあるので、何もしないとなかなか目線が合わない。でも、報告会をすることで共通言語が生まれるし、別々のKPIを追いかけるチーム間のコミュニケーションで脱線してしまっても、同じところに立ち戻ることができる。当社のようなビジネスモデルでは、特に重要だと言えるのではないでしょうか。
ーコーポレートチームのメンバーも参加しているそうですね。
武井:先ほども話しましたが、ミッションが「ユーザーさんの、うれしいを創る」なので、会社として大切にしている価値観として職種や雇用形態にとらわれずに同じ粒度で共有したいし、語れるべきだと考えています。
さすがに、アルバイトさんや業務委託のメンバーが、ユーザーさんのところへ行くことはハードルが高いですが、それでも報告の場には参加してもらっています。
コーポレートのメンバーなど、全メンバーが参加
戸口:まさにカルチャー浸透の文脈ですよね。
大竹:カルチャーは本社の社員だけで創っていくものではないので、お花の加工工場で働くメンバーにも参加してもらっています。ユーザーさんの顔が見えることで、「きれいな状態で届けられるようにしよう」というマインドが生まれますからね。
一般的な花き業界の商流で、花組みをしている人たちのところへユーザーさんの声が届くことは少ないので、手前味噌ですがなかなかすごいことだと感じます。
戸口:あとは、報告会を仕切る大竹にとっても参加者が多い方が、テンションは上がるので(笑)。
大竹:間違いないですね(笑)。
自宅訪問とオンラインの両軸でユーザーさんと向き合い続ける
ー今後、報告会をはじめとするこれらの取り組みはどう続けていきますか?
大竹:やはり続けることですね。月に1回でも全社でユーザーさんに憑依してもらうタイミングをつくり続けていくことが大切だと感じています。
戸口:プロダクトやマーケティング、CSなどの各メンバーはユーザーさんと向き合う機会は多いのですが、文化をより深く浸透させていくためには、月に1回でも継続していくことが大事ですね。
大竹:コロナ禍になり、オンラインでインタビューができるようになってから、回数自体は大きく増えました。始めた頃は準備にも時間がかかっていたのですが、ある程度仕組み化できてからは、かなりスムーズになりましたからね。
戸口:今では「こういうユーザーさんにインタビューしたい」と連絡すれば、プロダクトチームとCSチームが連携して、ユーザーさんに連絡をとって、GoogleカレンダーにスケジュールとオンラインインタビューのURLが登録されるようになりました。回数を重ねてきたからこその成果ですね。
大竹:でも、やはり実際にお会いした方が得られる情報量が多いんですよ。
戸口:間違いないですね。オンラインだと背景までしかわからないけど、オフラインだと駅から自宅までにあるお店や環境、ご自宅で飾っている場所やインテリアの雰囲気、ライフスタイルなどもわかりますからね。
大竹:今はまだオンラインがメインですが、バランスをとりながら自宅訪問も増やしていきたいですね。オフラインならではのリアリティも大事ですから。
(おわり)