株式会社CRAZY(以下、CRAZY)は、「人々が愛し合うための機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」をパーパスに掲げ、IWAI OMOTESANDOを始めとする婚礼事業を中心に運営をしています。
コロナ禍を乗り越え、事業展開を見据え採用活動を本格再開して1年が経つ今、多くの皆さまとの出会いがありました。
その過程で、「他社とはまったく違う」「“面接”の概念が変わった」「(採用には至らなかったけれど)とても良い経験でした」という感想が届く、CRAZYの採用について、HRリーダーの工藤に聞いてみました。
大学在学中にCRAZY WEDDINGに出会い、インターンを経て新卒としてCRAZYに入社。人はいつだって自由に、自分の生きたい人生を選べる。その信念のもと、現在は人事として、採用領域を中心に担う。CRAZY公式コミュニティ「CRAZY PEEPS」のコミュニティマネージャーも兼務し、人間性と経済性が両立する組織づくりに奔走している。
決まったフローがない!?
異色な採用フローとその理由
―「普通じゃない」という反応が多いCRAZYの採用スタイルですが、何が特徴なんでしょうか?
工藤:表面的な話をすると、まず、面談回数が異常に多いと思います(笑)。
新卒入社した私自身も、採用プロセス時には20回以上面談をしました。
大学時代からCRAZYでアルバイトをしていて、先輩社員からの声掛けで新卒採用にチャレンジしたんです。最初は「声をかけてもらったから」みたいな中途半端な気持ちで面談を受けていて。その様子を見ていた当時の採用担当者から、「ちゃんと自分で決めて」と言われたのを覚えています。
学生インターン時代の工藤(中央)
そもそも自分がどうしたいかが定まっていない状態だったので、誰かの意見を聞くたびに揺らいでいたし、全てが正しく聞こえて自分を見失うこともたくさんありました。「あなたはどうしたいの?」「なんで入社したいの?」ということをたくさんの人に問うてもらいました。自分なりの答えに辿り着くまでにはすごく時間がかかりましたね。
―全員そんなに面談回数が多いんですか?
工藤:面談回数が多いのは、あくまでその人の人生に向き合った結果なので、全員というわけではないです。3、4回の面談で内定という方ももちろんいらっしゃいます。
また、面談ではなく実家に帰って親子関係に向き合う人がいたり、今の職場でこれだけの成果を出すと宣言してまずは目の前の仕事に集中する人もいたりと採用プロセスの内容も全員異なります。決まったプロセスはありません。それも大きな特徴かもしれないですね。
私たちが何よりも大切にしているのは、「どう生きていきたいのか」という意志とそこに向かう行動力です。スキルや経験以前にそれらを扱うことから採用プロセスは始まります。その意志がなければご一緒しようという決断には至りません。
実際、最近の採用活動でも、申し分のないビジネススキルや経歴、コミュニケーションスキルを持っているけれど、採用プロセスがスムーズに進まないという方もいらっしゃいました。
採用条件:自分の願いに生きること
―なぜスムーズに進まなかったんですか?
工藤:その方は、「人の可能性を拡げたい。愛の領域で人を幸せに導くチャレンジがしたい」という願いを持っていました。まさにそれはCRAZYが共にできる願いだなと思ったんです。
でも、採用プロセスを進めていく中でその願いと、実際の行動に乖離を感じたんです。本人自身が自分の願いに向かって生きていないなと。私にはその方が、自分の可能性を全く信じていないように見えたんです。
―自分の願いに向かって生きていない…どんなところでそれを感じたんですか?
工藤:例えば、人とのコミュニケーションの中で苦手意識のある人に対しては素っ気なく棘のある話し方になってしまったり、逆に肩書が上の人には極端に謙っていたり…ですね。
その言動と「人を幸せに導きたい」という願いとの間に、大きなギャップを感じたんです。
採用プロセス中には、「あなたの願いと言動にはギャップがあると思うんですけど、どう考えていますか?」とその違和感を率直にお伝えしました。その言葉にはじめは驚いた様子でしたが、しっかりと受けとめ、ずっと誤魔化していた葛藤を話してくれました。
入社後、社員同士がそれぞれの「願い」に触れる合宿もカルチャーのひとつ
―誤魔化していた葛藤……?
工藤:子どもの頃から「人より優れていないといけない」という焦りがずっとあること。だから、評価されやすいように振る舞ったり、厳しさを人にも向けてしまう自分がいると。
実際、日々の人間関係の中でもその癖が出て傷つけてしまっている人がいることをご本人も自覚していて、その方々へ気持ちを伝えて対話するという挑戦がありました。もちろんこれは、採用プロセスとして「そうしてください」と伝えたわけではなく、本人が決めたことです。
それでも、何度もいつもの焦りが出てきて、つい癖が出てきてしまうことがありました。その度に「それは本当にあなたが望んでいることなの?」と問いかけました。私だけではなく何人ものCRAZYメンバーが関わりながら向き合っていく過程で、明確に表情や反応が変化していく様子が印象的でしたね。
―すごい変化ですね…!何がターニングポイントだったんでしょうか。
工藤:それまで決して脱ぐことのなかった鎧を脱ぐ決意をしてくれたことだと思います。
CRAZYメンバーの真剣さに、「この人には正直にすべてを話そうと思った」と後に語ってくれたのですが、私たちの想いがプロセスの中で伝わっていたんだと嬉しかったです。私たちもずっと一人で抱えていた葛藤を吐露してくれたその姿に勇気を感じて、その人生を応援したいとシンプルに思いましたね。
普通はこんなにやらないですよね。入社するかどうかわからない人に、これだけの時間をかけるなんて(笑)。でもこの事例がすごく特別ということではなくて、私たちにとっては日常なんです。
一般的には中途採用だと、経験やスキルマッチが主で次にカルチャーフィット、という順番で面談を進めると思います。一方CRAZYの場合は、経験やスキルマッチとほぼ同じかむしろそれ以上に、その人が「どう生きたいか」という部分でのカルチャーフィットを大事にしているので、結果こういうプロセスにならざるを得ないという感じです。
人生が一番大事
―どうしてそんなに“人生”にこだわるんですか?
工藤:人生が一番大事だからです。
私たちは、転職を単なるキャリアチェンジではなく、ライフチェンジだと捉えています。
仕事のために生きるのではなく、理想の人生に向かって仕事をする。この順番を間違えてはいけないですよね。
―なるほど…理想的ですけどかなり難しいように感じます。
工藤:そうですね。どうしても、自分の気持ちや情熱ではなく、社会がそう言っているとか誰かに認めてもらうとか、そういうものを追い求めがちになってしまうなと思います。
過去私自身も、「誰よりも仕事ができること」や「誰かの期待に応えること」を無意識のうちに重要視してしまっていたんです。「この仕事ができない自分なんて価値がない」と自分で自分を卑下していた時期があって、とても辛かったんですよね。
そんな時に転換点になったのが、代表である森山の言葉でした。「あなたは自分を幸せにする責任がある」と涙ながらに語ってくれたんです。
創業メンバーであり代表である森山のブレない人生へのスタンスが、
多くのメンバーに影響している
仕事も生き方も自分でつくって良いのだ、とはっとしました。むしろそうする責任は社会でも会社でもなくて、自分にあるのだと気づきました。
仕事や報酬、自由は会社が握っていて、会社の裁量で与えられるものだと思っていると、会社のために仕事をするという構図に陥りやすいのだと思います。だからこそ、「何のための仕事なの?」「わたしはそれをやりたいの?」と願いを何度も確認して、自分の責任で自分を幸せにしないといけない。
私たちは、資本主義の中でお金を生み出すためではなく、一人の人間として生きるために生まれてきた。これがCRAZYの価値観です。
一人ひとりの純粋な願いが、ビジネスも強くする
ー「人生が大切」というのはよく分かるのですが、それでビジネスは成り立つのでしょうか?
工藤:はい。成り立ちます。逆にそれが、誰にも真似できないCRAZYの価値になるんです。競合優位性ですね。
CRAZYのブランドメッセージは、「愛はみえる」です。この愛がみえる体験は、システムや機能では生み出せません。社員が作業として仕事をしているだけでは実現できないんです。人として、目の前の人に心を尽くして向き合うから、人は感動するんです。
お客さまとサービス提供者ではなく、
人と人としてつながることを大切に仕事に望む
人は、意外と自分の本音に鈍感で。だけど、自分たちが自分の本音にタッチしていないと、お客様の言葉の奥にある本当の気持ちにも気づくことができない。この本当の気持ちに気づけるからこそ届けられるものがCRAZYにはあります。
そういう純度が、組織には欠かせないんですよね。
―純度?
工藤:その人の、純度100%の願いです。「やらされ仕事」をする人や「役割を演じている人」がいると私たちのサービスは成立しない。その人が仕事を通じて心からの願いを実現しているのか?に組織としてこだわっています。そこにいる社員の純度が高ければ高いほど、その場に与える影響が強くなります。結果、サービス体験が上がる、ミーティングの精度が上がる、といった効果が生まれます。
実は、採用に、広告費などの金銭的コストはほぼかけていないんです。社員の友人や結婚式のお客様からのご縁などが大半で、高い純度の人たちと出会うことができています。人生が充実しているからそのエネルギーが外の人にも伝わる。それが他の人にも影響していく。サービスも採用も、それぞれのプライベートにおいても、そういう循環が生まれているのだと思います。
小さな勇気で、人生は大きく変わる
―なるほど!そういう採用活動に取り組んできて、工藤さん自身が感じていることは何ですか?
工藤:「生きたい人生を決意した瞬間に、人生は変わる」ということです。そして、それには勇気が必要だということも。
採用プロセスで真剣に自分と向き合う時間を過ごした結果、表情も声の出し方も、身体の動き方も驚くほど変化していく方をたくさん見てきました。内面は外に出るというのは本当だなと採用に関わらせてもらう過程で強く実感しています。
自分の本当の願いに気づく。そして、その願いに向かって生きはじめると変化が生まれるのだと思います。
だからこそCRAZYの採用プロセスでは、その人の願いに触れたいです。それこそが転職活動の価値だと思っています。
―それが、今回のメッセージになってるんですね!
工藤:そうなんです。メンバーの写真の上に重ねてある日付は、一人ひとりがCRAZYと出会った日や入社を決めた日など、それぞれが人生を変えるきっかけになった日です。
リクルートページの新ビジュアル
リクルートページはこちら
変化って、ほんの小さなことから始まると思うんです。何かに気づいたり何かを決めたり、話したり…ほんの少しの勇気が、後から振り返ってみると自分にとっては「人生を変える日」になっていたというメンバーがほとんどです。少しの勇気の積み重ねが大きな変化になっていくんですよね。
―そんな背景があったんですね。最後に、このメッセージに込めた想いを教えてください。
工藤:「自分の願いに素直に、ちょっとだけ勇気を出してみませんか?」「その先の変化に期待してみませんか?」というお誘いができればと思っています。お誘いに惹かれた方にはぜひCRAZYに遊びにきていただければと思います。公式イベントでもコミュニティに参加してみるでも、メンバーにDMしてみるでもなんでもいいです。勇気を大切に変化を重ねているメンバーに会えるので、きっと勇気が出ると思います(笑)。
そして、これは自分たちに向けたメッセージでもあるので、何よりも私たち自身が自分の願いにまっすぐに、勇気を持って変化し続ける集団でありつづけたいですね。