2026年1月、横浜・みなとみらいに「CRAZY GRANDE MAISON」がオープンします。新しい結婚式場には、レストラン、カフェダイニング、そして婚礼と、まったく異なる3つの環境が共存します。なぜ、一箇所に3つの業態を設けたのか。そこで働く料理人にとって、どんな意味があるのか。
「僕は、いろんな環境を経験した人が、“良い料理人”になると思っているんです」
そう語るのは、CRAZYの統括料理長を務める佐藤彰太です。高級フレンチやホテルを経た後、CRAZYに入社。現在はCRAZY GRANDE MAISONの立ち上げを担っています。
高級レストランからカフェまで、自らジャンルの壁を越える「越境」を繰り返してきた彼に、CRAZYが目指す料理の哲学と、それを実現する料理人の働く環境について聞きました。
「おいしい」の先にある、"驚き"と"楽しさ"を届けたい
─まず、佐藤さんの現在のお仕事について教えてください。
佐藤:CRAZYで統括料理長を務めています。特に今は、1月にオープンする新店舗「CRAZY GRANDE MAISON」の立ち上げに注力しているところです。
─CRAZY GRANDE MAISONは、レストラン、カフェダイニング、婚礼と3つの業態が一箇所に集まる新しい形の店舗だと聞いています。
佐藤:はい。それぞれまったく異なる環境ですが、共通しているのは「良い料理を届けたい」という想いです。
─佐藤さんが考える「良い料理」とは、どんなものなのでしょうか?
佐藤:今は、誰でも気軽に「おいしい料理」が食べられるようになりました。だから、料理が「おいしい」のはもはや当たり前です。じゃあ、その中で「良い料理」とはなんなのか。僕は、「こうきたか!」といい意味で裏切られる“驚き”や“楽しさ”が感じられる料理がそれだ、と思っています。
あと、食べ手と作り手、両方が納得できることも大事です。例えば結婚式では、何十人分もの料理を、チーム一丸となって仕上げていきます。うちにはフレンチ、和食、イタリアンと、さまざまなバックグラウンドを持つ経験豊富なスタッフがいる。その全員が「これはおいしい」「作っていて楽しい」と思える料理を出すこと。
この2つが揃ったのが、僕の考える「良い料理」です。
食べ手も作り手も、両方が納得できる料理が「良い料理」
─その「良い料理」への考え方は、いつから持っていたのでしょうか?
佐藤:そう言われると、料理人を始めたばかりの頃は違ったかもしれません。あの頃は、食べるものすべてがおいしいし、初めて学ぶことだらけで、毎日ワクワクしていましたね。裏を返せば、知識や経験が増えれば増えるほど、ワクワク感は減っていきました。
─経験を積むほど、新鮮な驚きが減っていく、と。
佐藤:そんな壁にぶつかったことのある料理人は、多いんじゃないでしょうか。僕もその一人でした。
そんな時にCRAZYで出会ったのが、「イノベーティブ」という新しい料理のジャンルでした。
フレンチや和食といった既存のジャンルにとらわれず、自由な発想で組み合わせる。それを制約の多い「結婚式」という場でチャレンジしていて、「料理には、まだまだ僕の知らない可能性がこんなにもあったんだ」とワクワクしました。
そこから「もっと料理を知りたい」と思い、ジャンルや価格関係なく、いろんなレストランに伺いました。そうしたら、作り手としてだけじゃなく、“驚き”や“楽しさ”を求める食べる側の気持ちも分かるようになった。
これらの経験から、「食べ手も作り手も、両方が納得できる料理が良い料理だ」という考えに至りました。
─佐藤さんは、一時期カジュアルな価格帯の店で働いた経験があるそうですね。
佐藤:僕は、高価格帯のレストランやホテルでの経験が長かった。一方で、数千円で食べられるカジュアルな料理は、実はあまり経験したことがなかったんです。だからこそ、経験してみたいな、と。
実際に飛び込んでみると、料理のジャンルだけでなく、価格帯や形態でも求められるスキルが違うことに気付いたんですよね。
─どんな気付きがあったのでしょうか?
佐藤:シンプルに、「おいしいとは何か?」を考えるようになりました。例えば、高価格帯のレストランだと、良い食材を使うから「おいしい」ものができるのはある意味当たり前なんです。
でも、カジュアルな価格帯だと、限られた時間、人員、予算で「おいしい」を実現しないといけません。
高級料理ならではの奥深さと、カジュアルな料理が追求する「おいしさ」の本質。その両方を経験することで、初めて見えてくるものがあるんです。
どちらがいい、悪いではなくて、両方を経験しているからこそ見えるものがあるのだな、と気付きました。
「次は何を作ろう」
そのワクワク感が料理人を成長させる
─その気付きが、今度オープンするCRAZY GRANDE MAISONにも反映されているのでしょうか。
佐藤:はい。CRAZY GRANDE MAISONでは、婚礼、カフェダイニング、レストランと3つの形態があります。先ほどお話しした通り、いろんな価格帯や環境を経験することで、見えてくるものがある。そしてそれは、料理人がいつまでも楽しく働けることにつながると思っています。
─なぜ、「料理人が楽しく働ける環境」にこだわるのでしょうか。
佐藤:料理人の世界では、「あの人の元で働きたい」「違うジャンルの料理を学びたい」など、スキルアップのために転職することが珍しくありません。僕自身も、CRAZYに来るまでは転々としてきたので、新しい環境を求める気持ちはよく分かります。
でも、CRAZYでは飽きなかった。同じことの繰り返しではなく、「次は何を作ろう」という気持ちが常に湧いてくる環境だったんです。
─具体的には、どんな環境だったのでしょうか。
佐藤:例えば、表参道の「IWAI OMOTESANDO」では、3ヶ月ごとにメニューを変えています。しかも、翌年の春に同じ春メニューを出すかというと、出さないんです。また違った春メニューを、全員で考えて出す。
メニューが変わり続けるから、同じ場所にいても新しい学びがある。だから、CRAZYには僕も含めて、長く働く料理人が多いのだと思います。
─人が辞めないことで、会社にも良い影響がありそうですね。
佐藤:シンプルな話ですが、人が辞めなければ人材には困りません。2023年から約3年、離職者はゼロなんです。人がいるから、新しいことにチャレンジできる。CRAZY GRANDE MAISONや、6月にリニューアルオープン予定の「MARINE TOWER WEDDING」の立ち上げも、人がいたからできたことです。
そして新店舗が増えれば、料理長のポストも増えて、若手にもチャンスが巡ってくる。会社として"いい循環"が生まれるんです。
婚礼は「チームで仕上げる達成感」
カフェは「今、作っているライブ感」
─その"いい循環"を続けていくために、今度オープンするCRAZY GRANDE MAISONではどんな工夫をしているのでしょうか。
佐藤:一人の料理人が、婚礼とカフェダイニングの両方を経験できる環境を作りました。平日はカフェダイニング、土日は婚礼という働き方ですね。
─同じ空間で、婚礼とカフェダイニング、それぞれ違う体験ができるんですね。
佐藤:はい。まず婚礼は、チームで作り上げる達成感が味わえます。何十人分もの料理を、みんなで一斉に仕上げていく。あの瞬間は、他ではなかなか味わえないと思っています。
それに、婚礼ならではの「組み立てる面白さ」もあるんです。例えば仕込み。レストランなら数十分で終わる量が、ゲストが何十人もいる婚礼の規模だと、何時間もかかることもある。それを1週間かけて、チーム全体で計画的に進めていくんです。
「1週間後の本番に向けて、今できること」を逆算して考えるのは、パズルを組み立てるような楽しさがあります。
─CRAZY GRANDE MAISONの婚礼料理は、一般的な結婚式場とは異なる点があるのでしょうか。
佐藤:一般的な結婚式場だと、キッチンは披露宴会場から離れていて、料理人からはお客さまの顔が見えないことがほとんどです。でもCRAZY GRANDE MAISONにはオープンキッチンがあります。そこで盛り付けをすることもあるから、お客さまの顔が見えやすいんです。
それに、普通の結婚式場は「結婚式の料理」を出しますよね。でもCRAZY GRANDE MAISONは、「レストランの料理」を結婚式で出すんです。
─料理が中心の結婚式場、ということですね。
佐藤:そうなんです。だから、IWAI OMOTESANDO以上に、メニューは固定していません。1〜2週間、今後はもしかしたら、さらに短いスパンで変更することもあるかもしれません。
また、CRAZY GRANDE MAISONではドリンクも料理の一部だと考え、ペアリングにも力を入れています。アルコールもノンアルコールも、料理に合わせて一から作っているんですよ。
─メニューもドリンクも、徹底してこだわっているのが伝わってきます。
佐藤:そもそも結婚式って、同じお客さまが何度も来ることはほとんどないんですよね。結婚式は、基本的に一生に一度。だから、メニューを変えても変えなくても、ほとんどのお客さまは気づかないんです。
そう考えると、結婚式場でここまで頻繁にメニューを変えるのは、非効率だと思う人もいるかもしれません。でも、僕はあえてやりたかった。それが、料理人が飽きずに働ける理由になると思っていますから。
─では、カフェダイニングの面白さはいかがでしょうか。
佐藤:「今、料理を作っている」という実感ですね。婚礼は1週間かけてチームで準備しますが、カフェダイニングはオーダーが入ってから、自分で作って、自分で味見して、自分の責任で提供する。そのライブ感は、カフェダイニングならではだと思います。
それに、お客さまとの距離が近いのも嬉しいですね。リーズナブルだから家族や知り合いも呼びやすいですし、自分の料理を出して、ちょっと顔を見せに行くこともできるんです。
─婚礼は「一生に一度」でしたが、カフェダイニングは常連さんができる可能性もありますね。
佐藤:そうなんです。自分の料理を気に入ってくれて、「また食べたい」と何度も足を運んでくれる人ができるかもしれない。それは料理人として、すごく嬉しいことですね。
─CRAZY GRANDE MAISONのカフェダイニングならではの特徴はありますか。
佐藤:実は、CRAZY GRANDE MAISONでカフェダイニングをやるのは、僕がやりたいと言って始まったんです。スタッフが「考える機会」を持てる場所を作りたかったんですよね。
婚礼は規模が大きいので、メニューを考えるのは基本的に料理長の役割になります。1週間かけて何十人分を準備するので、スタッフが「この料理を試してみたい」と思っても、すぐには形にしづらいんです。
でもカフェダイニングは、日々営業していて、オーダーごとにリアルタイムで作る。規模も婚礼と比べるとコンパクトだから、「この食材が旬だから使いたい」「こういう料理を試してみたい」というアイデアを試せる機会があります。
料理が好きで、気づいたら考えてしまっている人と一緒に働きたい
─最後に、この記事を読んでいる料理人の方々に向けて、どんな人と一緒に働きたいか教えてください。
佐藤:日々、面白い料理を考え続けられる人ですかね。料理が好きな人って、食べた時に笑うんですよ。目が開いて、口がほころんで、不思議と笑ってしまう。そういう反応を見ると、「ああ、この人は本当に料理が好きなんだな」と思います。
─スキルや経験よりも、料理への姿勢を大切にされているのですね。
佐藤:もちろんスキルや経験も大切ですが、それと同じくらい、料理への純粋な好奇心も大切だと思っています。
人生において、家族とか、大切なものはたくさんありますよね。その中でも、料理のことを不思議と考えてしまう。仕事だから考えるんじゃなくて、好きだから考えてしまう。料理が人生の一部になっている人と一緒に働けたら、僕ももっと料理にワクワクできるだろうな、と思っています。
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